フロントオフィスとバックオフィスの違いは？仕事内容と向いている人の特徴を解説

フロントオフィスとバックオフィスの基本的な違いを解説

会社には様々な仕事がありますが、大きく「フロントオフィス」と「バックオフィス」の2種類に分けられることがあります。この2つの違いを理解すると、自分に合った仕事を探しやすくなりますよ。具体的には、以下の3つの視点で違いを解説します。

それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

会社の「顔」として顧客と直接関わる

フロントオフィスは、お客様と直接やり取りするのが一番大きな特徴です。お店で接客してくれたり、営業で訪問してきたりする人たちをイメージすると分かりやすいかもしれません。

会社のサービスや商品を直接お客様に届け、会社の「顔」としての役割を担っています。お客様からの「ありがとう」という言葉を直接聞ける機会も多く、やりがいを感じやすい仕事と言えるでしょう。コミュニケーション能力や、お客様の要望を察する力が求められます。

会社を裏側から支える「縁の下の力持ち」

一方、バックオフィスは、お客様と直接顔を合わせる機会は少ないですが、会社全体の活動をサポートする重要な役割を担っています。まさに「縁の下の力持ち」のような存在です。

例えば、社員のお給料を計算したり、必要な備品を発注したり、会社のルールを整えたりと、仕事内容は多岐にわたります。こうしたバックオフィスの支えがあるからこそ、フロントオフィスのメンバーが安心して仕事に集中できるのです。計画的に物事を進める力や、正確さが求められる仕事が多いのが特徴です。

利益を生む部門とそれをサポートする部門

お金の流れで見てみると、違いがよりはっきりします。フロントオフィスは、商品を売ったりサービスを提供したりして、直接的に利益を生み出す部門です。そのため、「営業部門」や「販売部門」と呼ばれることもあります。会社の成長に直接貢献している実感を持ちやすいでしょう。

対してバックオフィスは、直接利益を生むわけではありませんが、会社を運営していく上でなくてはならない存在です。人事や経理、総務といった部門がこれにあたり、会社全体の業務がスムーズに進むようにサポートすることで、間接的に会社の利益に貢献しています。

フロントオフィスの具体的な仕事内容って何？

フロントオフィスがお客様と直接関わる仕事だと分かったところで、より具体的にどんな職種があるのか気になりますよね。ここでは、代表的な3つの仕事内容について解説します。

それぞれの仕事について、詳しく解説していきます。

営業職

営業職は、会社の売上に直接貢献する花形とも言える仕事です。自社の製品やサービスを個人や他の会社に提案し、契約を結ぶのが主な役割です。

ひとくちに営業と言っても、すでにお付き合いのあるお客様を回る「ルート営業」や、新しいお客様を探す「新規開拓営業」など、様々なスタイルがあります。目標達成意欲が高い人や、人と話すのが好きな人に向いている仕事です。成果が給料に反映されやすいことも多く、頑張り次第で高収入を目指せる可能性もあります。

販売・接客職

販売・接客職は、お店でお客様と直接関わる仕事で、アパレルショップの店員や飲食店のホールスタッフなどがこれにあたります。未経験からでも始めやすい職種が多いのが特徴です。

お客様に商品の説明をしたり、レジ打ちをしたり、お店をきれいに保ったりと、仕事内容は多岐にわたります。お客様のニーズをうまく引き出し、「このお店で買ってよかった」と思ってもらえるようなコミュニケーションが大切です。ファッションや食べ物など、自分の好きなことを仕事にしやすいのも魅力の一つでしょう。

カスタマーサポート

カスタマーサポートは、電話やメール、チャットなどを通じて、お客様からの問い合わせに対応する仕事です。コールセンターのオペレーターをイメージすると分かりやすいかもしれません。

「商品の使い方が分からない」「サービスについて詳しく知りたい」といったお客様の疑問や困りごとを解決に導きます。丁寧な言葉遣いや、相手の話を正確に聞き取る力が求められます。お客様の悩みを解決できた時には、直接感謝されることも多く、大きなやりがいを感じられる仕事です。

バックオフィスではどんな仕事をするの？

次に、会社を裏から支えるバックオフィスの仕事について見ていきましょう。表に出ることは少ないですが、会社運営に欠かせない専門的な仕事がたくさんあります。ここでは代表的な3つの仕事を紹介します。

