- ブラック企業と言われる働き方のメリット
- 「ゆるブラック」や「パープル企業」の実態
- ゆるブラックで働くメリットとデメリット
- 自分に合った企業を見極めるためのポイント
- 後悔しないための転職活動の進め方
ブラック企業かもしれないけどメリットがあるって本当?
「ブラック企業」と聞くと、良くないイメージを持つことがほとんどでしょう。ですが、見方を変えればメリットと感じられる点も存在する場合があります。具体的には以下の4つの点が挙げられます。
- 早期に責任ある仕事を任せてもらえる
- 高い給与やインセンティブが期待できる
- 圧倒的なスピードで成長できる環境がある
- 厳しい環境で鍛えられた精神力が身につく
各項目について、詳しく見ていきましょう。
早期に責任ある仕事を任せてもらえる
周りの同世代よりも早くから責任のある仕事を任せてもらえる可能性があります。人手が足りていないなどの理由から、入社してすぐにプロジェクトの担当者になったり、店舗の運営を任されたりするケースです。
大変なことも多いですが、その分、普通なら何年もかかって経験することを短期間で体験できます。プレッシャーは大きいですが、その経験を通じて仕事の全体像を早く掴めたり、マネジメントの視点が身についたりするのは、将来のキャリアにとって大きなプラスになるかもしれません。
高い給与やインセンティブが期待できる
仕事が厳しい分、給与水準が高めに設定されている場合があります。特に、個人の成果が会社の売上に直結しやすい営業職などでは、基本給に加えて成果に応じたインセンティブ(報奨金)が支払われることが多いです。
「とにかく若いうちにお金を稼ぎたい」「自分の頑張りが給料に反映される方がやる気が出る」という考え方なら、魅力的に感じるでしょう。厳しいノルマや目標を達成した時の見返りが大きいことは、仕事のモチベーションにつながる一つの要因です。
圧倒的なスピードで成長できる環境がある
常に多くの業務をこなす必要があるため、他の人よりも速いスピードで成長できる可能性があります。次から次へと新しい仕事に取り組む中で、自然と業務処理能力や問題解決能力が鍛えられていくからです。
例えば、毎日たくさんの顧客対応をしていれば、コミュニケーション能力は嫌でも向上します。常に時間に追われながら複数のタスクをこなすことで、効率的な仕事の進め方や優先順位の付け方も身につくでしょう。楽な環境ではありませんが、短期間で実力をつけたい人にとっては成長のチャンスが多い環境と言えます。
厳しい環境で鍛えられた精神力が身につく
高い目標や困難な状況を乗り越える経験を通じて、タフな精神力が身につくことも考えられます。理不尽な要求や厳しいプレッシャーに耐え抜いた経験は、自信につながり、今後の社会人生活で少々のことでは動じなくなる強さになるでしょう。
もちろん、心身を壊してしまっては元も子もありません。ですが、厳しい環境を乗り越えた経験は「あの時あれだけ頑張れたんだから、これくらい大丈夫」というお守りのような存在になります。その後のキャリアで壁にぶつかった時、それを乗り越える力になるかもしれません。
それって本当にブラック企業?ゆるブラックやパープル企業とは
「ブラック企業」と一言で言っても、その実態は様々です。最近では「ゆるブラック」や「パープル企業」といった新しい言葉も生まれています。ここでは、以下の3つの企業タイプについて解説します。
- 残業やノルマが緩い「ゆるブラック企業」
- ブラックとホワイトの中間「パープル企業」
- 法律遵守の意識が低い「グレー企業」
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
残業やノルマが緩い「ゆるブラック企業」
「ゆるブラック企業」とは、残業が少なくノルマも緩い一方で、給料が上がりにくく、スキルアップも期待できない会社を指す言葉です。働き方としては楽なので「ホワイト企業」のように見えますが、個人の成長という観点では物足りなさを感じるかもしれません。
定時で帰れて、仕事のプレッシャーも少ないため、プライベートを重視したい人にとっては居心地が良い環境です。ですが、市場価値の高いスキルが身につかないまま年齢を重ねてしまうと、将来転職したくなった時に苦労する可能性があります。
ブラックとホワイトの中間「パープル企業」
