とちぎジョブモールについて

- 運営:栃木県産業労働観光部労働政策課
- 所在地:栃木県宇都宮市駅前通り1-3-1 KDX宇都宮ビル1階
- 事業内容:県民の就労を総合的に支援する就労支援機関の運営
- 対象:全世代(学生から中高年まで)。若者の就労支援にも注力
- 特徴:併設する国のハローワーク等の関係機関と連携し、相談からキャリアカウンセリング、職業紹介、職場定着までをワンストップで総合的に支援。期間制限を設けず、必要に応じて年単位でアフターフォローを行う
とちぎジョブモールでは、キャリアカウンセリング、適職診断、各種セミナー、最大2週間の若者就業体験事業など、多様な支援メニューを用意しています。今回は、とちぎジョブモールを担当する栃木県労働政策課 ジョブモール担当の永岡様にインタビューを実施しました。支援のポリシーや、利用者の変化につながる具体的なプログラム、ご家族からの相談への向き合い方について、現場のリアルな視点で語っていただきました。
相談者の話を否定せずに「まずは1度受け止める」ことを重視する
Zキャリアガイド編集部────はじめに、若者の就労支援において大切にしていらっしゃる姿勢や理念についてお聞かせください。
すぐに結論を出すのではなく、相談者の声に耳を傾ける

永岡様────とちぎジョブモールは全世代を支援対象としていますが、若者の方も多く相談に来られます。まず大切にしているのは、来てくださった方に寄り添い、どんな相談も1度は受け止めるという姿勢です。すぐに結論を出して「こうしてください」と伝えるのではなく、丁寧に話を聞きながら気持ちを整理していく。そして就職が決まった後も状況を把握し、定着するまで必要に応じてアフターフォローを行っています。これがジョブモールの就労支援における基本的な姿勢です。
Zキャリアガイド編集部────そうなのですね、相談者様にとって安心感がありますね。アフターフォローも含め長い期間の支援となるのでしょうか。
関係機関と連携した「ワンストップ支援」を信念に
永岡様────とちぎジョブモールでは、併設している国のハローワーク等の関係機関と連携しながら、相談からキャリアカウンセリング、職業紹介、職場定着までをワンストップで支援する仕組みを整えています。このワンストップ支援を信念として、まずは1度相談を受け止め、必要な支援につなげていくという流れを大切にしています。アフターフォローは利用者の方それぞれで、年単位で関わるケースもあれば、就職してそのまま順調に進めば来所されなくなる方もいらっしゃいます。期間制限を設けず、利用者の状況に応じて関わり続けられる点が一つの特徴です。
相談を重ねる中で見えてくる利用者の変化
Zキャリアガイド編集部────相談に行くこと自体に不安を感じている方もいらっしゃると思います。実際に支援を受ける中で、利用者の方にはどのような変化が見られますか。
表情や言葉の変化から、自己理解が深まった様子を感じられる
永岡様────初めての相談時は、表情が硬かったり、警戒している様子が見られたり、逆に意識的に笑顔を作っている方もいらっしゃいます。「何から話せばいいか分からない」「不安だ」という言葉も多く聞かれます。相談を何回か重ねていく中で、相談員やキャリアカウンセラーとの信頼関係が徐々にできてくると、表情がほぐれて普段の会話で使うような言葉も自然に出てくるようになります。さらに、ジョブモールのセミナーや適職診断といったツールを活用していく中で、最終的には自己理解が進み、自分の考えや特性を言葉にできるようになる。これが大きな変化として見られるところです。
Zキャリアガイド編集部────特に印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
適職診断から簿記資格取得、就業体験を経て経理職へ就職された方

永岡様────初めて転職相談に来られた若い女性の方が印象に残っています。最初は緊張されており、表情も硬く、何をすればいいか分からないという状態でした。気持ちに寄り添いながら相談を重ねる中で、ジョブモールで実施している適職診断を一緒に行ったところ、ご本人の興味や関心が数値で可視化され、会計業務への関心が高いことが分かりました。自分の興味関心を数値で確認したのは初めてだったようです。そこから簿記会計の職業訓練の受講を提案し、訓練を重ねる中で表情も明るくなり、簿記の資格取得につながりました。その後、ジョブモールが運営している若者就業体験事業を活用し、税理士事務所での就業体験に参加されました。最終的にはその税理士事務所で経理職として就職、現在も定期的に面談を行いながらも安定して働いていらっしゃいます。「初めての転職で何をすればいいか分からない」という状態から、適職診断、職業訓練、就業体験と段階を踏んで、自分に合った職に定着するまでスムーズにつながった事例です。仮にその会社に就職しなかったとしても、実際に働く体験をしてみたという事実そのものが経験値として自信につながる側面もあると感じています。
ジョブモールの主要プログラムと利用の流れ
Zキャリアガイド編集部────ジョブモールには適職診断、セミナー、就業体験といったプログラムがあると伺いました。一連の流れを教えていただけますか。
適職診断・セミナーから就業体験へ広がる支援メニュー

