定時で帰れないほどの仕事量は異常？原因と今すぐできる対処法を解説

仕事量が多くて定時で帰れない…それって当たり前ですか？

「仕事が終わらないから定時で帰れないのは仕方ない」と感じてしまうかもしれませんが、それは本当に当たり前のことなのでしょうか。まずは、定時で働くことの基本的な考え方について確認します。具体的には以下の項目について解説します。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

そもそも定時で帰るのが基本

決められた時間内に仕事を終えるのが、社会人としての基本的な働き方です。会社と従業員は、労働契約によって「1日8時間、週40時間」といったように働く時間を決めています。定時で帰ることは、決して悪いことでも、気が引けることでもありません。

もし、毎日当たり前のように残業が発生しているなら、それは個人のがんばりが足りないのではなく、仕事の量や進め方に何らかの問題が隠れているサインかもしれません。まずは「定時で帰るのは当たり前の権利なんだ」という意識を持つことが大切です。

残業が常態化している職場は危険信号

「みんなが残っているから自分も残らないと…」と感じる職場は、残業が常態化している可能性があり、注意が必要です。残業が当たり前になっていると、だらだらと仕事を続ける文化が根付いてしまい、かえって生産性が落ちてしまうこともあります。

また、特定の人ばかりが遅くまで残っている、残業しないと評価されないといった雰囲気がある場合も健全な状態とは言えません。健康的に長く働き続けるためには、メリハリをつけて働ける環境が整っているかどうかが非常に重要になります。

「帰りにくい雰囲気」に流されないことが大事

自分の仕事が終わっているのに、周りの目が気になって帰れないという経験はありませんか。特に、上司や先輩がまだ仕事をしていると、「お先に失礼します」と言い出しにくいかもしれません。ですが、その雰囲気に流されてしまう必要はありません。

もちろん、チームで協力して大きな仕事に取り組んでいる時など、状況によっては残業が必要な日もあるでしょう。ですが、毎日理由もなく帰りづらいと感じるのは問題です。自分の仕事にきちんと責任を持ち、終わったら堂々と帰る。その積み重ねが、職場の雰囲気を変えるきっかけになることもあります。

なぜ定時で帰れない？仕事量が多すぎる原因

定時で帰れない状況には、必ず何らかの原因があります。それが分かれば、解決策も見えてくるはずです。ここでは、仕事量が多すぎてしまう原因として考えられることを解説します。具体的には以下の項目が挙げられます。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

明らかに一人では終わらない業務量がある

定時で帰れない最も直接的な原因は、物理的に仕事量が多すぎることです。例えば、一人で担当するには無理がある数の仕事を任されていたり、次から次へと新しい仕事が降ってきたりする状況です。

これは個人の能力の問題ではなく、会社のマネジメントの問題です。誰がやっても時間内に終わらないような仕事量を割り振られているのであれば、それは個人の努力だけでは解決が難しいでしょう。まずは、自分が抱えている仕事量が客観的に見て適正なのかを考えてみることが大切です。

慢性的な人手不足に陥っている

会社全体が人手不足の状態にある場合も、一人ひとりの仕事量が増えてしまいがちです。退職者が出ても新しい人がなかなか入ってこなかったり、事業の拡大に人員の補充が追いついていなかったりすると、残された社員に負担が集中します。

「忙しいのは今だけだから」と言われても、その状況が何ヶ月も続いているのであれば、それは一時的なものではなく慢性的な問題です。人手不足は、残業の増加だけでなく、職場の雰囲気の悪化やサービスの質の低下にもつながる可能性があります。

効率の悪い業務フローが存在する

仕事の内容自体は多くなくても、作業の進め方が非効率なために時間がかかっているケースもあります。例えば、何度も同じような内容の報告書を作成する必要があったり、承認を得るまでに多くのステップを踏まなければならなかったり、古いシステムを使い続けていて作業に時間がかかったりといった状況です。

こうした「無駄な作業」が多いと、本来やるべき仕事に集中できず、結果として労働時間が長くなってしまいます。業務フローに改善の余地がないか、日々の仕事の中で疑問に思う点がないかを見直してみることも重要です。

自分の仕事の進め方に課題がある

会社の仕組みだけでなく、自分自身の仕事の進め方に原因がある可能性も考えてみましょう。例えば、仕事の優先順位付けが苦手で、重要でない作業に時間をかけすぎてしまったり、分からないことをすぐに質問できずに一人で抱え込んでしまったりすることです。