「パープル企業」とは、ブラック企業とホワイト企業の中間的な特徴を持つ会社のことです。ブラック企業のように過酷ではないし、法をしっかり守っているが、成長できる機会が少ない企業のことを意味します。「ゆるブラック企業」とも呼ばれています。
例えば、「給料は高いけれど、残業が多い」「仕事は楽だけれど、人間関係が複雑」など、良い面と悪い面が混在しているのが特徴です。人によって、その会社がブラックと感じるか、ホワイトと感じるかの評価が分かれやすい企業と言えるでしょう。
法律遵守の意識が低い「グレー企業」
「グレー企業」とは、明確に法律違反とは言えないものの、労働環境やコンプライアンス(法令遵守)の意識が低い会社を指します。ブラック企業とホワイト企業の間の、まさに「灰色」のゾーンに位置する企業です。
例えば、「サービス残業が常態化しているが、強制ではない」「パワハラとまでは言えないが、上司の当たりが強い」といったケースが考えられます。違法ではないため見過ごされがちですが、働く人にとっては大きなストレスの原因になり得ます。
ゆるブラックやパープル企業で働くメリット
一見、問題がありそうに見える「ゆるブラック」や「パープル企業」ですが、人によってはメリットと感じられる部分もあります。ここでは、具体的にどのようなメリットがあるのか、以下の4つのポイントで解説します。

それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
プライベートの時間をしっかり確保できる
特にゆるブラック企業では、残業が少なく定時で帰れることが多いです。そのため、仕事終わりの時間を趣味や友人との交流、自己投資などに自由に使うことができます。
仕事とプライベートのバランスを重視する人にとっては、この点は大きなメリットです。例えば、仕事終わりに習い事に通ったり、資格の勉強をしたりと、自分の時間を有効活用できます。仕事のためにプライベートを犠牲にしたくないという価値観を持つ人には、適した環境かもしれません。
精神的なプレッシャーが少なく安定して働ける
ゆるブラック企業は厳しいノルマや成果主義がない場合が多く、精神的なプレッシャーを感じずに働くことができます。毎日数字に追われるようなストレスがないため、心穏やかに仕事を続けられるでしょう。
大きな成功や刺激は少ないかもしれませんが、その分、安定した気持ちで長く働きやすい環境と言えます。競争が苦手な人や、コツコツと自分の役割をこなすのが好きな人にとっては、精神的な負担が少なく、安心して働ける職場です。
人間関係のストレスを感じにくい傾向がある
過度な競争がない環境は、ギスギスした人間関係が生まれにくいというメリットにもつながります。社員同士がライバルとして火花を散らすような雰囲気が少ないため、比較的穏やかな職場環境が期待できるでしょう。もちろん、どんな職場でも人付き合いの悩みはゼロではありません。ですが、成果を巡って同僚と対立したり、足を引っ張り合ったりするようなストレスは少ない傾向にあります。お互いに協力し合う雰囲気がある職場なら、安心して仕事に集中できます。
自分のペースで仕事を進めやすい
仕事の進め方について、細かく管理されず、ある程度自分の裁量で進められることがあります。上司から常に監視されているような息苦しさがなく、自分のやり方で仕事に取り組めるのは、人によっては大きなメリットです。
マニュアルが完璧に整備されていないこともありますが、その分、自分で考えて工夫する余地があります。指示待ちではなく、自律的に仕事を進めたい人にとっては、のびのびと働ける環境と感じられるでしょう。
ゆるブラックやパープル企業で働くデメリット
メリットがある一方で、もちろんデメリットも存在します。特に、将来のキャリアを考えた時には注意が必要です。ここでは、「ゆるブラックの末路」とも言われるデメリットについて、以下の4つの観点から解説します。

後悔しないためにも、これらのデメリットをしっかり理解しておきましょう。
大幅な昇給やキャリアアップは期待しにくい
ゆるブラック企業では、給与が上がりにくく、キャリアアップの道筋も見えにくいことが多いです。会社の業績が大きく伸びることが少ないため、社員への還元も限定的になりがちです。
