信保さんのプロフィール
- 所属:経営管理部 法務担当
- 担当業務:契約書レビュー、社内規程の管理、社外公開コンテンツの法的チェックなど
- 経歴:食品関連商社で法人営業を経験した後、経理に転職し約2年間従事。同社で人事総務に異動し約1年間経験。その後ROXXに入社し、総務を経て法務を担当。法学部出身ではなく、バックオフィスの実務経験と法律学習を通じて法務に転身
今回は、Zキャリア(運営:株式会社ROXX)の経営管理部で法務を担当する信保さんにインタビューを実施しました。営業からバックオフィスへのキャリアチェンジの経緯と、未経験から法務を目指すための具体的なステップについて、率直に語っていただきました。
営業からバックオフィスへ。「得意なこと」に気づいたきっかけ
――これまでのキャリアを教えてください。

最初のキャリアは法人営業でした。食品関連の商材を扱う会社で、飲食店への導入提案やアフターフォローまで一貫して担当していましたね。商材自体は好きでしたし、仕事の進め方も一通り覚えられました。ただ、稼働時間の長さが自分の望む働き方と合わなくなってきたことや、身体面での負担もあり、オフィスワークへの転向を考え始めたんです。
――そこから経理に転職された経緯は?
営業時代、数値管理が得意だったんです。上司の売上集計を手伝ったり、情報を整理してチームに共有したりする仕事が、周囲よりも自然にできていた。大学時代の友人にも「経理の適性がありそう」と言われて、簿記の勉強を始めてみたら、すんなり理解できたんですね。営業をやっていなければ、自分にバックオフィスの適性があるとは気づけなかったと思います。実際に働いてみて初めて、自分の得意分野がわかったという感覚でした。
バックオフィスに最も求められる資質は「翻訳力」
――バックオフィスで共通して求められる資質は何ですか?

どの職種でも共通して言えるのは、コミュニケーション能力の高さですね。ただ、単に「話すのが上手」という意味ではなく、情報を伝える力と聞く力の精度が高いこと。一種の翻訳能力です。バックオフィスは関係部署が非常に多く、しかもそれぞれの部署が使う言葉が違う。経理の方は簿記の用語を使いますし、経営層は決算の言葉で話しますし、法律の専門家は法律用語で来る。それらを理解して、伝える相手にわかるように言い換える力が求められます。
――淡々と作業をするイメージとは違うのですね。
淡々と作業をしたい方がバックオフィスを目指すのは、少しミスマッチかもしれません。むしろ、属性の異なる関係者と頻繁にコミュニケーションを取り、情報を橋渡しする仕事です。相手の言葉がわからなければ聞く、わかるように努力する。その姿勢自体がコミュニケーション能力の一部ですね。
――他に重要な資質はありますか?
知的好奇心と、利他的な気持ちの二つです。バックオフィスは専門性の高い領域を担当するので、目の前の業務に必要な知識を調べて吸収し続ける姿勢が欠かせません。興味がなくても業務に必要であれば調べる、わかる範囲で伝えて、わからない部分は専門家につなぐ。そのサイクルを回し続ける力ですね。そして、誰かが困っていることを解決して「役に立てた」と感じられる人は、バックオフィスの仕事を楽しめると思います。売上部門ではなく、社員の方々がお客様のようなイメージ。社内の課題解決にやりがいを感じられる方に向いている仕事です。
法務の仕事。「止めない」ことが一番難しい
――法務の業務で、最初に担当した仕事は何でしたか?
契約書のレビューですね。外部と締結する契約書や利用規約を読んで、リスクになる条項がないか確認する業務です。最初はとにかく読むことから始まりました。変なことが書いてあったら上長に聞く、それが最初の仕事です。ほかには社内規程の管理と、社外に公開する記事や資料のチェック。法律の専門知識がなくても対応できる業務から始めて、徐々に範囲を広げていった形ですね。
――法務の仕事で感じる達成感はどのようなものですか?
勉強した分だけ、誰かの役に立てるという実感が得られるところです。法律やビジネスの知識を身につけて、現場で止まっている案件に対して「ここが問題です、こうすれば進められます」と整理してゴーサインを出せた時は、勉強してよかったと思いますね。法律の勉強だけでなく、自社のビジネスを理解していないと契約書は読めません。ビジネスの全体像を把握しているからこそ、実態とそぐわない部分に気づけるんです。
――法務の仕事で一番大変なところはどこですか?

