- 有給が取れないのは法律違反の可能性
- 有給が取れない会社のよくある理由
- 有給を取るための具体的なアクション
- どうしてもダメな場合の相談先
- 働きやすい会社の探し方
有給が取れないのは当たり前?実は法律違反の可能性も
「有給が取れないのは当たり前」という雰囲気の職場だと、それが普通のことのように感じてしまうかもしれません。ですが、有給休暇は法律で定められた大切な権利です。ここでは、有給休暇の基本的なルールについて解説します。
- 法律で定められた労働者の権利
- 会社による有給取得の拒否は原則不可能
- 例外的に認められる会社の「時季変更権」
法律で定められた労働者の権利
有給休暇は法律で決められた働く人の権利です。正社員やアルバイトなどの雇用形態に関わらず、一定の条件を満たせば誰でも取得できます。
フルタイム勤務などの場合、具体的には、入社してから6ヶ月間継続して働き、その期間の8割以上出勤していれば、10日間の有給休暇が与えられます。その後も、働き続ける年数に応じて付与される日数が増えていく仕組みです。
これは「休んでもお給料がもらえる日」のことで、心と体をリフレッシュしたり、プライベートな用事を済ませたりするために使えます。「うちの会社には有給制度がない」ということは、法律上あり得ないことなので、まずはこの基本をしっかり押さえておきましょう。
会社による有給取得の拒否は原則不可能
有給休暇をいつ、どんな理由で使うかは、基本的に働く人が自由に決められます。そのため、会社が正当な理由なく「忙しいからダメ」「人手が足りないから無理」と一方的に有給の取得を拒否することは、法律で認められていません。
もし、有給休暇の申請を理由にボーナスを減らされたり、評価を下げられたりするようなことがあれば、それは不利益な扱いとして問題になる可能性があります。
また、2019年からは、年に10日以上の有給休暇が与えられる人に対して、会社が責任をもって年に5日間は有給を取得させなければならない、というルールも始まっています。会社側にも、従業員に有給を取らせる義務があるのです。
例外的に認められる会社の「時季変更権」
基本的には拒否できない有給休暇ですが、会社が唯一「その日はちょっと待ってほしい」と言える権利があります。これを「時季変更権(じきへんこうけん)」と呼びます。
これは、申請された日に休まれてしまうと「事業の正常な運営を妨げる」場合に限って、会社が別の日への変更をお願いできるというものです。たとえば、部署の全員が同じ日に休みを申請して仕事が全く回らなくなってしまうケースや、どうしてもその人でなければ対応できない大きなイベントがある日などが該当します。
ですが、単に「忙しいから」「代わりの人がいないから」といった理由だけで時季変更権を使うことはできません。これはあくまで例外的な措置であり、会社はむやみに使えないことを覚えておきましょう。
なぜ?あなたの会社で有給が取れない5つの理由
有給休暇が法律で定められた権利だとわかっていても、現実には取得しづらい職場があるのも事実です。ここでは、有給が取れない会社によくある理由について、以下の項目を解説していきます。

職場に休みづらい雰囲気がある
周りの目が気になったり、休みを言い出せない雰囲気があったりするのは、有給を取りづらくしている一番の原因かもしれません。「誰も有給を取っていないのに自分だけ休むのは…」「休んだら何か言われそう…」といった気持ちから、申請をためらってしまうのです。
特に、上司が全く休みを取らなかったり、「休む=やる気がない」といった考えを持っていたりすると、部下はさらに休みを取りにくくなります。本当は休みたいのに、その場の空気を読んで我慢してしまうケースは少なくありません。このような同調圧力が、有給取得の大きな壁になっていることがあります。
慢性的な人手不足に陥っている
常にギリギリの人数で仕事を回していると、物理的に休みが取りにくくなります。一人でも欠けると他の人の負担が大幅に増えてしまうため、「自分が休んだら周りに迷惑がかかる」という気持ちが強くなってしまうのです。
