- 年末調整の意味と仕組み
- お金が戻ってくる理由
- 年末調整の対象になる人・ならない人
- バイトや掛け持ちの場合の扱い
- 年末調整のやり方と時期
- 年末調整をしなかった場合の対処法
年末調整とは何かをわかりやすく解説
「年末調整」という言葉は聞いたことがあっても、中身まではよく知らない人も多いかもしれません。基本の意味を押さえておくと、書類を渡されたときに慌てずにすみます。ここでは年末調整の役割を、3つのポイントで整理しました。
- 1年間の所得税を正しい金額に精算する手続き
- 毎月引かれる所得税はおおよその金額
- 計算や手続きは会社が代わりに行う
ひとつずつ順番に確認していきましょう。
1年間の所得税を正しい金額に精算する手続き
年末調整とは、1年間の所得税を正しい金額に合わせるための手続きです。働いてお給料をもらうと、所得税という税金がかかります。
この税金は毎月の給料から少しずつ引かれていますが、1年が終わる時点で本来の金額と比べて差を調整します。払いすぎていればお金が戻り、足りなければ追加で納める仕組みです。名前のとおり、年末に税金のズレを整える作業と考えるとわかりやすくなります。
毎月引かれる所得税はおおよその金額
毎月の給料から引かれる所得税は、仮の金額として計算されています。会社は、1年間の収入がまだわからない段階で税金を引いているためです。
たとえば年の途中で残業が減ったり、結婚して家族が増えたりすると、1年間で払う税金の額も変わります。生命保険に入っている人は、税金が少なくなる仕組みもあります。こうしたズレを最後にまとめて直すのが、年末調整の役割になります。
計算や手続きは会社が代わりに行う
年末調整の計算は、勤務先の会社が代わりに行ってくれます。働く本人がやることは、会社から配られる書類を書いて提出するだけです。
税務署へ出す書類の作成や、細かい税金の計算は会社の担当者が進めてくれます。自営業の人は自分で確定申告をして税金を計算しますが、会社員はその手間をほぼ省けます。会社で働く上で、うれしい点のひとつなので、仕組みを知っておくと安心です。
年末調整でお金が戻ってくる仕組み
年末調整の意味がわかると、「なぜお金が戻ってくるの?」という疑問もわいてくるでしょう。仕組みを知っておけば、戻る金額を減らしてしまう書類の出し忘れも防げます。ここでは、戻る場合と足りない場合の2つに分けて紹介します。
- 保険料などの控除で税金が少なくなる
- 税金が足りないと追加で引かれる
それぞれのパターンを順番に見ていきます。
保険料などの控除で税金が少なくなる
年末調整でお金が戻る大きな理由は、控除という仕組みです。控除とは、税金を計算するときに収入から差し引ける金額のことを指します。
生命保険料や、自分で払った国民年金の保険料などがあると、そのぶん税金が安くなります。毎月の税金にはこれらが反映されていないため、年末調整で払いすぎた分が戻ってくるわけです。戻る金額は、収入や控除の内容によって人それぞれ違います。
- 生命保険料控除(生命保険や医療保険)
- 地震保険料控除(地震保険)
- 社会保険料控除(自分で払った国民年金など)
- 扶養控除(所得が一定以下の16歳以上の家族を養っている場合)
- 配偶者控除(配偶者の所得が一定以下の場合)
税金が足りないと追加で引かれる
年末調整では、お金が戻るだけでなく追加で引かれることもあります。たとえば年の後半に残業代が増えると、毎月引かれた税金では足りなくなる場合があります。
扶養している家族の収入が増えて、扶養から外れたケースも追加になりやすいです。足りない分は12月や1月の給料から引かれるため、手取りがいつもより少なくて驚くかもしれません。仕組みを知っていれば、慌てずに受け止められるでしょう。
年末調整はどんな人が対象?
お金が戻る仕組みがわかると、「自分も対象なのかな」と気になるかもしれません。対象かどうかを知っておけば、書類を出し忘れて損をするのを防げます。働き方ごとに、3つのケースを取り上げました。

