上司と合わない…異動希望を出す前に知りたいことと伝え方のコツ

上司と合わないから異動を希望するのはアリ？

「上司と合わない」という悩みは、決して珍しいことではありません。我慢し続けるのではなく、環境を変えるための行動を起こすことも大切です。異動希望を出すことについて、基本的な考え方を以下の通り解説します。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

ポジティブなキャリアチェンジと捉えよう

上司と合わないことで異動を考えるのは、決して逃げではありません。むしろ、自分がもっと気持ちよく、高いパフォーマンスで働くための「ポジティブなキャリアチェンジ」と捉えることが大切です。例えば、仕事内容は好きだけど、上司の細かい指示がストレスでやる気を失ってしまうケースもあるでしょう。もし異動によって、自分のペースで仕事を進められる環境に移れれば、もっと仕事が楽しくなり、成果も出せるようになるかもしれません。このように、働く環境は仕事の成果やモチベーションに大きく影響します。自分に合う環境を求めるのは、自分のキャリアを真剣に考えている証拠です。

会社にとってもミスマッチ解消の機会になる

社員が「上司と合わない」と感じながら働くのは、本人にとってつらいだけでなく、会社にとっても実はマイナスです。本来の力を発揮できなければ、会社全体の生産性も下がってしまいます。そのため、異動希望は「個人のわがまま」ではなく、会社にとってもミスマッチを解消する良い機会になります。社員が自分に合った部署でイキイキと働くことで、仕事の質が上がり、結果として会社の利益にもつながります。適切な部署で働くことは、働く人にとっても会社にとってもメリットがあるのです。

感情的にならず冷静に状況を整理することが大切

異動したいという気持ちが強くなると、つい感情的になってしまいがちです。ですが、円満な異動を目指すなら、一度冷静になることが欠かせません。まずは、「なぜ上司と合わないのか」を具体的に考えてみましょう。「指示が分かりにくい」「人によって態度を変える」など、具体的な理由を言葉にすることで、自分の状況を客観的に見つめ直せます。感情的に不満をぶつけるだけでは、ただの愚痴だと思われてしまいかねません。冷静に状況を整理しておくことで、いざ異動希望を伝える際に、説得力を持って話せるようになります。

なぜ？上司と合わないと感じる主な理由

「上司と合わない」と一言でいっても、その理由はさまざまです。ここでは、よくある理由を以下の通り紹介します。自分はどのケースに当てはまるか、考えてみましょう。

詳しく解説していきます。

仕事の進め方や価値観が違う

仕事に対する考え方の違いは、すれ違いが生まれやすい大きな原因の一つです。例えば、自分は丁寧に時間をかけて完璧な仕事を目指したいのに、上司は「とにかくスピード重視で、質は後からでいい」というタイプかもしれません。どちらが正しいというわけではなく、これは仕事のスタイルの違いです。ですが、この違いが大きいと、お互いにストレスを感じやすくなります。自分のやり方を否定されているように感じて、仕事へのモチベーションが下がってしまうこともあります。

コミュニケーションのスタイルが合わない

仕事はチームで行うものなので、コミュニケーションは非常に重要です。ですが、上司との意思疎通がうまくいかないと、大きなストレスになります。例えば、「指示がいつも曖昧で、結局何をしてほしいのか分からない」「忙しそうで話しかけづらく、簡単な質問もできない」といったケースです。このような状況が続くと、ミスが増えたり、必要な報告や相談が遅れたりして、仕事全体に悪い影響が出てしまう可能性もあります。

理不尽な指示や高圧的な態度を取られる

これは個人の相性の問題だけでなく、より深刻なケースです。その日の気分で言うことがコロコロ変わったり、他の人がいる前で必要以上に怒鳴ったりするなど、理不尽な対応をされると、精神的に追い詰められてしまいます。このような高圧的な態度は、パワハラにあたる可能性もあります。自分の尊厳が傷つけられるような環境で、我慢し続ける必要はまったくありません。自分の心と体を守るためにも、その場から離れることを真剣に考えるべきです。

正当な評価をしてもらえないと感じる

頑張って成果を出しても、それが給料やポジションに全く反映されないと、やりがいを失ってしまいます。「同期は評価されているのに、自分だけ評価されていない」「上司の個人的な好き嫌いで判断されている気がする」といった状況です。自分の頑張りが正しく評価されないことは、仕事へのモチベーションを大きく下げる原因になります。誰だって、努力した分は認められたいものです。この不満が続くようであれば、環境を変えることを検討するのも自然なことです。

異動希望を円満に伝えるための4ステップ

異動したいという気持ちが固まったら、次は行動に移す番です。ですが、伝え方を間違えると、話がこじれてしまう可能性もあります。円満に異動するための具体的なステップを、以下の通り紹介します。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

異動先の部署や仕事をリサーチする

ただ「今の部署が嫌だから異動したい」と言うだけでは、説得力がありません。「なぜ異動したいのか」「異動して何をしたいのか」をセットで伝えることが重要です。そのためにも、まずは異動したい部署の情報を集めましょう。会社のホームページや社内資料で仕事内容を調べたり、可能であればその部署で働く先輩に話を聞いたりしてみるのがおすすめです。具体的に「〇〇の仕事に挑戦してみたい」と言えれば、前向きな姿勢が伝わり、会社側も真剣に検討してくれやすくなります。

