新卒で広報に配属されるには？仕事内容や適性、就活の進め方を解説

新卒で広報への配属は難しい？その実態を解説

新卒で広報職を目指すにあたり、その配属の可能性は気になる点です。具体的な実態について、以下の項目で解説します。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

新卒採用で広報職の募集は少ない傾向にある

新卒ですぐに広報職に就けるケースは、正直なところ多くありません。広報は会社の顔となる重要なポジションであり、ビジネスの全体像や自社の商品・サービスを深く理解している必要があります。そのため、まずは他の部署で経験を積んだ社員が配属されるのが一般的です。特に大手企業では、新入社員はまず営業や販売といった現場でお客様と直接関わる部署に配属されることが多いです。そこで得た知識や経験が、のちに広報として会社の魅力を語る上で大きな武器になるからです。

他部署を経験してから異動するケースが多い

多くの企業では、広報部門への異動は社内でのキャリアパスの一つとして用意されています。例えば、営業職として数年間働き、自社の商品知識や顧客のニーズを肌で感じた後に、その経験を活かして広報部門へ異動するというのが典型的な例です。このルートのメリットは、現場を知っているからこそ、よりリアルで説得力のある情報発信ができる点にあります。将来的に広報を目指すのであれば、最初の配属先で得られる経験がすべて広報の仕事につながると考え、前向きに取り組むことが大切です。

ベンチャー企業や中小企業ではチャンスがある

大手企業とは対照的に、ベンチャー企業や中小企業では新卒で広報に配属されるチャンスが比較的多くあります。これらの企業では、一人の社員が複数の役割を兼務することも珍しくなく、組織も柔軟です。「広報専任」という形ではなくても、SNSの運用やプレスリリースの作成など、広報に関連する業務を任される可能性があります。成長中の企業で、会社の知名度を上げるプロセスに最初から関われるのは、大きなやりがいと経験になるでしょう。早くから実践的なスキルを身につけたいと考えるなら、こうした企業を視野に入れるのも一つの手です。

BtoC企業の方が配属の可能性が高い

企業の種類によっても、広報の重要性は異なります。特に、一般消費者を相手にするBtoC企業は、新卒で広報に配属される可能性が比較的高いといえるでしょう。BtoC企業とは、食品メーカー、化粧品会社、アパレルブランドなど、私たちにとって身近な商品やサービスを提供している会社のことです。これらの企業にとって、テレビCMや雑誌、SNSなどを通じた情報発信は売上に直結する重要な活動です。そのため、若い感性やトレンドを読む力を求めて、新卒社員を広報部門に積極的に配置することがあります。

そもそも広報の仕事ってどんなことをするの？

広報の仕事は華やかなイメージがあるかもしれませんが、実際には多岐にわたります。具体的な仕事内容は以下の通りです。

詳しく解説していきます。

メディア関係者との良好な関係を築く

テレビや新聞、雑誌、Webメディアの記者や編集者と良い関係を築くことは、広報の非常に重要な仕事です。これを「メディアリレーションズ」と呼びます。自社の新しい商品や取り組みを記事や番組で取り上げてもらえるように、日頃から情報提供を行ったり、取材の対応をしたりします。具体的には、記者の方々と直接会って話をしたり、発表会を企画したりすることもあります。地道なコミュニケーションを重ねて信頼関係を築き、「この会社の情報なら面白いかも」と思ってもらうことが、会社の知名度アップにつながる第一歩です。

プレスリリースを作成して会社の情報を発信する

プレスリリースとは、メディアに向けた公式なお知らせ文書のことです。新商品の発売、新しいサービスの開始、イベントの開催、業績の発表など、会社に何か新しい動きがあった際に作成し、各メディアに配信します。このプレスリリースが記事になるかどうかのカギを握るため、分かりやすく、魅力的な内容に仕上げる文章力が求められます。ただ事実を並べるだけでなく、その情報が世の中にとってどれだけ価値があるのかを伝え、記者の興味を引く工夫が必要です。