また、完璧を求めすぎるあまり、一つの作業に時間をかけすぎてしまうこともあるかもしれません。もし心当たりがあるなら、仕事の進め方を少し工夫するだけで、状況が改善する可能性があります。

定時で帰れない状況が続くことのデメリット

残業が続くと、給料が少し増えるかもしれませんが、それ以上に失うものが多くあるかもしれません。ここでは、定時で帰れない生活が続くことで生じるデメリットについて解説します。具体的には以下の項目が挙げられます。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

心と体の健康を損なうリスクが高まる

十分な休息が取れないことは、心と体の両方に深刻な影響を与えます。睡眠不足が続けば、集中力が低下し、仕事でのミスが増えたり、ときには事故につながる危険性も高まります。

精神的にも、常に仕事に追われている状態は大きなストレスになります。疲れが取れない、よく眠れない、食欲がない、休日に何もする気が起きないといったサインは、心が悲鳴を上げている証拠かもしれません。健康は何よりも大切な資本です。働きすぎで体を壊してしまっては元も子もありません。

プライベートの時間が確保できなくなる

仕事ばかりの毎日では、自分のための時間を持つことが難しくなります。友人や家族と過ごす時間、趣味を楽しむ時間、ただのんびりとリラックスする時間。これらは、人生を豊かにするために欠かせないものです。

プライベートの時間が充実していると、仕事への活力も湧いてきます。逆に、仕事のためにプライベートを犠牲にし続けると、何のために働いているのか分からなくなってしまうかもしれません。ワークライフバランスを保つことは、長期的にキャリアを築いていく上でも非常に重要です。

スキルアップのための学習時間が作れない

将来のために資格の勉強をしたり、新しいスキルを身につけたりする時間も、残業が多すぎると確保できません。特に、変化の速い現代社会では、常に学び続ける姿勢が大切です。

今の仕事に追われるばかりで、自己投資の時間が取れないと、数年後に自分の市場価値が相対的に下がってしまう可能性があります。仕事が終わってから勉強するのは大変ですが、その時間が全く取れないほどの働き方は、将来の自分の可能性を狭めてしまうことにつながりかねません。

仕事に対するモチベーションの低下

毎日遅くまで働いても仕事が終わらない状況が続くと、達成感を得にくくなり、仕事へのやる気が失われていきます。最初は「がんばろう」と思っていても、終わりが見えないと「どうせ頑張っても無駄だ」という気持ちになってしまうのです。

また、会社のために身を粉にして働いても、それが正当に評価されなかったり、給料に反映されなかったりすると、不満や不信感が募ります。仕事へのモチベーションが低下すると、パフォーマンスも下がり、さらに仕事が終わらないという悪循環に陥ってしまうこともあります。

その仕事量、パワハラや法律違反の可能性も

「仕事だから仕方ない」と諦めているその状況、もしかしたら法的に問題があるケースかもしれません。ここでは、仕事量に関するパワハラや法律のルールについて、分かりやすく解説します。具体的には以下の項目を確認しましょう。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

能力を大幅に超える業務の強要はパワハラ

明らかに一人では処理できない量の仕事を押し付けたり、本人の能力や経験を無視した過大な要求をしたりすることは、パワーハラスメント（パワハラ）に該当する可能性があります。パワハラは、上司から部下へというイメージが強いですが、同僚や部下からでも成立します。

「これくらいできて当然だ」「他の人はやっている」といった言葉と共に無理な仕事量を課せられている場合、それは指導ではなく、精神的に追い詰める行為かもしれません。もし、このような状況で心身に不調を感じているなら、我慢せずに声を上げることが大切です。

残業代が支払われない場合は法律違反

会社は、従業員が定時を超えて働いた場合、その時間に応じた残業代（割増賃金）を支払う義務があります。これは法律で定められたルールです。いわゆる「サービス残業」は、明確な法律違反にあたります。

「うちは残業代が出ないのが当たり前」「みなし残業代が含まれているから」などと言われても、実際に働いた分の対価が支払われていないのであれば問題です。給与明細を確認し、自分の残業時間と支払われている残業代が合っているかチェックしてみましょう。

国が定めた残業時間の上限を超えていないか確認する

従業員に残業をさせる場合、会社は労働者と「36（サブロク）協定」という約束事を結ぶ必要があります。そして、この協定を結んでいても、残業させられる時間には上限が法律で定められています。原則として「月45時間・年360時間」が上限です。

特別な事情がある場合でも、この上限を超えることはできません。もし、自分の残業時間がこの上限を大幅に超えているようなら、それは会社の安全配慮義務違反にあたる可能性があります。自分の労働時間を記録しておくことも、いざという時に自分を守る武器になります。