それぞれの仕事内容を、詳しく解説していきます。

一般事務職

一般事務職は、部署内の様々な業務をサポートする役割を担います。特定の分野に限らず、幅広い業務に携われるのが特徴です。

例えば、書類の作成や整理、データ入力、電話や来客の対応、備品管理など、その仕事内容は多岐にわたります。様々な部署の人と関わる機会も多く、コミュニケーションを取りながら仕事を進める場面も少なくありません。パソコンの基本スキルを活かしたい人や、誰かのサポートをすることにやりがいを感じる人に向いています。

経理職

経理職は、会社のお金の流れを管理する専門的な仕事です。会社の経営状態を把握する上で、非常に重要な役割を担っています。

日々の売上や経費の計算、請求書の発行、給与計算、決算書の作成などが主な仕事です。1円単位での正確さが求められるため、コツコツと地道な作業が得意な人や、数字を扱うのが好きな人に向いています。簿記などの資格を取得すると、キャリアアップにも繋がりやすい職種です。

人事・労務職

人事・労務職は、会社の「人」に関する業務を担当します。社員が働きやすい環境を整える、とても大切な仕事です。

人事業務には、新しい社員を採用する「採用活動」や、社員の能力開発を支援する「研修」、適切な部署に配置する「人事異動」などがあります。一方、労務業務では、社員の給与計算や社会保険の手続き、勤怠管理などを行います。人の成長を支えたい、会社の組織作りに貢献したいという思いがある人に向いています。

フロントオフィスで働くメリット

お客様と直接関わるフロントオフィスには、どのような魅力があるのでしょうか。ここでは、フロントオフィスで働くことのメリットを3つ紹介します。

それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

成果が評価や給与に反映されやすい

フロントオフィスの仕事は、自分の頑張りが数字として表れやすいのが大きなメリットです。例えば営業職なら、契約件数や売上金額が明確な成果となります。

成果がはっきりと分かるため、評価や給与に繋がりやすい傾向があります。「インセンティブ」と呼ばれる成果給制度を導入している会社も多く、頑張り次第では同年代よりも高い収入を得ることも夢ではありません。目標に向かって努力するのが好きな人にとっては、大きなモチベーションになるでしょう。

高いコミュニケーションスキルが身につく

日々様々なお客様と接するフロントオフィスの仕事では、自然とコミュニケーションスキルが磨かれます。相手が何を求めているのかを考え、分かりやすく説明する力が身につきます。

最初は人と話すのが苦手だったとしても、経験を積むうちに自信がついてくるはずです。ここで身につけたコミュニケーションスキルは、どんな仕事にも活かせる一生モノの財産になります。将来、別の職種に転職したり、キャリアアップしたりする際にも、大きな武器となるでしょう。

顧客から直接感謝の言葉をもらえる

お客様の悩みや要望に応えられた時、「ありがとう」と直接感謝されるのは、フロントオフィスの仕事ならではの大きなやりがいです。

自分のした仕事が誰かの役に立っていると実感できる瞬間は、何物にも代えがたい喜びがあります。お客様の笑顔を見たり、感謝の言葉を聞いたりすることで、「もっと頑張ろう」という気持ちが湧いてくるでしょう。人と関わることが好きで、誰かの役に立ちたいと考えている人にとって、非常に魅力的な環境です。

フロントオフィスで働くデメリット

やりがいも大きいフロントオフィスの仕事ですが、もちろん大変な面もあります。ここでは、働く前に知っておきたいデメリットを3つ紹介します。

それぞれのデメリットについて、詳しく解説していきます。

ノルマなどの目標達成プレッシャーがある

成果が分かりやすい反面、目標達成へのプレッシャーを感じやすいというデメリットがあります。特に営業職などでは、「ノルマ」と呼ばれる月ごとや四半期ごとの目標が設定されていることがほとんどです。

目標を達成できない月が続くと、精神的に辛くなってしまうこともあるかもしれません。ですが、プレッシャーをバネに成長できるという側面もあります。目標達成に向けて試行錯誤する過程で、問題解決能力や粘り強さが身につくでしょう。

クレーム対応で精神的に疲れることがある

お客様と直接関わる以上、時には厳しい意見やクレームに対応する場面もあります。自分のミスではなかったとしても、会社の代表として謝罪しなければならないこともあり、精神的な負担を感じるかもしれません。

ですが、クレームはサービス改善の貴重なヒントでもあります。真摯に対応することで、逆にお客様からの信頼を得られることも少なくありません。うまく気持ちを切り替える方法や、ストレスを溜めない工夫を見つけることが大切になります。