SNSアカウントを運用してファンを増やす

今やX（旧Twitter）やInstagram、TikTokといったSNSの運用は広報の重要な仕事の一つです。企業アカウントを通じて、新商品の情報だけでなく、会社の日常や働く社員の様子などを発信し、会社の「ファン」を増やすことを目指します。ただ情報を流すだけでなく、フォロワーからのコメントに返信したり、面白い企画を実施したりと、双方向のコミュニケーションが求められます。特に若い世代をターゲットにする企業にとっては、SNSでの評判が企業のイメージを大きく左右するため、非常に重要な役割を担っています。

社内報などを通じて社内にも情報を伝える

広報の仕事は、会社の外に向けて情報を発信するだけではありません。社内に向けて情報を発信する「社内広報」も大切な役割です。会社の経営方針や各部署の取り組みを社内報や社内SNSで共有し、社員の一体感を高めたり、モチベーションを上げたりすることを目指します。例えば、ある部署での成功事例を紹介することで、他の部署の社員も「自分たちも頑張ろう」という気持ちになります。社員が自分の会社に誇りを持ち、いきいきと働ける環境を作るための、縁の下の力持ち的な存在といえるでしょう。

広報担当者に向いている人の特徴

広報の仕事内容が分かったところで、どんな人が向いているのか気になりますよね。広報担当者に求められる適性は、主に以下の通りです。

詳しく解説していきます。

会社のことが心から好きである

広報は、誰よりも会社の「一番のファン」であることが求められます。会社の魅力を自分の言葉で熱く語るのが仕事だからです。自社の商品やサービス、そして一緒に働く仲間のことを心から好きでなければ、その熱意はメディアや世の中の人々には伝わりません。面接の場でも「なぜこの会社で広報がしたいのか」という質問は必ずされます。その時に、どれだけその会社への愛情や情熱を伝えられるかが、適性を見られる上で非常に重要なポイントになります。

人と話すのが得意でコミュニケーション能力が高い

社内外の多くの人と関わるため、高いコミュニケーション能力は必須です。社外ではメディアの記者、社内では経営層から現場の社員まで、様々な立場の人と円滑に話を進める必要があります。ただおしゃべりが好きというだけでなく、相手が何を知りたいのかを正確に理解し、分かりやすく説明する力が求められます。また、相手に好印象を与え、信頼関係を築く人間的な魅力も大切です。初対面の人とでも臆せず話せる積極性があると、より活躍できるでしょう。

文章を書いたり読んだりすることが苦にならない

広報の仕事は、プレスリリースやSNS投稿など、文章を書く機会が非常に多いです。そのため、文章の作成能力は欠かせません。分かりやすく、簡潔で、かつ魅力的な文章を書くスキルが求められます。また、世の中のニュースやトレンドを常に把握しておく必要があるため、新聞や雑誌、Webニュースなどを日常的に読む習慣も大切です。新しい情報をインプットし、それを自分の言葉でアウトプットする作業が好きであれば、広報の仕事にやりがいを感じられるでしょう。

予期せぬ事態にも冷静に対応できる

広報は、時には会社の危機管理を担うこともあります。例えば、商品に不具合が見つかったり、SNSでネガティブな情報が広まったりした際に、会社の代表として冷静かつ誠実に対応しなければなりません。パニックにならずに状況を正確に把握し、次に何をすべきかを判断する力が求められます。予期せぬトラブルが起きても動じない精神的な強さや、プレッシャーのかかる場面でも落ち着いて行動できる人は、広報担当者として非常に頼りにされる存在です。

新卒で広報に配属されるメリット

新卒で広報になることには、他では得られない特別な経験ができます。具体的なメリットは以下の通りです。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

会社の顔として最前線で活躍できる

広報はまさに「会社の顔」として、社会と会社をつなぐ最前線に立つ仕事です。自分の発信した情報がニュースになったり、SNSで多くの人に届いたりするのを直接見ることができるのは、大きなやりがいになります。若いうちから会社の代表として責任ある仕事を任されることで、大きな自信と誇りを持つことができるでしょう。自分の働きが会社のイメージアップや成長に直結していると感じられる瞬間は、何物にも代えがたい喜びです。

経営層と近い距離で仕事ができる

広報は、会社の経営方針や事業戦略に深く関わるため、社長や役員といった経営層と直接やりとりする機会が多くあります。会社のトップが何を考えているのかを間近で聞き、会社がどこへ向かっているのかをいち早く知ることができます。若いうちから高い視座で物事を考える癖がつき、ビジネスの全体像を捉える力が養われます。これは、将来どんなキャリアを歩む上でも非常に役立つ貴重な経験となるでしょう。

