ITエンジニアになるには?〜実務の中で学ぶパターン〜

1.IT業界の構造やそれぞれの職種の役割をざっくり理解する
IT業界には「Web系」「SIer」「自社開発」など多様な構造があり、職種もプログラマーやシステムエンジニア、インフラエンジニアなど多岐にわたります。 まずは業界全体の構造と、各職種がどのような役割を担い、どの工程を担当するのかを大まかに把握しましょう。
自分に合ったキャリアパスを描くためには、この全体像の理解が不可欠です。職種ごとの適性や求められるスキルを比較し、自分が将来どのようなエンジニアになりたいのか、明確なビジョンを持つことから転職活動は始まります。
2.「未経験歓迎」や「研修充実」と書かれた求人を探し、企業に応募する
業界の全体像がつかめたら、いよいよ実際の求人探しに移ります。転職サイトや転職エージェントを利用し、「未経験歓迎」「充実した研修制度あり」といった条件で絞り込みを行いましょう。
ただし、求人票の言葉だけを鵜呑みにするのは危険です。入社後にどのようなカリキュラムで、どのくらいの期間研修が行われるのか、面接の逆質問などを通じて具体的な育成体制を確認することが入社後のミスマッチを防ぐポイントです。
また、未経験だからといって教えてもらうのを待つのではなく、「現在は独学で〇〇の学習を進めている」といった自ら学ぶ意欲とポテンシャルをしっかりと企業へアピールし、積極的に応募を重ねていきましょう。
3.質問するときは「自分で調べて試したこと」と「仮説」をセットにし、自己解決力を鍛える
実務に入ると、分からないことに直面する場面が多々あります。その際、すぐに先輩に答えを求めるのではなく、まずは自分で調べ、試してみることが重要です。
質問する時は「〇〇について調べ、××までは試しましたが、△△という仮説の検証でつまずいています」といったように、自分の行動と仮説をセットにして伝えましょう。
このプロセスを繰り返すことで、エンジニアにとって最も重要な自己解決力が鍛えられ、周囲からの信頼獲得にもつながります。指示待ちにならず、自走する姿勢を習慣化してください。日々の業務の中でこの思考法を意識することが、一人前のエンジニアへの最短ルートです。
4.目の前の作業だけでなく、システム全体の仕組みを調べて理解する
日々の業務では、つい目の前のプログラミングやバグ修正など、部分的な作業に集中してしまいがちです。しかし、自分が担当しているコードが、システム全体の中でどのような役割を果たし、他の機能とどう連携しているのかを意識することが大切です。
システム全体のアーキテクチャやデータの流れを俯瞰して理解する癖をつけることで、より効率的で不具合の起きにくいコードを書けるようになります。全体像を把握する視点を持つことは、将来的に上流工程を任されるための重要なステップとなります。
システム全体の仕組みに興味を持ち、サーバーやデータベースの連携などを自ら学ぶ姿勢は、技術者としての価値を飛躍的に高めてくれるでしょう。
5.会社の制度を利用して資格を取得したり実績を積んだりする
企業によっては、業務に関連する資格取得の費用を補助してくれたり、合格時に報奨金を支給してくれたりする資格支援制度が設けられています。実務経験を積みながら、これらの会社制度を最大限に活用して「基本情報技術者試験」やAWSなどのベンダー資格を取得しましょう。
資格は知識の客観的な証明になるだけでなく、体系的な学習を通じて実務の理解度をさらに深めてくれます。また、社内の新規プロジェクトに自ら手を挙げるなど、実績とスキルを同時に積める環境を貪欲に利用していくことがキャリアアップの鍵です。
学んだ知識を業務に還元し、実務と学習の相乗効果を生み出すサイクルを作り上げましょう。
ITエンジニアになるには?〜勉強してから目指すパターン〜

1.目指すエンジニアの種類を決める
エンジニアと一口に言っても、Webアプリケーションを作るフロントエンド・バックエンドエンジニア、サーバーやネットワークを構築するインフラエンジニア、データを分析するデータサイエンティストなど、様々な種類が存在します。
まずは自分が何に興味があり、どのようなモノづくりに関わりたいのかを自己分析し、目指すエンジニアの方向性を明確に決めましょう。目標が定まることで、学習すべき言語やツール、必要な前提知識が絞り込まれ、モチベーションを維持しながら効率的に学習を進めることができます。
