ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格試験を受けるための条件
ケアマネジャーの資格試験(介護支援専門員実務研修受講試験)を受けるためには、厳格に定められた受験資格を満たす必要があります。誰でもすぐに受験できるわけではなく、指定された国家資格を保有しているか、特定の施設で相談援助業務の経験を積んでいることが前提となります。さらに、それらの業務において一定の期間以上の実務経験が必須とされており、計画的なキャリア形成が不可欠です。
参照:「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)/厚生労働省」
医療・福祉系の国家資格を取得するか、生活相談員や支援相談員として相談援助業務の経験を積む
受験資格を得るためのルートは二つあります。
一つ目は、医師、看護師、介護福祉士、社会福祉士などの「法定資格」を獲得し、その資格に基づく業務に従事することです。
もう一つは、特定の施設(特別養護老人ホームや地域包括支援センターなど)で「生活相談員」や「支援相談員」として相談援助業務に就くルートです。未経験から目指す場合、まずは介護福祉士などの国家資格の取得を目指すか、生活相談員等の要件を満たす職場で働くことが第一歩となります。
5年以上かつ900日以上の実務経験を積む
対象となる国家資格の業務、あるいは生活相談員などの相談援助業務において、「通算して5年以上、かつ実際に業務に従事した日数が900日以上」という実務経験の要件を満たす必要があります。この「5年以上かつ900日以上」は、単に在籍していた期間ではなく、実際に働いた日数が厳密にカウントされます。パートやアルバイトなどの雇用形態であっても、 条件を満たせば実務経験として認められます。
【注目】2027年度の制度改正に向けて、経験年数を短縮し、取得すべき資格の範囲が拡大される可能性がある
現在、ケアマネジャーの不足が深刻な社会課題となっており、厚生労働省などで資格取得要件の緩和が議論されています。2027年度の制度改正に向けて、受験資格に必要な実務経験年数が「5年」から短縮される可能性や、対象となる法定資格の範囲が拡大される見込みがあります。これにより、これまでより早い段階でケアマネジャーの試験に挑戦できるようになるかもしれません。
参照:「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)/厚生労働省」
参照:「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会 中間整理案概要①/厚生労働省」
最短でケアマネジャーを目指す方法2選
未経験から最短でケアマネジャーを目指すには、大きく分けて2つのルートがあります。学校に通って資格を取ってから経験を積む方法と、現場で働きながら資格取得を目指す方法です。それぞれ解説します。
【最短7〜8年】未経験から養成施設や学校に通ってケアマネジャーを目指すルート

STEP1:介護福祉士養成施設や学校に通って介護福祉士の資格を取得する
まずは専門学校や大学などの介護福祉士養成施設に通い、国家資格である「介護福祉士」を取得します。養成施設に通う期間は、高校卒業後の場合で通常2年〜4年程度です。学校で専門的な知識と技術を体系的に学ぶことができるため、現場に出た際に即戦力として活躍しやすいというメリットがあります。また、実習を通じて実際の介護現場の雰囲気をつかむことができるのも大きな特徴です。
STEP2:介護福祉士として「5年以上かつ900日以上」の実務経験を積む
養成施設を卒業して介護福祉士の資格を取得した後は、実際に介護の現場で働きます。ここで、ケアマネジャーの受験資格である「5年以上かつ900日以上」の実務経験を積む必要があります。この期間は、単に日数をこなすだけでなく、将来ケアマネジャーとしてケアプランを作成する際に必要となる、利用者への適切な対応や現場での課題解決能力など、実践的なスキルを磨く重要な準備期間となります。
STEP3:試験を受験してケアマネジャーの資格を取得する
実務経験の要件を満たしたら、いよいよ「介護支援専門員実務研修受講試験」を受験します。試験は年に1回実施され、合格率は例年15〜20%程度と難関です。合格後は、数ヶ月にわたる「実務研修」を受講し、すべての課程を修了した後に各都道府県に登録することで、晴れてケアマネジャーとして業務を行うことができるようになります。試験対策は早めに計画を立てて進めましょう。
【最短8年】未経験から働きつつケアマネジャーを目指すルート

STEP1:現場で3年以上の実務経験を積み、介護福祉士実務者研修を修了する
働きながら目指すルートでは、まず無資格・未経験で介護施設などに就職し、現場のスタッフとして働き始めます。そこで3年以上の実務経験を積みながら、「介護福祉士実務者研修」という約450時間の研修を受講・修了します。
このルートは、働きながら収入を得つつキャリアアップを図れるのが大きな魅力です。事前にしっかりと面接対策や自己分析を行うことで、未経験からでも希望する優良な介護施設への採用確率を高めることができます。
