- 飲食店の一般的な繁忙期と閑散期
- 繁忙期と閑散期が生まれる理由
- 繁忙期を乗り切るメリットとデメリット
- 閑散期を有効活用するためのヒント
- 飲食店の経験を活かしたキャリアの考え方
飲食店の繁忙期はいつ?一般的な年間スケジュール
飲食店で働いていると、「今月はすごく忙しいな」「最近は落ち着いているな」と感じる時期があるはずです。これには、季節やイベントが大きく関係しています。飲食店の忙しさの波である繁忙期と閑散期の年間スケジュールについて、以下の通り解説します。
- 年末年始と年度末が最大のピークになる
- 長期休暇の時期も来客数が増加する
- イベントが少ない月は閑散期になりやすい
- お店のジャンルによって時期は多少変わる
各項目について、詳しく見ていきましょう。
年末年始と年度末が最大のピークになる
飲食店の最大の繁忙期は12月から1月にかけての年末年始です。忘年会やクリスマス、新年会といった大きなイベントが続くため、団体客の予約でいっぱいになります。
また、3月から4月にかけての年度末・年度初めも、送別会や歓迎会(歓送迎会)で非常に忙しくなる時期です。この時期は、普段は静かなお店でも予約が取りにくくなるほど、多くの人が飲食店を利用します。
長期休暇の時期も来客数が増加する
ゴールデンウィーク(5月)やお盆休み(8月)、シルバーウィーク(9月)などの長期休暇も飲食店にとっての繁忙期です。普段は仕事や学校で忙しい人たちが、家族や友人と一緒に外食を楽しむ機会が増えるためです。
特に観光地にあるお店や、ファミリー層に人気のお店は、この時期に来客数がぐっと増える傾向があります。夏の暑い時期には、ビアガーデンなども賑わいます。
イベントが少ない月は閑散期になりやすい
一年の中で特に落ち着く時期は2月と8月だと言われています。2月は年末年始で出費がかさんだ後であることや、大きなイベントが少ないため、外食を控える人が増えます。
8月もお盆休みは忙しいですが、それ以外の期間は猛暑で外出する人が減ったり、レジャーにお金を使う人が多かったりするため、閑散期になりやすいです。一般的に「ニッパチ(2月と8月)」と呼ばれるこの時期は、飲食店が比較的落ち着く季節です。
お店のジャンルによって時期は多少変わる
これまで紹介したのは一般的な傾向ですが、お店のジャンルによって繁忙期は異なります。例えば、居酒屋は忘年会シーズンや金曜の夜に最も混み合いますが、カフェはランチタイムや休日の午後にピークを迎えます。
また、ラーメン店は寒い冬に、ビアガーデンは夏に売上が伸びるなど、メニューによっても忙しい時期は変わってきます。自分の働くお店がどんな特徴を持っているかを知ることも大切です。
なぜ?飲食店の繁忙期が特に忙しくなる理由
飲食店の繁忙期がなぜこれほどまでに忙しくなるのか、その背景には社会全体の動きや人々のライフスタイルが関係しています。具体的な理由について、以下の通り解説します。

各項目について、詳しく見ていきましょう。
忘年会や新年会などの宴会需要が高まる
年末年始は団体利用が急増します。多くの会社やグループが、一年の締めくくりや新しい年の始まりを祝うために忘年会や新年会を開きます。
普段の食事とは違い、大人数での予約が一度にたくさん入るため、お店は一気に忙しくなります。コース料理の準備や多くのドリンク注文に対応する必要があり、キッチンもホールもフル回転で稼働することになります。
歓送迎会が行われる3月と4月は予約が増える
3月と4月は、卒業や入学、就職や転勤など、出会いと別れの季節です。これに伴い、職場や学校の仲間との送別会や歓迎会が頻繁に開催されます。
この時期も年末年始と同じように団体予約が増え、お店は賑わいます。特に週末は予約で埋まりやすく、平日の夜でも宴会が行われることが多くなります。主役がいる会なので、サプライズの準備を手伝うなど、いつもとは少し違った対応が求められることもあります。
長期休暇で家族や友人との外食が増える
ゴールデンウィークやお盆休みは、多くの人が仕事や学校から解放され、プライベートな時間を楽しむ時期です。実家に帰省した家族との食事や、久しぶりに会う友人とのランチなど、外食の機会が自然と増えます。
特にショッピングモール内のレストランや、テーマパーク周辺の飲食店は、多くの人でごった返します。普段は別々に食事をしている人たちが集まるため、客単価も上がりやすく、お店にとっては大きな売上につながります。
ボーナス時期は少し贅沢な食事の需要が増す
