- 職場のエアコンと会社の義務の関係
- 暑すぎる職場が違法になるケース
- 2025年6月からの熱中症対策の義務化
- 会社や労働基準監督署への相談のしかた
- 暑い職場が辛いときの選択肢
職場のエアコンと環境配慮義務の基本
職場のエアコンと会社の義務について、知っておきたい基本は以下の通りです。
- エアコン設置を直接命じる法律はない
- 会社には安全配慮義務がある
- 快適な室温を保つ努力義務がある
エアコン設置を直接命じる法律はない
職場にエアコンをつけること自体を命じる法律はありません。「暑いのに会社がエアコンをつけてくれない」と感じても、その一点だけで違法と決めつけるのは難しいのが正直なところです。たとえば古い倉庫で扇風機しか置いていないような職場でも、それだけで法律違反とまでは言えません。
ただ、これは「会社は何もしなくていい」という意味ではありません。働く人が安全に過ごせるように環境を整えるための、別のルールがちゃんと用意されています。エアコン単体で考えるのではなく、職場全体の環境という大きな視点で見ていくと分かりやすくなります。
会社には安全配慮義務がある
働く人の安全と健康を守るために、会社には安全配慮義務と呼ばれる責任があります。これは、社員が体をこわさずに働けるように、会社側が必要な配慮をするという考え方です。暑さで体調を崩しそうな環境を放っておくのは、この義務に反する可能性が出てきます。
エアコンをつけるかどうかという話だけがすべてではありません。扇風機やスポットクーラーを置いたり、こまめに休憩をとれるようにしたり、暑さをやわらげる工夫はいくつもあります。会社にはこうした方法で職場を整える役割があると考えてみてください。
快適な室温を保つ努力義務がある
オフィスなどの室内では、快適な室温の確保が会社の努力義務になっています。努力義務というのは、「絶対に守らないと罰せられる」というほど強くはないものの、「できる限り守るようにしましょう」という位置づけのルールです。室温が高すぎたり低すぎたりする環境は、本来この考え方からは外れていきます。
会社が快適さを意識して職場を整えるのは、働く人にとって自然なことです。「暑すぎる」「寒すぎる」と感じる職場は、この努力義務の面から見ても見直しの余地があります。気になる場合は、このあと紹介する室温の目安も参考にしてみてください。
暑すぎる職場は違法になるのか
暑すぎる職場が違法になるかどうかのポイントは、以下の通りです。
- 室温だけでは違法と判断されない
- 安全配慮義務を怠れば違法になりうる
- 事務所の適正室温は18〜28度とされる
それぞれ、詳しく解説していきます。
室温だけでは違法と判断されない
「室温が何度を超えたら即アウト」という形で違法性が決まることは原則ありません。同じ気温でも、仕事の内容や体の動かし方、湿度などによって体への負担は変わってきます。重い荷物を運ぶ作業と、座って行う作業では、感じる暑さがまるで違うはずだからです。
なので、温度計の数字ひとつだけを見て違法かどうかを判断するのは難しいのが実際のところです。大事になってくるのは、その環境で働き続けて体調を崩す危険がないか、という点です。数字そのものより、安全に働けているかどうかで考えていくと分かりやすくなります。
安全配慮義務を怠れば違法になりうる
会社が暑さを知りながら何の対策もしない場合、違法になる可能性が出てきます。たとえば、社員が「暑くてつらい」と何度も伝えているのに、何も改善されないような状況では、会社が責任を問われるケースもあります。こうした場合は会社にとって不利になりやすいです。
つまり、室温の数字そのものより「会社が必要な配慮をしていたか」が大きなカギになってきます。
事務所の適正室温は18〜28度とされる
オフィスなどの事務所では、適正な室温の目安が18度から28度とされています。これは、働く人が暑すぎず寒すぎずに過ごせる範囲として示されているものです。夏場にこの上限を大きく超える環境が続くなら、職場として見直しが必要なサインかもしれません。
