短期離職すると転職先が決まらない？納得のいく転職をするためのコツを解説していきます

転職したいけど短期離職を心配しています…

転職を考える際、今の会社を辞めることが短期離職になるかどうかは、多くの人が抱える大きな不安の一つです。今の職場が辛い、もしくは自分のキャリアを進めるために新しい挑戦をしたいと考えている場合でも、「短期離職として評価されてしまわないか」という懸念が常に頭をよぎります。

企業としては、採用した人材に対して、長く活躍して会社に貢献してくれることを期待しています。そのため、履歴書に短期離職の経験が複数回あると、ネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。その結果、短期離職を繰り返してしまうと転職先を見つけることが難しくなります。

では、そもそも短期離職とはどのように定義され、どう評価されるのでしょうか。この記事では、短期離職についての考え方と具体的な転職法を解説していきます。

明確な定義はない

「短期離職」とは一般的に、入社してから短い期間（通常1年未満）で会社を辞めることを指しますが、実際のところ、明確な定義はなく、職場や業界、または個々の企業によっても異なります。例えば、スタートアップやベンチャー企業では流動性が高く、6カ月から1年の短期勤務が許容される場合もありますが、逆に伝統的な大企業では3年未満の離職が「短期離職」とみなされることもあります。

ちなみに、アルバイトや派遣は、短期での就業が当たり前な部分もあります。しかし、正社員としての職歴がない状態で、非正規の仕事を転々としていると、企業からは「仕事に対する責任感や継続性に欠ける」と判断され、評価が低くなってしまう可能性があります。

ただし、短期離職は最近の若者だけに見られるものではありません。以下の資料によると、新卒で入社した人が3年以内に辞める割合は30％前後で推移しています。昔からこの状況は続いているので、最近の若者だけが短期に離職しているわけではありません。
参照：「学歴別就職後３年以内離職率の推移（平成14年３月～令和５年３月卒業者）/厚生労働省」

現職がつらいけど辞めたら短期離職になってしまうのでは？

現在の職場が辛いと感じている人にとって、「辞めたい」と思うことは自然な感情です。しかし、辞めることで短期離職としてネガティブに評価されてしまうのではないかと不安に感じることが多いです。実際、多くの企業が採用面接で離職期間の短さについて質問してくるのは事実です。ただし、短期離職そのものが問題視されるわけではなく、「なぜ転職を選んだのか」や「どのような背景があったのか」が重要です。

なぜ転職したかが重要

短期離職かどうかよりも、転職の理由や背景が重視される場面が多くあります。採用担当者が気にするのは、単に会社にフィットしなかったのか、それとも問題解決の努力をした上での判断だったのか、という点です。例えば、環境が改善される見込みがなかった、スキルアップのための選択だったなど、合理的な理由があれば、短期離職であっても大きなマイナスにはならないことが多いのです。

プラス評価の転職理由

【プラス評価の転職理由】特徴

転職理由がプラス評価されるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。

まず、前向きな姿勢が重要です。「スキルを伸ばすため」や「キャリアアップを目指して」など、自分自身の成長に焦点を当てた理由はポジティブに捉えられることが多いです。

また、問題解決に向けて努力をした上での決断であることが重要です。すぐに辞めるのではなく、現職での課題に対して改善策を講じた後に、最終的に他の道を選んだという説明ができると、信頼性が増します。

【プラス評価の転職理由】具体例

具体的な例として、以下のようなケースがあります。

• スキルアップやキャリアアップのため
  現職で得られるスキルやキャリアの成長が限界に達し、より高いスキルを求めるための転職は、非常に前向きな理由として評価されます。例えば、「今の職場ではマネジメント経験が得られず、新しいポジションでその経験を積みたいと考えました」という理由は、採用担当者にとっても理解しやすいです。
• 新しい業界に挑戦したい
  異業種転職を考える場合、現在の仕事に関連する経験を活かして別の分野に挑戦する理由は、自己成長の一環としてポジティブに評価されることが多いです。「IT業界で得た知識を、次はマーケティングの分野で活かしたい」といった動機は、積極性とチャレンジ精神が感じられます。
• 企業文化や方向性の違い
  転職を決める理由の一つに、企業文化やビジョンが自分の考え方と合わないというものがあります。「より価値観が一致する企業で、長く働きたい」という前向きな説明は、志望する企業への熱意をアピールすることができます。

マイナス評価の転職理由

【マイナス評価の転職理由】特徴

一方で、転職理由によってはネガティブに捉えられることもあります。

特に、現職に対する不満や否定的な要素だけを理由にした転職は、採用担当者に「この人はまたすぐに辞めてしまうのでは？」という不安を与えてしまうことがあります。例えば、「上司と合わなかった」「仕事がつまらなくなった」など、感情的な理由や短期間での転職理由は、マイナス評価されやすいです。