多様な業務を通じて幅広いスキルが身につく

広報の仕事は、メディア対応、文章作成、イベント企画、SNS運用など、非常に多岐にわたります。そのため、コミュニケーション能力や文章力はもちろん、企画力、調整力、交渉力、危機管理能力など、ビジネスパーソンとして必要なスキルを幅広く身につけることができます。一つの分野にとどまらず、様々な業務に挑戦できる環境は、自分自身の可能性を広げる絶好の機会です。ここで得たスキルはポータブルスキル（持ち運び可能なスキル）として、将来のキャリアチェンジの際にも大きな武器になります。

新卒で広報に配属されるデメリット

一方で、新卒で広報になることには大変な側面もあります。考えられるデメリットは以下の通りです。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

仕事の成果が数字で分かりにくい

広報の仕事は、営業職のように「売上〇〇円」といった明確な数字で成果が見えにくいという側面があります。会社の知名度がどれだけ上がったか、企業イメージがどれだけ良くなったかを測るのは簡単ではありません。そのため、自分の仕事の価値を実感しにくかったり、社内での評価が曖昧に感じられたりすることがあるかもしれません。日々の活動の意義を自分自身で見出し、モチベーションを維持していく力が必要になります。

突発的な仕事や緊急時の対応が多い

広報の仕事は、メディアからの急な取材依頼や、予期せぬトラブルへの対応など、突発的な業務が発生しやすいです。定時で帰るつもりが、夕方になって急な対応に追われるということも珍しくありません。プライベートの予定が立てにくかったり、ワークライフバランスを保つのが難しかったりする場面もあるでしょう。計画通りに仕事を進めたい人にとっては、ストレスに感じるかもしれません。柔軟な対応力と、オンオフを切り替える工夫が求められます。

常に会社の代表として見られるプレッシャーがある

広報担当者は、勤務時間外であっても「〇〇会社の社員」として見られます。特にSNSでの個人的な発信などには、細心の注意が必要です。うっかり不適切な投稿をしてしまうと、個人の問題だけでなく、会社全体のイメージダウンにつながりかねません。常に会社の看板を背負っているという意識を持つ必要があり、それをプレッシャーに感じる人もいるでしょう。公私の区別をしっかりつけ、責任ある行動を心がけることが求められます。

新卒で広報配属を勝ち取るための就活戦略

広報への道は簡単ではありませんが、戦略的に就職活動を進めることで可能性は高まります。具体的な戦略は以下の通りです。

詳しく解説していきます。

広報職として募集している企業を探す

まずは、新卒採用で「広報職」を明確に募集している企業を探すのが最も確実な方法です。数は多くありませんが、特にIT企業やベンチャー企業、BtoC企業などで見つけることができます。就職活動サイトの検索機能で「広報」「PR」といったキーワードで絞り込んだり、企業の採用ページを個別にチェックしたりして、根気強く探してみましょう。職種別採用を行っている企業は、入社後の配属ミスマッチが少ないというメリットもあります。

なぜ広報になりたいのかを具体的に説明する

面接では「なぜ営業ではなく、広報なのですか？」と必ず聞かれます。この質問に、自分自身の言葉で、説得力のある答えを用意しておくことが重要です。「華やかでかっこいいから」といった漠然とした憧れだけでは、採用担当者には響きません。「この会社の〇〇という魅力を、自分の言葉で世の中に広めたい」「△△という経験を活かして、貴社の情報発信に貢献したい」など、その会社でなければならない理由と、自分の強みを結びつけて語れるように準備しましょう。

学生時代の経験と広報の仕事を関連づける

学生時代の経験の中で、広報の仕事につながるものをアピールしましょう。特別な経験である必要はありません。例えば、サークル活動でSNSアカウントを運用して新入部員を増やした経験や、文化祭でパンフレットを作成して来場者を集めた経験なども立派なアピール材料になります。「目的を達成するために、誰に、何を、どのように伝えたか」という視点で自分の経験を振り返り、広報の仕事で求められる「伝える力」や「企画力」があることを示しましょう。

