- 公務員から民間への転職が「きつい」と言われる理由
- 民間への転職で得られるメリットと注意点
- 公務員の経験を強みに変える方法
- 後悔しない転職活動の具体的な進め方
公務員から民間への転職が「きつい」と言われるのは本当?
公務員から民間企業への転職を考えると、「きつい」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。具体的には、以下の点で違いを感じやすいようです。
- 厳しいノルマや成果主義へのプレッシャーがある
- 意思決定のスピード感が全く違う
- 利益を追求する文化に馴染めない
- 安定性がなく将来への不安を感じる
各項目について、詳しく見ていきましょう。
厳しいノルマや成果主義へのプレッシャーがある
民間企業では、個人の成績や成果が重視されることが多く、公務員時代にはなかったプレッシャーを感じるかもしれません。例えば、営業職であれば毎月の売上目標、いわゆる「ノルマ」が設定されているのが一般的です。
目標を達成できれば大きな達成感や評価、給与アップにつながりますが、逆に未達成が続くと精神的にきついと感じる場面も出てくるでしょう。決められた業務を正確に行うことが評価の中心だった公務員とは、評価の仕組みが大きく異なる点を理解しておくことが大切です。
意思決定のスピード感が全く違う
民間企業、特に成長中の会社では、市場の変化に対応するため素早い判断が求められます。昨日決まったことが今日には変わる、ということも珍しくありません。公務員の仕事は、手続きやルールに沿って慎重に進めることが多いため、このスピード感の違いに戸惑うことがあります。
稟議書を回して多くの承認を得るプロセスに慣れていると、民間企業の「まずやってみよう」という文化は、きついと感じる要因の一つになるかもしれません。ですが、その分だけ自分の意見が反映されやすく、仕事の成果を早く実感できるという側面もあります。
利益を追求する文化に馴染めない
民間企業は、事業を継続し成長させるために利益を出すことを第一に考えています。そのため、常にコストを意識し、どうすればもっと売上が上がるかを全部署で考えて行動します。公共の利益を第一に考えてきた公務員にとっては、この「利益追求」の文化がドライに感じられたり、なかなかしっくりこなかったりすることがあります。
例えば、これまで予算内でいかに質の高い住民サービスを提供するかを考えていたのに対し、これからは「いかにコストを抑えて利益を最大化するか」という視点が求められるようになります。
安定性がなく将来への不安を感じる
公務員の最大の魅力の一つは、雇用の安定性です。景気の動向に左右されにくく、基本的に解雇される心配が少ない環境で働けます。一方、民間企業は会社の業績によっては事業が縮小されたり、最悪の場合倒産したりする可能性もゼロではありません。そうした環境の変化に、これまで感じたことのない将来への不安を覚えることもあるでしょう。
ですが、これは裏を返せば、会社の成長に直接貢献できるチャンスがあるということでもあります。自分の力で会社を大きくしていく経験は、民間企業ならではの大きなやりがいになります。
公務員から民間への転職で「きつい」と感じる人間関係の変化
仕事内容だけでなく、働く「人」との関係性も大きく変わります。公務員とは異なる民間企業の人間関係について、以下の点を知っておくと心の準備ができます。
- 利害関係が複雑でコミュニケーションが難しい
- 多様なバックグラウンドを持つ同僚と協調する
- 上司や同僚からの評価基準が異なる
詳しく解説していきます。
利害関係が複雑でコミュニケーションが難しい
民間企業では、部署ごとや個人ごとに目標が設定されているため、時には利害が対立することもあります。例えば、営業部門は「もっとたくさん売りたい」と考えますが、製造部門は「品質を維持するために生産ペースは上げられない」と考えるかもしれません。
このような状況では、自分の意見を主張しつつ、相手の立場も理解して落としどころを見つける調整能力が求められます。全体の奉仕者という立場で仕事をしてきた公務員経験者にとっては、こうした利害の調整が複雑で難しいと感じることがあるでしょう。
多様なバックグラウンドを持つ同僚と協調する
公務員は採用試験を経て入庁するため、ある程度似た価値観や経歴を持つ人が集まりやすい傾向があります。一方、民間企業は中途採用も活発で、様々な経歴やスキルを持った人が集まっています。前職がITエンジニアだった人、フリーランスで活動していた人、海外で働いていた人など、本当に多様な同僚と一緒に働くことになります。
これは刺激的で面白い環境である一方、考え方や仕事の進め方の違いから、最初はコミュニケーションに苦労するかもしれません。相手の背景を尊重し、柔軟に対応していく姿勢が大切になります。
上司や同僚からの評価基準が異なる
公務員の世界では、年功序列の考え方が根強く、勤続年数とともに役職や給与が上がっていくのが一般的です。評価も、大きな失敗をせず真面目に勤務していれば、一定の評価を得やすい傾向があります。ですが、民間企業では年齢や社歴に関わらず成果を出した人が評価されます。
年下の上司や、後から入社した同僚が自分より先に昇進することも当たり前に起こります。この実力主義の環境に慣れないうちは、評価に対する考え方の違いに戸惑い、きついと感じることもあるかもしれません。
公務員経験者は「使えない」と見なされるってホント?
