高卒で公務員って、実際どうなの?
「将来は安定した仕事に就きたいな」「人の役に立つ仕事がしたい」と考えている高校生や20代前半の皆さんにとって、「公務員」は魅力的な選択肢の一つかもしれません。
特に高卒で就職を考えている場合、「公務員なんて大卒じゃないと無理なんじゃ…?」と思っている人もいるかもしれませんが、実は高卒からでも公務員になる道はちゃんとあります!
この記事では、
- 高卒でなれる公務員の仕事内容って具体的にどんな感じ?
- 公務員になるメリットや、知っておくべき注意点は?
- 気になるお給料のこと
- どうすれば公務員になれるの?(試験のことなど)
といった、皆さんが気になるポイントを、分かりやすく解説していきます。公務員という働き方が自分に合っているか、じっくり考えるための参考にしてくださいね。
高卒でもなれる!公務員の仕事、種類は?
「公務員」と一口に言っても、実はたくさんの種類があります。大きく分けると、国全体に関わる仕事をする「国家公務員」と、都道府県や市区町村といった地域のために働く「地方公務員」がいます。
さらに、仕事内容によって「事務系」と「技術・体力系」に分けられます。

高卒から目指せる公務員の仕事には、具体的にどんなものがあるのか見ていきましょう。
国のために働く「国家公務員」の仕事
国家公務員は、国全体の仕組みを支える、スケールの大きな仕事に関わります。高卒者が目指しやすいのは、主に**「一般職」**と呼ばれる区分です。
- 税務職員: 税金の計算や相談、調査などを行います。確定申告の時期に税務署で対応している人たちです。
- 皇宮護衛官: 皇居や御所などを警備し、天皇皇后両陛下や皇族の方々の護衛にあたります。
- 刑務官: 刑務所や少年院などで、受刑者の指導や施設の保安警備を行います。
- 入国警備官: 空港や港で、日本に入国する外国人の審査や、不法滞在者の調査などを行います。
- 海上保安官(高卒): 海の安全を守るため、船の運航や救助活動、海上犯罪の取り締まりなどを行います。(※別途、海上保安学校の試験があります)
- 自衛官(一般曹候補生・自衛官候補生): 国の平和と安全を守るため、訓練や災害派遣、国防などの任務にあたります。
これらはほんの一例で、国の様々な機関で働くチャンスがあります。
地域を支える「地方公務員」の仕事
地方公務員は、私たちが暮らす地域に密着した、より身近なサービスを提供する仕事です。都道府県や市区町村によって様々な職種がありますが、高卒者が目指せる主な仕事は以下の通りです。
- 一般行政事務: 市役所や町村役場の窓口での住民票発行、税金や保険の手続き、地域のイベント企画運営など、幅広い業務を担当します。地域住民と直接関わる機会が多い仕事です。
- 学校事務: 公立の小中学校や高校などで、先生たちのサポートや学校運営に関わる事務作業(経理、書類作成、電話対応など)を行います。
- 警察事務: 警察署内で、落とし物の管理、各種申請手続きの受付、電話対応、経理などの事務作業を行い、警察官の活動をサポートします。
- 警察官: 地域の安全を守るため、パトロール、交通取締り、事件捜査などを行います。体力や正義感が求められます。
- 消防官: 火災の消火活動や救急・救助活動、建物の安全点検など、地域住民の命と財産を守る仕事です。こちらも体力と強い使命感が必要です。
- 技術職(土木・建築・機械・電気など): 道路や橋、公園、上下水道などの公共施設の計画、設計、工事監理、維持管理など、専門知識を活かして地域のインフラを支えます。工業高校などで学んだ知識が活かせる場合もあります。
地方公務員は、自分が生まれ育った地域や、愛着のある地域に貢献したいという人にとって、やりがいのある仕事と言えるでしょう。
- 国家公務員: 税務職員、刑務官、自衛官 など
- 地方公務員: 一般行政事務、学校事務、警察官、消防官、技術職 など
デスクワーク中心「事務系」の仕事内容