漠然とした憧れではなく、具体的な職種をゴールに設定することが独学を成功させる第一歩です。
2.目指す職種に必要なプログラミング言語を学ぶ
目指すエンジニアの種類が決まったら、その職種の実務でよく使われるプログラミング言語を選んで学習を始めましょう。例えば、WebのフロントエンドであればHTML/CSSとJavaScript、バックエンドであればRubyやPHP、Pythonなどが定番です。
最初はProgateやドットインストールといったオンライン学習サービスを活用し、基礎文法を繰り返し練習してコードを書く感覚を掴むのがおすすめです。
一つの言語の基礎をしっかり身につければ、他の言語を学ぶ際にもその知識を応用しやすくなります。挫折を防ぐためにも、まずは環境構築が容易な言語からスモールステップで進めていきましょう。
3.客観的に実力を証明するために、関連資格の取得を目指す
独学でスキルを身につけたとしても、実務経験がない状態では、企業に対して自分の実力を正確にアピールするのは困難です。そこで、客観的な技術力の証明として、ITパスポートや基本情報技術者試験、あるいは特定の言語やクラウドに関する認定資格の取得を目指すのが効果的です。
資格学習を通じてITの基礎理論や専門用語を体系的に網羅できるため、面接時の技術的な受け答えにも自信を持って臨めるようになります。履歴書に書ける武器を増やし、学習に対する意欲と継続力を企業に高く評価してもらいましょう。
未経験転職において、資格はあなたのポテンシャルと本気度を裏付ける強力なツールとなります。
4.オリジナルのポートフォリオを作成する
基礎学習を終えたら、学んだ知識を総動員してオリジナルのWebアプリケーションやシステムを開発し、ポートフォリオ(作品集)としてまとめましょう。 採用担当者は、コードの書き方だけでなく、アプリの企画背景や、解決しようとした課題、実装時に工夫した点などを総合的に評価します。
単に動くものを作るだけでなく、GitHub等でソースコードを公開し、開発過程をブログにまとめるなど、技術に対するアウトプットの習慣があることをアピールすると、他の未経験候補者と大きく差をつけることができます。
実務を想定したオリジナルな開発経験こそが、強力な選考突破の鍵を握っています。
5.未経験者を歓迎している企業の求人に応募する
ポートフォリオが完成したら、いよいよ未経験者を歓迎しているIT企業の求人に応募します。厚生労働省の「令和2年転職者実態調査」によると、転職活動において「特に何も準備活動をしていない」と回答した人は66.1%と過半数となっています。

だからこそ、しっかりとポートフォリオを作成し、志望動機や自己PRを練り上げてから臨めば、採用確率は格段に上がります。
IT業界に特化した転職エージェントを活用し、履歴書の添削や面接対策などのサポートを受けながら、自分のスキルセットにマッチする企業を見つけましょう。準備の質が結果を大きく左右するため、万全の体制で応募へと踏み出してください。
「ITエンジニアはやめとけ」と言われる理由

業務時間外や休日は新しい言語やツールの勉強を自発的にする必要があるから
IT業界は技術の進歩が非常に速く、数年前の常識がすぐに通用しなくなることも珍しくありません。
そのため、日々の業務時間内だけでなく、業務時間外や休日を使って、新しいプログラミング言語やフレームワーク、最新の開発ツールなどを自発的に学び続ける必要があります。この終わりのない学習に対して負担を感じる人が多いため、「やめとけ」と言われる一因となっています。
技術そのものへの知的好奇心や、モノづくりを楽しむ心がないと、プライベートの時間を削って勉強し続けることは精神的に辛く感じてしまうでしょう。逆に言えば、学ぶことが好きな人にとっては、常に新鮮な刺激に溢れた魅力的な環境と言えます。
納期やトラブルによるプレッシャーが大きいから
システム開発の現場では、厳格な納期が設定されていることがほとんどです。万が一、開発の遅れや予期せぬ重大なバグ(不具合)が発生した場合、納品に間に合わせるために残業や休日出勤を余儀なくされるケースもあります。
また、稼働中のシステムに障害が起きた際には、一刻も早い復旧が求められるため、非常に大きなプレッシャーの中で作業を行わなければなりません。
こうした常に納期やトラブルと隣り合わせの緊張感や責任の重さが、精神的な疲労につながりやすく、ITエンジニアの仕事は過酷だと言われる理由の一つです。チームでの綿密なスケジュール管理やリスクヘッジ能力が、このプレッシャーを軽減する鍵です。