シフト制で休みが不規則になりやすい

販売職や接客業、カスタマーサポートなどの多くは、土日祝日も営業しているため、シフト制勤務が基本となります。そのため、カレンダー通りに休みにくい場合があります。

友人と休みが合わなかったり、連休が取りにくかったりすることもあるかもしれません。一方で、平日に休みが取れるというメリットもあります。役所の手続きや銀行、病院などに行きやすく、どこに出かけても比較的空いているという利点も。自分のライフスタイルに合うかどうか、事前に確認しておくことが重要です。

バックオフィスで働くメリット

次に、会社を支えるバックオフィスで働くメリットについて見ていきましょう。表舞台に立つことは少なくても、たくさんの魅力があります。

それぞれのメリットを、詳しく解説していきます。

専門的な知識やスキルを習得できる

バックオフィスの仕事は、専門性が高い業務が多いのが特徴です。例えば経理なら会計、人事なら労働法規といったように、特定の分野の知識を深めていくことができます。

一度専門的なスキルを身につければ、それは自身の大きな強みになります。将来、転職を考える際にも有利に働くことが多いでしょう。資格取得を支援してくれる会社も多く、働きながらスキルアップを目指せる環境が整っていることも魅力です。

比較的カレンダー通りに休みやすい

バックオフィス部門は、土日祝日が休みの会社が多い傾向にあります。そのため、カレンダー通りに休みを取りやすく、プライベートの予定が立てやすいのがメリットです。

家族や友人との時間を大切にしたい人や、趣味の時間をしっかり確保したい人にとっては、大きな魅力と言えるでしょう。残業が少ない会社も多く、仕事とプライベートのバランスを取りながら、メリハリをつけて働きたい人にぴったりの環境です。

会社の基盤を支えている実感を得られる

バックオフィスの仕事は、会社全体の運営を支えるという重要な役割を担っています。自分の仕事が、他の社員の働きやすさに繋がり、ひいては会社の成長に貢献しているという実感を得られます。

例えば、新しい福利厚生の制度を導入して社員に喜ばれたり、業務効率化の仕組みを作って部署全体の生産性が上がったりした時には、大きなやりがいを感じるでしょう。誰かをサポートすることに喜びを感じる人にとっては、非常に満足度の高い仕事です。

バックオフィスで働くデメリット

専門性も高く安定したイメージのあるバックオフィスですが、いくつか知っておきたいデメリットもあります。ミスマッチを防ぐためにも、事前に確認しておきましょう。

それぞれのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。

仕事の成果が直接見えにくいことがある

バックオフィスの仕事は、成果が数字として表れにくいという側面があります。フロントオフィスのように売上金額などで評価されることが少ないため、自分の貢献度が分かりにくいと感じることがあるかもしれません。

ですが、成果が見えにくいからといって評価されないわけではありません。業務の正確さや効率性、他部署からの信頼など、様々な観点から評価されます。日々の業務を丁寧に着実にこなすことが、信頼と評価に繋がっていきます。

定型的な業務が多くなりやすい

仕事内容によっては、毎日決まったルーティンワークが多くなる場合があります。例えば、毎日同じデータを入力したり、決まったフォーマットで書類を作成したりといった業務です。

変化や刺激を求める人にとっては、少し物足りなさを感じるかもしれません。一方で、決められた手順でコツコツと作業を進めるのが得意な人にとっては、非常に働きやすい環境と言えます。ルーティンワークの中でも、どうすればもっと効率的にできるかを考えるなど、工夫次第で仕事は面白くなります。

他部署との調整役を担う必要がある

バックオフィスの仕事は、社内の様々な部署と連携することが求められます。各部署からの依頼や問い合わせに対応したり、時には部署間の意見を調整したりする「ハブ」のような役割を担います。

時には、それぞれの部署の板挟みになってしまったり、調整がうまくいかずに悩んだりすることもあるかもしれません。ですが、会社全体の動きを把握できるという面白さもあります。広い視野を持ち、円滑なコミュニケーションを心がけることが大切です。

フロントオフィスに向いているのはどんな人？

ここまで、フロントオフィスとバックオフィスの仕事内容やメリット・デメリットを見てきました。それを踏まえて、ここではフロントオフィスに向いている人の特徴を3つ紹介します。

それぞれの特徴について、詳しく解説していきます。

人と接することや話すことが好きな人

まず第一に、人とコミュニケーションを取ることが好きな人が挙げられます。フロントオフィスの仕事は、お客様や取引先など、常に誰かと関わりながら進んでいきます。

初対面の人とでも臆することなく話せたり、相手の話を聞いて意図を汲み取ったりするのが得意な人は、その能力を存分に活かせるでしょう。人の笑顔を見ることや、誰かの役に立つことに喜びを感じる人にとって、フロントオフィスはまさに天職かもしれません。

