- 試用期間の残業の基本的な考え方
- 残業が多い時にまずやるべきこと
- 残業を理由に辞める場合の進め方
- ホワイトな会社の探し方のコツ
試用期間に残業が多いのは普通のこと?
「試用期間だから残業はないと思っていたのに…」と驚いているかもしれません。試用期間と残業の関係について、基本的な考え方は以下の通りです。
- そもそも試用期間は本採用のお試し期間
- 試用期間中でも残業は発生しうる
- 残業代は全額きちんと支払われるべき
各項目について、詳しく解説していきます。
そもそも試用期間は本採用のお試し期間
まず、試用期間とは本採用を前提としたお試し期間のことです。会社側は「本当にこの人を採用して大丈夫か」を見極め、働く側は「この会社でやっていけそうか」を判断するための期間といえます。お互いのミスマッチを防ぐための大切な期間です。法律上の位置づけとしては、試用期間中であっても会社と労働契約は結ばれている状態です。そのため、給料や労働時間などの基本的なルールは、本採用の社員と変わりありません。「お試しだから」といって、不当に扱われる理由にはならないのです。期間は会社によってさまざまですが、一般的には1ヶ月から6ヶ月程度で設定されることが多いです。この期間の働きぶりを見て、会社は本採用するかどうかを最終的に決定します。もちろん、働く側から「この会社は合わない」と感じれば、退職を申し出ることも可能です。
試用期間中でも残業は発生しうる
「試用期間中は定時で帰れる」というイメージがあるかもしれませんが、業務の状況によっては残業が発生することは珍しくありません。例えば、覚える仕事が多くて時間内に終わらなかったり、たまたま会社の繁忙期と重なってしまったりするケースです。大切なのは、その残業が「一時的なもの」なのか、それとも「常態化しているもの」なのかを見極めることです。入社したばかりの先輩たちも同じように残業しているのか、それとも自分だけが突出して残っているのか、周りの状況を少し観察してみるのも良いでしょう。もし、毎日当たり前のように全員が終電まで残っているような状況であれば、それは会社の体質に問題がある可能性があります。試用期間は、そうした会社の働き方の実態を見極める期間でもあるのです。
残業代は全額きちんと支払われるべき
試用期間中であっても、法定労働時間を超えた分の残業代は支払われます。これは法律で定められた労働者の権利です。「試用期間だから」「まだ仕事を覚えていないから」といった理由で残業代が支払われないのは、完全な法律違反です。法定労働時間とは、原則として「1日8時間・週40時間」です。これを超えて働いた場合は、会社は割増賃金(いわゆる残業代)を支払う義務があります。もし残業をしているにもかかわらず、給与明細に残業代が記載されていない場合は、注意が必要です。まずは給与明細をしっかり確認し、不明な点があれば勇気を出して経理担当者や人事部に確認してみましょう。聞きにくいかもしれませんが、自分の権利を守るためにとても大切なことです。
残業が多い時にまず確認すべきこと
「残業が多いな」と感じたら、感情的に行動する前に、まずは冷静に状況を確認することが大切です。確認すべきポイントは以下の通りです。
- 雇用契約書の内容をもう一度見直す
- 働いた時間の証拠を記録しておく
- 上司や人事部に相談できるか確認する
各項目について、詳しく見ていきましょう。
雇用契約書の内容をもう一度見直す
入社時に取り交わした雇用契約書や労働条件通知書をもう一度確認しましょう。そこには、労働時間や残業に関する大切なルールが書かれています。特にチェックしてほしいのは以下の項目です。所定労働時間: 会社の定時(例: 9時〜18時など)が何時から何時までになっているか。
- 残業に関する規定: 「業務上の都合により残業を命じることがある」といった一文があるか。
- 固定残業代(みなし残業代): 給料に一定時間分の残業代が含まれているか。含まれている場合、何時間分なのか。もし「固定残業代30時間分を含む」と書かれている場合、月30時間までの残業については、追加の残業代は支払われません。ですが、30時間を超えた分については、別途残業代を請求する権利があります。自分の給料と働き方が、契約内容と合っているかを確認することが第一歩です。雇用契約書をもらっていないか、失くしてしまった場合はどうすればいいですか?本来、会社は労働者に対して労働条件を明記した書面を交付する義務があります。もし手元にない場合は、正直に人事部や上司に「労働条件を確認したいので、雇用契約書の控えをいただけないでしょうか」とお願いしてみましょう。少し勇気がいるかもしれませんが、大切なことなので遠慮する必要はありませんよ。