参照:「介護福祉士国家試験/公益財団法人社会福祉振興・試験センター」
STEP2:介護福祉士の資格を取得する
実務経験3年以上と実務者研修の修了という2つの条件をクリアすると、介護福祉士の国家試験を受験できるようになります。現場での経験を通じて培った実践的な知識と、研修で学んだ理論を結びつけることで、試験対策を進めていきます。合格後、介護福祉士の資格を取得することで、介護のプロフェッショナルとしての証明となり、職場での待遇改善や信頼度の向上にもつながります。
STEP3:介護福祉士として「5年以上かつ900日以上」の実務経験を積む
介護福祉士の資格を取得した後は、さらに「5年以上かつ900日以上」の実務経験を積む必要があります。注意点として、ここでの経験年数は「介護福祉士の資格を取得し、登録証が交付されてからの期間」としてカウントされる場合が多いため、事前の実務経験とは別に計算される点に気をつけましょう。この期間に、チームリーダーなどを経験しておくと、ケアマネジャーの業務にも活かせます。
STEP4:試験を受験してケアマネジャーの資格を取得する
介護福祉士としての実務経験要件を満たしたら、「介護支援専門員実務研修受講試験」に挑戦しましょう。働きながらの試験勉強は時間の確保が課題となるため、効率的な対策が求められます。
試験合格後、実務研修を受講し、都道府県への登録手続きを完了させることで、ようやくケアマネジャー(介護支援専門員)の資格証が交付され、業務にあたることができます。
ケアマネジャーを目指す際の注意点
ケアマネジャーは介護保険制度の要となる専門職であるため、資格取得の道のりは平坦ではありません。時間や費用のコストがかかるだけでなく、資格取得後も継続的な学びが求められます。目指し始めてから後悔しないためにも、あらかじめ取得までの全体像や、必要な労力、制度上の注意点を正しく理解しておくことが大切です。ここでは、特に気をつけるべきポイントをいくつか紹介します。

未経験からいきなりケアマネジャーの資格試験を受験することはできない
前述の通り、ケアマネジャーの資格試験には厳格な受験資格が設けられています。他の民間資格や一部の国家資格のように、全くの未経験者が独学で勉強していきなり試験だけを受ける、ということは制度上不可能です。必ず特定の資格を保有した上で、現場での所定の実務経験を積まなければならないため、長期的な視点でのキャリアプランが必要となります。
受験資格を得るまでに座学や実務経験を含めて最短でも7年必要となる
未経験からスタートする場合、専門学校などの養成施設に通うルートでも、無資格で現場に出て働くルートでも、ケアマネジャーの受験資格を得るまでに最短で7〜8年という長い年月がかかります。長期的な視点を持って取り組む覚悟が必要です。
資格試験の受験料は1万2千円程度かかる
ケアマネジャーの資格取得には、試験の段階から費用が発生します。「介護支援専門員実務研修受講試験」の受験料は、都道府県によって若干異なりますが、おおむね1万円〜1万2千円程度かかると言われています。決して安い金額ではないため、一発合格を目指してしっかりと試験対策を行うことが重要です。
また、試験会場までの交通費や、参考書・問題集の購入費用なども必要となるため、資格取得までにかかりそうな費用をあらかじめ計算してみるといいでしょう。
実務研修の受講費用は自治体によって幅がある
試験に合格した後にも、資格登録のための「実務研修」を受講する義務があります。実務研修の受講費用は、都道府県によって約2万円〜8万円とかなり幅があります。たとえば、最も安い島根県は2万円台ですが、千葉県や山形県では8万円近い自治体もあります。全国平均はおよそ5万7,000円前後といわれているため、実際に受験する都道府県の募集要項で、最新の受講料を必ず確認しておきましょう。受験料と合わせると、資格取得の最終段階でまとまった出費が必要です。
参照:「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料(令和8年3月)/認知症施策・地域介護推進課」
【注目】法案の閣議決定で「5年ごとの資格更新」は廃止へ。ただし研修義務は継続
2026年4月3日、「介護支援専門員の更新制廃止」などを盛り込んだ法案が閣議決定され、国会へ提出されました。これが成立・施行されれば、5年ごとの有効期限によって資格を失うリスクはなくなる見込みです。
ただし、研修そのものがなくなるわけではありません。定期的な研修の受講は、今後も法律上の義務として残り、正当な理由なく受講しない場合には、都道府県知事からの受講命令や、命令に従わなかった際の『業務禁止』といった厳しい措置が新たに設けられます。また、ケアマネを雇う事業者にも、研修を受けさせる機会を確保する義務が課される方向で議論が進んでおり、業界全体で学び続ける体制づくりが求められています。
参照:「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)/厚生労働省」
ケアマネジャーの資格を取るのは難しい?