多くの会社でボーナスが支給される夏(6月〜7月)と冬(12月)は、人々の財布の紐が緩みやすい時期です。普段は行かないような少し高級なお店で食事をしたり、コース料理を頼んだりするなど、「ちょっと贅沢したい」という気持ちが高まります。
そのため、客単価の高いレストランや、特別な日のお祝いに使われるようなお店にとっては、大きなビジネスチャンスの時期となります。
なぜ?飲食店に閑散期がうまれる理由
活気あふれる繁忙期とは対照的に、お店が静かになる閑散期はなぜ訪れるのでしょうか。これも繁忙期と同じく、季節や人々の消費行動の変化が関係しています。閑散期がうまれる理由について、以下の通り解説します。
- 大きなイベントがない月の反動
- 大型連休やイベント後の出費控え
- 梅雨や猛暑など天候の影響
- 祝日が少なく外食のきっかけが減る
各項目について、詳しく見ていきましょう。
大きなイベントがない月の反動
2月や11月は大きなイベントが少ないため、外食の動機が生まれにくい月です。12月や1月といった大きなイベントが続く月の前後は、その反動で静かになる傾向があります。
特に2月は、寒さが厳しい上に、年末年始の賑わいが過ぎ去った後なので、一年で最も落ち着く時期と言われています。お店側もこの時期をスタッフの研修や新メニュー開発の期間にあてることがあります。
大型連休やイベント後の出費控え
年末年始やゴールデンウィークといった大型連休後は出費を抑える傾向にあります。旅行やイベントでたくさんお金を使った後なので、「しばらくは節約しよう」と考える人が増え、外食の回数が減るためです。
1月の後半や5月の連休明けは、客足が遠のきやすい時期と言えるでしょう。このようにお客様の消費マインドの波が、お店の売上に直接影響します。
梅雨や猛暑など天候の影響
天候は来客数に大きく影響します。雨が続く梅雨の時期(6月頃)は、外に出るのが億劫になり、客足が鈍りがちです。また、うだるような暑さが続く真夏(8月のお盆を除く期間)も、日中の外出を避ける人が増えるため、特にランチタイムの集客が難しくなることがあります。
一方で、駅直結の商業施設にあるお店などは、天候の影響を受けにくいという特徴もあります。
祝日が少なく外食のきっかけが減る
6月は祝日がない唯一の月であり、連休がないため外食の特別なきっかけが生まれにくいです。土日以外に休みがないと、平日の夜に食事に出かける機会も減ってしまいます。
祝日がある月は、それをきっかけに「どこか食べに行こうか」という話になりやすいですが、そうした機会が少ない月は、どうしてもお店が静かになりがちです。
飲食店の繁忙期に働くメリット
目が回るほど忙しい繁忙期ですが、大変なことばかりではありません。この時期を乗り越えることで得られる経験やメリットもたくさんあります。繁忙期に働くことのプラスの側面について、以下の通り解説します。
- 短期間で集中的に収入を増やせる
- 仕事の段取りがうまくなる
- 自然と調理や接客スキルが向上する
- チームで乗り越える一体感が生まれる
各項目について、詳しく見ていきましょう。
短期間で集中的に収入を増やせる
繁忙期はシフトに入れる時間が長くなるため、短期間でしっかり稼ぐことができます。お店によっては、通常より多くのスタッフが必要になるため、普段は入れない時間帯にもシフトの希望が出せることがあります。また、忙しさに応じて特別手当が出るお店もあります。
「次の休みに旅行に行きたい」「欲しいものがある」といった目標がある場合、繁忙期は絶好の稼ぎ時と言えるでしょう。
仕事の段取りがうまくなる
次から次へと入る注文を効率よくさばくためには、仕事の優先順位を考える力が自然と身につきます。常に「次に何をすべきか」を考えながら動くことで、どうすればもっとスムーズに仕事が進むかを学ぶことができます。
この段取り力は、飲食店だけでなく、どんな仕事をする上でも役立つ重要なスキルです。忙しい環境だからこそ、自分の成長を実感できる場面も多いでしょう。
自然と調理や接客スキルが向上する
繁忙期は、普段の何倍ものお客様に対応するため、圧倒的な実践経験を積むことができます。キッチンなら調理のスピードや正確性が、ホールなら注文を取る、料理を運ぶ、会計をするといった一連の作業の速さが格段に上がります。
忙しい中でも笑顔を絶やさず、丁寧な言葉遣いを心がけることで、高いレベルの接客スキルも身につけることができるでしょう。
チームで乗り越える一体感が生まれる
忙しいピークタイムをスタッフ全員で協力して乗り切った後には、大きな達成感と仲間との絆が生まれます。「今の連携プレー、最高だったね!」などと声を掛け合い、大変な状況を一緒に乗り越えた経験は、何物にも代えがたい財産になります。