【マイナス評価の転職理由】具体例

以下は、マイナス評価されがちな転職理由の具体例です。

• 職場環境への不満が主な理由
  「上司と折り合いがつかなかった」「同僚とのコミュニケーションがうまくいかなかった」という理由だけで転職を決めた場合、採用担当者に対して「問題を解決するための努力をしたのか？」という疑問を抱かせることがあります。このような理由をそのまま伝えると、「環境が合わないとすぐに辞めてしまうのでは？」と思われる可能性が高いです。
• 仕事に対するモチベーションが低下した
  「仕事がつまらなくなった」「やりがいを感じなくなった」という理由も、注意が必要です。これらの理由だけだと、「この人はどんな職場に行っても、結局同じ理由で辞めてしまうのでは？」という印象を与えてしまいます。これに対しては、自己分析やキャリアプランの再確認が必要です。
• 待遇や条件だけが転職の動機
  「給料が低かった」「勤務時間が長かった」というように、待遇や条件の不満だけで転職を決めると、採用担当者はその人が「条件が少しでも合わなくなるとすぐに辞める」と感じるかもしれません。もちろん待遇や条件は重要ですが、それだけが理由ではなく、キャリアアップやスキル向上の観点からの理由を加えることが望ましいです。

転職理由がマイナスなものだけどどうすればいい？

転職を考える理由がマイナスな場合、たとえば「職場環境が悪い」「上司との関係がうまくいかなかった」「仕事内容が期待とは違った」などのネガティブな理由であったとしても、それをどう扱うか次第で転職活動がスムーズに進む可能性があります。重要なのは、ただ現職への不満を伝えるだけでなく、次のステップに向けた前向きな考え方や準備ができているかどうかです。ここでは、マイナスな転職理由をうまく処理し、効果的に転職活動を進めるための具体的な対処法について説明します。

具体的な対処法①職務経歴書の書き方を工夫しよう

転職活動において、職務経歴書はあなたのキャリアをアピールする重要なツールです。マイナスな転職理由を持っている場合でも、職務経歴書の書き方を工夫することで、前向きに捉えてもらえるようにすることができます。職務経歴書の書き方のポイント3つを具体例を交えて紹介します。

• 職務経歴書を書くポイント①ポジティブな表現を使う
  ネガティブな転職理由をそのまま書くのではなく、問題解決のために行ったことや、その経験を通じて学んだことにフォーカスを当てましょう。たとえば、「上司とのコミュニケーションが難しかった」ではなく、「様々なタイプの上司と連携し、より効果的な業務遂行のためにコミュニケーションスキルを向上させた」という風に表現すると、問題をただ避けるのではなく、改善しようと努力したことが伝わります。

• 職務経歴書を書くポイント②業績や成果を強調する
  どのような職場であっても、あなたが貢献した成果や実績は評価されるべきポイントです。たとえ環境が合わなかったとしても、自分の業務に対して全力を尽くし、何らかの成果を上げた場合、それを強調することで転職理由がネガティブに見えることを避けられます。

• 職務経歴書を書くポイント③退職理由の表現に注意する
  退職理由はあくまでポジティブに、「キャリアアップのため」や「新たな挑戦を求めて」という表現にすることで、ネガティブな印象を軽減できます。重要なのは、自分が今後何を目指しているのかを明確にすることです。

具体的な対処法②次の仕事の選び方を工夫しよう

マイナスな転職理由を持っている場合、その理由を解決できる職場を選ぶことも転職活動を成功させるポイントです。

たとえば、前職での環境が合わなかった場合、次は自分に合った環境を見つけるために慎重にリサーチし、選び方を工夫しましょう。

• 企業文化をリサーチする
  自分の価値観や働き方に合う企業を見つけることが、次の転職を成功させるカギです。企業のホームページや採用ページだけでなく、口コミサイトやSNSなどで企業の実際の働き方や文化を調べ、そこでの仕事が自分に合っているかどうかを確認しましょう。
• 自分の強みや希望に合った仕事を選ぶ
  自己分析をしっかりと行い、自分の強みや希望する働き方が何なのかを把握しておくことが大切です。前職でうまくいかなかった部分を振り返り、次の仕事でそれをどのように改善したいかを考えてから求人を選びましょう。例えば、前職での業務が単調すぎたと感じるのであれば、次はより工夫できる要素が多くある仕事を選ぶ、といった具体的な改善策を立てることが重要です。

具体的な対処法③応募する前に書類や面接練習を見てもらおう

自分の転職理由がネガティブだと感じる場合、第三者の視点でアドバイスをもらうことも有効です。書類作成や面接対策について専門家や信頼できる人に見てもらうことで、より自信を持って転職活動に臨むことができます。

