最低賃金とは?2026年10月から全国平均1177円に
2026年10月より、最低賃金が改定され、全国平均が1177円に引き上げられます。物価高騰が続く中、労働者の生活安定を目的とした重要な施策であり、多くの労働者にとって給与アップのチャンスとなります。しかし、制度の仕組みを正しく理解していないと、せっかくの賃上げの恩恵を受け損ねてしまう可能性もあります。まずは最低賃金の基本的な定義や、どのような人に適用されるのかをしっかり確認しておきましょう。
参照:「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました/厚生労働省」
労働者に支払わなければいけない賃金の最低額のこと
最低賃金とは、最低賃金法という法律に基づき、国が定めた「企業が労働者に支払わなければならない賃金の最低額」のことです。正社員や契約社員、アルバイト、パートタイムなど、雇用形態に関わらずすべての労働者に適用されます。もし企業がこの最低額を下回る賃金しか支払っていない場合、法律違反となり、労働者は企業に対して差額を請求する権利があります。自身の給与が適法かどうかを知るための重要な基準となります。
【2026年度】主要エリアの最低賃金一覧
2026年度の改定により、各都道府県の最低賃金は大きく変動しています。例えば、東京都は1,280円、大阪府は1,231円となり、地域によって生活水準等を考慮した金額が設定されています。自分の働く地域の最低賃金を把握することは、正しい給与を受け取るための第一歩です。下記の表で、主要エリアの最新の最低賃金を確認し、現在の自分の時給や月給換算額と比較する際の参考にしてみてください。
都道府県 | 最低賃金 |
|---|---|
東京 | 1,280円 |
神奈川 | 1,279円 |
埼玉 | 1,196円 |
千葉 | 1,195円 |
愛知 | 1,195円 |
大阪 | 1,231円 |
福岡 | 1,114円 |
最低賃金が上がっても時給が上がらない5つの理由
最低賃金が引き上げられたというニュースを見ても、「自分の時給や給料はまったく上がっていない」と疑問に思う方も少なくありません。実は、最低賃金が改定されても、すべての労働者の給与が自動的に上がるわけではないのです。そこには、現在の給与水準や企業の経営状況、社内の評価制度など、さまざまな要因が複雑に絡んでいます。ここでは、最低賃金が上がっても時給が上がらない主な5つの理由について詳しく解説します。

今の時給が、改定後の最低賃金をすでに上回っている
最もよくある理由が、現在の時給が改定後の最低賃金をすでに上回っているケースです。最低賃金はあくまで「最低限支払うべきライン」であり、現在もらっている給与がそのラインを1円でも超えていれば、企業側に時給を引き上げる法的な義務は生じません。そのため、元々時給が高めに設定されている職種や、長年の勤務ですでに昇給している人の場合は、最低賃金の引き上げによる直接的な影響を受けにくいと言えます。
会社の業績不振で人件費に割ける予算がない
会社の業績が思わしくなく、人件費に回す余裕がないことも大きな理由の一つです。利益が出ていなければ給与アップは難しくなります。最低賃金の基準は満たしていても、それ以上の賃上げを行う体力が企業側に残されていないケースです。
サービスや商品の価格を上げられず、利益が出ていない
企業が提供するサービスや商品の価格設定も、給与に直結します。原材料費や光熱費が高騰しているにもかかわらず、顧客離れを恐れて商品価格に転嫁できない企業は少なくありません。売上が伸びても利益率が低下してしまえば、結果として従業員に還元する原資が不足します。特に価格競争の激しい業界や、利益率の低いビジネスモデルの企業では、最低賃金改定に伴う全体的なベースアップに踏み切れない事情があります。
自分が担う業務内容や責任範囲が変わっていない
正社員やアルバイトに関わらず、任されている業務内容や責任の重さが変わっていない場合、時給は上がりにくい傾向にあります。企業は労働が生み出す価値に対して対価を支払うため、同じ作業を同じペースで続けているだけでは、昇給の正当な理由を見出しにくいのです。時給を上げるためには、新しいスキルを身につけたり、後輩の指導など責任ある立場を任されたりして、企業に対する貢献度を高める必要があります。