下流工程を担当している企業に入ると、上流工程の遅延の影響を受ける
IT業界には、元請け企業から下請け企業へと開発業務が委託される多重下請け構造が存在します。プログラミングやテストなどの下流工程を主に担当する企業に入社した場合、要件定義などの「上流工程」での仕様変更やスケジュール遅延のしわ寄せを直接受けることになります。
その結果、自分たちの作業期間が極端に短縮され、長時間労働が発生しやすくなるという過酷な実態があります。このような理不尽な労働環境に疲弊してしまう人がいることも、「やめとけ」と敬遠される大きな理由です。
客先常駐の働き方では案件を選べないことが多く、目的のスキルが身につかないこともある
IT業界では、自社のオフィスではなく顧客のオフィスに常駐して働く「客先常駐(SES)」という働き方が多く見られます。この形態では、アサインされる案件(プロジェクト)を自分自身で選べないことが多く、単調なテスト業務や運用保守ばかりを任されるケースもあります。
結果として、プログラミングなどの開発スキルが身につかないまま年齢を重ねてしまい、将来のキャリアパスが描けなくなるリスクがあります。自分の希望する技術に触れられないもどかしさが、離職につながることも少なくありません。
ITエンジニアとして働くメリット
ITエンジニアは慢性的に不足しているため需要が高い
IT業界は急速な成長を続けており、あらゆる産業でDX(デジタルトランスフォーメーション)やAIの導入が進んでいます。
しかし、その技術の進歩のスピードに対して、現場でシステムを開発・運用できるITエンジニアの数が圧倒的に足りていません。経済産業省の調査でも将来的なIT人材不足が懸念されているほどです。
そのため、一度エンジニアとしての確かなスキルを身につけてしまえば、企業から引く手あまたの状態となり、職を失うリスクが非常に低いのが大きなメリットです。常に需要が供給を上回っている売り手市場のため、より条件の良い企業へ転職しやすい環境が整っています。
年齢や社歴よりも実力が重視されるので、年収を上げやすい
多くのIT企業では、日本の伝統的な企業にありがちな年功序列ではなく、成果主義や実力主義の評価制度を取り入れています。年齢や入社年数に関わらず、「どのような技術を持っているか」「プロジェクトの売上や効率化にどれだけ貢献したか」がダイレクトに評価に直結します。
そのため、未経験からのスタートや若手であっても、需要の高い最新技術を習得したり、チームを牽引するスキルを発揮したりすることで、短期間で大幅な年収アップを実現することが可能です。
自分の学習意欲と努力がそのまま給与やポジションとして還元されやすいため、高いモチベーションを維持して働き続けることができます。
他職種に比べて働き方の自由度が高い場合が多い
パソコンとインターネット環境さえあれば業務を進められることが多いため、ITエンジニアは他職種と比べて働き方の自由度が非常に高い傾向にあります。
調査によると、フルリモートで働きたいという方は60.9%と全体の過半数を占めており、こうしたニーズに応えるフルリモートやフレックスタイム制を導入するIT企業も増加しています。
満員電車での通勤ストレスから解放され、育児や介護と両立しながら自分のライフスタイルに合わせて働ける点は、長く健康的にキャリアを築いていく上で非常に魅力的なポイントです。場所や時間にとらわれない柔軟な働き方は、エンジニア特有の大きな特権と言えるでしょう。
参照:「フルリモート勤務の希望を大調査。フルリモート勤務なら、給与どれくらい下がっても許容できる?/株式会社LASSIC」
手に職をつけられるため、キャリアの選択肢が広がる
ITエンジニアとして確固たる技術力を身につけることは、まさに「手に職をつける」ことを意味します。プログラミングやシステム設計のスキルは、一度習得すれば特定の企業に依存することなく、日本中、あるいは世界中で通用する普遍的な武器となります。
経験を積んだ後は、フリーランスとして独立して高収入を目指す、フルリモート案件を中心に請け負って地方移住を実現する、あるいは自らWebサービスを立ち上げて起業するなど、ライフステージの変化に合わせた多様なキャリアパスを自由に選択できるようになります。
会社の看板ではなく、個人のスキルで勝負できるため、将来に対する選択肢の幅が格段に広がります。