今の職場で試せる！定時で帰るための具体的な行動

「もう辞めるしかない」と考える前に、今の職場で状況を改善するためにできることがあるかもしれません。ここでは、定時で帰るために今日から試せる具体的なアクションを紹介します。以下の行動を試してみましょう。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

自分のタスクを整理して上司に相談

まずは、自分が抱えている仕事を全て書き出し、何にどれくらいの時間がかかっているのかを客観的に把握しましょう。その上で、「この仕事量では、どうしても定時内に終わりません」と具体的なデータをもとに上司に相談することが重要です。

ただ「仕事が多いです」と伝えるだけでなく、「〇〇の作業に時間がかかっているので、優先順位を相談させてください」といった形で提案すると、上司も状況を理解しやすくなります。感情的にならず、冷静に事実を伝えることがポイントです。

周囲と協力して業務を分担する

仕事は一人で抱え込むものではなく、チーム全体で協力して進めるものです。自分だけが忙しく、周りの同僚は手伝ってくれそうな雰囲気なら、「この部分をお願いできませんか？」と声をかけてみましょう。

逆に、他の人が困っているときには積極的に手伝う姿勢も大切です。お互いに助け合う文化を作ることで、チーム全体の業務がスムーズになり、結果的に一人ひとりの負担も軽くなります。日頃からコミュニケーションを取り、協力しやすい関係性を築いておくことが鍵です。

効率的な仕事の進め方を身につける

もし自分の仕事の進め方に改善の余地があるなら、効率化を意識してみるのも一つの手です。例えば、一日の始めにやるべきことリスト（ToDoリスト）を作り、優先順位の高いものから手をつける習慣をつけるだけでも、時間の使い方は大きく変わります。

また、25分集中して5分休憩するといったサイクルを繰り返す「ポモドーロ・テクニック」などを取り入れてみるのも良いでしょう。パソコンのショートカットキーを覚えたり、よく使う文章をテンプレート化したりといった小さな工夫の積み重ねが、大きな時間短縮につながります。

「お先に失礼します」と帰る勇気を持つ

最後は少し精神論になりますが、定時で帰るという強い意志を持つことも大切です。自分の仕事がきちんと終わっているのであれば、周りの目を気にする必要はありません。「お先に失礼します」と明るく挨拶して、堂々と帰りましょう。

最初は勇気がいるかもしれませんが、一度やってみると意外と周りは気にしていないことに気づくかもしれません。自分が定時で帰ることで、他の人も帰りやすくなり、職場の雰囲気が良い方向に変わっていくきっかけになる可能性もあります。

対処法を試しても改善されない場合の選択肢

いろいろと試してみたけれど、一向に状況が変わらない…。そんなときは、今の環境に固執せず、新しい道を考えることも大切です。ここでは、どうしても改善が見られない場合の選択肢について解説します。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

環境を変えるための転職活動を始める

上司に相談しても仕事量が減らない、会社全体が長時間労働を良しとしている。そんな場合は、環境そのものを変えるのが最も効果的な解決策かもしれません。転職は、決してネガティブな逃げではありません。

自分らしく健康的に働くための、前向きなステップです。今の職場で心身をすり減らし続けるよりも、新しい環境で自分の力を発揮できる場所を探す方が、将来にとってずっと有益な選択になるはずです。

ワークライフバランスを重視する会社を探す

次の職場を探す際には、プライベートの時間も大切にできる会社かどうかを重要な基準にしましょう。給料や仕事内容だけでなく、「残業は月平均どのくらいか」「有給休暇は取りやすいか」といった働きやすさに関する情報をしっかりとチェックすることが大切です。

近年は、社員のワークライフバランスを重視する企業が増えています。定時退社を推奨していたり、フレックスタイム制を導入していたり、福利厚生が充実していたり。自分に合った働き方ができる会社は、きっと見つかります。

自分の市場価値を客観的に把握する

転職活動を始めると、社会から見た自分の価値を知ることができます。今の会社では当たり前だと思っていたスキルや経験が、他の会社では高く評価されるかもしれません。

職務経歴書を作成したり、転職エージェントに相談したりする中で、自分の強みや市場価値が明確になります。それは、今後のキャリアを考える上で大きな自信につながるでしょう。今の会社しか知らないという状況から一歩踏み出すことで、新しい可能性が見えてきます。