働いた時間の証拠を記録しておく
万が一、残業代の未払いや会社とのトラブルに発展した場合に備えて、実際に働いた時間を証明できる証拠を残しておくことが非常に重要です。客観的な記録が、自分を守るための武器になります。会社にタイムカードや勤怠管理システムがある場合は、毎日正確に打刻することを徹底しましょう。もし手書きの出勤簿など、後から修正できてしまうようなものしかない場合は、自分でも記録をつけておくと安心です。例えば、スマートフォンのメモ帳やスケジュールアプリに、毎日の始業時間と終業時間を記録しておくだけでも有効です。会社のパソコンを使っているなら、業務日報や、業務終了時に上司に送るメールの送信時刻なども客観的な証拠になりえます。

上司や人事部に相談できるか確認する
残業の状況について、まずは直属の上司に相談してみるのが基本的なステップです。その際は、感情的に「辛いです」「辞めたいです」と伝えるのではなく、「業務に慣れず、時間内に終わらせることが難しいです。効率的な進め方についてアドバイスをいただけないでしょうか」といった形で、前向きな姿勢で相談するのがポイントです。もし上司に相談しにくい、または相談しても改善されない場合は、人事部や労務担当の部署に相談するという選択肢もあります。会社によっては、従業員のための相談窓口を設けている場合もあります。誰に相談すれば良いかわからない場合は、会社の就業規則を確認したり、少し年次の近い先輩に「こういったことって、どなたに相談するのが一番良いですかね?」と、それとなく聞いてみるのも一つの手です。一人で抱え込まず、社内の誰かに相談できるルートがあるかを探ってみましょう。
残業が多すぎて辞めたい場合の進め方
相談しても改善が見られない、心身ともに限界だと感じた場合は、退職も視野に入れる必要があります。試用期間中でも辞めることは可能です。その場合の進め方は以下の通りです。
- 試用期間の途中でも退職はできる
- 退職の意思は早めに正直に伝える
- スムーズに辞めるために引き継ぎを行う
各項目について、詳しく解説していきます。
試用期間の途中でも退職はできる
法律上、試用期間中であっても労働者の意思で退職できます。民法では、退職の意思を伝えてから2週間が経過すれば、会社の合意がなくても労働契約は終了すると定められています。「試用期間中に辞めるなんて、迷惑がかかるのでは…」と気負いすぎる必要はありません。もちろん、会社にとっては採用コストがかかっているため、喜ばしいことではありません。ですが、心や体を壊してまで働き続ける必要はまったくないのです。会社によっては就業規則で「退職の場合は1ヶ月前に申し出ること」などと定めている場合があります。法律上は2週間で退職可能ですが、できる限り会社のルールに従い、円満に退職できるよう努めるのが社会人としてのマナーです。
退職の意思は早めに正直に伝える
辞める決意が固まったら、まずは直属の上司に直接、退職の意思を伝えます。電話やメールではなく、アポイントを取って対面で話すのが基本です。その際は、「お話がありますので、少しお時間をいただけないでしょうか」と切り出しましょう。退職理由を聞かれた際は、正直に「残業時間が想定していたよりも多く、体力的に続けていくことが難しいと感じました」と伝えて問題ありません。会社の不満を感情的にぶつけるのではなく、あくまで「自分の力不足」や「適性の問題」として伝えると、相手も受け入れやすくなります。退職希望日は、業務の引き継ぎなどを考慮して、申し出た日から1ヶ月後くらいを目安に相談するのが一般的です。上司と相談の上、最終的な退職日を決定します。

スムーズに辞めるために引き継ぎを行う
短い期間であったとしても、担当していた業務があれば責任を持って引き継ぎを行いましょう。お世話になった会社への最後の誠意です。円満に退職するためにも、引き継ぎは丁寧に行うことが大切です。「自分が辞めたら、この仕事は誰がやるんだろう…」と心配になるかもしれませんが、それは会社が考えることです。自分がやるべきことは、後任の人が困らないように、仕事の内容や進捗状況、関係者の連絡先などを分かりやすくまとめておくことです。簡単なもので構わないので、「〇〇の件は、△△さんに確認済みです」「このファイルは□□のフォルダに保存してあります」といった情報をメモやデータに残しておきましょう。最後まで責任ある態度を示すことで、気持ちよく次のステップに進むことができます。
次は後悔しないための仕事の探し方
