- カスハラの定義と意味
- カスハラと判断される3つの基準
- 正当なクレームとの見分け方
- カスハラを受けたときの対応
カスハラの定義とは?意味をわかりやすく解説
「お客さんの言動がつらいけど、これってカスハラなのかな」と迷っている人もいるかもしれません。まずは言葉の意味を知っておくと、自分の状況を落ち着いて見つめ直せます。カスハラの定義を2つのポイントから整理しました。
- カスタマーハラスメントを略した言葉
- 客の行き過ぎた言動で働く環境が害されること
カスタマーハラスメントを略した言葉
カスハラは、カスタマーハラスメントを短くした言葉です。カスタマーは「お客さん」、ハラスメントは「嫌がらせ」を意味します。つまり、お客さんや取引先などから働く人が受ける嫌がらせのことです。
お店の接客や電話対応、介護や配送の現場など、人と直接やりとりする仕事で起こりやすくなります。パワハラやセクハラと同じく、働く人を傷つける行為として知られるようになりました。
客の行き過ぎた言動で働く環境が害されること
カスハラの定義は、度を超えた言動で働く人の環境が害されることです。たとえば「商品が壊れていた」と伝えること自体は問題ありません。
ですが、怒鳴り続けたり無理な要求を繰り返したりして、働く人が仕事を続けにくくなればカスハラに当たります。ポイントは、言動が常識の範囲を超えているかどうかと、働く人や職場に悪い影響が出ているかどうかです。
カスハラと判断される3つの基準
定義を知っても、目の前の出来事に当てはめるのは難しいものです。判断の基準を押さえておけば、「自分が気にしすぎなのかも」と一人で悩む時間を減らせます。カスハラかどうかを見分ける基準は、次の3つです。
- 要求の内容に正当な理由がない
- 伝え方や態度が常識の範囲を超えている
- 働く人の心身や職場に悪影響が出ている
身近な場面に置き換えながら、一つずつ確認していきます。
要求の内容に正当な理由がない
1つ目の基準は、要求に理由があるかどうかです。たとえば、買った商品に傷があって交換を求めるのは正当な要求になります。
一方で、お店に落ち度がないのにお金を払えと言ったり、サービスの範囲を超えた対応を求めたりする場合は、要求そのものに理由がありません。「何を求められているのか」を冷静に見てみると、判断のヒントになります。
伝え方や態度が常識の範囲を超えている
2つ目は、伝え方や態度が行き過ぎていないかです。要求に理由があっても、大声で怒鳴る、人格を否定する、物を投げるといった伝え方はカスハラに当たる場合があります。
注文の間違いに怒るのは自然なことです。ですが、「バカ」「辞めろ」などと何十分も責め続けるなら、伝え方が常識を超えている状態になります。
働く人の心身や職場に悪影響が出ている
3つ目は、働く人への影響が出ているかどうかです。お客さんの言動のせいで眠れなくなったり、出勤が怖くなったりしたら、働く環境が害されている状態と言えることがあります。ほかのお客さんの対応ができなくなるなど、職場の仕事が止まるケースも当てはまります。次のような変化があれば、我慢しすぎているサインかもしれません。