伝える相手とタイミングを見極める

異動の相談は、いきなり直属の上司に伝えるのは避けた方が良いかもしれません。まずは、人事部の担当者や、信頼できるさらに上の上司など、相談しやすい相手を見つけるのが一般的です。会社によっては、キャリア面談など、公式に意向を伝えられる場が設けられていることもあります。就業規則や過去の事例を確認して、誰に、どのタイミングで話すのがベストかを見極めましょう。焦って行動せず、慎重に準備することが成功の鍵です。

ポジティブな理由を準備して伝える

異動理由を伝える際は、上司への不満や愚痴を並べるのは絶対にやめましょう。ネガティブな理由ばかりだと、「不満があったらまたすぐ辞めたいと言うのでは？」と悪い印象を与えかねません。そうではなく、「自分の〇〇という強みを活かして、△△部で会社に貢献したい」「将来的に〇〇の専門家になりたく、そのために△△の経験を積みたい」など、自分の成長や会社への貢献意欲をアピールしましょう。前向きでポジティブな理由を伝えることが、円満な異動を後押ししてくれます。

感情的にならず客観的な事実を話す

もし、どうしても現在の上司との関係性について触れなければならない場合は、感情的になるのはNGです。「〇〇な態度が嫌だ」と感情をぶつけるのではなく、「〇〇という指示の出し方をされると、業務に混乱が生じてしまう」のように、起きた出来事（事実）を冷静に説明しましょう。客観的な事実を元に話すことで、個人的な好き嫌いではなく、業務上の課題として聞いてもらいやすくなります。あくまでも「仕事をしやすくするための相談」という姿勢で話すことが大切です。

異動希望を出す前に知っておきたい注意点

異動は新しいキャリアを切り開くチャンスですが、いくつか知っておくべき注意点もあります。後悔しないためにも、以下の通り、事前にリスクを理解しておきましょう。

詳しく解説していきます。

必ずしも希望が通るわけではない

異動希望を出したからといって、100%希望が通るとは限りません。会社の組織は、個人の希望だけで動いているわけではないからです。異動先の部署に受け入れる空きがなかったり、今の部署で重要な役割を担っていて代わりの人がいなかったりすると、希望が通らないこともあります。異動はあくまで「希望」であり、決定権は会社にある、という現実は理解しておきましょう。

異動先でも人間関係に悩む可能性はある

「隣の芝生は青く見える」ということわざがあるように、今の環境から離れたい一心で、異動先を美化しすぎてしまうことがあります。ですが、どんな職場にもいろいろな人がいます。運良く良い上司や同僚に恵まれるかもしれませんが、また別タイプの合わない人がいる可能性もゼロではありません。人間関係の問題が完全に解決する保証はない、という心構えも少し持っておくと良いでしょう。

今の上司との関係が気まずくなることも

異動希望を伝えた後、実際に異動するまでの期間や、もし希望が通らなかった場合に、今の上司との関係が少し気まずくなるリスクはあります。「自分の下で働くのが嫌なのか」と、上司がネガティブに捉えてしまう可能性もあるからです。だからこそ、これまで説明してきたように、伝え方には細心の注意が必要です。相手への配慮を忘れず、できるだけ円満なコミュニケーションを心がけましょう。

異動希望が通らなかった場合の次の選択肢

残念ながら異動希望が通らなかった場合、落ち込んでしまうかもしれません。ですが、そこでキャリアを諦める必要はありません。次のステップとして考えられる選択肢を以下の通り紹介します。

詳しく見ていきましょう。

今の部署で状況を改善できないか試す

異動が叶わなかったとしても、それで終わりではありません。もう一度、今の部署で状況を良くする方法はないか考えてみましょう。例えば、上司への報告の仕方を変えてみる、指示されたことは復唱して確認するなど、自分からコミュニケーションの取り方を工夫することで、関係性が改善する可能性があります。「どうせ無理だ」と諦める前に、自分にできる小さな工夫を試してみる価値はあります。

新しい環境を求めて転職活動を始める

社内での改善や異動が難しいと判断した場合、新しい環境を求めて会社を変える、つまり「転職」も有力な選択肢になります。今の会社で我慢し続けることが、必ずしも正解ではありません。社風や人間関係は会社によって全く違います。自分に合う職場は、きっと他にあるはずです。転職は、自分らしく働ける場所を見つけるための前向きなステップです。自分の可能性を広げるチャンスと捉えて、情報収集から始めてみるのも良いでしょう。

Zキャリアのエージェントに相談してみよう

「異動もダメだったし、どうしたらいいか分からない…」「転職したいけど、何から始めればいいんだろう？」もし一人で悩んでしまったら、キャリアのプロに相談するのも一つの手です。Zキャリアのような転職エージェントは、客観的な視点でアドバイスをくれます。自分では気づかなかった強みを見つけてくれたり、自分に合いそうな会社を紹介してくれたりもします。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることで、道が開けることもたくさんあります。まずは気軽に話を聞いてもらうことから始めてみてはいかがでしょうか。