配属の内示はいつから誰に言うべき？口外のルールと正しい対応

配属の内示とは？まず知っておきたい基本

会社から配属の内示が出ると、今後の働き方が変わるかもしれないと、少しドキドキしますよね。まずは、内示がどういうものなのか、基本的な知識から確認しましょう。以下の項目について解説します。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

正式な辞令の前に伝えられる

内示とは、正式な辞令が出る前に、対象者本人にだけ「近々、異動や昇進がありますよ」と、こっそり伝えられることです。あくまで「内々に示す」ものなので、この時点ではまだ決定事項ではありません。

正式な「辞令」は、会社からの公式な命令書のようなもので、全社員に公表されることもあります。一方、内示は、辞令を出す前の準備期間と考えると分かりやすいでしょう。例えば、引越しが必要な異動の場合、内示があれば事前に部屋探しなどの準備を進められます。会社からの「そろそろ心の準備をお願いしますね」というサインと受け取ってください。

周囲への影響を最小限にする目的がある

内示が行われる大きな理由の一つに、人員配置の変更による影響を少なくするという目的があります。もし、ある日突然「明日から〇〇さんは別の部署です」と発表されたら、本人も周りの社員もびっくりしてしまい、仕事に支障が出るかもしれません。

例えば、チームのリーダーが異動する場合、後任を誰にするか、仕事の引き継ぎをどうするかなど、事前に準備することがたくさんあります。内示によって、対象者や関係する上司が前もって準備を進めることで、部署全体の仕事がスムーズに進むようになります。急な変更で現場が混乱するのを防ぐ、会社の配慮でもあるのです。

会社が円滑な人員配置をするために行う

会社は、事業をスムーズに進めるために、社員の能力や経験、そして会社の将来の計画を考えて、最適な人員配置を常に検討しています。その一環として行われるのが、異動や昇格といった人事です。

内示は、この人員配置を円滑に進めるための重要なステップです。例えば、「このプロジェクトには君の力が必要だから、来月から新しい部署で頑張ってほしい」といった形で、会社側の期待を伝える場でもあります。内示を通じて、会社と社員の間で意思疎通を図り、大きな変化に対してお互いに準備をすることで、より良い組織運営を目指しているのです。

配属の内示はなぜ口外してはいけないの？

「内示が出た！新しい部署だ！」と、つい誰かに話したくなる気持ちはよく分かります。ですが、内示をむやみに口外するのはルール違反です。なぜ話してはいけないのか、その理由について以下の通り解説します。

各項目について、詳しく解説していきます。

他の社員のモチベーション低下を防ぐため

内示の内容は、他の社員のやる気に影響することがあります。例えば、自分が希望していた部署に同僚が異動すると知ったら、どう感じるでしょうか。「自分も行きたかったのに…」と、少し落ち込んでしまうかもしれません。

また、ある人が昇進するという内示が広まると、「なぜあの人が？自分の方が頑張っているのに」と感じる人が出てくる可能性もあります。こうしたネガティブな感情は、職場の雰囲気を悪くしたり、チームの団結力を下げたりする原因になります。正式な発表があるまでは情報を伏せておくことで、全社員が気持ちよく働き続けられるように配慮しているのです。

決定事項が覆る可能性が残っているため

内示は、あくまで「内々の打診」であり、まだ変更される可能性があることを覚えておきましょう。会社の経営状況の急な変化や、他の社員の急な退職など、予期せぬ事態が起きた場合、内示が取り消されたり、内容が変更されたりすることがあります。

もし、あなたが「来月から〇〇部に異動するんだ」と周りに話してしまった後に、その話がなくなったらどうでしょう。話を聞いた同僚は混乱しますし、あなた自身も気まずい思いをすることになります。「あの話、どうなったの？」と聞かれるたびに、事情を説明するのは大変です。こうした余計なトラブルを避けるためにも、内示の段階では口を閉ざしておくのが賢明です。

社内外の混乱を避けるため

人事異動の情報は、社内だけでなく社外にも影響を及ぼす場合があります。特に、取引先と深く関わる営業担当者などの異動は、非常に重要な情報です。

例えば、ある取引先の担当者が変わるという情報が正式発表の前に漏れてしまったら、取引先は「後任は誰なんだろう？」「今後の取引は大丈夫かな？」と不安になってしまいます。最悪の場合、会社間の信頼関係にヒビが入ることもあり得ます。社内の秩序を守り、社外との関係を良好に保つためにも、人事情報は厳重に管理する必要があるのです。

