残業が多いことを転職理由にするのはアリ？好印象な伝え方の例文と注意点を解説

「残業が多い」という転職理由は面接で伝えてもいいの？

「残業が多い」という事実は、転職を考える上で正当な理由の一つです。面接で正直に伝えて良いのか迷うかもしれませんが、ポイントを押さえれば問題ありません。具体的には以下の項目について解説します。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

伝え方次第で立派な転職理由になる

ポジティブな意欲とセットで伝えることが、残業を転職理由にする際の最も重要なポイントです。ただ「残業が嫌だ」と伝えるだけでは、仕事への意欲が低いと誤解されかねません。ですが、「スキルアップのための勉強時間を確保したい」「より生産性の高い働き方で会社に貢献したい」といった前向きな目的を添えることで、向上心のある人材だとアピールできます。

面接官は、応募者が将来どのように活躍してくれるかを知りたいと思っています。そのため、残業という事実を、自身のキャリアプランを実現するためのステップとして位置づけて話すことができれば、納得感のある転職理由になります。

正直に伝えることで入社後のミスマッチを防ぐ

正直に労働環境への希望を伝えることは、自分自身を守るためにも非常に重要です。もし残業に関する考えを隠して入社してしまうと、また同じように長時間労働に悩むことになりかねません。それでは、せっかく転職した意味がなくなってしまいます。

面接は、企業が応募者を選ぶ場であると同時に、応募者が企業を見極める場でもあります。自分の働き方の価値観を正直に伝え、それに理解を示してくれる企業を選ぶことが、長く健康的に働き続けるための鍵です。正直に話すことで、お互いの期待値がズレていないかを確認でき、入社後の「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを未然に防ぐことができます。

労働環境を重視する姿勢はむしろ評価される

最近では、社員の働きやすさを重視する企業が増えています。そのため、健全な労働環境で長く貢献したいという姿勢は、むしろポジティブに評価されることがあります。自分の心と体の健康を大切にし、プライベートの時間も充実させたいと考えるのは、決してわがままではありません。むしろ、限られた時間の中で集中して成果を出そうとする、自己管理能力の高さの表れと捉えることもできます。

企業の働き方改革への取り組みなどを事前に調べておき、それに共感している旨を伝えられれば、「自社の風土に合う人材だ」と思ってもらえる可能性も高まるでしょう。

なぜ「残業が多い」という転職理由はネガティブに聞こえがち？

「残業が多い」という理由は、伝え方を間違えるとマイナスの印象を与えてしまう可能性があります。なぜネガティブに捉えられることがあるのか、その理由を理解しておくことが対策の第一歩です。具体的には以下の項目について解説します。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

仕事への意欲が低いと判断されるから

「残業が多いから辞めたい」という言葉の裏には、「楽をしたいだけなのでは？」という意欲の低さを疑われるリスクが潜んでいます。特に成長意欲の高い若手を採用したいと考えている企業にとっては、「困難なことから逃げ出してしまうのではないか」という懸念材料になり得ます。

採用担当者は、仕事に対して情熱を持ち、積極的に取り組んでくれる人材を求めています。そのため、単に労働時間への不満を述べるだけでは、仕事そのものへの興味や関心が薄いと判断されてしまう可能性があります。残業を理由にする際は、仕事への前向きな姿勢をセットで示すことが不可欠です。

他責思考で不満ばかり言う人だと思われるから

周りの環境のせいにする他責思考の持ち主だと見なされることも、懸念される点の一つです。残業が多くなった原因について、会社や上司のせいにするような話し方をしてしまうと、「この人は何か問題があれば、すぐに周りのせいにするのではないか」と思われてしまいます。

企業は、課題に対して当事者意識を持ち、自ら解決しようと行動できる人材を求めています。そのため、前職の不満を並べ立てるだけでは、「協調性がなく、チームの輪を乱すかもしれない」という印象を与えかねません。あくまで原因は過去の職場環境にあるとしつつも、自分自身は新しい環境でどう貢献したいのかを未来志向で語ることが大切です。

