- 施設ケアマネの具体的な仕事内容
- 居宅ケアマネとの大きな違い
- 施設ケアマネが働く主な職場
- 仕事のメリットと特有の悩み
- 施設ケアマネになるためのステップ
施設ケアマネとは?居宅との違い
施設ケアマネの仕事内容や、よく比べられる居宅ケアマネとの違いについて、以下の項目で解説します。
- 介護施設で働くケアプランの専門家
- 働く場所と担当人数が大きく異なる
- 関わるサービスの種類も異なる
各項目について、詳しく見ていきましょう。
介護施設で働くケアプランの専門家
施設ケアマネは、介護施設の中で働くケアマネジャーのことです。「ケアマネ」と略されることが多いですが、正式には「介護支援専門員」という資格を持つ専門職です。主な仕事は、その施設に入所している高齢者や利用者さん一人ひとりに合わせて、「どのような介護サービスが必要か」を考え、計画(ケアプラン)を作成することです。
利用者さんが施設で快適に、その人らしく生活できるようにサポートするのが大きな役割です。ケアプランは一度作ったら終わりではなく、利用者さんの体調や様子の変化に合わせて、定期的に見直しを行います。施設内で働くため、利用者さんや他のスタッフとの距離が近いのが特徴です。
働く場所と担当人数が大きく異なる
施設ケアマネと居宅ケアマネの最も大きな違いは「働く場所」です。施設ケアマネは、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)といった「施設」の中で働きます。一方、居宅ケアマネは、地域の「居宅介護支援事業所」に所属し、自宅で生活している高齢者を担当します。
担当する人数にも差があります。施設ケアマネは、所属する施設の入所者さん全員(例えば100人など)のケアプランを担当することが一般的です。対して、居宅ケアマネは、担当できる人数に上限があり、通常は30〜40人ほどの利用者さんを受け持ち、車や自転車で自宅を訪問します。

関わるサービスの種類も異なる
仕事で関わるサービスの種類も違います。施設ケアマネが作成するケアプランは、基本的にその施設内で提供されるサービス(食事、入浴、リハビリ、レクリエーションなど)で完結します。施設内のスタッフ(介護士、看護師、リハビリ担当など)と連携してプランを進めます。
一方、居宅ケアマネは、利用者さんが自宅で生活を続けるために必要なサービスを、地域の様々な事業者から選び出して組み合わせます。例えば、「訪問介護(ホームヘルプ)はA事業所」「デイサービスはB事業所」「福祉用具のレンタルはC事業所」といった形で、外部のサービスを調整する役割が中心になります。
施設ケアマネが働く主な職場
施設ケアマネが活躍する職場にはいくつかの種類があります。主な職場は以下の通りです。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 有料老人ホームやグループホーム
詳しく解説していきます。
特別養護老人ホーム(特養)
特養は、比較的介護度の高い方が長期間入所する施設です。「終の棲家(ついのすみか)」と呼ばれることもあり、利用者さんがその人らしい生活を長く続けられるようなサポートが中心となります。
施設ケアマネは、入所者さん一人ひとりの状態や希望に合わせて、長期的な視点に立ったケアプランを作成します。日々の生活のサポートはもちろん、看取り(みとり)に関するケアプランを作成することもあります。利用者さんやご家族とじっくり関係性を築きながら、生活全体を支えていく役割が求められます。
介護老人保健施設(老健)
老健は、病院を退院した後、自宅に戻るためのリハビリを中心に行う施設です。特養とは違い、入所期間は原則3ヶ月〜半年程度と決められています。
ここでの施設ケアマネの大きな役割は、「在宅復帰」というゴールに向けたケアプランの作成です。医師や看護師、リハビリ専門職(理学療法士など)と密に連携し、利用者さんが自宅で安全に生活できる状態まで回復できるようサポートします。入所と退所が繰り返されるため、短期間で利用者さんの状態を把握し、適切なプランを立てるスピード感も必要です。