定時で帰れる優良企業を見つけるためのポイント

せっかく転職するなら、次は定時で帰れる働きやすい会社を選びたいものです。ここでは、求人情報や面接で、ワークライフバランスの取れた優良企業を見極めるためのポイントを紹介します。以下の点に注目してみましょう。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

求人票で「みなし残業」の有無を確認

求人票の給与欄を見るときは、「みなし残業代」や「固定残業代」が含まれていないかを確認しましょう。これは、毎月一定時間分の残業代が給料に予め含まれている制度です。

この制度自体が悪いわけではありませんが、「月40時間分の固定残業代を含む」と書かれていれば、それくらいの残業が常態化している可能性があります。何時間分の残業代が含まれているのか、それを超えた分はきちんと支払われるのかをしっかりチェックすることが大切です。

企業の口コミサイトでリアルな情報を収集

実際にその会社で働いている人や、過去に働いていた人のリアルな声が聞ける口コミサイトは、非常に参考になります。求人票だけでは分からない、職場の雰囲気や残業の実態、有給休暇の取りやすさなどの情報を得ることができます。

ただし、口コミは個人の主観的な意見であることも忘れてはいけません。一つの意見を鵜呑みにせず、複数の口コミを読んで、総合的に判断することが重要です。良い口コミと悪い口コミの両方に目を通し、自分にとって何が大切かを考えましょう。

面接で残業時間や働き方について質問する

面接は、会社が応募者を選ぶだけでなく、応募者が会社を選ぶ場でもあります。残業や働き方について、臆せずに質問しましょう。聞きにくいと感じるかもしれませんが、入社後のミスマッチを防ぐためには非常に重要です。

例えば、「月平均の残業時間はどのくらいですか？」や「皆さんは普段、何時頃に退社されることが多いですか？」といった聞き方であれば、失礼な印象は与えません。質問に対する面接官の回答や表情から、その会社の働き方に対する姿勢が見えてくるはずです。

ワークライフバランスを重視する社風か見極める

会社のホームページや採用サイトで、働き方に関する取り組みが紹介されているかどうかもチェックポイントです。「ノー残業デー」や「フレックスタイム制」、「育児・介護支援制度」など、社員のプライベートを大切にする制度が整っている企業は、ワークライフバランスへの意識が高いと言えます。

また、面接の際に社内を見学させてもらえたり、若手社員と話す機会があったりすれば、実際の職場の雰囲気を感じ取ることができます。社員が生き生きと働いているか、コミュニケーションは活発かなど、自分の目で確かめてみましょう。

仕事量の悩みを解決し、自分らしい働き方を見つけよう

最後に、定時で帰れないほどの仕事量に悩んでいる状況から抜け出し、自分らしい働き方を見つけるための心構えについてお伝えします。以下の点を心に留めておいてください。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

定時で帰ることは決して悪いことではない

何度もお伝えしますが、定時で帰ることに罪悪感を抱く必要は全くありません。決められた時間の中で最大限のパフォーマンスを発揮し、プライベートの時間も大切にする。それは、プロフェッショナルな働き方の一つです。

周りに流されたり、無理をしたりして心身を壊してしまっては、仕事どころではなくなってしまいます。自分の健康と人生を第一に考え、メリハリのある働き方を意識することが大切です。

働き方を見直すことはキャリアのプラスになる

今の働き方に疑問を持ち、改善しようと行動することは、長期的なキャリアにとって必ずプラスになります。業務効率化を考えたり、上司と交渉したり、あるいは転職を決断したり。その経験は、問題解決能力や交渉力、行動力を養い、社会人として大きく成長させてくれるはずです。

「このままでいいのかな？」という小さな違和感を見過ごさず、自分にとってより良い働き方を追求する姿勢が、未来の可能性を広げていきます。

一人で悩まずプロに相談してみよう

仕事量の問題は、自分一人で抱え込んでいても解決が難しいことが多いです。客観的な視点からのアドバイスが、突破口になることも少なくありません。そんなときは、転職のプロであるキャリアアドバイザーに相談するのも一つの有効な手段です。

今の状況を整理し、今後どうすべきか、どんな選択肢があるのかを一緒に考えてくれます。転職する・しないに関わらず、専門家の意見を聞くことで、新たな気づきが得られるかもしれません。

今の仕事量や働き方に少しでも疑問を感じたら、それはキャリアを見直す良い機会かもしれません。Zキャリアでは、ノンデスクワーカーの働き方に詳しいエージェントが、あなたの悩みに寄り添い、適正な仕事量で働ける職場探しをサポートします。まずは気軽に相談してみませんか。