事務系の公務員の仕事は、主にオフィスでのデスクワークが中心です。
- 書類作成・管理: 様々な申請書類の受付やチェック、データ入力、資料作成、ファイリングなどを行います。正確さが求められます。
- 窓口・電話対応: 住民や他の機関からの問い合わせに対応したり、手続きの説明をしたりします。丁寧なコミュニケーション能力が必要です。
- 経理・庶務: 予算の管理や物品の購入、職員の給与計算など、組織運営に関わる事務を担当することもあります。
例えば、市役所の一般行政事務なら、住民票の発行手続きをしたり、地域のイベント開催に向けて関係各所と連絡調整をしたり、予算案作成のためのデータ集計をしたり…といった具合です。
地道な作業も多いですが、行政サービスを円滑に進めるためには欠かせない、縁の下の力持ちのような役割です。
体を動かすのが好きなら「技術・体力系」の仕事
デスクワークよりも、体を動かしたり、現場で専門性を活かしたりしたい人には、技術・体力系の仕事が向いているかもしれません。
- 警察官・消防官・自衛官: これらの仕事は、厳しい訓練や規律があり、危険な場面に遭遇することもあります。しかし、人々の安全や命を守るという強い使命感と責任感を持って働くことができます。体力に自信があることはもちろん、冷静な判断力やチームワークも重要です。
- 技術職(土木・建築など): 道路工事の現場で指示を出したり、新しく作る公園の図面を確認したり、水道管の点検を行ったりと、実際に現場に出て作業することが多いです。専門知識やスキルを活かして、目に見える形で地域のインフラ整備に貢献できるのが魅力です。
これらの仕事は、事務系の仕事とは違った大変さがありますが、その分、大きな達成感ややりがいを感じられる場面も多いでしょう。
高卒で公務員になる良いところ(メリット)
では、高卒で公務員になると、どんな良いことがあるのでしょうか?主なメリットを見てみましょう。

安定していて将来も安心?
公務員の最大の魅力の一つは、やはり雇用の安定性です。民間企業のように、会社の業績が悪化して突然リストラされる…といった心配は基本的にありません。国や地方自治体がなくなることは考えにくいですよね。
また、給料も景気に大きく左右されることなく、毎年着実に昇給していくことが多いです。「将来設計を立てやすい」「安心して長く働ける」という点は、大きなメリットと言えるでしょう。
お休みや手当はしっかりもらえる?
公務員は、福利厚生が充実していることも魅力です。
- 休日・休暇: 土日祝日は基本的に休みで、年間休日数も多い傾向にあります。有給休暇も比較的取りやすい環境が多いようです。夏休みや年末年始の休暇もしっかりあります。
- 各種手当: 給料とは別に、住居手当(家賃補助)、通勤手当、扶養手当(家族がいる場合)などが支給されることが一般的です。
- 育児・介護支援: 産休・育休制度はもちろん、時短勤務など、子育てや介護と仕事の両立を支援する制度が整っている職場が多いです。男性の育休取得も増えてきています。
プライベートの時間も大切にしながら、ワークライフバランスの取れた働き方を実現しやすい環境と言えます。
「人の役に立ってる」って感じられるかも
公務員の仕事は、社会全体の利益や住民の生活を支えることが目的です。税金を集めて公共サービスを提供したり、地域の安全を守ったり、道路や学校を作ったり…。
自分の仕事が、直接的・間接的に多くの人々の役に立っている、社会に貢献しているという実感を得やすいのは、大きなやりがいにつながります。
「誰かのために働きたい」「社会の役に立ちたい」という気持ちがある人にとっては、モチベーションを高く保って働き続けられる仕事でしょう。
知っておきたい注意点(デメリット)
もちろん、公務員にも注意しておきたい点や、人によってはデメリットと感じる部分もあります。良い面だけでなく、こうした点も理解しておくことが大切です。

給料は最初ちょっと低い?大卒との違いは?