お店全体が一つのチームとして機能することで、普段以上に強い一体感を感じることができるのは、繁忙期ならではの魅力です。
飲食店の繁忙期に働くデメリット
多くのメリットがある一方で、繁忙期には心身ともに負担が大きくなるデメリットも存在します。働く上で知っておきたいマイナスの側面について、覚悟しておくことも大切です。繁忙期に働くデメリットについて、以下の通り解説します。
- 長時間労働で体力的にきつい
- 休みが希望通りに取れない
- 常に時間に追われて焦ってしまう
- 一人ひとりのお客様への丁寧な対応が難しくなる
各項目について、詳しく見ていきましょう。
長時間労働で体力的にきつい
繁忙期は休憩もままならないほどの忙しさが続くことがあります。営業時間が長くなったり、残業が増えたりすることで、どうしても長時間労働になりがちです。
一日中立ちっぱなしで動き回るため、仕事が終わる頃には足がパンパンになることも。体力的な負担が大きいので、日々の体調管理が非常に重要になります。無理をしすぎて体を壊さないように注意が必要です。

休みが希望通りに取れない
世間が休みの時こそ、飲食店は最も忙しくなります。そのため、友人や家族と休みを合わせにくいというデメリットがあります。
クリスマスや年末年始といったイベントの時期に休みを取るのは難しい場合がほとんどです。プライベートの時間を大切にしたい人にとっては、この働き方が少し寂しく感じられるかもしれません。
常に時間に追われて焦ってしまう
繁忙期は、まるで戦場のような慌ただしさです。次々と入るオーダーに追われ、精神的な余裕がなくなってしまうことも少なくありません。
料理の提供が遅れたり、ミスをしてしまったりすると、お客様から厳しい言葉をいただくことも。常に時間に追われるプレッシャーから、焦りやストレスを感じやすくなる時期でもあります。
一人ひとりのお客様に丁寧な対応が難しくなる
忙しさのあまり、効率を優先せざるを得ない場面が増えてしまいます。本来であれば、お客様一人ひとりとコミュニケーションを取りながら丁寧な接客をしたいと思っていても、現実は目の前の作業をこなすことで精一杯。心のこもったサービスを提供したくてもできないことに、もどかしさや罪悪感を感じてしまう人もいるかもしれません。
飲食店の閑散期を有効に過ごすためのヒント
お客様が少なく、比較的時間がゆっくり流れる閑散期。この時期をただ「暇な時期」として過ごすのはもったいないです。閑散期だからこそできることはたくさんあります。この時期を有効に活用する方法について、以下の通り解説します。

各項目について、詳しく見ていきましょう。
まとまった連休を取得してリフレッシュする
繁忙期に頑張った分、閑散期はゆっくり休むチャンスです。多くの飲食店では、この時期にスタッフが交代で長期休暇を取りやすいように配慮してくれます。
普段はなかなか行けない場所へ旅行に出かけたり、趣味に没頭したりと、心と体をしっかりリフレッシュさせましょう。ここでエネルギーを充電することが、次の繁忙期を乗り切るための活力につながります。
新しいメニューの開発や試作に挑戦する
時間が比較的ある閑散期は、新しいことにチャレンジする絶好の機会です。例えば、新しいメニューのアイデアを考え、実際に試作してみるのはどうでしょうか。
自分が考えた料理がお店のメニューに加わるかもしれません。また、普段は忙しくてなかなかできない盛り付けの練習をしたり、カクテルの作り方を覚えたりと、自分のスキルアップのために時間を使うことができます。
普段できない場所の掃除や整理整頓をする
忙しい時にはなかなか手が回らない、お店の隅々まで綺麗にする良い機会です。厨房の換気扇や冷蔵庫の裏、倉庫の整理整頓など、大掃除をすることで、より衛生的で働きやすい環境を作ることができます。
お店が綺麗になれば、働くスタッフの気持ちも引き締まりますし、お客様にとっても居心地の良い空間になります。お店への貢献を実感できる活動です。
資格の勉強や副業など自己投資の時間にあてる
シフトが減って時間に余裕ができる分、自分の将来のために時間を使うのも素晴らしい選択です。例えば、調理師免許やソムリエ、食品衛生責任者といった仕事に役立つ資格の勉強を始めるのも良いでしょう。
また、空いた時間を使って副業を始め、収入の柱を増やすことも可能です。閑散期を自分を成長させるための期間と捉えることで、キャリアの可能性が大きく広がります。
繁忙期と閑散期の波に疲れてしまったときの考え方