「公務員出身者は民間では使えない」という厳しい意見を聞いて、不安になっている人もいるかもしれません。なぜそのように言われることがあるのか、理由と対策を考えてみましょう。
- 前例踏襲の姿勢が指示待ちだと判断される
- コスト意識が低いと思われることがある
- PCスキルが民間レベルに達していない場合がある
各項目について、詳しく見ていきましょう。
前例踏襲の姿勢が指示待ちだと判断される
公務員の仕事は、法律や条例、過去の事例に基づいて正確に行うことが求められます。そのため、「前例があるか」を重視する傾向が自然と身につきがちです。ですが、変化の激しい民間企業では、前例のないことにも挑戦していく姿勢が必要です。
これまでのやり方に固執していると、「自分で考えて行動できない」「指示待ちだ」と見なされてしまうことがあります。公務員として培った慎重さは大切にしつつも、新しいやり方を積極的に学ぶ柔軟な姿勢を見せることが重要です。
コスト意識が低いと思われることがある
公務員の仕事は税金で賄われているため、民間企業ほど厳しいコスト削減を求められる場面は少ないかもしれません。備品一つとっても、「いかに安く買うか」より「予算内で規定のものを買うか」という意識が働きがちです。この感覚のまま民間企業に転職すると、「コスト意識が低い」という印象を与えてしまう可能性があります。
例えば、資料を印刷する際にカラーで大量に印刷したり、会社の経費の使い方に無頓着だったりすると、周りから厳しい目で見られるかもしれません。会社の利益に貢献するという視点を常に持つことが大切です。
PCスキルが民間レベルに達していない場合がある
基本的なPC操作のスキルが不足していると、「使えない」という評価につながりやすいです。特に、WordやExcel、PowerPointといったOfficeソフトのスキルは、民間企業ではできて当たり前と考えられています。公務員の職場では、独自のシステムを使っていたり、資料作成の機会が少なかったりすることもあります。
もし、Excelの関数やPowerPointでのプレゼン資料作成に自信がない場合は、転職活動と並行して勉強しておくことを強くおすすめします。基本的なスキルがあるだけで、スムーズに仕事に馴染むことができます。

公務員から民間に転職するメリット
ここまで「きつい」と感じる点や注意点を解説してきましたが、もちろん民間への転職には多くのメリットがあります。公務員から転職して「よかった」と感じる点は以下の通りです。
- 実力次第で給与アップが期待できる
- 専門的なスキルや経験が身につく
- 仕事の成果が目に見えやすくやりがいを感じられる
詳しく解説していきます。
実力次第で給与アップが期待できる
民間企業の大きな魅力は、自分の頑張りが給与に反映されやすいことです。公務員の給与は年功序列で安定していますが、急に大きく上がることはありません。一方、民間企業では、会社の業績に貢献したり、高い成果を出したりすれば、年齢に関係なく昇給やボーナスアップが期待できます。
若いうちから実力次第で高い収入を得られる可能性は、大きなモチベーションになるでしょう。自分の力を試して、正当に評価されたいと考えている人にとっては、非常に魅力的な環境です。
専門的なスキルや経験が身につく
公務員は数年ごとに部署異動があるため、一つの分野を極めるのが難しい場合があります。ですが、民間企業では特定の職種でキャリアを積んでいくのが一般的です。例えば、ITエンジニアとして入社すれば、プログラミングやシステム開発のスキルを磨き続け、その道のプロフェッショナルを目指せます。
このように、市場価値の高い専門的なスキルを身につけられるのは、将来のキャリアを考える上で大きな強みになります。自分の手で何かを生み出したり、専門性を高めたりしたい人には最適な環境です。
仕事の成果が目に見えやすくやりがいを感じられる
自分の仕事が、会社の売上や顧客の満足度に直接つながることを実感しやすいのも、民間企業で働く大きなやりがいです。例えば、自分が企画した商品がヒットしたり、担当したお客様から「ありがとう」と感謝されたりすると、大きな喜びを感じられます。公務員の仕事も社会に貢献していますが、その成果が直接見えにくいこともあります。