昇給の制度や基準があいまい
社内の昇給制度や評価基準が明確に定められていないことも、給料が上がらない原因の一つです。「何をどう頑張れば給料が上がるのか」がブラックボックス化している企業では、上司の主観的な判断に委ねられがちです。明確な目標設定や定期的な評価面談がない環境では、いくら真面目に働いても正当に評価されにくく、結果として時給が据え置かれてしまうケースが多々あります。評価制度の有無はしっかり確認しましょう。
【あなたは大丈夫?】給料が最低賃金より低くないか確かめる方法
自分の給料が最低賃金をきちんと上回っているかどうか、正確に把握している人は意外と少ないものです。特に月給制で働いている場合、一見すると十分な金額をもらっているように見えても、労働時間が長かったり各種手当が含まれていたりして、時給換算すると実は最低賃金を下回っているケースが存在します。ここでは、自分の給料が法律違反になっていないかを簡単に計算して確かめるための4つのステップを紹介します。

STEP1:総支給額から法律で定められた手当を引いた金額を出す
まずは、給与明細の「総支給額」を確認します。ただし、総支給額をそのまま計算に使うわけではありません。最低賃金の対象となるのは、総支給額から「残業代」「通勤手当」「家族手当」「皆勤手当」などを除外した基本給や職務手当などの合計額となります。
STEP2:1ヶ月あたりの平均所定労働時間を算出する
次に、1ヶ月に働く平均的な所定労働時間を計算します。年間のカレンダーや就業規則を確認し、「(365日-年間の休日数)×1日の所定労働時間÷12ヶ月」という計算式を用いるのが一般的です。例えば、年間休日が120日、1日の労働時間が8時間の場合、(365日-120日)×8時間÷12ヶ月=約163.3時間となります。残業時間は含めず、あくまで契約上の労働時間で計算することがポイントです。
STEP3:給与を時給に換算する
STEP1で算出した「最低賃金の対象となる賃金額」を、STEP2で算出した「1ヶ月あたりの平均所定労働時間」で割ります。例えば、対象となる賃金が20万円で、1ヶ月の平均所定労働時間が160時間だった場合、「200,000円÷160時間=1,250円」となります。この1,250円が、あなたの現在の給与を時給換算した金額です。アルバイトやパートの場合は、そのまま現在の時給を用います。
STEP4:勤務地のある都道府県の最低賃金と比較する
最後に、STEP3で算出した自分の時給換算額を、勤務地のある都道府県の最新の最低賃金と比較します。本社が東京にあっても、実際の勤務地が埼玉であれば、埼玉県の最低賃金(1,196円)が適用されます。もし計算した時給が地域の最低賃金を1円でも下回っていた場合は、法律違反の状態です。その場合は、不足分の支払いを会社に求めることができるため、まずは速やかに会社の人事労務担当者へ相談しましょう。
給料を最低賃金より上げる方法
現在の給料が最低賃金ギリギリだったり、なかなか昇給しなかったりする場合、ただ待っているだけでは状況は好転しません。自ら行動を起こすことで、収入を増やす道は確実に開けます。社内で評価を高めて昇給を目指す方法から、副業や転職で新たな収入源やより良い環境を手に入れる方法まで、アプローチは様々です。ここでは、給料を最低賃金レベルから引き上げ、より豊かに生活するための具体的な5つの方法を紹介します。

会社で昇進を目指す
社内で着実に給料を上げる王道の方法は、昇進・昇格を目指すことです。役職に就けば役職手当がつき、基本給のベースアップも期待できます。そのためには、現在任されている業務で成果を出すだけでなく、リーダーシップを発揮したり、業務改善の提案を行ったりして、上司や会社からの信頼を勝ち取る必要があります。まずは会社の評価基準を確認し、次のステップに進むために自分に何が足りないのかを把握して行動しましょう。
資格を取って資格手当をもらう
今の職場で給料を上げる手堅い方法の一つが、資格取得による「資格手当」の獲得です。企業によっては、業務に関連する特定の資格(宅地建物取引士や簿記、IT系の資格など)を持っているだけで、毎月数千円から数万円の手当が支給される制度を設けています。一度取得すれば毎月の給与に上乗せされるため、確実な収入アップにつながります。まずは自社にどのような資格手当の制度があるのか、就業規則を確認してみましょう。