情報漏洩のリスクをなくすため

内示の内容は、会社の重要な経営情報の一部です。誰がどの部署に異動するかという情報は、会社の今後の事業戦略と密接に関わっています。

もし、こうした情報が競合他社に漏れてしまったら、会社の計画が筒抜けになり、ビジネスで不利な状況に立たされるかもしれません。自分にとっては単なる「異動の話」でも、会社全体から見れば、外部に漏れてはいけない機密情報にあたるのです。「これくらい大丈夫だろう」という軽い気持ちで話したことが、結果的に会社に大きな損害を与えてしまうリスクがあることを忘れないでください。

配属の内示を話しても良い範囲とタイミング

「口外禁止」と言われると、誰にも言えず一人で抱え込むのは少し心細いかもしれません。では、いつから、誰になら話しても良いのでしょうか。その具体的な範囲とタイミングについて、以下の通り解説します。

各項目について、詳しく解説していきます。

正式な発表後、同僚に伝える

同僚や先輩・後輩に内示について話すのは、必ず会社の正式な発表を待ってからにしましょう。これが最も安全で、トラブルにならない基本のルールです。

正式な発表があれば、それはもう「内緒の話」ではなく「周知の事実」になります。発表後であれば、「実は内示を受けていて…」と話す必要もなく、「来月から〇〇部に異動になりました。今までお世話になりました！」と堂々と挨拶ができます。フライングで話してしまうと、人間関係がギクシャクする原因にもなりかねません。仲の良い同僚にこそ、筋を通し、正式なタイミングで伝えるのが社会人としてのマナーです。

家族には慎重に状況を説明する

転勤で引越しが必要になるなど、家族の協力が不可欠な場合は、相談する必要があります。ですが、その場合でも伝え方には注意が必要です。

まずは、「会社から、もしかしたら異動になるかもしれないという話があった」というように、まだ決定ではないことを明確に伝えましょう。そして、「この話はまだ正式なものではないから、他の人には絶対に言わないでほしい」と、口止めを徹底してもらうことが大切です。家族だからといって安心せず、情報管理の重要性をしっかりと共有してください。内示の段階で話すのは、本当に必要な最低限の範囲に留めるのが鉄則です。

上司から許可を得た相手に限定する

業務の引き継ぎなどで、どうしても事前に伝える必要がある場合は、必ず上司に相談し、許可を得てからにしてください。自分の判断で勝手に話を進めてはいけません。

例えば、後任になる予定の同僚に仕事の内容を少しずつ引き継ぎたい、という状況があるかもしれません。その際は、まず「〇〇さんに引き継ぎの件で少しお話ししたいのですが、よろしいでしょうか？」と上司に確認を取ります。上司の許可があれば、いつ、誰に、どこまでの内容を話して良いか、具体的な指示をもらえます。この手順を踏むことで、あなたは会社のルールを守りつつ、スムーズに業務を進めることができるのです。

もし配属の内示を口外してしまった場合のリスク

「口外禁止」には、相応の理由があります。もしルールを破って内示を話してしまうと、どのようなリスクがあるのでしょうか。考えられる具体的なリスクについて、以下の通り解説します。

各項目について、詳しく解説していきます。

会社からの信頼を失う

内示を口外してしまうと、「ルールを守れない人」というレッテルを貼られてしまう可能性があります。会社は、あなたを信頼しているからこそ、正式な発表の前に大切な情報を伝えてくれています。その信頼を裏切る行為は、社会人としての評価を大きく下げることにつながります。

一度失った信頼を取り戻すのは、非常に大変です。「あの人は口が軽いから、重要な話はできないな」と思われてしまうと、今後のキャリアにも影響が出かねません。将来、責任ある仕事を任せてもらえなくなったり、大事なプロジェクトのメンバーから外されたりする可能性もゼロではないのです。

周囲との人間関係が悪化する

あなたが話した内示の情報が原因で、職場の人間関係がギクシャクすることがあります。例えば、あなたが異動することを知った同僚が、ショックを受けたり、嫉妬したりするかもしれません。

また、情報が広まる過程で噂話に尾ひれがつき、「〇〇さんが異動するのは、今の部署で問題を起こしたかららしい」といった、事実無根の話に発展してしまうこともあります。そうなると、あなただけでなく、周りの人たちも嫌な思いをすることになります。良かれと思って話したことが、結果的に自分や他人の人間関係を壊すきっかけになりうるのです。

懲戒処分の対象になりうる

会社のルールは、守られてこそ意味があります。就業規則などで人事情報の秘密保持が定められている場合、内示の口外はルール違反として、何らかの処分を受ける可能性があります。

