えひめ若者サポートステーションについて
- 施設名:えひめ若者サポートステーション
- 所在地:愛媛県
- 対象:15歳から49歳までの就労を目指す方
- 提供プログラム:個別面談(キャリア相談・こころの相談)、パソコン個別指導、コミュニケーショントレーニング、ライフスキルセミナー、就活応援セミナー、職場のマナーとコミュニケーション、面接実習、職業講話、職場体験(短期・長期)、保護者セミナー等
- 連携体制:地方自治体・ハローワーク・ジョブカフェ・訓練機関・保健福祉機関等
- 利用料:無料
- 公式サイト:http://www.i-esapo.jp/
今回は、えひめ若者サポートステーション(以下、えひめサポステ)のご担当者にインタビューを実施しました。20年間の支援で感じてきた若者の悩みの変化、家族への対応、そして「小さな成功体験の積み重ね」を大切にする支援の考え方について語っていただきました。
「1人ひとりの考えや思いを尊重する」——20年間変わらない支援の軸
Zキャリアガイド編集部────えひめサポステとして、支援の根底にある思いを教えてください。
育ってきた環境が違えば、仕事への考え方が違うのは自然なこと
ご担当者様────私たちは、1人ひとりの考えや思いを尊重することを大切にしています。育ってきた環境や経験が異なれば、仕事への考え方や価値観が違うのは自然なことです。その方が望む働き方を実現できるように考えながら、支えていきます。
来られる方の中には、まだ具体的な働くイメージがついていない方も多くいらっしゃいます。「自分にできることは何だろう」というところから整理が始まる方もいれば、どう動いたらいいかが分からないという方もいます。いきなり求人の話をするのではなく、まずはその方の思いを聞くところから始めています。
パソコン個別指導から職場体験まで——「働く手前」から段階的に進められるプログラム
Zキャリアガイド編集部────具体的にどのようなプログラムを提供されていますか。
就職活動の準備段階から1人ひとりのペースで支援できることが強み
ご担当者様────えひめサポステの強みは、就職活動だけでなく、働く前の準備段階から支援できることだと考えています。主なプログラムとして、パソコン個別指導、対人関係を学ぶコミュニケーショントレーニング、ライフスキル、就活応援セミナーなどを実施しています。
パソコン個別指導は完全マンツーマン形式で、パソコンをほとんど使ったことがない人から実践スキルを求める人まで、ご本人が学びたいテーマに合わせて進めていきます。コミュニケーショントレーニングでは、仕事で求められる話し方やふるまいを実践的に学べます。
また、職場体験も短期のものから長期のものまで選ぶことができます。ご本人の希望に合わせて受け入れ先を開拓することもあり、たとえば「ドラッグストアで接客をしてみたい」という希望があれば、その受け入れ先を新たに探して体験につなげた事例もあります。体験がそのまま就職につながるケースもあります。
セミナーの内容は年度単位で計画を立てていますが、参加される方の状況やニーズを見ながら年度中でも柔軟に見直しを行っています。小さな成功体験を積み重ねながら、次のステップへ進めることを大切にしています。
SNSで見知らぬ人と自分を比較し、一歩が踏み出せない——直近20年で変わった若者の悩み
Zキャリアガイド編集部────20年の活動の中で、若い方が抱える悩みの質に変化を感じることはありますか。
情報を簡単に調べられるからこそ実際の体験が伴わないまま不安が膨らむ、という傾向が目立つようになっている
ご担当者様────インターネットが普及したことで、情報を簡単に手に入れられるようになりました。ただ、その結果として多くの選択肢が見えるようになり、選択肢を前にして一歩踏み出せなくなる方が増えているように感じています。SNS上の見知らぬ人と自分を比較して、劣等感や不安を抱える方も少なくありません。働くことへの悩みだけでなく、自分自身への不安も複雑になっていると感じます。
インターネットが普及する以前は、とりあえずサポステに来てくれる方が多かった印象があります。サポステに来れば、話ができる。スタッフにも気軽に声をかけてくれる。そうした中で自然に経験を積んでいかれていました。最近は自分で情報を調べて考えることはできるけれど、実際の体験が伴わないまま不安が膨らんでしまうケースが目立つようになっています。だからこそ、実際に来ていただいて、面談やセミナーを通じて人との関わりを持つことが大切だと思っています。
