- 飲食店で起こるカスハラの具体例
- カスハラに遭遇した時の正しい対処法
- カスハラを理由に転職するメリット・デメリット
- カスハラの少ない仕事環境の特徴
飲食店でのカスハラが深刻化!店で起こる具体例とは?
飲食店では、お客様からの理不尽な要求や迷惑行為、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が問題になっています。働く人にとっては、精神的にも肉体的にも大きな負担となり、仕事へのモチベーションの低下や離職の原因にもなりかねません。ここでは、実際に飲食店で起こりがちなカスハラの具体例を紹介します。まずは、どのような行為がカスハラにあたるのか、具体例を以下の通り解説します。
- 理不尽なクレームや土下座の要求
- 長時間の居座りや執拗な説教
- 従業員への暴力や威嚇行為
各項目について、詳しく見ていきましょう。
理不尽なクレームや土下座の要求
過剰な謝罪や金品の要求をしてくるケースです。例えば、「髪の毛が入っていた」などと事実確認が難しいクレームをつけ、返金以上の金銭を求めたり、土下座を強要したりします。提供した商品やサービスに落ち度がないにも関わらず、一方的に怒鳴りつけられることもあり、対応する従業員に大きな精神的苦痛を与えます。

長時間の居座りや執拗な説教
従業員を何時間も拘束し、同じ内容の説教を繰り返す行為です。一度クレームをつけ始めると、納得するまで延々と文句を言い続けるお客様もいます。このような行為は、他のお客様の迷惑になるだけでなく、従業員の貴重な時間を奪い、本来の業務に大きな支障をきたします。「お前のためを思って言っているんだ」などと言いながら、人格を否定するような言葉を投げかけられることも少なくありません。
従業員への暴力や威嚇行為
言葉だけでなく、物を投げつけたり、体を突いたりといった直接的な暴力行為も発生します。「店長の自宅を突き止めてやる」といった脅迫めいた言葉で、恐怖心を与えて従わせようとする悪質なケースもあります。これは単なる迷惑行為ではなく、従業員の安全を脅かす犯罪行為です。身の危険を感じた場合は、すぐにその場から離れ、警察に通報することもためらってはいけません。
カスハラに遭遇してしまった時の対処法
もし実際にカスハラに遭遇してしまったら、どのように対応すればよいのでしょうか。一人で抱え込み、精神的に追い詰められてしまうのが最も避けたい事態です。いざという時に自分を守るための基本的な対処法を、以下の通り解説します。
- まずは冷静に距離をとる
- 一人で抱え込まず上司や同僚に相談する
- やり取りの内容を記録しておく
詳しく解説していきます。
まずは冷静に距離をとる
その場から少し離れて冷静になる時間を作りましょう。お客様が興奮している場合、真正面から向き合うとさらにエスカレートする可能性があります。「責任者に確認いたします」などと一言伝え、物理的に距離をとることが重要です。相手の興奮が収まるのを待ったり、自分自身の気持ちを落ち着かせたりすることができます。
一人で抱え込まず上司や同僚に相談する
カスハラへの対応は、絶対に一人で行わないでください。必ず上司や責任者、近くにいる同僚に状況を報告し、助けを求めましょう。組織として対応することで、より適切な判断ができますし、何よりも「一人ではない」という安心感が精神的な支えになります。対応を代わってもらう、複数人で対応するなど、チームで乗り越える意識が大切です。

やり取りの内容を記録しておく
いつ、どこで、誰から、どのようなカスハラを受けたのかを具体的に記録しておくことが重要です。スマートフォンで音声を録音したり、メモに残したりしておきましょう。記録は、後で会社に正確な状況を報告する際や、万が一法的な措置をとる必要が出た場合に、客観的な証拠として役立ちます。自分の記憶だけに頼らず、形に残すことを意識してください。
会社のカスハラ対応が不十分な時の見極め方