本来、誰かが休んでも業務が回るように人員を確保するのは会社の責任です。ですが、人手不足が常態化している職場では、その責任が働く人個人のプレッシャーとしてのしかかってきます。
「人がいないから有給なんて取れないよ」という言葉が飛び交うような環境では、権利を主張すること自体が難しくなってしまいます。
上司や経営層が有給取得にあまり理解がない
上司や会社のトップが有給休暇の重要性を理解していないケースもあります。「仕事は休まず来ることが当たり前」「プライベートより仕事を優先すべき」といった古い考え方が根付いていると、有給の申請を快く思わないかもしれません。
ひどい場合には、「有給を取るなんて甘えている」と直接言われたり、申請書を受け取ってもらえなかったりすることもあります。
法律で定められた権利であるにもかかわらず、それを軽視するマネジメント層がいると、会社全体として有給が取りづらい文化が作られてしまいます。従業員の権利を守る意識が低いことが、根本的な原因になっているのです。
申請手続きが複雑すぎる
有給を取るための手続きがやたらと面倒なことも、取得を妨げる一因になります。たとえば、「1ヶ月以上前に、指定の用紙に直属の上司と部長の両方のハンコをもらって提出する」といった複雑なルールがあると、気軽に申請しようという気持ちが薄れてしまいます。
また、申請の理由を細かく書かなければならなかったり、口頭での申請が一切認められなかったりするのも、心理的なハードルを上げてしまいます。
手続きが面倒であればあるほど、「そこまでして休まなくてもいいか…」と諦めてしまう人も出てくるでしょう。本来はシンプルなはずの申請が、意図的に複雑にされている可能性もあります。
周囲へ罪悪感を抱いてしまう
「自分が休んだら、あの仕事は誰がやるんだろう…」「同僚に負担をかけてしまうのが申し訳ない…」など、周りへの罪悪感から有給申請をためらう人も多いです。特に、真面目で責任感が強い人ほど、この気持ちに陥りやすいかもしれません。
これは、人手不足や休みづらい雰囲気といった、これまで挙げてきた他の要因が合わさって生まれる感情です。
お互いに気持ちよく休める環境であれば、罪悪感を感じる必要はありません。ですが、そうでない職場では、「休みたい」という自分の気持ちよりも「周りに迷惑をかけたくない」という気持ちが優先されてしまい、結果的に有給が消化されずに残ってしまうのです。
「有給が取りづらい」と感じるのはハラスメント?
有給休暇の取得を妨げる言動は、単に「取りづらい雰囲気」というだけでなく、ハラスメントに該当する可能性もあります。ここでは、どのようなケースが問題になるのかについて解説します。
- 権利を理由に不当な扱いをする「不利益取り扱い」
- 嫌味や圧力といった「パワーハラスメント」
有給申請など働く権利を理由に不当な扱いをする「不利益取り扱い」
有給休暇を取ったことで不利益な扱いを受けることは、法律で禁止されています。これを「不利益取扱い」と呼びます。
たとえば、以下のようなケースが該当します。
- 有給を取った月の給料やボーナスを減らす
- 昇進や昇給の評価を下げる
- 有給を取ったことに対して、面倒な仕事や雑用を押し付ける
- 次の契約更新をしない、または解雇をほのめかす
これらは、有給休暇という正当な権利の行使を妨げる行為です。もし心当たりがある場合は、ハラスメントの一種である可能性が高いと考えられます。
嫌味や圧力といったパワーハラスメント
直接的な不利益はなくても、精神的に追い詰めるような言動もパワーハラスメント(パワハラ)にあたります。有給休暇の申請に関して、以下のような言動は問題です。
- 「みんな忙しいのに、よく休めるね」と嫌味を言う
- 「この時期に休むなんて、どういうつもり?」と大勢の前で叱責する
- 有給の申請理由を執拗に聞き出し、プライベートに干渉する
- 申請書を目の前で破る、受理しないなどの威圧的な態度をとる
このような言動は、申請者に精神的な苦痛を与え、有給の申請をためらわせる原因になります。これも立派なハラスメント行為です。
法律違反とハラスメントの境界線はどこ?