やりがいを感じて始めた飲食店の仕事でも、激しい繁忙期と静かな閑散期の大きな波に、心や体が疲れてしまうこともあるかもしれません。もし「この働き方は自分に合っていないかも」と感じたら、一度立ち止まって自分のキャリアを見つめ直す良い機会です。そんな時に考えたいことについて、以下の通り解説します。
- 自分の理想の働き方を考える
- 労働環境が安定した職場を探す
- 飲食店以外の業界も視野に入れる
- シフトや給与の安定性を重視して転職する
各項目について、詳しく見ていきましょう。
自分の理想の働き方を考える
まずは「自分はどんな働き方がしたいのか」を改めて考えてみることが大切です。例えば、「土日はしっかり休みたい」「毎日決まった時間に帰りたい」「給料の変動が少ない仕事がいい」など、自分の希望を書き出してみましょう。今の仕事の何が辛いのか、そして何を改善したいのかが明確になることで、次にとるべき行動が見えてきます。
労働環境が安定した職場を探す
同じ飲食業界の中でも、働きやすい環境の職場はたくさんあります。例えば、社員食堂やホテルのレストラン、給食センターなどは、営業時間が決まっており、年間を通して仕事量が安定している傾向があります。
また、福利厚生が充実していたり、研修制度が整っていたりする大手チェーン店なども選択肢の一つです。今の環境が全てだと思わず、視野を広げてみましょう。
飲食店以外の業界も視野に入れる
もし飲食の仕事自体から離れたいと感じるなら、全く違う業界に挑戦するのも一つの道です。例えば、工場勤務や倉庫作業、配送ドライバーなどのノンデスクワークは、シフト制で安定した働き方ができる仕事が多いです。
また、飲食店で培ったコミュニケーション能力を活かして、販売職や営業職にチャレンジすることも可能です。自分の経験が意外なところで役立つこともあります。
シフトや給与の安定性を重視して転職する
繁忙期と閑散期の波による収入の不安定さが悩みなのであれば、月給制の正社員として働くことを目指すのがおすすめです。正社員であれば、お店の売上に関わらず毎月安定した給料がもらえ、ボーナスや各種手当がつくことも多いです。
安定した収入は、心の安定にもつながります。Zキャリアでは、未経験から正社員を目指せる求人を多数扱っていますので、ぜひ一度相談してみてください。
飲食店の経験を強みに新しい一歩を踏み出す
「飲食店での経験しかないから、他の仕事なんて無理かも…」なんて思う必要は全くありません。実は、飲食店での経験を通じて身につけたスキルは、他の多くの仕事でも高く評価されます。自信を持って、新しいキャリアへの一歩を踏み出しましょう。飲食店の経験がどう活かせるかについて、以下の通り解説します。
- コミュニケーション能力は高く評価される
- マルチタスクスキルはどんな仕事でも役立つ
- ストレス耐性や課題解決能力もアピールできる
各項目について、詳しく見ていきましょう。
コミュニケーション能力は高く評価される
飲食店では、毎日様々なお客様と接する必要があります。年齢や性別、職業も違う人たちと円滑にコミュニケーションを取る能力は、どの業界でも非常に重宝されます。お客様の要望を正確に聞き取り、笑顔で対応するスキルは、例えば販売職や営業職、コールセンターなどの仕事で直接活かすことができます。
マルチタスクスキルはどんな仕事でも役立つ
忙しいピークタイムには、複数の仕事を同時にこなすことが求められます。注文を取りながら、ドリンクを作り、テーブルを片付け、次のお客様を案内する。こうしたマルチタスクスキルは、効率的に仕事を進める上で不可欠な能力です。例えば、事務職で複数の電話に対応しながらデータ入力をしたり、工場で複数の機械を管理したりする際にも、この経験は必ず役立ちます。
ストレス耐性や課題解決能力もアピールできる
クレーム対応や予期せぬトラブルなど、飲食店では困難な状況に対応する力も養われます。冷静に状況を判断し、その場で最善の解決策を見つける能力や、忙しい状況でも冷静さを失わないストレス耐性は、社会人としての大きな強みです。困難な状況を乗り越えた経験は、あなたの粘り強さや責任感の証明になります。
Zキャリアのエージェントに相談してみる
自分の強みが分かっても、それをどうやって仕事探しに活かせばいいか、一人で考えるのは大変かもしれません。そんな時は、転職のプロに相談するのが一番の近道です。
Zキャリアのエージェントは、あなたの経験や希望を丁寧にヒアリングし、どんな仕事が向いているか、どんな可能性があるかを一緒に考えてくれます。履歴書の書き方から面接対策まで、手厚くサポートするので、安心して新しい一歩を踏み出すことができます。