カスハラについて相談しても、会社が真摯に対応してくれないケースも残念ながら存在します。従業員を守る気がない職場で働き続けることは、心身の健康を損なうリスクを高めます。今の職場を見限るべきか判断するためのポイントを、以下の通り解説します。
- 相談しても真剣に取り合ってくれない
- 責任者までもが加害者の味方をする
- 心身に不調が出始めている
各項目について、詳しく見ていきましょう。
相談しても真剣に取り合ってくれない
上司や会社にカスハラの事実を報告しても、具体的な対策を講じてくれない場合は注意が必要です。「そのくらい我慢しろ」「お客様は神様だ」といった言葉で片付けられるようなら、その会社は従業員の安全を守る意識が低いと言えます。従業員の訴えを軽視し、その場しのぎの対応しかしない会社は、信頼できる職場とは言えません。
責任者までもが加害者の味方をする
従業員を守るべき立場の上司や責任者が、逆に被害を受けた従業員を責めるようなら、その職場は非常に危険です。カスハラ加害者の言い分を鵜呑みにし、「君の対応が悪かったんじゃないか?」などと言われたら、その職場に居場所はないと判断すべきです。孤立無援の状態で働き続けるのは、精神的に非常に辛い状況です。
心身に不調が出始めている
カスハラが原因で、心身に不調が現れ始めたら、それは危険信号です。例えば、夜眠れなくなったり、食欲がなくなったり、仕事に行こうとすると腹痛や吐き気がしたりする状態です。我慢して働き続けることで、うつ病などの精神疾患につながる恐れもあります。自分の心と体を守ることを最優先に考え、職場から離れるという決断も必要になります。
カスハラが辛くて飲食店を辞めるメリット
カスハラの絶えない飲食店を辞めることには、もちろん不安もあるでしょう。ですが、それ以上に大きなメリットが得られる可能性もあります。辛い環境から抜け出すことで訪れるプラスの変化を、以下の通り解説します。
- 精神的なストレスから解放される
- 新しいスキルや知識が身につく
- 安定した労働環境で働ける可能性がある
詳しく解説していきます。
精神的なストレスから解放される
最大のメリットは、日々のカスハラによる苦痛がなくなることです。理不尽なクレームや暴言におびえる必要がなくなり、心の平穏を取り戻せます。仕事に行くのが怖いと感じることもなくなり、休日やプライベートの時間も心から楽しめるようになるでしょう。ストレスがなくなることで、物事を前向きに考えられるようにもなります。
新しいスキルや知識が身につく
飲食店とは異なる業界や職種に転職すれば、全く新しいスキルを身につけるチャンスが広がります。例えば、工場勤務なら製造に関する技術、配送ドライバーなら運転技術や物流の知識など、将来のキャリアの選択肢を増やすことにつながる専門性を高めることができます。新しい挑戦は、自信にもつながります。
安定した労働環境で働ける可能性がある
オンとオフのメリハリをつけやすい働き方ができる可能性があります。職場によっては、勤務時間や休日が不規則な飲食店と比べて、より安定した労働環境が整っています。特に法人を相手にするBtoBの仕事や、工場の製造ラインなどは、勤務スケジュールが明確なことが多いです。規則正しい生活は、心身の健康にも良い影響を与えます。
カスハラが辛くて飲食店を辞めるデメリット
メリットがある一方で、飲食店を辞めて転職することにはデメリットや注意すべき点もあります。勢いだけで辞めてしまうと、後で「こんなはずではなかった」と後悔するかもしれません。考えられるデメリットを、以下の通り解説します。
- 未経験の仕事に慣れるまでが大変
- 給与や待遇が一時的に下がる可能性
- 人間関係を一から築く必要がある
詳しく解説していきます。
未経験の仕事に慣れるまでが大変
これまでの経験が通用しない、新しい仕事を覚える苦労があります。飲食店でしか働いた経験がない場合、新しい業界のルールや仕事の進め方を一から学ぶ必要があります。最初のうちは、覚えることが多くて戸惑ったり、周りのスピードについていけなかったりして、大変だと感じるかもしれません。
給与や待遇が一時的に下がる可能性