すぐに辞めるのではないかと懸念されるから

採用担当者が最も気にするポイントの一つが、採用した人材がすぐに辞めてしまわないかという定着性です。「残業が多い」という理由で一度転職しているため、「うちの会社でも、少しでも残業があったらまた辞めてしまうのではないか」という不安を抱かせてしまう可能性があります。

企業にとって、採用や教育には多くのコストと時間がかかります。だからこそ、長く会社に貢献してくれる人材を慎重に見極めようとします。そのため、残業に対して極端に拒否反応を示すような伝え方は避け、「必要な残業にはもちろん対応する」という柔軟な姿勢を見せることが、こうした懸念を払拭するために重要になります。

面接で好印象を与える転職理由の伝え方と例文

ここからは、実際に面接で「残業が多い」ことを転職理由として伝える際に、好印象を与えるための具体的な方法と例文を紹介します。以下のポイントを意識することで、ネガティブな印象を避け、自身の魅力を効果的にアピールできます。

各項目について、例文を交えながら詳しく解説していきます。

前向きなキャリアプランとセットで伝える

将来の目標達成と結びつけて話すことで、向上心の高さをアピールできます。ただ残業を減らしたいのではなく、その先にある目的を明確にすることが重要です。

（例文） 「前職では、多いときで月に80時間ほどの残業があり、やりがいを感じていました。ですが、日々の業務に追われ、今後のキャリアに必要だと考えている資格の勉強時間を確保することが難しい状況でした。御社では、社員のスキルアップを支援する制度が充実していると伺っております。業務にしっかりと取り組みながら、自己成長の時間も確保し、より専門性を高めて貢献していきたいと考えております。」

このように話すことで、単なる不満ではなく、成長意欲に基づいた転職であることが伝わります。

具体的な数字を交えて客観的な事実を説明する

具体的な数字を用いることで、話の信憑性が増し、客観的な事実として伝えることができます。「すごく残業が多かった」のような曖昧な表現では、ただの愚痴に聞こえてしまいがちです。

（例文） 「前職では、毎月平均して60時間ほどの残業がありました。チームで協力して業務効率化にも取り組みましたが、業界の構造上、長時間労働が常態化している状況でした。御社が推進されている『ノー残業デー』のような取り組みに大変魅力を感じております。限られた時間の中で最大限のパフォーマンスを発揮し、生産性の向上に貢献したいと考えております。」

数字を出すことで、個人の感情ではなく、誰が聞いても「それは大変だった」と理解できる状況説明が可能になります。

残業代が出ないことは労働環境への問題意識として話す

サービス残業が常態化していた場合、正当な評価を求める姿勢として伝えることができます。お金のことだけを問題にするのではなく、企業のコンプライアンス意識や、社員を大切にする姿勢への共感と結びつけましょう。

（例文） 「前職では、残業代が支払われないケースも多く、労働環境に対して少し疑問を感じておりました。もちろん、必要な業務であれば時間外に対応するのは当然だと考えております。ですが、頑張りが正当に評価され、社員を大切にするクリーンな環境で働きたいという思いが強くなりました。御社のコンプライアンスを重視する姿勢に大変共感しており、そのような環境でこそ、安心して仕事に打ち込み、貢献できると考えております。」

このように伝えることで、誠実な人柄と、働く上でのしっかりとした軸を持っていることを示せます。

ワークライフバランスの実現意欲をアピールする

ワークライフバランスを重視する姿勢は、仕事とプライベートの両方を充実させ、長期的に活躍したいという意欲の表れとして伝えることができます。

（例文） 「前職では長時間労働が続くこともあり、体調管理の難しさを感じることがありました。仕事で高いパフォーマンスを維持するためには、プライベートの時間で心身をリフレッシュすることも大切だと考えております。仕事とプライベートにメリハリをつけられる御社の環境で、常に万全の状態で業務に臨み、長く安定して貢献していきたいです。」