カスハラと正当なクレームの違い
基準がわかってくると、「お客さんの意見を全部カスハラと考えていいのかな」と気になる人もいるでしょう。違いを知っておくと、受け止めたほうがいい意見と、我慢しなくていい言動を分けて考えられます。ここでは2つの視点から違いを整理しました。
- 正当なクレームは改善を求める意見である
- カスハラは要求か伝え方が行き過ぎている
正当なクレームは改善を求める意見である
正当なクレームは、サービスの改善につながる意見です。「料理に髪の毛が入っていた」「説明と違う商品が届いた」など、お店側に原因がある不満を伝えるものが当てはまります。
少し強い口調だったとしても、内容に理由があり伝え方も常識の範囲なら、カスハラにはなりません。職場をよくするきっかけにもなるため、まずは誠実に受け止めてみてください。
カスハラは要求か伝え方が行き過ぎている
カスハラは、要求か伝え方のどちらかが行き過ぎている状態です。正当なクレームとの違いを、2つの観点で比べました。
項目 | 要求の中身 | 伝え方 |
|---|---|---|
正当なクレーム | お店側の落ち度に対する交換や改善 | 理由を添えて冷静に不満を伝える |
カスハラ | 理由のない返金や過剰なサービス | 怒鳴る・脅す・長時間責め続ける |
どちらか一方でも当てはまるなら、一人で抱えずに上司へ相談してみてください。
カスハラに当たる言動の具体例
違いがわかっても、「この程度ならカスハラではないかも」と迷う場面はあるかもしれません。よくある例を知っておくと、自分の身に起きたことを判断しやすくなります。カスハラに当たりやすい代表的な言動を集めました。
- 大声で怒鳴る・暴言を吐く
- 土下座や過剰な謝罪を求める
- 長時間居座る・電話で拘束する
現場で起こりやすい場面をもとに、一つずつ紹介します。
大声で怒鳴る・暴言を吐く
大声や暴言は、カスハラの代表的な例です。レジで待たされたことに腹を立てて怒鳴り続けたり、「頭が悪い」「使えない」などと人格を否定したりする言動が当てはまります。
周りのお客さんが驚くほどの大声や、カウンターをたたく、物を投げるといった行為も同じです。言われた側が怖さを感じるような言動は、我慢しなくていいものになります。
土下座や過剰な謝罪を求める
土下座の強要もカスハラに当たります。ミスに対してお詫びをするのは自然なことですが、「土下座しろ」「全員で謝れ」と求めるのは行き過ぎです。
何度謝っても許さず謝罪文を書けと迫ったり、自宅まで謝りに来いと言ったりするケースもあります。必要な謝罪を超えた要求には、一人で応じなくて大丈夫です。
長時間居座る・電話で拘束する
長時間の拘束も、カスハラの一つです。店内に何時間も居座って同じ文句を言い続けたり、電話を何度もかけてきて切らせなかったりする行為が当てはまります。
ほかのお客さんの対応や本来の仕事が止まるため、職場全体にも影響が出てしまいます。「SNSに書くぞ」と脅して要求を通そうとするのも、よくある例です。
カスハラは法律でどう決められている?
さまざまな例を見て、「カスハラをされても何もできないの?」と不安になった人もいるでしょう。法律での扱いを知っておくと、自分が守られる立場だとわかり、安心して働きやすくなります。押さえておきたいポイントは次の2つです。
- 会社に対策を求める法律ができた
- 悪質な行為は犯罪に当たる場合がある
働く側に関係する部分を中心に解説していきます。
会社に対策を求める法律ができた
2026年10月1日から、改正労働施策総合推進法により、会社にカスハラ対策が義務づけられました。法律では、①お客さんや取引先などの言動で、②社会の常識で許される範囲を超えたものにより、③働く人の就業環境が害されることをカスハラとしています。これにより、会社は相談窓口をつくったり、対応ルールを決めたりして、働く人を守る役割を担うようになりました。
東京都など、自治体で独自の条例をつくる動きもあります。カスハラは「一人で我慢するもの」ではなく、「職場全体で対策するもの」に変わってきています。

悪質な行為は犯罪に当たる場合がある
カスハラという言葉自体に直接の罰則はありませんが、悪質な行為は犯罪になることがあります。たとえば、殴る・物を投げる行為は暴行罪、「殺すぞ」などと脅す行為は脅迫罪に当たる場合があります。
土下座を無理にさせる行為や、居座って仕事を妨げる行為も罪に問われる可能性があります。身の危険を感じたら、ためらわず警察に連絡してください。
カスハラを受けたときの対応
法律の話を知っても、いざカスハラを受けたときにどう動けばいいかは迷うところです。対応の流れを知っておくと、とっさの場面でも自分の心と体を守りやすくなります。おすすめの対応は次の3つです。
- 一人で抱え込まず上司に報告する
- 言われたことや日時を記録しておく
- 対策が整った職場への転職を考える
一人で抱え込まず上司に報告する
カスハラを受けたら、まずは一人で抱え込まないことが大切です。「自分で何とかしなきゃ」と対応を続けると、心も体もすり減ってしまいます。とっさの場面では、次の流れを意識してみてください。

言われたことや日時を記録しておく
カスハラを受けたときは、記録を残すことも役立ちます。いつ、どこで、相手に何を言われたのか、どんな要求をされたのかをメモしておきましょう。
その場にいた人の名前や、自分の体調の変化も書いておくと安心です。時間がたつと記憶があいまいになるため、その日のうちに書き留めておくのがおすすめです。
対策が整った職場への転職を考える
相談しても会社が何もしてくれない場合は、職場を変えることも選択肢の一つです。「お客さんだから我慢して」と言われ続ける環境では、心と体を守るのが難しくなってしまいます。
求人を見るときは、カスハラへの対応ルールがあるか、相談しやすい雰囲気かどうかも確認してみてください。今の職場だけがすべてではありません。
まとめ
カスハラの定義や基準を知ると、つらい思いをしたのは自分のせいではないとわかるのではないでしょうか。もし今の職場に不安が残るなら、Zキャリアのエージェントに相談してみてください。職場の情報をもとに、一人ひとりに合った仕事探しをサポートします。安心して長く働ける職場を、一緒に見つけていきましょう。