目標を達成することにやりがいを感じる人

明確な目標に向かって努力するのが好きな人も、フロントオフィスに向いています。特に営業職などでは、売上目標という分かりやすいゴールが設定されています。

「目標を達成したい」という強い気持ちが、仕事へのモチベーションに繋がります。ゲームをクリアしていくような感覚で、楽しみながら仕事に取り組めるかもしれません。負けず嫌いな性格や、困難な状況でも諦めない粘り強さも、大きな武器になります。

臨機応変に物事を判断し行動できる人

フロントオフィスの現場では、マニュアル通りにはいかない場面も多々あります。お客様から予期せぬ質問をされたり、突然のトラブルが発生したりすることもあるでしょう。

そんな時に、状況を素早く判断し、その場に合った最適な対応ができる力が求められます。決まりきった仕事よりも、日々変化のある環境で働きたいという人には、刺激的で面白い仕事だと感じられるはずです。

バックオフィスに向いているのはどんな人？

次に、バックオフィスに向いている人の特徴を3つ紹介します。フロントオフィスとはまた違ったタイプの人が活躍しています。自分に当てはまるかチェックしてみてください。

それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。

コツコツと地道な作業を続けられる人

バックオフィスの仕事には、集中して黙々と取り組む作業が多くあります。例えば、膨大な量のデータを入力したり、書類の内容を一つひとつチェックしたりといった業務です。

こうした地道な作業を、飽きずに根気強く続けられる人が向いています。派手さはありませんが、一つひとつの作業が会社の土台を作っているという意識を持つことが大切です。パズルを組み立てるように、着実に仕事を進めることに楽しみを見出せる人にはぴったりです。

誰かをサポートすることに喜びを感じる人

自分が主役になるよりも、誰かを支える役割にやりがいを感じるという人は、バックオフィスに向いています。バックオフィスの仕事は、まさに会社や社員をサポートするためのものです。

「〇〇さんのおかげで助かったよ」と同僚から感謝されたり、自分の作った資料が会議で役立ったりした時に、大きな喜びを感じられるでしょう。縁の下の力持ちとして、組織に貢献したいという思いがある人に最適な仕事です。

丁寧で正確な仕事が得意な人

バックオフィスの仕事では、ミスのない正確さが何よりも求められます。特に経理や労務など、お金や個人情報に関わる業務では、小さなミスが大きな問題に繋がることもあります。

そのため、書類の隅々まで注意深く確認したり、決められた手順をきちんと守ったりできる、丁寧な性格の人が向いています。物事を計画的に進め、細かな点にも気を配れる人は、バックオフィスの現場で高く評価されるでしょう。

フロントでもバックでもない「ミドルオフィス」とは

実は、フロントオフィスとバックオフィスの中間に位置する「ミドルオフィス」という役割も存在します。少し専門的な話になりますが、働き方の選択肢として知っておくと良いでしょう。

それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。

フロントとバックの橋渡し役を担う

ミドルオフィスは、その名の通り、フロントオフィスとバックオフィスの間に立って業務を円滑に進める役割を担います。

例えば、フロントオフィスが獲得してきた契約内容をチェックし、バックオフィスが処理しやすいように情報を整理したり、業務上のルール作りや管理を行ったりします。両方の部門の業務内容を理解し、うまく連携させるための調整役として機能します。

金融業界などで専門的な役割を持つ

ミドルオフィスという言葉は、特に銀行や証券会社などの金融業界でよく使われます。この場合、より専門的な意味合いを持ちます。

具体的には、フロントオフィスが行う金融商品の取引を管理したり、取引に伴うリスクを分析したりする部署を指します。非常に専門的な知識が求められますが、会社の経営を健全に保つための重要な役割を担っており、高い専門性を身につけたい人にとっては魅力的なキャリアパスの一つです。

自分に合う働き方に迷ったら専門家に相談しよう

ここまで読んできて、フロントオフィスとバックオフィスのどちらにも魅力を感じたり、逆にどちらも自分には合わないような気がして、ますます迷ってしまったりした人もいるかもしれません。そんな時は、一人で抱え込まずに専門家に相談するのがおすすめです。

それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

客観的な視点で自分の強みを発見できる

自分一人で考えていると、思い込みや先入観で視野が狭くなってしまうことがあります。自分では短所だと思っていたことが、実は仕事で活かせる長所だった、ということも少なくありません。

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