初回の面談で目指すのは「ここにいてもいいんだ」と感じてもらうこと
Zキャリアガイド編集部────働くことに恐怖感やブランクがある方に対して、どのような姿勢で接していますか。
沈黙が続いても、雑談だけでもいい——焦らず、その方のペースに合わせて向き合う
ご担当者様────初回の面談では、「自分はここにいてもいいんだ」と感じてもらえたら十分だと思っています。沈黙が続いても構いませんし、雑談だけでも構いません。安心して話しても大丈夫なんだと思っていただけるように、焦らずにその方のペースでお話を聞くことを大切にしています。
面談を担当するのは、キャリア担当の相談員とこころの相談担当の心理師です。まずはキャリア相談からスタートし、ご本人の状況やご希望に応じてこころの相談が加わります。
ご家族だけの相談からスタートできる
Zキャリアガイド編集部────ご家族からの相談にも対応されているのですか。
まずご家族にサポステを知ってもらうことで、ご本人が来所するハードルが下がる
ご担当者様────サポステの登録自体はご本人が来られないとできない仕組みになっていますが、えひめサポステではご家族だけの相談からスタートできる体制を整えています。まだご本人が来られない状態でも大丈夫です。
まずはご家族にサポステのことを知っていただくことで、ご本人が来所するハードルが下がると感じています。ご本人が登録された後は、保護者の方も相談に来られますし、保護者セミナーにも参加できます。保護者セミナーには親子での参加も可能で、共通の話題づくりやご家族が関わり方を考えるきっかけとしても活用していただいています。
うつむきがちだった表情が、笑顔で働けるように——印象的な支援エピソード
Zキャリアガイド編集部────えひめサポステの支援を通じて変化した方のエピソードがあれば教えてください。
大卒・就労経験なしの方が、アルバイトを始められるようになるまで
ご担当者様────20代の方で、大学を卒業されていたもののアルバイトを含め働いた経験がまったくない方がいらっしゃいました。働く自信がなく、就職活動ができない状態でした。
面談を通じて少しずつご自身のことを話せるようになり、そこから一歩踏み出してアルバイトを始めることができました。収入を得るようになってからは、1人で旅行に出かけるようになり、アルバイト先で出会った方と一緒に出かけることも増えていきました。最初はうつむきがちだった表情が、旅行先での写真を嬉しそうに見せてくれる笑顔へと変わっていったことが、とても印象に残っています。
現在もアルバイトを続けながら、えひめサポステの定着支援を利用して時々来所されています。すぐに正社員を目指すのではなく、今の仕事をしっかり続けていくことが当面の目標です。ご本人のペースを尊重する支援が、着実に実を結んでいる事例です。
地方自治体・ハローワーク・ジョブカフェ・訓練機関・保健福祉機関等と連携し、サポートをしている
Zキャリアガイド編集部────就労だけでは解決できない課題がある場合、どのように対応されていますか。
連携会議で支援機関同士が顔を合わせ、それぞれの専門性を活かして支えている
ご担当者様────えひめサポステでは、周辺支援機関との連携会議を定期的に実施しています。各機関の支援内容や役割を理解し合い、支援者同士が直接顔を合わせて話せる機会を大切にしています。
就労だけでは解決が難しい課題がある場合は、それぞれの専門性を活かしながら地域全体で支えていく体制をとっています。入り口はサポステに限らず、どの機関からでも適切なところにつながるようになっています。
働くことに悩んでいる方へ伝えたいメッセージ
Zキャリアガイド編集部────最後に、一歩踏み出せずに悩んでいる方へメッセージをお願いします。
1人で抱え込まず、誰かに話してみてほしい
ご担当者様────新しいことに挑戦する時に、一歩を踏み出せず悩むのは決して特別なことではありません。働き方や生き方が多様化する今だからこそ、1人で抱え込まずに、誰かに話してみてください。相談した相手が応援者となり、その出会いやつながりが未来への一歩につながるかもしれません。
まとめ
愛媛県で20年にわたり、働くことに悩む方を支え続けてきたえひめ若者サポートステーション。利用は無料です。ご本人はもちろん、ご家族だけの相談からも始められます。まずは、公式サイトから気軽に相談してみてください。
取材日:2026年06月17日
取材/執筆担当者 株式会社ROXX Zキャリアマーケティング事業部 平井祐樹