安定している半面、初任給(最初の給料)は、民間企業の同年代と比べると少し低めの場合があります。また、同じ公務員でも、一般的に大卒者の方が高卒者よりも初任給が高く設定されています。
給料は経験年数に応じて着実に上がっていくことが多いですが、若いうちからバリバリ稼ぎたい!という人にとっては、少し物足りなく感じるかもしれません。
年功序列ってホント?若いうちからバリバリは難しい?
公務員の組織は、年功序列(年齢や勤続年数に応じて役職や給料が上がっていく仕組み)の傾向が比較的強いと言われています。
もちろん、仕事の成果や能力も評価されますが、民間企業のように、若くして実力だけでどんどん出世していく、というのは難しい場合が多いです。コツコツと経験を積み重ねていくことが求められます。
また、仕事の進め方においても、前例やルールを重視する傾向があります。「自分のアイデアで新しいことにどんどん挑戦したい!」というタイプの人には、少し窮屈に感じる場面もあるかもしれません。
もし辞めたくなったら、次の仕事探しは大変?
公務員の仕事で得られる経験やスキルは、民間企業でそのまま活かせるものが少ない場合もあります。例えば、市役所での窓口業務の経験が、IT企業の営業職で直接役立つかというと、少し難しいかもしれません。
そのため、「やっぱり民間企業で働きたい」と思って転職を考えたときに、アピールできるスキルが少ないと感じたり、希望する職種への転職が難しかったりする可能性はあります。
公務員になる場合は、「長く働き続ける」という意識を持つことも大切かもしれません。
高卒公務員のお給料って、どれくらい?
やっぱり気になるのがお給料のことですよね。
先ほども触れたように、高卒公務員の初任給は、大卒者や民間企業と比べると、やや低めのスタートになることが一般的です。具体的な金額は、国家公務員か地方公務員か、どの職種か、どの地域で働くかによって変わってきます。
【ポイント】
- 初任給: 大体15万円~18万円くらいが目安になることが多いようです。(※あくまで目安です)
- 手当がプラスされる: これに加えて、住居手当、通勤手当、残業手当などが支給されます。
- ボーナス(期末・勤勉手当): 年に2回(夏と冬)ボーナスが支給されるのが一般的で、これも含めると年収は変わってきます。
- 着実に昇給: 毎年少しずつ給料が上がっていくことが多いです。長く勤めるほど、安定した収入が期待できます。
若いうちは少し我慢が必要かもしれませんが、各種手当やボーナスを含めると、生活していく上で安定した収入が得られると言えるでしょう。また、退職金制度もしっかりしている場合が多いです。
高卒から公務員になるためのステップ
「よし、公務員を目指してみよう!」と思ったら、具体的にどうすればいいのでしょうか?公務員になるための道のりを見ていきましょう。

まずは「高卒程度」の公務員試験を知ろう
公務員になるには、基本的に「公務員試験」に合格する必要があります。この試験には、学歴に応じて区分が設けられており、高卒者が受けるのは「高卒程度」(または「初級」「Ⅲ類」などと呼ばれることも)の試験です。
【注意!】
「高卒程度」というのは、あくまで試験問題の難易度レベルを示すもので、「高校卒業(見込み)者しか受けられない」という意味ではありません。多くの場合、年齢要件などを満たしていれば、最終学歴が中学卒や大学中退、あるいは大卒の人でも受験可能です。(ただし、募集する職種や自治体によって条件は異なります)
試験の内容は職種によって異なりますが、一般的には以下のようなものがあります。
- 筆記試験(教養試験): 高校までに習う国語、数学、理科、社会、英語といった一般知識や、数的処理、文章理解などの知能を問う問題が出題されます。マークシート形式が多いです。
- 作文・論文試験: 与えられたテーマについて、自分の考えを文章でまとめる力が試されます。
- 面接試験: 人物像やコミュニケーション能力、公務員としての適性などが見られます。個別面接や集団討論など形式は様々です。
- 適性検査: 事務処理能力や性格などを見る検査が行われることもあります。
- 体力検査: 警察官や消防官など、体力が必要な職種では実施されます。
試験の難しさや倍率は?