• 転職エージェントに相談する
  転職エージェントを利用することで、プロの目で職務経歴書や履歴書のアドバイスを受けることができます。エージェントは企業との橋渡しをしてくれるため、転職理由がネガティブでも、それを上手く説明できるような準備を手伝ってくれます。また、企業の文化や採用担当者の好みを把握しているため、適切な求人を紹介してもらえることもあります。
• 面接練習を行う
  面接での対応に不安がある場合、模擬面接を行ってフィードバックをもらいましょう。自分では気づかない点を指摘してもらうことで、面接での対応が格段に良くなります。特に転職理由に関する質問は重要なので、しっかりと練習しておくことが大切です。

そもそもどんな仕事に向いているかわからない場合

転職を考える上で、「そもそも自分がどんな仕事に向いているのか分からない」と感じることは、珍しいことではありません。特に、初めての転職や異業種への挑戦を考える場合、自分の適性や興味が明確でないと、どの仕事を選ぶべきか悩んでしまうことが多いです。ここでは、そんな時に試すべき具体的な対処法を紹介します。

具体的な対処法①自己分析してみる

転職を成功させるためには、まず自分自身をよく理解することが重要です。自己分析を行うことで、自分の強みや弱み、興味や価値観を明確にすることができ、それを基にしたキャリア選択が可能になります。

• 過去の経験を振り返る
  これまでの仕事やプライベートでの経験を振り返り、どのような場面でやりがいを感じたか、どのようなスキルを活かせたかを整理しましょう。たとえば、「チームでのプロジェクトが成功したときに大きな達成感を得た」と感じるのであれば、次の仕事ではチームプレーが求められる職種が向いているかもしれません。
• 強みと弱みを明確にする
  自己分析の一環として、自分の強みと弱みをリスト化しましょう。強みを活かせる仕事を選ぶことで、より充実感のある仕事に就くことができ、弱みを克服するためのキャリアプランも立てやすくなります。
• 適性検査を受ける
  適性検査やキャリア診断ツールを活用するのも一つの方法です。これにより、自分の興味や得意分野が客観的にわかり、仕事選びの参考にすることができます。

具体的な対処法②業界・職種研究してみる

自己分析と並行して、業界や職種についてのリサーチを行うことも大切です。自分に合った仕事を見つけるためには、さまざまな業界や職種の特徴を知り、その中でどれが自分にフィットするかを考える必要があります。

• 業界ごとの特徴を調べる
  業界によって働き方や求められるスキル、キャリアパスが大きく異なります。たとえば、IT業界は技術的スキルが求められますが、成長が早く変化に富んでいるため、チャレンジ精神が旺盛な人に向いています。一方、医療業界や教育業界は、長期間にわたって安定的なキャリアを築きたい人に向いている傾向があります。
• 職種ごとの特徴を調べる
  同じ業界内でも、職種によって仕事内容や求められるスキルが異なります。営業職、マーケティング職、エンジニア職など、それぞれの役割や求められるスキルを理解し、自分がどの分野で活躍できるかを考えましょう。
• 実際の仕事の声を聞く
  ネット上の口コミやSNS、業界のセミナーなどを活用し、実際にその業界や職種で働いている人の話を聞くことも有効です。具体的な仕事内容や職場の雰囲気を知ることで、自分に合った仕事かどうかを判断しやすくなります。

具体的な対処法③転職エージェントに相談してみる

自己分析や業界研究をしても、自分に合った仕事が見つからない場合、転職エージェントに相談することもおすすめです。エージェントは豊富な業界知識を持っており、個別のキャリア相談に応じてくれるため、適切なアドバイスをもらうことができます。

• キャリアカウンセリングを受ける
  転職エージェントでは、専門のキャリアアドバイザーが一対一で相談に乗ってくれます。自分の強みや興味に基づいた仕事選びのアドバイスを受けることで、方向性が明確になることがあります。
• 非公開求人を紹介してもらう
  エージェントを通じてしか知ることのできない非公開求人が多く存在します。こうした求人の中には、自分のスキルや希望に合ったものが見つかることもあります。
• 転職活動全般をサポートしてもらう
  エージェントは書類作成から面接対策、企業との交渉まで幅広くサポートしてくれるため、転職活動が初めての人や、忙しくて時間が取れない人にとっても大きな助けとなります。

まとめ

転職理由がマイナスなものであっても、適切な対処法を取ることで前向きに転職活動を進めることが可能です。職務経歴書の書き方や企業選びに工夫を凝らし、転職活動の準備をしっかりと整えることで、採用担当者にポジティブな印象を与えることができます。また、自分がどんな仕事に向いているのかわからない場合は、自己分析や業界・職種研究を行い、必要に応じて転職エージェントに相談することで、自分に合ったキャリアの選択ができるようになるでしょう。

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