逆に冷やしすぎて寒い場合も、同じように快適とは言えない状態です。自分の職場がこの範囲から大きく外れていないか、一度気にしてみるといいでしょう。暑さがどのくらい危ないかは、体に出るサインで気づける場合もあります。

こうしたサインが出たら、無理をせず早めに涼しい場所で休むようにしてみてください。
2025年6月から始まった熱中症対策の義務
2025年6月から始まった熱中症対策の義務について、ポイントは以下の通りです。
- 熱中症対策が罰則付きで義務化された
- 暑熱環境での作業が対象になる
- 会社は熱中症を防ぐ体制を整える必要がある
詳しく見ていきましょう。
参照:「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」
熱中症対策が罰則付きで義務化された
2025年6月から、職場の熱中症対策が義務化されました。これまでは「できれば対策しましょう」という努力義務の位置づけでしたが、ここで一歩進んで、会社がやらなければならない義務へと変わりました。
背景には、暑い環境で働く人が体調を崩す出来事が増えてきたことがあります。会社が対策をきちんと行うように、ルールそのものが強められたわけです。働く側にとっては、安心して働ける環境に近づく後押しになります。これは知っておくと心強い変化です。
暑熱環境での作業が対象になる
熱中症対策のルールの対象になるのは、暑い場所での作業です。屋外の現場はもちろん、空調のない倉庫や工場、厨房のように熱がこもりやすい室内も含まれます。デスクワーク中心の職場よりも、体を動かして働くノンデスクの現場のほうが関わりの深い話になります。
「自分の職場は暑い場所だ」と感じるなら、この義務化の対象になっている可能性が高いです。
会社は熱中症を防ぐ体制を整える必要がある
義務化によって、会社は熱中症を防ぐための対策の体制づくりもする必要が出てきました。たとえば、体調が悪い人を早めに見つけ、状況を判断し、すぐに対処するという流れを社内で決めておく形です。誰がどう動くかをあらかじめ決めておけば、いざというときに対応が遅れずにすみます。
会社がこうした状況への準備をしているかどうかは、働く環境の安心度を見るひとつの目安になります。
エアコンをつけてくれない職場への対処法
エアコンをつけてくれない職場への対処法は、以下の通りです。

順番に見ていきましょう。
まずは上司や会社に相談する
暑さがつらいときは、まず会社に伝えるところから始めてみてください。我慢して黙っていると、会社側は「困っている人はいない」と思い込んでしまうことがあります。声をあげない限り、状況はなかなか変わっていきません。
「午後になると暑くて集中できない」「軽いめまいがした」など、具体的な状況を言葉にして伝えると、相手も動きやすくなります。一人で言いにくいときは、同じように感じている人と話してみるのもひとつの方法です。いきなり大ごとにせず、身近なところから声をあげていきましょう。
労働組合や同僚と一緒に伝える
一人で言っても変わらないと感じたら、複数人で伝える方法があります。会社に労働組合があれば、そこを通して相談すると、個人で言うより話が届きやすくなります。組合がなくても、同じ職場の仲間と一緒に伝えれば、会社も無視しづらくなります。
みんなが同じように困っているという事実は、それ自体が大きな説得力になります。「自分だけが我慢すればいい」と抱え込まず、まわりと状況を共有してみてください。声をそろえることで、改善に向けて動き出すきっかけが作りやすくなっていきます。
改善されない場合は記録を残す
伝えても変わらないときは、記録を残しておくようにしてみてください。室温が高かった日付や時間、そのときの体調、会社に伝えた内容と返事などをメモしておきます。スマホで温度計の写真を撮っておくのも、分かりやすい記録になります。
こうした記録は、あとで外部に相談するときに「いつ、どんな状況だったか」を説明する材料になります。地味な作業かもしれませんが、自分を守るための備えとして役立ちます。あとから振り返れるように、こまめに残していきましょう。