結論から言うと、ケアマネジャーの資格取得難易度は非常に高いです。合格率の低さだけでなく、受験資格を得るまでの期間の長さや、試験内容の専門性の高さがその理由です。他資格との比較を交えて解説します。
介護・福祉系の資格の中では最も難しく、合格率は15〜20%程度
介護・福祉系の主要な資格のなかでも、ケアマネジャー試験の難易度は突出しています。社会福祉士や介護福祉士の合格率が60〜70%台で推移しているのに対し、ケアマネジャーの合格率は例年15〜20%程度にとどまっています。直近の試験でも25.6%と、狭き門であることに変わりはありません。確実な合格を目指すためには、過去問の反復演習など、徹底した学習スケジュールの管理が求められます。
資格名 | 最新の合格率 |
|---|---|
ケアマネジャー(介護支援専門員) | 25.6% |
社会福祉士 | 60.7% |
介護福祉士 | 70.1% |
精神保健福祉士 | 78.2% |
参照:「第28回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について/厚生労働省」
参照:「第38回社会福祉士国家試験の合格発表について/公益財団法人社会福祉振興・試験センター」
参照:「第38回介護福祉士国家試験合格発表について/厚生労働省」
参照:「第28回精神保健福祉士国家試験合格結果を公表します/厚生労働省」
ケアマネジャーは資格試験を受験するための条件が厳しい
難易度が高い理由の一つは、受験に至るまでのハードルの高さです。5年以上かつ900日以上という長期間の実務経験を、指定された国家資格を持った状態で積む必要があります。この条件を満たすまでに数年単位の時間を要するため、途中でキャリアチェンジをしてしまう人も少なくありません。長期間にわたって目標を見失わずにモチベーションを維持し続けることが非常に大切です。
ケアマネジャーは法律や医療の知識なども必要になる
利用者に最適なケアプランを作成するためには、介護保険法をはじめとする複雑な法制度の知識や、高齢者の疾病に対する医療知識など、非常に幅広い専門知識が求められます。試験でもこれらの分野から広く深く出題されるため、介護の現場経験だけでなく、幅広く知識を取り入れる必要があり、このことが難易度を押し上げています。
働きながらケアマネージャーを目指しやすい仕事
現場で経験を積みながらケアマネジャーを目指す場合、どのような職場で働くかが重要です。資格取得の勉強時間を確保しやすく、実践的な経験も積める、おすすめの職場をいくつか紹介します。
デイサービスのスタッフ
デイサービス(通所介護)のスタッフは、日勤のみの勤務が多く、夜勤がないのが大きな特徴です。生活リズムを整えやすく、仕事終わりの時間や休日を資格勉強に充てやすいため、働きながら資格取得を目指す方に非常に適しています。また、利用者とのコミュニケーションが多く、レクリエーションの企画などを通じて、将来ケアマネジャーとして必要になる対人援助の基礎スキルを自然と身につけることができます。
訪問介護のヘルパー
訪問介護のヘルパーは、利用者の自宅に直接訪問してサービスを提供するため、利用者のリアルな生活環境や、在宅介護が抱える課題を肌で感じることができます。この経験は、将来ケアマネジャーとして在宅向けのケアプランを作成する際に非常に役立ちます。また、短時間の勤務や直行直帰が可能な事業所も多く、自分のライフスタイルに合わせて柔軟に働きながら実務経験を積むことができるのも魅力です。
障がい者就労支援施設の指導員
障がい者の就労をサポートする就労支援施設の指導員も、ケアマネジャーを目指す上での実務経験としてカウントされる場合があります。高齢者介護とは異なるアプローチの支援経験を積むことができ、多様なニーズに応える柔軟な視点を養うことができます。土日祝日が休みの施設も多いため、勉強と仕事のワークライフバランスを保ちやすい環境が整っています。
ケアマネ以外の福祉のお仕事も検討したい方は、Zキャリアへご相談ください
ケアマネジャーへの道は魅力的ですが、取得までに長い時間がかかるため、「本当に自分にできるかな」と不安に思う方もいるかもしれません。介護や福祉の業界には、ケアマネジャー以外にもやりがいのあるお仕事がたくさんあります。もし少しでも将来について不安があるなら、プロのキャリアアドバイザーに相談するのが一番の近道です。
Zキャリアは、学歴や職歴に関係なく未経験から正社員就職をサポートするサービスです。あなたに合った働き方や、将来の目標に向けた最適なステップを一緒に見つけ出し、履歴書添削から面接対策まで手厚くサポートいたします。まずは一度、気軽に相談してみませんか。
参照:「30代職歴なしでも大丈夫?就職しやすい仕事やポイントを解説/株式会社UZUZ」
※この記事は2026年3月19日時点の情報で執筆しております。試験資格などは年によって変わることがありますので、ご自身でも公式の最新情報をご確認いただけますようお願いいたします。
すでに現行の5年要件を満たしている方は、制度の緩和を待たずに、今年(2026年度)の試験での合格を目指すことをおすすめします。緩和が始まる見込みの2027年度には、実務経験3〜4年目の受験者が増え、受験者数の増加にあわせて合格率や試験難易度が見直される可能性もあるからです。一方、現在の実務経験が3〜4年目の方は、2027年度の緩和初年度を一つの目標とし、今から試験勉強を始めておくと準備に余裕が持てます。制度が動くこのタイミングだからこそ、自分の経験年数に合わせて、いつ受験するかを意識的に選んでみてください。