これは、自己管理能力の高さと、長期的な就労意欲のアピールに繋がります。

応募先企業の働き方を魅力に感じていると結びつける

最後は必ず、応募先企業へのポジティブな志望動機で締めくくることが重要です。「だから、この会社で働きたい」という熱意を伝えることで、転職理由全体が前向きな印象になります。

（例文） 「（前述の理由に続けて）御社が導入されているフレックスタイム制度や、効率的な業務フローに大変魅力を感じています。そのような環境で、私も自身の時間管理能力を活かし、チームの一員として生産性の向上に貢献したいと強く思っております。」

前職の退職理由と、応募先企業への志望動機が一貫していることで、話に説得力が生まれます。

面接で「残業が多い」と伝える際のNGな言い方

ポジティブな伝え方がある一方で、面接で避けるべきNGな表現も存在します。知らず知らずのうちにマイナスの印象を与えてしまわないよう、注意すべきポイントをしっかり押さえておきましょう。具体的には以下の項目について解説します。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

前職への不平不満や愚痴だけを言う

前職の悪口や愚痴に終始することは、絶対に避けなければなりません。「上司が仕事を押し付けてきた」「会社の体制が古かった」など、他者のせいにするような発言は、不満ばかり言う他責思考の人という印象を与えてしまいます。たとえ事実であったとしても、それをそのまま伝えるのは得策ではありません。

面接官は、応募者が新しい環境でどのように貢献してくれるかを知りたいのであって、過去の職場の愚痴を聞きたいわけではないのです。あくまで退職理由は未来へのステップと捉え、前向きな言葉で締めくくることを意識しましょう。

「残業は一切したくない」と断言する

「残業は絶対にできません」と頑なに拒否する姿勢を見せるのもNGです。企業側も繁忙期や緊急のトラブル対応など、やむを得ず残業が発生するケースがあることを理解しています。そのような状況で協力する姿勢が全く見られないと、「チームワークを乱すのではないか」「柔軟性がない」と判断されてしまいます。

もちろん、無駄な残業はすべきではありませんが、「基本的には定時で業務を終える努力をしますが、必要な場合にはもちろん協力します」というように、状況に応じる柔軟な姿勢を示すことが大切です。これにより、責任感のある社会人としての常識をアピールできます。

「しんどかった」など感情的な表現を使う

「つらかった」「きつかった」「しんどかった」といった感情的な言葉に頼るのは避けましょう。これらの言葉は主観的で、具体性に欠けるため、面接官には状況が正確に伝わりません。そればかりか、ストレス耐性が低い、精神的に弱いといったネガティブな印象を与えてしまうリスクもあります。

大変だった気持ちは分かりますが、そこはぐっとこらえて、「月に平均〇〇時間の残業があり、スキルアップの時間を確保することが困難でした」のように、客観的な事実と具体的な数字を用いて冷静に説明することを心がけましょう。その方が、あなたの状況がより正確に伝わり、説得力も増します。

残業が多くて転職活動の時間が作れない場合の進め方

「転職したい気持ちはあるけれど、日々の残業が多すぎて活動する時間がない…」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。ですが、諦める必要はありません。忙しい中でも効率的に転職活動を進める方法はあります。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

スキマ時間を活用して情報収集を進める

通勤中の電車やバス、昼休みなどのスキマ時間を有効活用しましょう。スマートフォン一つあれば、求人サイトをチェックしたり、気になる企業の情報を集めたりすることができます。毎日30分でも転職活動の時間を確保できれば、1週間で3時間半、1ヶ月では約15時間にもなります。

この積み重ねが、大きな差を生むのです。まずは、転職情報サイトのアプリをダウンロードすることから始めてみましょう。空いた時間に求人を眺めるだけでも、自分のやりたいことや、興味のある業界が見えてくるきっかけになります。

オンライン面接を積極的に活用する

近年、面接をオンラインで実施する企業が非常に増えています。オンライン面接であれば、会社を休んだり、早退したりすることなく、自宅から参加することが可能です。移動時間もかからないため、時間の節約に大きく貢献します。