「有給を取らせない」という行為は、会社の義務違反として法律違反にあたります。一方で、有給取得を妨害する上司の言動は、ハラスメントとして個人の問題になることが多いです。
たとえば、会社として有給制度自体を設けていない、または年に5日の有給取得をさせていない場合は、明確な法律違反です。
それに対して、制度はあるのに上司が嫌味を言ってきて休めない、という状況はハラスメントの問題になります。もちろん、ハラスメントも許されることではありません。
どちらにせよ、有給が取れないという状況は正常ではありません。それが会社のルールによるものなのか、特定の人からの嫌がらせによるものなのかを切り分けて考えると、次にとるべき行動が見えやすくなるかもしれません。
今の職場で有給を取得するための具体的なアクション
「法律違反やハラスメントの可能性はわかったけど、すぐに会社を辞めるのは難しい…」と感じる人も多いでしょう。ここでは、今の職場で少しでも有給を取りやすくするために、試せる具体的なアクションを紹介します。

できるだけ早く取得希望日を伝える
休みを取りたい日が決まったら、なるべく早く上司に伝えるようにしましょう。直前の申請だと、「急に言われても困る」と断られる理由を与えてしまいかねません。
早めに伝えておくことで、会社側も人員の調整や仕事の引き継ぎなどを準備する時間ができます。たとえば、「来月のこの日に休みをいただきたいのですが、よろしいでしょうか?」と1ヶ月前くらいに相談してみるのが理想的です。
会社の就業規則に「〇日前までに申請」というルールがあれば、それに従いましょう。ルールがない場合でも、早めの相談を心がけるだけで、スムーズに承認される可能性が高まります。
会社の繁忙期を避けて申請する
あらかじめ会社の忙しい時期を避けて申請するのも、円満に有給を取得するためのポイントです。業界や職種によって、忙しい時期はある程度決まっていることが多いです。
たとえば、小売業なら年末年始やセール時期、経理なら決算期などを避けるといった配慮ができると良いでしょう。「この時期は避けてほしい」と会社から言われている場合は、素直に従う方が無用なトラブルを避けられます。
もちろん、急な体調不良や家庭の事情で休まなければならない時は別です。ですが、旅行などの予定を立てる際は、会社のスケジュールを少し意識してみるだけで、上司も「わかっているな」と感じて、気持ちよく送り出してくれるかもしれません。
同僚と協力して休みやすい環境をつくる
日頃から同僚とコミュニケーションを取り、お互いにサポートし合える関係を築くことも大切です。自分一人で有給を取りやすくするのではなく、「みんなで休みやすい職場」を目指すという視点です。
たとえば、普段からお互いの仕事内容を共有しておけば、誰かが休んだ時にもスムーズにカバーできます。「〇〇さんが休む時は私がこの仕事をやりますね」「私が休む時はこれをお願いできますか」といった会話ができる関係性が理想です。
お互い様という雰囲気が生まれれば、罪悪感なく有給を申請できるようになるでしょう。
対処法を試しても有給が取れない場合の相談先
いろいろ試してみても状況が改善しない場合、一人で抱え込まずに外部の力を借りることも考えてみましょう。ここでは、いざという時に頼れる相談先を紹介します。

社内のコンプライアンス担当窓口
比較的大きな会社であれば、社内の相談窓口が設置されていることがあります。コンプライアンス部門や人事部などに、ハラスメントや職場の問題について相談できる窓口がないか確認してみてください。
社内の窓口に相談するメリットは、会社の内部事情をよく理解している担当者が対応してくれる点です。相談した内容や個人のプライバシーは守られることになっているので、安心して話ができます。
ただし、相談したことが直属の上司に伝わらないか不安な場合は、その点も最初に確認しておくと良いでしょう。会社として問題を解決しようという姿勢がある場合は、有効な手段になります。
会社の労働組合
自分の会社に労働組合がある場合は、そこに相談するのが最も効果的な方法の一つです。労働組合は、働く人たちの権利や労働環境を守るために活動している組織です。
労働組合に相談すれば、個人に代わって会社側と交渉してくれます。一人で上司や会社に意見するのは難しくても、組合という組織が間に入ることで、問題が解決に向かう可能性が高まります。
有給が取れないという問題は、個人だけでなく職場全体の問題であることが多いです。労働組合を通じて会社に働きかけることで、有給を取りやすいルール作りや環境改善につながることも期待できます。
労働基準監督署の総合労働相談コーナー
社内に相談できる場所がない、または相談しづらい場合は、国の機関である労働基準監督署に設置されている「総合労働相談コーナー」を利用してみましょう。
ここでは、労働問題に関するあらゆる相談に専門の相談員が無料で乗ってくれます。有給休暇が取れない、サービス残業がある、ハラスメントを受けているなど、様々な問題に対応してもらえます。
予約は不要で、電話でも直接訪問しての相談も可能です。法律違反の疑いが強いと判断されれば、労働基準監督署が会社に対して調査や指導(行政指導)を行ってくれることもあります。すぐに解決するとは限りませんが、公的な第三者に相談できる場所があることを知っておくだけでも心強いはずです。