実績をアピールして直接交渉する
自分が出した成果が給与に反映されていないと感じる場合、上司や経営層に直接給与アップの交渉をするのも一つの手です。ただし、ただ「給料を上げてほしい」と伝えるだけでは逆効果になる可能性があります。具体的な売上への貢献や、業務効率化によるコスト削減など、客観的な数値や実績を根拠として提示することが重要です。適切なタイミング(評価面談の際など)を見計らい、前向きなトーンで相談してみましょう。
副業を始める
本業の給料をすぐに上げるのが難しい場合は、副業を始めてトータルの収入を増やすという選択肢もあります。最近ではクラウドソーシングなどを活用し、動画編集やWebライティング、データ入力など、在宅でできる副業も豊富にあります。休日や退勤後の数時間を充てるだけで、月に数万円のプラス収入を得ることは十分に可能です。ただし、就業規則で副業が禁止されていないかを事前に必ず確認するようにしてください。
思い切ってより条件のいい会社へ転職する
社内での昇給が見込めない場合は、環境を変えるのが最も効果的です。厚生労働省の調査によると、転職者のうち20〜34歳の49.7%の賃金が増加していました。その中でも1割以上の増加をしたのは35.8%に上ります。このように、20〜34歳で転職をすると賃金が上がる可能性の方が高くなっています。自分のスキルや経験を適正に評価し、より高い給与水準を提示してくれる企業へ転職することで、収入アップが可能です。
参照:「令和5年雇用動向調査 転職入職者の状況/厚生労働省」
給料が上がりやすい会社を見極めるためのポイント
転職を通じて給料を上げたいと考えた時、単に初任給が高い会社を選ぶだけでは不十分です。入社時点での給与が良くても、その後まったく昇給しない会社では、長期的な収入アップは見込めません。大切なのは、入社後に順調に給与が伸びていく「給料が上がりやすい会社」を見極めることです。企業選びの段階でチェックしておくべき、成長性や制度面に関する重要な2つのポイントを詳しく解説します。
利益率が高く儲かっている「成長業界」を選ぶ
給料が上がりやすい会社を探すなら、属している業界自体の成長性が不可欠です。IT業界など、市場規模が拡大しており利益率が高い「儲かっている業界」は、従業員へ還元する余裕があります。一方で薄利多売のビジネスモデルでは昇給の限界が早く訪れます。また、従業員規模別に常用労働者の所定内給与額の推移を分析すると、大企業の方が一貫して給与額が高く、2021年において約45,000円の差があるため、企業規模も指標になります。
参照:「2023年版小規模企業白書/中小企業庁」
昇給制度や評価基準が明確な企業を選ぶ
どれだけ企業が利益を出していても、それを従業員に還元する仕組みがなければ給料は上がりません。求人票や面接で、評価制度や昇給の基準が明確に定められているかを確認することが重要です。「年に何回評価面談があるか」「どのような成果を出せば昇格できるか」が言語化されている企業は、頑張りが正当に給与に反映されやすい環境です。口コミサイトなどを活用し、実際の社員の昇給実態を調べてみるのも有効な手段です。
未経験の業界・職種へ挑戦したいならZキャリアに相談してみよう
「今の会社のままでは将来が不安だ」「もっと給料が上がりやすい業界へ未経験から挑戦したい」と考えているなら、一人で悩まずに転職エージェントを頼るのがおすすめです。調査結果を見ると、企業が未経験者に求めているのは完璧なスキルよりも「自社に馴染めるか(79.1%)」や「伸びしろ(52.6%)」であることがわかります。Zキャリアでは、こうした企業の意図を汲み取った書類添削や面接対策を徹底サポートします。未経験からのキャリアチェンジに特化したプロのアドバイザーが、あなたの適性や希望に合った優良企業を提案いたします。まずは無料相談で、あなたのこれからのキャリアの可能性を探ってみませんか。
参照:「業界・職種未経験者の採用で重視するポイントは「人柄・社風との相性」が8割近く。評価する能力では、9割の企業が「コミュニケーション能力」をあげる/株式会社学情のプレスリリース」