求人に応募する際や、企業から面接の連絡が来た際に、「オンラインでの面接は可能でしょうか？」と相談してみましょう。柔軟に対応してくれる企業も多いはずです。これにより、平日の夜や、仕事の合間を縫って面接を受けるチャンスが広がり、転職活動のハードルがぐっと下がります。

企業研究や自己分析を効率的に行う

企業研究や自己分析も、ツールを使って効率化することができます。企業の口コミサイトを見れば、実際に働いている人や過去に働いていた人のリアルな声を知ることができ、求人票だけでは分からない社風や労働環境を把握するのに役立ちます。

また、Web上にある自己分析ツールを使えば、自分の強みや価値観を客観的に整理することができます。これらをスキマ時間に行うことで、いざ応募書類を作成したり、面接に臨んだりする際に、スムーズに自分の考えをまとめることができるようになります。

転職エージェントにサポートを依頼する

忙しい人にとって最も効果的な方法が、転職エージェントの活用です。転職エージェントに登録すると、専任のキャリアアドバイザーが担当につき、希望に合った求人の紹介から、企業との面接日程の調整、給与などの条件交渉まで、あらゆる面でサポートしてくれます。

自分一人で求人を探す手間が省けるだけでなく、一般には公開されていない非公開求人を紹介してもらえることもあります。何より、転職活動のプロにいつでも相談できるという心強さは、忙しい中での活動の大きな支えになるでしょう。

転職理由の伝え方に悩んだらプロに相談しよう

ここまで、残業を転職理由にする際のポイントを解説してきましたが、「自分一人でうまく伝えられるか不安…」と感じることもあるでしょう。そんな時は、転職のプロである転職エージェントに相談するのがおすすめです。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

客観的な視点で強みを引き出してくれる

自分では当たり前だと思っている経験が、実は大きなアピールポイントになることがあります。転職エージェントは、数多くの求職者と接してきたプロの視点から、自分では気づけなかった強みやスキルを発見してくれます。

「残業が多い」という経験も、見方を変えれば「高い集中力」や「タフな環境での遂行能力」といった強みに変換できるかもしれません。第三者の客観的なアドバイスを受けることで、より説得力のある自己PRを作成することができます。

面接官に響く言い方に添削してくれる

考えた転職理由を、より面接官に響く表現にブラッシュアップしてくれるのも、エージェントを利用する大きなメリットです。キャリアアドバイザーは、企業がどのような人材を求めているかを熟知しています。そのため、あなたの転職理由を、企業の求める人物像と結びつけながら、より魅力的で説得力のある言い方を一緒に考えてくれます。模擬面接などを通じて、話し方や表情まで含めた実践的なアドバイスをもらえるので、自信を持って本番の面接に臨むことができます。

労働環境が良い優良求人を紹介してくれる

転職エージェントは、労働環境が整っている企業の求人を多く保有しています。エージェントは企業と密に連携しているため、求人票だけでは分からない社内の雰囲気や平均残業時間、有給休暇の取得率といった内部情報を把握していることが多いのです。そのため、「次は残業の少ない会社で働きたい」という希望を伝えれば、その条件に合った優良企業を紹介してもらえる可能性が高まります。自分で一つひとつ調べる手間が省け、ミスマッチのない転職を実現しやすくなります。

Zキャリアのエージェントに相談してみよう

転職活動は、一人で進めると不安や疑問がつきものです。特に、転職理由の伝え方は合否を左右する重要なポイントであり、多くの人が悩む部分でもあります。

もし少しでも不安を感じたら、私たちZキャリアのエージェントに相談してみませんか？ Zキャリアは、Z世代のノンデスクワーカーの転職支援に特化しています。あなたの経歴や希望を丁寧にヒアリングし、残業という転職理由を、あなたの魅力が伝わるポジティブなアピールに変えるお手伝いをします。面接対策はもちろん、あなたの価値観に合った、本当に働きやすい職場を一緒にお探しします。まずは気軽に話を聞いてみるだけでも大丈夫です。あなたの新しい一歩を、全力でサポートさせてください。