インターンシップに参加して意欲と適性を示す

もし興味のある企業が広報部門のインターンシップを募集していたら、積極的に参加しましょう。実際に広報の仕事を体験できるだけでなく、企業に自分の名前と顔を覚えてもらい、熱意をアピールする絶好の機会です。インターンシップでの働きぶりが評価されれば、本選考で有利になることも少なくありません。たとえ短期間であっても、社員の方々と一緒に働く経験は、仕事への理解を深め、志望動機をより具体的なものにする上で非常に役立ちます。

希望の配属が叶わなかった場合のキャリアプラン

もし新卒で広報に配属されなかったとしても、がっかりする必要はありません。将来的に広報になるための道はたくさんあります。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

営業職で顧客への理解を深める

まず営業職を経験することは、将来の広報活動にとって大きなプラスになります。お客様がどんなことに悩み、何を求めているのかを直接知ることができるからです。この「顧客視点」は、世の中の人が共感する情報発信をする上で欠かせません。現場で培った商品知識や顧客への深い理解は、机の上で学ぶことのできない貴重な財産です。遠回りに見えるかもしれませんが、実は広報のプロになるための最短ルートの一つだといえるでしょう。

マーケティング職で市場を読む力を養う

マーケティング職も、広報と非常に親和性の高い仕事です。市場調査やデータ分析を通じて、「どうすれば商品が売れるのか」「どんな情報が求められているのか」を考える力は、広報戦略を立てる上で直接的に役立ちます。広報が「会社のファンを作る」仕事だとすれば、マーケティングは「商品を買ってくれるお客様を作る」仕事です。この二つの視点を併せ持つことで、より効果的な情報発信ができるようになります。

社内公募制度を利用して異動を目指す

多くの企業には、社員が自ら希望する部署への異動を申請できる「社内公募制度」があります。最初の配属先でしっかりと成果を出し、広報の仕事への熱意をアピールし続ければ、この制度を使って広報部門へ異動できる可能性があります。そのためには、日頃から広報部門の社員と交流を持ったり、会社のニュースに関心を持ち続けたりすることが大切です。チャンスが来た時にすぐ手を挙げられるように、常に準備しておく姿勢が将来の道を開きます。

広報のキャリアで悩んだらプロに相談しよう

ここまで広報の仕事について解説してきましたが、一人で就職活動を進めることに不安を感じるかもしれません。そんな時は、転職のプロに相談するのも一つの有効な手段です。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

客観的な視点で自分の適性を見つめ直す

自分では広報に向いていると思っていても、キャリアのプロから見ると、もっと別の可能性が見つかることもあります。キャリアエージェントとの面談を通じて、自分の強みや弱みを客観的に分析してもらうことで、自分では気づかなかった適性やキャリアの選択肢が見えてくるかもしれません。「本当に広報でいいのか」「他の仕事も見てみたい」といった漠然とした悩みでも、丁寧に話を聞き、一緒に考えてくれます。視野を広げる良い機会になるでしょう。

自分に合った広報の求人を紹介してもらう

世の中には、一般には公開されていない「非公開求人」というものが存在します。転職エージェントは、こうした特別な求人情報を持っていることがあります。その中には、新卒や未経験者を歓迎する広報の求人が含まれている可能性もあります。自力で探すだけでは見つけられなかった、思わぬ優良企業との出会いがあるかもしれません。企業の詳しい社風や働く環境といった、求人票だけでは分からないリアルな情報を提供してもらえるのも大きなメリットです。

Zキャリアのエージェントに相談してみよう

広報の仕事に興味があるけれど、何から始めたらいいか分からない、自分の経歴で挑戦できるか不安、といった悩みを抱えているなら、ぜひ一度Zキャリアのエージェントに相談してみてください。Zキャリアは、若年層のキャリアサポートに特化しており、未経験からのチャレンジを応援しています。専任のキャリアアドバイザーが、一人ひとりの希望や適性を丁寧にヒアリングし、最適なキャリアプランを一緒に考えます。面接対策や書類の添削など、就職活動のあらゆる場面であなたを力強くサポートします。一人で悩まず、まずは気軽に話を聞くことから始めてみませんか。