自分の働き方に近いものから確認してみてください。
会社に勤める正社員や契約社員
会社から給料をもらっている正社員や契約社員は、基本的に年末調整の対象です。年末の時点で在籍していて、「扶養控除等申告書」という書類を会社に出していることが条件になります。
この書類は入社時や毎年秋ごろに渡されるので、ほとんどの人は自然と条件を満たしています。年の途中で転職した人も、前の会社の源泉徴収票を今の会社に出せば、まとめて年末調整してもらえます。
条件を満たすバイトやパート
アルバイトやパートの人も、条件を満たせば正社員と同じように年末調整を受けられます。条件は、年末の時点で働いていることと、勤務先に扶養控除等申告書を出していることです。
働く日数や時間が少なくても、条件に当てはまれば対象になります。高校生や大学生のバイトも同じ扱いです。バイト先から書類を渡されたら、出し忘れないように気をつけてみてください。
掛け持ちはメインの勤務先で受ける
バイトを掛け持ちしている場合、年末調整は1か所の勤務先でしか受けられません。扶養控除等申告書を出せるのは、1か所だけと決まっているためです。
基本的には、収入がいちばん多いメインの勤務先に書類を出します。サブの勤務先の給料は年末調整に含まれないので、収入によっては自分で確定申告が必要になる場合があります。両方の源泉徴収票を残しておくと、あとの手続きで役立ちます。
年末調整をやらなくていい人
対象になる人がわかったところで、反対に「やらなくていい人」も気になるところです。自分が当てはまるか知っておくと、確定申告が必要かどうかも判断しやすくなります。年末調整を受けない主なケースは、次の2つです。
- 年末時点で会社に在籍していない人
- 給与の年収が2,000万円を超える人
どんな場合に当てはまるのか、順に確認していきましょう。
年末時点で会社に在籍していない人
年の途中で会社を辞めて、年末に働いていない人は原則として年末調整を受けません。年末調整は、年末に在籍している会社が行うものだからです。
たとえば9月に退職して、そのまま年末まで仕事をしていない場合が当てはまります。この場合は、自分で確定申告をすると払いすぎた税金が戻ってくる可能性があります。退職時にもらう源泉徴収票は、なくさずに保管しておきましょう。
給与の年収が2,000万円を超える人
給料の年収が2,000万円を超える人は、会社で年末調整を受けられません。このような人は、自分で確定申告をして税金を納める決まりになっています。
20代前半で当てはまる人はほとんどいないため、気にしなくても大丈夫です。ほかに、会社に雇われずに働くフリーランスや個人事業主も年末調整がありません。仕事を受けて報酬をもらう働き方なら、自分で確定申告をする流れになります。
年末調整のやり方と時期
自分が年末調整の対象だとわかったら、次は実際の進め方を押さえておきたいところです。時期と手順を知っておくと、書類を渡されたときに迷わず動けます。年末調整は、大きく3つの段階で進みます。
- 10〜11月ごろに配られる書類を受け取る
- 申告書に記入して会社に提出する
- 12月か翌年1月の給料で精算される
時期の目安とあわせて、流れに沿って紹介します。
10〜11月ごろに配られる書類を受け取る
年末調整の書類は、10〜11月ごろに会社から配られることが多いです。紙ではなく、スマホやパソコンで入力する会社もあります。
同じころ、生命保険や地震保険に入っている人には、保険会社から「控除証明書」というハガキが届きます。このハガキは年末調整で使うため、捨てずに保管しておいてください。国民年金を自分で払った人にも、同じように証明書が届きます。
申告書に記入して会社に提出する
書類を受け取ったら、必要事項を記入して期限までに会社へ提出します。記入するのは名前や住所のほか、養っている家族や入っている保険の情報です。
わからない項目は空欄のままにせず、会社の担当者に聞いてみてください。提出期限は会社によって違うため、配られたときに確認しておくと安心です。期限を過ぎると年末調整に間に合わないこともあるので、早めに取りかかりましょう。

12月か翌年1月の給料で精算される
提出した書類をもとに会社が計算し、12月か翌年1月の給料で精算されます。払いすぎていた人は給料に上乗せして戻り、足りなかった人は追加で引かれます。
給与明細に「年調還付」や「年末調整」などと書かれていれば、その金額が精算分です。精算が終わると、1年間の収入と税金をまとめた源泉徴収票がもらえます。転職や確定申告で使う大切な書類なので、なくさないようにしてください。
年末調整をしないとどうなる?
やり方がわかったところで、「もし出し忘れたら?」と不安になる人もいるかもしれません。しなかった場合に何が起きるかを知っておけば、あとからでも損を取り戻せます。主な影響は次の2つです。
- 払いすぎた税金が戻ってこない
- 自分で確定申告をする必要がある
払いすぎた税金が戻ってこない
年末調整をしないと、払いすぎた税金がそのまま戻ってきません。毎月の給料から引かれる税金は、多めに計算されていることがあります。
保険の控除証明書を出し忘れた場合も、そのぶんの控除が受けられずに損をしてしまいます。少しの金額であっても、知らないうちに損をするのはもったいないところです。損しやすいパターンを知って、早めに対策しておきましょう。

自分で確定申告をする必要がある
年末調整を受けなかった場合は、自分で確定申告をすれば払いすぎた税金を取り戻せます。確定申告とは、1年間の収入と税金を自分で計算して税務署に申告する手続きです。
年末調整との違いを、手続きをする人と時期で比べました。
手続き | 誰がするか | 時期の目安 |
|---|---|---|
年末調整 | 勤務先の会社 | 原則11〜12月ごろ(会社による) |
確定申告 | 働いている本人 | 原則翌年2月中旬〜3月中旬ごろ |
税金を取り戻すための確定申告(還付申告)は、翌年1月1日から5年間できるので、気づいたら早めに手続きしてみてください。
まとめ
年末調整は、会社で働く人の税金の手続きを会社が代わりに進めてくれる仕組みです。バイトや掛け持ちで働いていると、自分で確定申告をする場面も出てきます。「収入や待遇を安定させたい」「正社員として働きたい」と感じたら、正社員への就職を考えてみるのもひとつの方法です。
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