民間企業では、自分の働きが会社の成長に直結していることを日々感じられるため、仕事に対する手応えや達成感をより強く感じられるでしょう。
公務員から民間に転職するデメリット
メリットがある一方で、もちろんデメリットや注意すべき点もあります。転職後に後悔しないためにも、以下の点を理解しておくことが重要です。

詳しく解説していきます。
雇用の安定性が低くなる可能性がある
公務員と比較した場合、民間企業の雇用は景気や業績の影響を受けやすいという側面があります。会社の経営が傾けば、リストラや倒産の可能性もゼロではありません。「絶対にクビにならない」という安定性を最優先に考えるのであれば、民間への転職は慎重に検討する必要があります。
ただし、専門的なスキルを身につけて市場価値を高めておけば、万が一会社が倒産しても次の仕事を見つけやすくなります。会社に依存するのではなく、自分の力でキャリアを築いていくという意識が大切です。
福利厚生の水準が下がる場合がある
公務員は、住宅手当や扶養手当、手厚い休暇制度など、福利厚生が充実していることが多いです。転職先の民間企業によっては、現在の福利厚生の水準を維持できない可能性があります。例えば、家賃補助がなくなったり、退職金制度がなかったりする会社もあります。
転職活動の際には、給与の額面だけでなく、福利厚生もしっかりと確認することが大切です。目先の給与は上がっても、手当などがなくなってしまい、手元に残るお金が減ってしまった、ということがないように注意しましょう。
ワークライフバランスが崩れることがある
公務員は比較的、残業が少なく休暇も取りやすい職場が多い傾向にあります。ですが、民間企業、特に人手が足りていない会社や繁忙期の部署では、残業や休日出勤が多くなることがあります。もちろん、全ての民間企業が激務というわけではありません。
ですが、「定時で帰れて当たり前」という感覚でいると、入社後にギャップを感じる可能性があります。仕事とプライベートの両立を重視する場合は、企業の口コミサイトをチェックしたり、面接で残業時間について質問したりして、実態を把握しておくことが重要です。
後悔しないために転職前に準備しておくべきこと
「公務員から民間」という大きな決断で後悔しないためには、勢いだけで動くのではなく、しっかりとした準備が不可欠です。転職活動を始める前に、以下のことを整理しておきましょう。
- 転職理由を明確にする
- 自分の市場価値を客観的に把握する
- 民間企業で活かせるスキルを棚卸しする
- 業界研究や企業研究を徹底的に行う
各項目について、詳しく見ていきましょう。
転職理由を明確にする
まずは「なぜ転職したいのか」を自分の中でハッキリさせることが最も重要です。「今の職場が何となく嫌だから」といった漠然とした理由では、また同じような不満を抱えてしまう可能性があります。
「成果が給与に反映される環境で働きたい」「専門的なスキルを身につけたい」「もっとスピード感のある仕事がしたい」など、できるだけ具体的に言葉にしてみましょう。転職の軸が明確になれば、どんな会社を選べば良いのか、おのずと見えてくるはずです。
自分の市場価値を客観的に把握する
次に、今の自分が転職市場でどれくらい評価されるのかを知ることが大切です。公務員の世界での評価と、民間企業での評価は全く異なります。
自分の経歴やスキルで、どのような業界や職種に転職できる可能性があるのか、どのくらいの給与が期待できるのかを客観的に把握しましょう。転職サイトに登録して自分の経歴を入力してみたり、転職エージェントに相談してキャリアの棚卸しを手伝ってもらったりするのがおすすめです。
民間企業で活かせるスキルを棚卸しする
「公務員の経験は民間では役に立たない」と思い込まず、これまでの仕事で身につけたスキルを洗い出してみましょう。自分では当たり前だと思っていることでも、民間企業で高く評価されるスキルはたくさんあります。
例えば、多くの人と接する窓口業務をしていたなら「コミュニケーション能力」、複雑な手続きをミスなくこなしてきたなら「正確な事務処理能力」、部署間の調整役を担っていたなら「調整力・折衝能力」などをアピールできます。これらのスキルを、応募する企業の仕事内容と結びつけて説明できるように準備しておきましょう。