処分の内容は、軽いものでは口頭での注意や始末書の提出、重いものになると減給や出勤停止といった懲戒処分につながるケースも考えられます。会社の機密情報を外部に漏らした、と判断された場合は、さらに厳しい処分が下されることもあり得ます。軽い気持ちの行動が、自分の立場を危うくすることを十分に理解しておく必要があります。

内示そのものが取り消されることもある

最も厳しい結果として、言い渡された内示自体が「白紙」に戻される可能性も否定できません。「秘密を守れないような社員に、新しい重要な役割は任せられない」と会社が判断した場合、異動や昇進の話がご破算になることもあります。

せっかく掴んだキャリアアップのチャンスを、自らの軽率な行動で失ってしまうのは、非常にもったいないことです。また、内示が取り消された後、元の部署に居づらくなってしまうかもしれません。口外のリスクは、自分が思っている以上に大きいということを肝に銘じておきましょう。

配属の内示が出た後の正しい行動ステップ

内示を受けたら、動揺せずに落ち着いて行動することが大切です。では、具体的に何をすれば良いのでしょうか。内示が出た後に取るべき正しい行動について、以下のステップで解説します。

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まずは上司に感謝の意を伝える

内示を伝えてくれた上司に対して、まずは感謝の気持ちを伝えることが社会人としての第一歩です。たとえ希望しない部署への異動だったとしても、感情的にならずに、まずは冷静に受け止める姿勢を見せましょう。

「この度は内示をいただき、ありがとうございます。期待に応えられるよう精一杯頑張ります」といった一言を伝えるだけで、上司に与える印象は大きく変わります。会社からの評価や期待があっての内示だと考え、真摯な態度で応えることが、良好な関係を保つ上で非常に重要です。この最初の対応が、あなたの社会人としての成熟度を示すことにもなります。

現状の業務の引き継ぎ準備を始める

内示が出たということは、今の部署を離れる準備を始める合図です。正式な辞令が出てから慌てないように、少しずつ引き継ぎの準備を進めていきましょう。

まずは、自分が担当している業務をリストアップし、「誰に」「何を」「いつまでに」引き継ぐ必要があるのかを整理します。マニュアルを作成したり、必要な資料をまとめたりと、後任の人が困らないように準備を進めるのが思いやりです。もちろん、この段階ではまだ同僚に「引き継ぎをします」とは言えません。あくまで、自分の中で準備を進めておくだけです。この準備が、円満な異動につながります。

新しい配属先の情報を収集する

異動に向けて、新しい部署がどのような仕事をしているのか、情報を集め始めましょう。会社のウェブサイトや社内報などを確認して、部署の役割やメンバーについて調べておくと、異動後のスタートがスムーズになります。

ただし、情報を集める際に、新しい部署の同僚に直接連絡を取ったり、根掘り葉掘り聞き回ったりするのは避けましょう。あくまで、公になっている情報や、上司から許可を得て得られる情報の範囲に留めてください。新しい環境への不安を減らし、心の準備をするための情報収集だと考え、慎重に行動することが大切です。

不安や疑問点は上司に相談する

新しい環境への異動には、不安や疑問がつきものです。一人で抱え込まず、内示を伝えてくれた上司に相談しましょう。

「新しい部署では、どのようなスキルが求められますか？」「何か事前に勉強しておくべきことはありますか？」など、前向きな質問をすることで、意欲的な姿勢をアピールすることもできます。給与や待遇面で気になることがある場合も、このタイミングで確認しておくのが良いでしょう。不安を解消し、スッキリした気持ちで新しいスタートを切るためにも、上司とのコミュニケーションを大切にしてください。

配属の内示を断りたい場合の伝え方

もし、どうしても納得できない、受け入れがたい内示だった場合、断ることはできるのでしょうか。原則として難しいですが、伝え方によっては交渉の余地が生まれるかもしれません。その方法について、以下の通り解説します。

各項目について、詳しく解説していきます。

原則として拒否は難しいと理解する

まず大前提として、正社員である以上、会社からの業務命令を拒否することは基本的にできません。これには、配属の内示も含まれます。正当な理由なく拒否を続けると、就業規則違反とみなされ、解雇を含む重い処分を受ける可能性もあります。

「やりたい仕事じゃないから」「今の部署の人間関係が良いから」といった自己都合の理由は、残念ながら正当な理由とは認められにくいのが現実です。「断るのは非常に難しい」ということを、まずはしっかりと理解しておく必要があります。この前提を踏まえた上で、どうすれば自分の気持ちを伝えられるかを考えましょう。

やむを得ない正当な理由を具体的に説明する

もし内示を断りたいのであれば、誰が聞いても「それは仕方ない」と思えるような客観的な理由が必要です。例えば、「親の介護で、どうしても実家を離れられない」「持病の治療のため、今の病院に通い続ける必要がある」といった、家庭の事情や健康上の問題などが挙げられます。