有料老人ホームやグループホーム
有料老人ホームは、施設によってサービス内容が大きく異なります。比較的お元気な方が多い施設から、手厚い介護が必要な方向けの施設まで様々です。施設ケアマネは、その施設の方針や入居者さんのニーズに合わせたケアプランを作成します。
また、「グループホーム」は、認知症の高齢者さんが少人数(5〜9人)で共同生活を送る施設です。ここでは、ケアマネジャーが介護職員と兼務しているケース(「計画作成担当者」と呼ばれることもあります)が多く、より家庭的な雰囲気の中で、利用者さんの生活に密着したサポートを行います。
施設ケアマネの具体的な仕事内容と流れ
施設ケアマネが日々どのような仕事をしているのか、具体的な業務内容と1日の流れについて、以下の項目を紹介します。
- 利用者さんのケアプランを作成し見直す
- 多職種や家族との連絡調整役を担う
- 介護業務を兼任することもある
- 1日のスケジュール例
各項目について、詳しく見ていきましょう。
利用者さんのケアプランを作成し見直す
施設ケアマネの仕事の中でも一番中心となるのはケアプラン作成です。まず、利用者さんやご家族と面談(アセスメント)を行い、ご本人の希望や体の状態、生活で困っていることなどを詳しく聞き取ります。
その情報をもとに、「どのような介護サービスを、どのくらいの頻度で提供するか」という具体的な計画書(ケアプラン)を作成します。計画を立てた後は、定期的に(少なくとも月に1回)利用者さんの様子を確認し、プランが合っているか、困ったことはないかをチェック(モニタリング)します。必要であれば、プランを見直して修正していきます。
多職種や家族との連絡調整役を担う
施設ケアマネは「調整役」としての役割も非常に重要です。施設内には、介護士、看護師、リハビリ担当、栄養士など、様々な専門スタッフが働いています。ケアマネは、これらのスタッフと情報を共有し、利用者さんに関わる全員が同じ目標を持ってサポートできるように連携をとります。
例えば、利用者さんの状態について話し合う「サービス担当者会議」を開催し、司会進行役を務めます。また、ご家族からの相談窓口となり、施設での様子を伝えたり、ご家族の要望を聞いて施設側のスタッフに伝えたりする、橋渡し役も担います。
介護業務を兼任することもある
施設によっては、ケアマネ業務と介護業務を兼務(かけもち)することがあります。特に、人手が不足しがちな施設や、小規模なグループホームなどでは、ケアマネも現場の介護スタッフ(介護士)として、食事や入浴、排泄の介助などを行うケースは珍しくありません。
兼務には、「現場の様子が直接わかる」「利用者さんと接する時間が増える」といったメリットもありますが、ケアプラン作成などのデスクワークと両立させる必要があり、仕事量が多くなる傾向があります。求人を探す際には、兼務の有無を確認することも大切です。
1日のスケジュール例
施設ケアマネの1日は、施設によって異なりますが、一例として以下のような流れが考えられます。介護業務を兼務するかどうかで、デスクワークと現場業務のバランスは変わってきます。

施設ケアマネとして働くメリット
施設ケアマネの仕事には、大変さだけでなく、大きなやりがいやメリットもあります。主なメリットは以下の通りです。
- 利用者さんと密に関わり変化を見守れる
- 医師や看護師など他職種と連携しやすい
- 勤務時間や休日が安定しやすい傾向がある
詳しく解説していきます。
利用者さんと密に関わり変化を見守れる
利用者さんとの距離が近いことが最大のメリットです。施設ケアマネは同じ建物の中で働いているため、利用者さんの日々の小さな変化に気づきやすい環境にあります。
例えば、「最近、食事が進まないようだ」「リハビリを頑張って、少し歩けるようになった」といった様子を直接見ることができます。自分の立てたケアプランによって、利用者さんの状態が良くなったり、笑顔が増えたりするのを間近で感じられるのは、大きなやりがいにつながります。利用者さんやご家族から「ありがとう」と感謝されることも多い仕事です。