未経験の職種に転職する場合、一時的に収入が下がる可能性も考慮しておく必要があります。これまでの経験が直接評価されにくいため、最初は見習い期間として給与が低めに設定されることがあります。すぐに給料を上げたいと考えるのではなく、長期的なキャリアプランを見据えて判断することが重要です。
人間関係を一から築く必要がある
新しい職場では、人間関係をゼロから構築する必要があります。上司や同僚がどんな人たちなのか、どう関わっていけば良いのか、最初は手探り状態になります。飲食店の仲間との一体感が好きだった人にとっては、新しい環境に馴染むまで寂しさや不安を感じることもあるでしょう。コミュニケーションを積極的にとる努力が求められます。
カスハラが少ない職場環境の特徴
「もう二度とカスハラで悩みたくない」と考えるなら、どのような職場を選べばよいのでしょうか。実は、カスハラが起こりにくい職場にはいくつかの共通した特徴があります。転職活動をする際の参考に、特徴を以下の通り解説します。
- お客様と直接関わることが少ない
- 相手が法人のお客様である
- 仕事のマニュアルやルールが明確
各項目について、詳しく見ていきましょう。
お客様と直接関わることが少ない
自分の作業に集中できる環境であることが特徴です。工場のライン作業や倉庫でのピッキング、データ入力などの仕事は、不特定多数のお客様と直接コミュニケーションをとる機会がほとんどありません。自分のペースで黙々と作業を進めたい人や、対人関係のストレスを感じやすい人にとっては、働きやすい職場と言えるでしょう。
相手が法人のお客様である
企業を相手にするBtoBの仕事も、理不尽なクレームは少ない傾向にあります。BtoBとは「Business to Business」の略で、会社対会社で取引を行うビジネスのことです。法人の担当者は、感情的になることよりも、ビジネスとしての合理的な判断を優先するため、冷静で丁寧なコミュニケーションが基本となります。

仕事のマニュアルやルールが明確
トラブル発生時の対応方法が決まっている職場は、従業員が守られやすい環境です。仕事の手順やクレーム対応の方法がマニュアルで明確に定められていると、個人の判断で対応に苦慮する場面が少なくなります。何か問題が起きても、「マニュアルではこのように対応することになっています」と、会社として一貫した対応がとれるため、従業員が一人で責任を負わされるリスクを減らせます。
飲食店での接客経験が活かせる転職先
飲食店での経験は、カスハラの辛い記憶だけではありません。忙しい状況で効率よく動く力や、お客様の要望を察する力など、多くの貴重なスキルが身についているはずです。その経験を強みとして活かせる、ノンデスクワークの転職先を以下の通り解説します。
- ルート営業
- 配送ドライバー
- 介護スタッフ
詳しく解説していきます。
ルート営業
決まったお客様と良好な関係を築く仕事です。新しいお客様を探すのではなく、すでにお取引のある会社を定期的に訪問し、商品の受注や納品、新商品の提案などを行います。飲食店で培ったコミュニケーション能力や、お客様の懐に入る力を直接活かせます。既存顧客との関係維持が中心なので、精神的な負担も比較的少ないのが特徴です。
配送ドライバー
効率的な作業の段取り力が役立つ仕事です。飲食店での経験で身についた、どうすればスムーズに作業が進むかを考える力は、配送ルートを考えたり、荷物を積み下ろしたりする際に大いに役立ちます。一人で運転する時間が長いため、対人ストレスは少ないですが、荷物の受け渡し時には飲食店で培った気持ちの良いコミュニケーションが求められます。
介護スタッフ
相手を思いやる気持ちが最も大切な仕事です。飲食店で培った、お客様の様子を観察して「お水が欲しいかな?」などとニーズを先読みする力は、介護施設の利用者さんの心に寄り添うケアに直結します。「ありがとう」と直接感謝される機会も多く、人の役に立っていることを実感できる、大きなやりがいのある仕事です。
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