業界研究や企業研究を徹底的に行う
転職したい理由が明確になったら、次はどんな業界や企業があるのかを広く知ることが大切です。世の中には、自分の知らない仕事がたくさんあります。まずは興味のある業界について調べ、その業界にはどのような会社があるのか、それぞれの会社はどのような事業を行っているのかを研究しましょう。
会社のホームページを見るだけでなく、実際にその会社の商品やサービスを使ってみたり、SNSで情報収集したりするのも有効です。視野を広く持つことで、自分にピッタリの会社と出会える可能性が高まります。
転職活動を成功に導く具体的なステップ
準備が整ったら、いよいよ実際の転職活動に進みます。公務員から民間への転職を成功させるために、特に意識したいステップは以下の通りです。

詳しく解説していきます。
応募書類で公務員経験を魅力的に伝える
履歴書や職務経歴書といった応募書類は、企業との最初の接点となる非常に重要なものです。ここで会ってみたいと思ってもらえなければ、面接に進むことすらできません。
職務経歴書には、これまで所属した部署と担当業務をただ書き出すだけでなく、その仕事の中でどのような工夫をしたか、どのような成果を出したかを具体的に書きましょう。例えば、「窓口業務の待ち時間を減らすために、新しい案内手順を提案し、待ち時間を平均5分短縮した」のように、数字を使って示すと説得力が増します。
面接で「なぜ民間なのか」を論理的に説明する
面接では、「なぜ安定した公務員を辞めて、民間企業に転職したいのか」という質問を必ずされます。ここで採用担当者を納得させられるかどうかが、合否を分ける最大のポイントです。
「公務員の仕事が嫌だったから」というようなネガティブな理由ではなく、「公務員として培った〇〇の経験を活かし、貴社の〇〇という事業でさらに成長したい」といった、前向きで説得力のある志望動機を伝えられるように準備しましょう。そのためにも、転職理由の明確化と企業研究が非常に重要になります。
複数の企業を比較検討して慎重に選ぶ
転職活動を進めていると、最初に内定をもらった企業にすぐ決めてしまいたくなるかもしれません。ですが、焦って一社だけで決めてしまうのは危険です。できれば複数の企業から内定をもらい、給与や仕事内容、社風などをじっくり比較検討した上で、最も自分に合う会社を選びましょう。
複数の選択肢を持つことで、心に余裕が生まれますし、客観的な視点で判断することができます。納得のいく転職をするために、最後まで慎重に企業選びを行いましょう。
転職の不安はプロに相談して解消しよう
公務員から民間への転職は、初めてのことばかりで不安も大きいでしょう。そんな時は、一人で抱え込まずに転職のプロに相談するのも一つの手です。
- 無料で転職活動をサポートしてくれる
- キャリアの選択肢を広げるアドバイスをもらえる
- 自分に合った求人を紹介してもらえる
詳しく解説していきます。
無料で転職活動をサポートしてくれる
転職エージェントは、無料で転職活動をサポートしてくれる心強い味方です。登録すると、専任のキャリアアドバイザーが担当につき、キャリア相談から求人紹介、面接対策まで、一貫して支援してくれます。
特に公務員からの転職の場合、民間企業の事情に詳しくないことも多いでしょう。そんな時、業界の動向や企業の内情に詳しいエージェントから情報をもらえるのは、非常に大きなメリットです。履歴書や職務経歴書の添削もしてくれるので、書類の通過率も上がります。
キャリアの選択肢を広げるアドバイスをもらえる
自分一人で仕事を探していると、どうしても視野が狭くなりがちです。「自分にはこの仕事しかない」と思い込んでしまうことも少なくありません。転職エージェントに相談すれば、プロの視点から「こんな仕事も向いているかもしれませんよ」と、自分では思いつかなかったようなキャリアの選択肢を提案してくれることがあります。自分の可能性を広げるためにも、一度キャリアアドバイザーと話してみる価値は十分にあります。
自分に合った求人を紹介してもらえる
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