医師や看護師など他職種と連携しやすい
すぐに相談できる環境であることも強みです。施設内には看護師が常駐していたり、医師が定期的に訪問したりすることが多いため、利用者さんの体調に変化があった時など、医療的な判断が必要な場合もすぐに連携が取れます。
居宅ケアマネの場合、主治医や他のサービス事業者は外部にいるため、連絡を取るのに時間がかかることもあります。その点、施設ケアマネは同じ施設内のスタッフと日常的に顔を合わせているため、情報共有がスムーズで、チームとして一体感を持ってケアにあたることができます。
勤務時間や休日が安定しやすい傾向がある
施設ケアマネは、日勤が中心で残業が少なめの職場が多い傾向にあります。もちろん、介護業務を兼務する場合はシフト制になることもありますが、基本的には土日休みやカレンダー通りの休日が設定されている施設も珍しくありません。
居宅ケアマネの場合、利用者さんの自宅を訪問するため移動時間が多く、緊急の呼び出しなどで時間外の対応が発生することもあります。施設ケアマネは施設内での業務が中心となるため、比較的プライベートとの両立がしやすいと言えるでしょう。
施設ケアマネ特有の悩みとデメリット
メリットがある一方で、施設ケアマネならではの悩みや大変な点もあります。主なデメリットは以下の通りです。
- 施設内の人間関係や板挟みになる
- 介護職との兼務で業務が多くなりがち
- 役割へのプレッシャーを感じることがある
各項目について、詳しく見ていきましょう。
施設内の人間関係や板挟みになる
施設ケアマネは「調整役」であるがゆえに、様々な立場の人の間に挟まれて悩むことがあります。例えば、利用者さんやご家族からの要望と、施設側の方針や現場の介護士の意見が対立することがあります。
また、「ケアマネは現場の大変さを分かっていない」と介護士から思われたり、逆に看護師やリハビリ担当と意見がぶつかったりすることもあるかもしれません。狭い施設の中で毎日顔を合わせるため、人間関係がうまくいかないとストレスを感じやすい環境とも言えます。様々な人の意見を聞きながら、うまくまとめる力が求められます。
介護職との兼務で業務が多くなりがち
ケアマネ業務に集中できないことが悩みになるケースです。前述の通り、施設によってはケアマネが介護業務を兼務することがあります。
現場の介護スタッフとして働きながら、合間を見てケアプランを作成したり、会議の準備をしたりしなければならず、仕事量がパンクしそうになることもあります。「ケアマネの仕事をしたかったのに、介護の仕事ばかりしている」と感じてしまうと、モチベーションを保つのが難しくなるかもしれません。入職前に、ケアマネ業務と介護業務の割合がどれくらいなのかを確認しておくことが重要です。
役割へのプレッシャーを感じることがある
施設ケアマネは、利用者さんの生活全体を支えるケアプランを作成するため、その責任は重大です。担当人数も多いため、一人ひとりの利用者さんの状態を正確に把握し続ける必要があります。
自分の立てたプランが、利用者さんの生活の質に直結するため、「これで本当に良いのだろうか」とプレッシャーを感じることも少なくありません。また、施設によってはケアマネが一人しか配置されていない「一人ケアマネ」の職場もあり、相談相手がおらず孤独を感じやすいケースもあります。

施設ケアマネに求められるスキルと年収
施設ケアマネとして活躍するためには、どのようなスキルが必要で、どのくらいの収入が期待できるのでしょうか。以下の項目で解説します。
- 高いコミュニケーション能力が不可欠
- 柔軟な対応力と調整力が求められる
- 平均年収は経験や施設規模による
詳しく解説していきます。
高いコミュニケーション能力が不可欠
最も重要なのは「聞く力」と「伝える力」です。施設ケアマネは、利用者さんやご家族の本当の気持ちや要望を引き出す必要があります。また、介護士、看護師、リハビリ担当など、立場の違う多くのスタッフに、ケアプランの意図を分かりやすく説明し、協力を仰がなければなりません。