こうした理由を伝える際は、診断書や公的な書類など、事実を証明できるものを準備しておくと、話に説得力が増します。ただ「無理です」と主張するのではなく、なぜ無理なのかを具体的な根拠と共に、誠実に説明する姿勢が重要です。

感情的にならず冷静に相談を持ちかける

納得できない内示を伝えられると、つい感情的になってしまいがちですが、それは逆効果です。「なんでですか！」「絶対に行きたくありません！」といった強い口調で反発しても、事態は好転しません。

まずは一度冷静になり、気持ちを整理してから、「ご相談したいことがあります」という形で、上司に時間をもらいましょう。そして、「内示については大変ありがたいのですが、実は〇〇という事情があり、お受けするのが難しい状況です」と、落ち着いた態度で丁寧に話すことが大切です。あなたの真剣な気持ちと、会社を困らせたいわけではないという姿勢が伝われば、上司も親身に耳を傾けてくれる可能性が高まります。

今後のキャリアプランを合わせて提示する

ただ断るだけでなく、自分の将来のキャリアについてどう考えているかを伝えられると、より建設的な話し合いができます。これは「代替案」を提示するということです。

例えば、「今回の部署では私の〇〇というスキルを活かせませんが、今の部署で〇〇の経験を積んで、将来的には会社にこう貢献したいと考えています」といった形で、前向きなビジョンを語るのです。そうすることで、単なる「わがまま」ではなく、「自分のキャリアを真剣に考えた上での相談なのだな」と、上司に理解してもらいやすくなります。会社側も、あなたの意欲や考えを汲んで、別の選択肢を再検討してくれるかもしれません。

納得できない配属の内示は転職も一つの選択肢

どうしても納得できない内示が出たとき、それは自分のキャリアを改めて見つめ直す良いきっかけかもしれません。我慢して働き続けるのではなく、転職という新しい道を選ぶメリットについて、以下の通り解説します。

各項目について、詳しく解説していきます。

キャリアプランを見つめ直す機会になる

会社からの内示は、自分が本当にやりたいことは何か、将来どうなりたいかを真剣に考える絶好のタイミングです。今までは何となく仕事をしていたかもしれませんが、今回の内示をきっかけに、「自分はこのスキルを伸ばしたい」「こんな仕事で社会に貢献したい」という、具体的な目標が見えてくることがあります。

会社が示す道と、自分が歩みたい道が違うと明確に感じたのなら、それはキャリアの方向転換を考えるべきサインです。自分の気持ちに正直になり、これからの働き方についてじっくり考えてみましょう。この機会を活かすことで、より自分らしいキャリアを築く第一歩を踏み出せます。

我慢して働き続けるストレスから解放される

希望しない部署で、興味のない仕事をしぶしぶ続けるのは、精神的に大きなストレスがかかります。「なんで自分はここでこの仕事をしているんだろう…」と毎日思いながら働くのは、とても辛いことです。

仕事に対するモチベーションが上がらず、成長も感じられないまま時間だけが過ぎていくのは、あなたの貴重な可能性を無駄にしてしまうことにもなりかねません。転職して、自分が心から「やりたい」と思える仕事に就くことができれば、そうした日々のストレスから解放され、前向きな気持ちで仕事に取り組めるようになるでしょう。

自分の希望に合う環境で再スタートできる

転職活動をすれば、今の会社にはない、多種多様な仕事や会社に出会うことができます。あなたがこれまで培ってきた経験やスキルを、もっと高く評価してくれる会社が見つかるかもしれません。

給与や待遇、勤務地、職場の雰囲気など、自分が働く上で大切にしたい条件を改めて整理し、それに合った環境を自分の力で選ぶことができます。会社から与えられた道を進むのではなく、自分で道を選び、新しい環境で再スタートを切ることは、大きな自信と成長につながるはずです。納得できない内示は、より良い未来を掴むためのチャンスでもあるのです。

転職のプロに相談して客観的な意見を聞く

自分のキャリアについて、このままで良いのか迷ったら、一度プロの意見を聞いてみるのがおすすめです。Zキャリアでは、ノンデスクワークに特化した転職エージェントが、あなたの希望やスキルに合った求人を紹介し、キャリアプランの相談にも乗ります。

自分一人で悩んでいると、視野が狭くなりがちですが、多くの転職者をサポートしてきたキャリアアドバイザーに相談することで、自分では気づかなかった強みや、新しい可能性が見えてくることもあります。納得のいくキャリアを築くために、まずはZキャリアのエージェントに相談してみましょう。