楽な環境に満足して長く勤めても、給料は入社時からほとんど変わらない、というケースも珍しくありません。同年代が役職に就き、給料も上がっていく中で、自分だけが取り残されてしまうような焦りを感じる可能性があります。
高度なスキルが身につかず市場価値が上がらない
仕事の難易度が低く、毎日同じような作業の繰り返しだと、専門的なスキルや経験が身につきません。その結果、いざ転職しようと思った時に、自分のアピールポイントがなくて困ってしまう「市場価値が低い人材」になる恐れがあります。
「ゆるい環境」は、見方を変えれば「成長機会が少ない環境」です。20代のうちは良くても、30代、40代になった時に、スキル不足でキャリアの選択肢が狭まってしまうのは大きなリスクと言えるでしょう。
仕事へのやりがいや達成感を得にくい
仕事に大きな目標や挑戦する機会が少ないため、やりがいや達成感を得にくいというデメリットもあります。「この仕事を通じて社会に貢献している」「自分の力で何かを成し遂げた」という実感を得にくく、仕事へのモチベーションが低下してしまうかもしれません。
ただ給料のためだけに、毎日決まった仕事をこなすだけの日々に、虚しさを感じてしまう人もいるでしょう。仕事を通じて自己実現をしたい、成長を実感したいという気持ちが強い人にとっては、物足りない環境です。
会社の将来性に不安を感じることがある
成長意欲の高い社員が少なく、会社全体として変化や挑戦を避ける雰囲気があると、企業の成長が止まってしまう可能性があります。時代の変化についていけず、気づいた時には業績が悪化し、会社の存続自体が危うくなる、ということも考えられます。
今の居心地の良さだけを求めていると、数年後に会社が倒産してしまったり、リストラの対象になったりするリスクもゼロではありません。安定しているように見えて、実は不安定な状況にある可能性も視野に入れておく必要があります。
後悔しないために知りたい企業タイプの見極め方
今の職場や、これから応募しようとしている企業がどのタイプに当てはまるのか、どうすれば見極められるのでしょうか。入社してから「思っていたのと違った」と後悔しないために、以下の4つのポイントを確認しましょう。
- 評価制度や給与体系が明確になっているか確認する
- 社員の口コミサイトでリアルな働き方を調べる
- 離職率や平均勤続年数の長さに注目する
- 企業の理念やビジョンに共感できるか考える
これらのポイントを参考に、企業を客観的に見ていきましょう。
評価制度や給与体系が明確になっているか確認する
どのような成果を出せば評価され、昇給や昇進につながるのかがはっきりしているかを確認しましょう。評価の基準が曖昧な会社は、上司の気分や好き嫌いで評価が決まってしまう可能性があり、正当な評価を受けにくいかもしれません。
求人票や会社のホームページ、面接の場などで、評価制度について具体的に質問してみることが大切です。明確な答えが返ってこない場合は、注意が必要かもしれません。頑張りがきちんと報われる仕組みがあるかどうかは、モチベーションを維持する上で重要なポイントです。
社員の口コミサイトでリアルな働き方を調べる
実際にその会社で働いている人や、過去に働いていた人のリアルな声が書かれた口コミサイトを参考にするのも有効な手段です。企業の公式な発表だけではわからない、職場の雰囲気や人間関係、残業の実態などを知ることができます。
ただし、口コミは個人の主観的な意見であることも忘れてはいけません。一つの意見を鵜呑みにするのではなく、複数の口コミを読んで、全体的な傾向を掴むようにしましょう。ポジティブな意見とネガティブな意見の両方に目を通すことで、より客観的に企業を判断できます。
離職率や平均勤続年数の長さに注目する
社員がどれくらいの期間その会社で働いているかは、働きやすさの一つの指標になります。離職率が極端に高かったり、平均勤続年数が短かったりする会社は、何かしら働きにくさの原因がある可能性があります。
これらの情報は、就職四季報などの書籍や、企業の採用サイトで公開されている場合があります。もし情報が見つからない場合は、面接で質問してみるのも一つの手です。「社員の皆さんは、平均で何年くらい勤めていらっしゃいますか?」など、差し支えない範囲で聞いてみると良いでしょう。
企業の理念やビジョンに共感できるか考える