「止めない」ことですね。法務は外から見ると「チェックしてダメ出しする部門」に思われがちですが、企業法務の本質はそうではありません。事業部がやりたいスピードに合わせて伴走しながら、法的な整理を進めて、減速せずにゴーサインを出す。アクセルとブレーキのバランスを取る仕事です。本当に危険な場合だけブレーキを踏む。その判断を正確に、かつ素早く行うのが難しいところですね。
未経験から法務を目指す。成長企業を狙うという戦略
――未経験から法務にチャレンジするには、どのようなルートがありますか?
大学で法律を学んでいたわけでもなく、最初から法務を目指していたわけでもない私の場合は、バックオフィスの経験を積むなかで法務に移ったパターンです。経理や人事総務の経験を通じて社内の各部署と連携する力がつき、あわせて法律文書を読むことへの抵抗がなかったことが評価されて、法務を担当させてもらえました。バックオフィスの経験があれば、社内異動で法務を目指すルートは十分にあると思います。
――社外から法務に入るルートはありますか?
成長企業を狙うという戦略がありますね。ビジネスが固まっている企業では、新しい法務の需要はあまり発生しません。一方で、売上が拡大している企業、新しい事業を次々と立ち上げている企業では、法的整理の案件が増えていくので、人を増やさざるを得ないタイミングが来る。そこに、バックオフィスの経験や営業でのビジネス理解、法律の基礎知識を持ってアピールすれば、実務のアシスタントから入れる可能性はゼロではありません。現場のビジネスを理解したうえで、法律に落とし込むプロセスを踏める人材は、成長企業には確実に必要とされますから。
おすすめの資格。まずは「索引」を脳内に作る
――未経験者が最初に取り組むべき資格はありますか?
前提として、資格があれば仕事になるわけではないという点は理解しておいてほしいです。ビジネスを理解している人の方が、資格だけ持っている人よりも実務では強い。その上で、法律の基礎知識の「索引」を脳内に作る意味で、ビジネス実務法務検定をおすすめします。民法、会社法、個人情報、景品表示法など、ビジネスで使う法律を幅広く網羅的に学べる検定です。難易度は高くないですが、何から勉強すればいいかわからない未経験者のファーストステップとしては非常に有効ですね。
――他におすすめの資格はありますか?
個人情報保護士は、どの会社でも使う知識を効率的に学べる資格です。個人情報の取り扱いは社会的な関心も高く、違反時の企業ダメージが大きい領域なので、ここに気づいて対応できる価値は高いですね。さらにステップアップを目指すなら、行政書士です。民法や会社法を体系的に学べますし、法律の専門家としての基盤になる国家資格です。ただし難易度は格段に上がるので、まずは前の二つから始めて、実務と並行して挑戦するのが現実的でしょう。
未経験から法務を目指す方へ
――最後に、未経験から法務にチャレンジしたいと考えている方にメッセージをお願いします。
法務と聞くと、法律の専門家でなければならないと感じるかもしれません。ただ、法律の専門家は外部にもいます。弁護士や行政書士、社会保険労務士など、会社は専門家に頼る選択肢を持っています。企業法務の本当の役割は、事業を理解して、法律の知識をもとに、ブレーキをかけることなく現場と一緒にアクセルを踏んでいける道筋を整えること。これまでのキャリアが営業でも経理でも総務でも、法律が絡んでいないキャリアはありません。その経験を法律に置き換える力があれば、必ず強みになります。勉強して身につけた知識を、すぐにアウトプットとして活かせる。その面白さは、法務ならではのやりがいです。恐れずに飛び込んでみてください。
――信保さんの多角的なキャリアから紡がれた、説得力あるお話でした。本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
まとめ
信保さんのように、営業やバックオフィスの経験をもとに法務へのキャリアチェンジを考えている方もいるのではないでしょうか。Zキャリアでは、一人ひとりの経験や志向に合わせて、専任のキャリアアドバイザーが転職活動をサポートしています。「バックオフィスに興味があるけど、どの職種が向いているかわからない」という段階からでも相談可能です。まずはお気軽に、あなたのキャリアに関するお悩みをお聞かせください。
取材日:2026年03月09日
執筆者:株式会社ROXX Zキャリアマーケティング事業部 近藤研吾