永岡様────通常は、まず相談に来ていただき、ご本人の希望に応じて適職診断を実施します。最初の入り口がセミナーへの参加という方もいらっしゃいます。セミナーの後に相談がセットになっており、そこから初めての相談につながるケースもあります。相談を重ねた上で、就業体験を希望される方には、最大2週間の就業体験に参加していただく流れです。就業体験事業については、あらかじめ協力いただける企業のリストをこちらで作成しており、様々な業界や職種から体験する仕事を検討いただけます。本人の希望分野とのマッチングが整えば、その企業で実際に体験していただきます。
Zキャリアガイド編集部────各プログラムが利用者の自信や行動の変化にどうつながっているのか、もう少し詳しく伺えますか。
「自分を知る」と「実際にやってみる」を両輪で体験するからこその納得感
永岡様────適職診断は、自分の価値観や興味の特性が数値として可視化されるため、視覚的な効果による納得感が得られます。今の若い世代の方は性格診断などでも自分をカテゴライズして自己理解を図ることに親しみがあると思いますが、適職診断ではまた別の角度から興味関心が客観的に分かるので、自分が望む将来の方向性の確認につながっています。就業体験については、最初は不安が大きくても、体験を通じて働くことの現実的なイメージを持てるようになり、実際にやってみてできたという実感が自信につながります。内面の分析と実際の行動体験、この両輪があることで納得感を持って進路を選んでいただける設計になっています。
現状に不安を抱える方への接し方
Zキャリアガイド編集部────「何から始めていいか分からない」という方には、ジョブモールはどう寄り添うのでしょうか。
スモールステップで小さな成功体験を積み重ねる

永岡様────相談に来てくださる方の半分以上は、すぐに就職できる状態ではなく「まずどうしたらいいでしょうか」という入り口の段階にいらっしゃいます。そこに対して、まずは不安な感情を否定せずに受け止めて傾聴します。何に不安を感じているのかを徐々に言葉にしていただくところから始めます。いきなり目標を決めるのではなく、これまでの経験や日常生活でできていることを整理して、小さな成功体験を積んでいただきます。支援に期間制限はないので、無理のない範囲でセミナー参加など小さな行動を一緒に積み重ねていきます。
Zキャリアガイド編集部────一度就職した経験があり、人間関係やブランクへの不安を抱えている方へのアプローチも教えてください。
「解決できる力は本人の中にある」と柔らかく伝える
永岡様────不安を感じること自体は自然なことだと、まずは理解する姿勢を大切にしています。可能な範囲で、どういう人間関係だったのか、どのようなブランクや挫折だったのかを伺い、「時間がかかったとしても、解決できる力はご自身の中に備わっている」というメッセージを柔らかく伝えるようにしています。その上で、いきなり就職を目指すのではなく、セミナー受講や短時間のボランティア・アルバイトなど、人と関わる機会を少しずつ作って小さな成功体験を積んでいただきます。スモールステップで不安の軽減につなげていくのが基本的なアプローチです。
Zキャリアガイド編集部────ご家族と一緒に来所される方や、ご家族のみで相談に来られるケースもあると伺いました。
本人の意思を尊重しつつ、家族にも安心を届ける
永岡様────ご家族と一緒に来所される方も、稀にご家族のみで相談に来られる方もいらっしゃいます。本人の意思を最大限尊重するのと同時に、ご家族にも安心していただけるよう情報共有を密に行うことを大切にしています。ご家族が本人以上に不安や焦りを感じているケースもあるので、本人の自立を支えるという私たちの立ち位置を理解いただけるよう丁寧に説明します。現状や支援の方向性を共有しながら、ご家族と私たちが同じ方向を向いて支援できる関係を構築するよう意識しています。
相談を検討している若い方へのメッセージ
Zキャリアガイド編集部────最後に、相談を検討している若い方へメッセージをお願いします。
電話・メールからでも、まずは声を聞かせてほしい
永岡様────いきなり施設に来ることが不安な方は、電話やメールでの相談から始めていただいて全く問題ありません。話しやすいところから、まずは皆さんの声を聞かせていただきたいと思っています。とちぎジョブモールは、皆さんの状況を丁寧に聞いて寄り添うことを大切にしているので、安心して話せる場所かどうか、まずは気軽に確かめに来ていただけたら嬉しいです。準備をして来ていただく必要はなく、どのような状態でも対応可能です。どうぞ安心してお越しください。
まとめ
とちぎジョブモールは、宇都宮市内に拠点を置く栃木県労働政策課が運営する就労支援機関です。関係機関との連携によるワンストップ支援、適職診断や若者就業体験事業といった多様なプログラム、そして年単位での丁寧なアフターフォローなど、就労に向き合う一人ひとりに寄り添うように取り組まれています。
就職や転職について相談したいと思った方、何から始めていいか分からない方は、まずは公式サイト「WORKWORKとちぎ」のページから、施設の概要や相談方法を確認してみてはいかがでしょうか。電話・メールでの相談も受け付けています。