有給が取りやすい会社の特徴と見分け方
今の会社での改善が難しいと感じたら、転職を考えるのも一つの選択肢です。次は、働きやすい環境を求めて、有給が取りやすい会社を見分けるためのポイントを紹介します。
- 求人票の年間休日日数を確認する
- 有給休暇の平均取得日数を確認する
- 面接で有給消化率について質問する
- 独自の休暇制度の有無を確認する
求人票の年間休日日数を確認する
求人票を見るときは、まず「年間休日」の欄をチェックしましょう。ここには、土日祝日や年末年始、夏季休暇など、会社が定めた休日数の合計が記載されています。
一般的に、年間休日が120日以上あると、カレンダー通りの土日祝日が休める会社だと考えられます。この日数が多いほど、会社全体として休みをしっかりとる文化がある可能性が高いです。
逆に、年間休日が105日を下回る場合は、週休2日制で祝日は出勤になるなど、休日が少ないかもしれません。有給以前に、基本的な休日数が多い会社を選ぶことが、ワークライフバランスを考える上での第一歩になります。
有給休暇の平均取得日数を確認する
会社の採用サイトや就職情報サイトなどで、有給休暇の平均取得日数や取得率が公開されていないか探してみましょう。最近では、働きやすい環境をアピールするために、これらの数値を公表する企業が増えています。
たとえば、「有給取得率80%以上」「平均取得日数15日」といった具体的なデータがあれば、その会社が有給取得を奨励している証拠になります。
数値が見つからない場合でも、「有給取得を推奨しています」といった文言があるだけでも、会社の姿勢をうかがうことができます。数字や言葉で、休みやすさをアピールしている会社は狙い目です。
面接で有給消化率について質問する
面接で、直接質問してみるのも有効な方法です。ただし、ストレートに「有給は取れますか?」と聞くと、仕事への意欲を疑われる可能性もゼロではありません。
聞き方を少し工夫してみましょう。たとえば、「社員の皆さんは、プライベートの時間をどのように過ごされたり、リフレッシュされたりしていますか?」といった質問から、有給の取りやすさや職場の雰囲気を探ることができます。
また、「入社後の働き方について具体的にお伺いしたいのですが、有給休暇の取得実績はどのくらいでしょうか?」と、前向きな姿勢で尋ねるのも良いでしょう。面接官の反応や答え方からも、会社の本当の姿が見えてくるかもしれません。
独自の休暇制度の有無を確認する
法律で定められた有給休暇以外に、会社独自の休暇制度があるかどうかもチェックポイントです。
たとえば、以下のような制度です。
- リフレッシュ休暇:勤続年数に応じて数日間のまとまった休みが取れる
- アニバーサリー休暇:誕生日や結婚記念日などに休める
- ボランティア休暇:社会貢献活動のために休める
このような制度を設けている会社は、社員のプライベートや心身の健康を大切に考えている傾向があります。法定の有給休暇も、気兼ねなく取得できる文化が根付いている可能性が高いと言えるでしょう。
有給が当たり前に取れる環境で働くという選択肢
ここまで、有給が取れない理由や対処法について見てきました。ですが、どんなに頑張っても個人の力だけでは変えられない環境もあります。そんな時は、思い切って新しい場所を探すことも考えてみませんか。
我慢し続けるのではなく環境を変える
今の職場で心身ともに疲弊してしまう前に、環境を変えるという決断も大切です。有給が取れない状況で我慢し続けることは、仕事のモチベーションを低下させるだけでなく、健康を損なう原因にもなりかねません。
「休みが取れないのは当たり前」という環境に慣れてしまうと、それが異常なことだと気づけなくなってしまいます。ですが、世の中には、社員がきちんと休み、プライベートも大切にできる会社がたくさんあります。
自分の心と体を守るために、時には「逃げる」ことも前向きな選択肢の一つです。
自分の働き方に合う職場を見つける
給料や仕事内容ももちろん重要ですが、長く健康的に働き続けるためには、ワークライフバランスが取れるかどうかも同じくらい大事なポイントです。
自分がどんな働き方をしたいのか、どんな時に休みを取りたいのかを一度整理してみましょう。「休むことに罪悪感を感じなくていい職場」で働くことは、仕事への満足度を大きく高めてくれます。自分に合う環境を見つけることで、仕事もプライベートも、もっと充実させることができるはずです。
Zキャリアのエージェントに相談してみませんか
「でも、どうやってそんな会社を探せばいいんだろう…」と不安に感じるかもしれません。そんな時は、ぜひ私たちZキャリアのエージェントに相談してみてください。
Zキャリアは、若年層の転職サポートに特化しており、働きやすい環境の求人を数多く扱っています。求人票だけではわからない、実際の職場の雰囲気や有給の取りやすさといった内部情報もお伝えできることがあります。
「有給がきちんと取れる会社で働きたい」という希望を遠慮なく話してみてください。一人ひとりの希望に寄り添い、納得のいく転職ができるよう、全力でサポートいたします。