相手の話を丁寧に聞き、自分の考えを正確に伝えるコミュニケーション能力は、施設ケアマネの仕事の土台となります。特に人間関係で板挟みになりやすい立場だからこそ、日頃から良好な関係を築いておくことが大切です。
柔軟な対応力と調整力が求められる
利用者さんの体調は日々変化します。昨日までできていたことが、急にできなくなることもあります。そうした変化にいち早く気づき、すぐにケアプランを見直したり、関係各所に連絡したりするフットワークの軽さと柔軟な対応力が求められます。
また、ご家族からの急な要望や、スタッフ間の意見の対立など、予期せぬトラブルが発生することもあります。そんな時、冷静に状況を判断し、関係者の意見を調整して、最も良い解決策を見つけ出すバランス感覚も、施設ケアマネにとって大切なスキルです。
平均年収は経験や施設規模による
施設ケアマネの平均年収は約400万円です。しかし年収は、働く施設の種類や規模、経験年数、地域によって異なります。一般的に、介護職のリーダーや主任クラスと同等か、それ以上の給与水準であることが多いようです。
ケアマネジャーの資格を持っていることで、「資格手当」が支給される場合がほとんどです。また、介護業務を兼務する場合は、夜勤手当などが加算されることもあります。経験を積んだり、さらに上位の資格(主任介護支援専門員など)を取得したりすることで、キャリアアップや年収アップを目指すことも可能です。
参照:「ケアマネージャー(介護支援専門員)の年収は? その他の介護職との年収比較も/資格の大原 資格の講座」
施設ケアマネへの転職を考えるなら
もし施設ケアマネの仕事に興味を持ったら、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか。転職に向けた準備について解説します。
- 介護支援専門員の資格取得が第一歩
- 自分の希望に合う求人を探す
- Zキャリアのエージェントに相談してみよう
各項目について、詳しく見ていきましょう。
介護支援専門員の資格取得が第一歩
施設ケアマネとして働くためには、「介護支援専門員」の資格が必須です。この資格は、誰でもすぐに取れるものではなく、受験資格を得るために一定の実務経験が必要となります。
具体的には、介護福祉士などの特定の国家資格を持って5年以上、または介護施設などで相談援助業務を5年以上経験する、といった条件を満たす必要があります。まずは介護の現場で経験を積み、実務経験の条件をクリアすることが、ケアマネになるためのスタートラインとなります。
自分の希望に合う求人を探す
資格を取得したら、いよいよ求人探しです。施設ケアマネの求人は、「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」などのキーワードで探すことができます。
求人票を見る際は、給与や休日だけでなく、「介護業務の兼務はあるか」「ケアマネは何人体制か(一人ケアマネではないか)」「施設の雰囲気はどうか」といった点もチェックすることが大切です。自分の希望する働き方と、その施設の方針が合っているかをしっかり見極めましょう。
Zキャリアのエージェントに相談してみよう
施設ケアマネの仕事は、施設という環境で利用者さんや多くのスタッフと密に関わる、非常にやりがいのある専門職です。その一方で、人間関係の調整や業務量の多さといった大変さもあります。
「自分に施設ケアマネが務まるか不安」「どんな施設が自分に合っているかわからない」もしそう感じたら、ぜひZキャリアのエージェントにご相談ください。Zキャリアは、若年層の転職サポートに強く、介護業界の求人も豊富に扱っています。
求人票だけでは分からない職場のリアルな情報や、ご自身の強みを活かせる職場を一緒に探すお手伝いをします。施設ケアマネへの一歩を踏み出すための不安や疑問を、私たちと一緒に解消していきましょう。