公務員試験は、決して簡単な試験ではありません。特に人気の職種や都市部の自治体では、倍率(募集人数に対して受験者が何倍いるか)が高くなる傾向があります。
例えば、地方公務員の一般事務職などは、安定性から人気が高く、数十倍の倍率になることも珍しくありません。
しかし、しっかりと対策をすれば、高卒からでも十分に合格は可能です!諦めずにチャレンジすることが大切です。
試験対策、何から始める?独学でもOK?
公務員試験の合格のためには、計画的な勉強が不可欠です。
情報収集: まずは自分が受けたい試験の情報を正確に集めましょう。過去問などをチェックして、出題傾向を知ることが大切です。
筆記試験対策: 教養試験は出題範囲が広いので、苦手分野を作らないようにバランス良く勉強することが重要です。特に「**数的処理(判断推理、数的推理など)」**は多くの試験で重視されるため、重点的に対策しましょう。
作文・面接対策: 筆記試験で点数を取れても、作文や面接で評価されないと合格できません。自分の考えをまとめ、分かりやすく伝える練習や、想定される質問への回答準備などを早めに始めましょう。
勉強方法としては、
- 独学: 参考書や問題集を使って自分で勉強する方法。費用は抑えられますが、強い意志と計画性が必要です。
- 予備校・通信講座: 試験対策のプロから指導を受けられる方法。費用はかかりますが、効率的に学習を進められたり、面接対策のサポートを受けられたりするメリットがあります。
自分に合った方法で、コツコツと努力を続けることが合格への近道です。
高卒で公務員、どんな人に向いてる?
ここまで公務員の仕事内容や特徴を見てきましたが、どんな人が公務員に向いているのでしょうか?いくつかポイントを挙げてみます。

- 安定志向が強い人: やっぱり「安定」は公務員の大きな魅力。将来のことを考えて、安心して長く働ける職場を求めている人にはぴったりです。
- 社会貢献意欲が高い人: 「誰かの役に立ちたい」「地域を良くしたい」という気持ちが強い人は、日々の仕事にやりがいを感じやすいでしょう。
- 真面目で責任感がある人: 公務員の仕事は、税金を使って行われるものであり、住民の生活に直結することも多いです。一つ一つの業務に真面目に、責任感を持って取り組める人が求められます。
- コツコツ努力できる人: 年功序列の傾向があるため、すぐに大きな成果を求められるというよりは、地道に経験を積み重ね、知識やスキルを身につけていく姿勢が大切になります。
- ルールを守り、協調性がある人: 法律や規則に基づいて仕事を進めることが多く、チームで協力して業務にあたる場面も多いため、ルールを守る意識や周りの人と協力する姿勢が重要です。
もちろん、これらに全て当てはまらなくても大丈夫です。あくまでも「こんな傾向があると向いているかも」というヒントとして参考にしてくださいね。
まとめ:自分に合う仕事か、しっかり考えよう
今回は、高卒で目指せる公務員の仕事について、種類や内容、メリット・デメリット、なり方などを解説してきました。
- 高卒でも公務員になれるチャンスはたくさんある!
- 仕事内容は事務、技術、体力系など様々。国家公務員と地方公務員の違いも理解しよう。
- メリットは「安定性」「福利厚生」「社会貢献」。
- 注意点は「給料(初任給)」「年功序列」「転職のしにくさ」。
- なるためには「高卒程度」の公務員試験合格が必要。対策は計画的に!
公務員は、安定していて社会貢献もできる、とても魅力的な仕事です。しかし、その一方で、人によっては合わないと感じる側面もあります。
大切なのは、「公務員=安定=良い仕事」と安易に決めつけず、仕事内容や働き方が本当に自分に合っているか、メリット・デメリットを理解した上で判断することです。
公務員もいいけど、他の選択肢も気になるなら
「公務員のことも分かったけど、他の仕事も見てみたいな」
「そもそも自分にどんな仕事が向いているのか分からない…」
そんな風に思った方もいるかもしれません。
世の中には、公務員以外にもたくさんの仕事があります。特に、高卒や未経験からでもチャレンジできて、やりがいを持って働ける仕事はたくさんあります。
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