暑い職場は労働基準監督署に相談できるのか
暑い職場を労働基準監督署に相談できるかどうか、ポイントは以下の通りです。
- 環境があまりに酷いのに改善されない場合は相談や申告ができる
- 相談は匿名でもできる
- 違反があれば会社に指導が入る
労働基準監督署に相談や申告ができる
職場の暑さがひどく改善されないときは、労基署に相談できます。労働基準監督署は、会社が働く人を守るルールを守っているかをチェックする国の機関です。「暑すぎるのに環境が改善されない」「熱中症対策をしてくれない」といった相談を受け付けています。
むずかしく考えなくても、電話や窓口で状況を話すところから始められます。会社に直接言いづらいときの、頼れる外部の相談先のひとつとして覚えておいてください。一人でどうにかしようとせず、こうした窓口があることを知っておくだけでも気持ちが楽になります。
相談は匿名でもできる
労働基準監督署への相談は、匿名でもできます。「相談したことが会社に伝わって、気まずくなったら困る」と心配になるかもしれません。名前を伝えずに状況だけ話すこともできるので、まずは気軽に問い合わせてみてください。
相談したからといって、すぐに大ごとになるわけでもありません。どんな対応ができるのかを聞くだけでも、今後の動き方が見えてきます。一人で抱え込まず、使える窓口を上手に頼っていきましょう。知っておくだけでも、いざというときの安心感が違ってきます。
違反があれば会社に指導が入る
相談の結果、会社にルール違反があると分かれば、会社に指導が入ることがあります。労働基準監督署が会社を調べて、必要なら「改善してください」と伝える流れです。会社にとっては、外部から指摘を受けるのは避けたいことなので、改善につながるきっかけになります。
働く側が声をあげることは、自分だけでなく同じ職場で働く仲間を守ることにもつながっていきます。我慢し続けるより、動いたほうが状況が変わることもあります。「言っても無駄」とあきらめる前に、できることが残っていると知っておいてください。
暑い職場が辛くて辞めたいと感じたら
暑い職場が辛くて辞めたいと感じたときに考えたいことは、以下の通りです。
- 我慢し続けると心身に負担がかかる
- 働く環境を変える選択肢もある
- Zキャリアなどのエージェントに相談する
順番に見ていきましょう。
我慢し続けると心身に負担がかかる
暑い環境を我慢し続けると、じわじわと心身に負担がかかります。体がだるい、夜よく眠れない、仕事に行くのが憂うつになるなど、サインはいろいろな形で出てきます。「これくらい大丈夫」と無理を重ねていると、気づかないうちに疲れがたまってしまいます。
暑さは体力だけでなく、気持ちの余裕も少しずつ削っていくものです。つらいと感じる状態が続くなら、それは立ち止まって考えたい大事なサインかもしれません。

働く環境を変える選択肢もある
今の職場が合わないと感じるなら、環境を変える選択肢もあります。暑さへの対策は会社によって大きく違い、しっかり整えている職場も世の中にはたくさんあります。「暑いのが当たり前」とあきらめてしまう前に、ほかの選択肢に目を向けてみてください。
転職と聞くと大げさに感じるかもしれませんが、まずは情報を集めるだけでも気持ちが軽くなることがあります。今の職場と比べてみることで、自分が何を大事にしたいのかも見えてきます。無理なく働ける場所を探すのは、決して逃げではありません。
Zキャリアなどのエージェントに相談する
一人で悩みを抱えているなら、Zキャリアなどのエージェントに相談してみてください。特にZキャリアは、未経験の方の就職や転職を、無料でサポートしているサービスです。
求人の紹介だけでなく、「暑い職場がつらい」「もっと自分に合う環境で働きたい」といった今の悩みの整理から一緒に考えていけますので、何から始めればいいか分からなくても大丈夫です。話してみるだけで、頭の中が少しすっきりすることもあります。新しい一歩を踏み出したくなったら、まずは気軽に話を聞かせてください。