その会社が何を目指していて、どんな価値観を大切にしているかを知ることも重要です。企業の理念やビジョンに共感できれば、仕事に目的意識を持つことができ、やりがいにもつながります。
いくら労働条件が良くても、会社の考え方と自分の価値観が合わないと、長く働き続けるのは難しいかもしれません。会社のホームページなどで社長のメッセージや企業理念を読んでみて、自分がその一員として働きたいと思えるかどうか、自分の心に問いかけてみましょう。
自分に合った企業へ転職するための具体的なステップ
今の職場から転職を決意した場合、やみくもに行動するのではなく、計画的に進めることが成功の鍵です。ここでは、自分に合った企業へ転職するための具体的なステップを3つ紹介します。

一つずつ着実に進めていきましょう。
自己分析で仕事の価値観を明確にする
まずは自分が仕事に対して何を求めているのかをはっきりさせる「自己分析」から始めましょう。「給料の高さ」「プライベートの時間」「仕事のやりがい」「身につくスキル」など、自分にとって譲れない条件は何かを考えてみてください。
これまでの経験を振り返り、「どんな時に楽しかったか」「何が辛かったか」を書き出してみるのがおすすめです。自分の価値観が明確になることで、企業選びの軸が定まり、転職活動で迷子になるのを防ぐことができます。
企業研究で理想の働き方を探す
自己分析で自分の軸ができたら、次はその軸に合った企業を探す「企業研究」を行います。求人サイトを見るだけでなく、企業のホームページやSNS、ニュース記事など、様々な情報源から多角的に情報を集めましょう。
「ゆるホワイト企業」のように、働きやすく成長もできるような企業も存在します。業界や職種を広く見て、視野を狭めずに探すことが、良い出会いの確率を高めます。少しでも興味を持った企業があれば、リストアップしていくと良いでしょう。
転職エージェントに客観的な意見を聞く
自己分析や企業研究を一人で進めるのが難しいと感じたら、転職のプロである「転職エージェント」に相談するのがおすすめです。転職エージェントは、キャリア相談に乗ってくれるだけでなく、非公開求人の紹介や、面接対策などもサポートしてくれます。
自分一人では気づけなかった強みや、思いもよらなかった業界・職種を提案してくれることもあります。第三者の客観的な視点を取り入れることで、より納得のいく転職活動を進めることができるでしょう。
今の働き方に悩んだら一人で抱え込まないことが大切
「今の会社、本当にこのままでいいのかな…」その悩みは、より良いキャリアを築くための第一歩です。一人で悩まず、プロの力を借りることで、道は開けます。転職エージェントに相談するメリットは、以下の3つです。
- 自分の市場価値を客観的に知ることができる
- 非公開求人など自分では見つけられない企業に出会える
詳しく解説していきます。
自分の市場価値を客観的に知ることができる
転職エージェントに相談すれば、今の自分のスキルや経験が転職市場でどのくらい評価されるのか、客観的な視点で教えてもらえます。自分では「大したことない」と思っていた経験が、実は企業から高く評価される強みであることも少なくありません。
自分の現在地を知ることで、これからどんなスキルを身につければ良いのか、どんな企業を目指せるのかといった、具体的な目標設定がしやすくなります。
非公開求人など自分では見つけられない企業に出会える
転職エージェントは、一般には公開されていない「非公開求人」を多数保有しています。優良企業や人気企業が、応募が殺到するのを避けるために非公開で募集しているケースも多いです。
自分一人で探すだけでは決して出会えなかったような、魅力的な企業を紹介してもらえる可能性があります。選択肢が広がることで、本当に自分に合った一社を見つけられる確率が高まります。
Zキャリアのエージェントに相談してみよう
今の働き方に少しでも疑問や不安を感じたら、ぜひ一度Zキャリアのエージェントに相談してみてください。私たちは、Z世代のノンデスクワーカーの方々の転職を専門にサポートしています。
これからのキャリアについて一緒に考え、一人ひとりの希望や適性に合ったお仕事探しを全力でお手伝いします。「ゆるブラックかも…」という漠然とした悩みでも構いません。まずは話を聞かせていただくところから、新しいキャリアの一歩を一緒に踏み出しましょう。