一度、働き方で悩んだからこそ、次の職場選びは慎重に行いたいものです。残業が少ない、自分に合った会社を見つけるためのポイントは以下の通りです。
- 求人票で残業時間に関する記載を見る
- 面接で実際の働き方について質問する
- 会社の評判を事前にリサーチしておく
各項目について、詳しく見ていきましょう。
求人票で残業時間に関する記載を見る
求人票をチェックする際は、給与欄だけでなく残業に関する記載を注意深く見ましょう。「月平均残業時間〇〇時間」といった具体的な数字が書かれている場合は、一つの目安になります。特に注意したいのが「固定残業代(みなし残業代)」という言葉です。これは、毎月の給料に一定時間分の残業代が予め含まれている制度のことです。例えば「月給25万円(固定残業代30時間分、5万円を含む)」といった記載です。この制度自体が悪いわけではありませんが、「固定残業時間=毎月必ず発生する残業時間」に近いケースも少なくありません。固定残業時間が極端に長い(例: 45時間を超える)場合は、残業が常態化している可能性を疑った方が良いかもしれません。
面接で実際の働き方について質問する
面接は自分をアピールする場であると同時に、会社の実態を知るための絶好の機会でもあります。残業や働き方について、失礼にならないように質問してみましょう。ストレートに「残業は多いですか?」と聞くと、意欲が低いと捉えられかねません。そこで、「1日の仕事の流れを教えていただけますか?」や「社員の方々は、だいたい何時頃に退社されることが多いですか?」といった聞き方をすると、角が立ちにくく、職場のリアルな雰囲気を探ることができます。また、「繁忙期はいつ頃で、その時期はどのくらい忙しくなりますか?」と聞くのも有効です。仕事への意欲を示しつつ、残業の実態を把握することに繋がります。良い質問をすることで、仕事への熱意をアピールすることも可能です。
会社の評判を事前にリサーチしておく
応募したい会社が見つかったら、実際にその会社で働いている人や、過去に働いていた人の口コミを調べてみるのも有効な手段です。企業の口コミサイトなどを使えば、求人票だけでは分からない社内の雰囲気や、残業の実態など、リアルな情報を得られることがあります。ただし、口コミはあくまで個人の感想です。ネガティブな情報ばかりを鵜呑みにするのではなく、あくまで参考情報の一つとして捉えることが大切です。複数のサイトを見比べたり、良い口コミと悪い口コミの両方に目を通したりして、総合的に判断するようにしましょう。会社の公式SNSやブログなどがあれば、それもチェックしてみましょう。社内イベントの様子や社員の紹介などから、会社の雰囲気が伝わってくることもあります。

会社のことで悩んだら専門家を頼ろう
ここまで、試用期間中の残業について、さまざまな対処法や次の仕事の探し方を解説してきました。ですが、一人で判断したり行動したりするのは、不安なことも多いはずです。
- ひとりで抱え込まず誰かに相談する
- Zキャリアのエージェントに相談してみる
各項目について、詳しく解説していきます。
ひとりで抱え込まず誰かに相談する
仕事の悩みを一人で抱え込むのは、精神的にも良くありません。誰かに話すだけで、気持ちが楽になったり、考えが整理されたりするものです。まずは、家族や友人など、信頼できる人に話を聞いてもらうのも良いでしょう。ですが、身近な人には心配をかけたくない、客観的なアドバイスがほしい、と感じることもあるかもしれません。そんな時は、キャリアの専門家を頼るのがおすすめです。専門家は、これまで多くの人の仕事の悩みを聞いてきたプロです。今の状況を客観的に分析し、これからどうすれば良いのか、具体的な選択肢を一緒に考えてくれます。自分では思いつかなかったような道が見つかることもあります。
Zキャリアのエージェントに相談してみる
自分に合った働き方ができる会社を見つけたい、もう転職で失敗したくない、そう強く思うなら、Zキャリアの転職エージェントに相談してみませんか。Zキャリアは、若年層の転職サポートに特化したサービスです。転職エージェントに相談するメリットはたくさんあります。求人サイトには載っていない非公開の求人を紹介してもらえたり、応募したい企業のリアルな内部情報を教えてもらえたりすることもあります。今回の経験を伝えれば、残業が少ない会社や、未経験者をじっくり育てる文化のある会社を優先的に探してくれます。履歴書の書き方から面接対策まで、転職活動の全てを無料でサポートします。今の状況に少しでも不安や迷いがあるなら、ぜひ一度、Zキャリアのキャリアアドバイザーに話を聞かせてください。一緒に、後悔のない新しい一歩を踏み出しましょう。