未経験からITエンジニアを目指す際の注意点
「ITエンジニア」と大枠で捉えるのではなく、職種や仕事内容を知って解像度を上げる
「ITエンジニアになりたい」という漠然とした思いだけでは、面接でのアピールが弱く、入社後のミスマッチも引き起こしかねません。フロントエンド、バックエンド、インフラ、クラウドなど、エンジニアの職種は細分化されています。
まずは各職種がどのような業務を行い、どんな言語やツールを扱うのかをリサーチし、職種への解像度を徹底的に上げましょう。その上で、自分の適性や興味がどこにあるのかを深掘りし、「なぜその職種を選んだのか」「将来どうなりたいのか」を言語化することが、未経験からの転職成功の鍵を握ります。
業界研究を怠らず、自分なりのキャリアビジョンを明確に描いて面接官に伝える準備を整えましょう。
「学ばせてもらいたい」という受け身の姿勢を取らない
未経験からの転職活動において、「入社してからゼロから学ばせてもらいたい」という受け身のスタンスは非常に危険です。企業は学校ではなく、利益を生み出すために人材を採用しています。
IT業界は技術の移り変わりが激しく、常に自発的に最新知識をキャッチアップする「自走力」が求められるため、手取り足取り教えてもらえる環境を期待すると必ずミスマッチが起きます。
面接では「現在〇〇の技術を独学で学習している」「自分で簡単なWebアプリを作ってみた」など、能動的に学習を進めている実績をアピールすることが不可欠です。自ら課題を見つけて解決していく主体性こそが、未経験者に最も求められる素質だと認識しましょう。
求められる能力や仕事のレベルが高いので「リモートワークがしたい」という考えで目指すのは危険になる
エンジニアの求人にはリモートワークを許可しているものが多く存在しますが、未経験者が「最初からリモートワークで楽に働きたい」という動機で目指すのは非常に危険です。
実務では、仕様の確認やエラーの解消など、先輩エンジニアに画面を見せながら質問・相談すべき場面が頻繁に発生します。基礎が固まっていない状態でリモートワークになると、コミュニケーションが取りづらく、業務についていけずに孤立してしまうリスクが高いです。
まずは出社して対面でしっかりとスキルを盗み、自走できる能力を身につけることを優先しましょう。リモートワークは、高い専門性と自己管理能力があって初めて成立する特権だと認識すべきです。
教材通りに作ったアプリをそのままポートフォリオとして提出せず、オリジナリティを付け加える
転職活動のアピール材料としてポートフォリオを作成する際、スクールや教材のチュートリアル通りに作ったクローンアプリをそのまま提出するのは避けましょう。
採用担当者は数多くの似たような作品を見ており、それだけではあなたの「自ら考えて解決する力」を測ることができません。既存のアプリに独自の機能を追加したり、UI/UXを自分なりに改善したりと、何らかのオリジナリティを付け加えることが必須です。
なぜその機能を追加したのかという背景や、実装過程での工夫を語れるようにしておくことで、技術への熱意が伝わります。自分ならではの思考プロセスが反映された作品こそが、面接官の心を動かす強力な武器となります。
学習時間は最低でも1,000時間かかるという認識を持つ
未経験からITエンジニアとして就職可能なレベルに到達するまでには、一般的に最低でも約1,000時間の学習が必要だと言われています。
毎日3時間勉強したとしても、約1年かかる計算になります。これだけの時間を費やすには、明確な目標設定と強い意志が不可欠です。
「簡単になれそう」といった軽い気持ちで足を踏み入れると、途中で挫折してしまう可能性が高いため、長期間の努力が必要であるという現実をしっかり認識しておきましょう。
ITエンジニアの将来性
コーダーの需要は減るが、顧客の潜在ニーズを見つけたり設計図を書いたりする人材の需要は高まる
ノーコード・ローコードツールの普及やAIの進化により、仕様書通りにただコードを書くだけの「コーダー」の需要は、今後減少していくと予想されています。しかし、ITエンジニアの仕事がなくなるわけではありません。
顧客との対話を通じて潜在的なニーズやビジネス上の課題を見つけ出し、それを解決するための最適なシステム設計図を描く「上流工程」を担える人材の需要は、ますます高まっていきます。
技術力に加えて、顧客折衝能力や問題解決能力といった人間ならではのソフトスキルを磨くことが、これからの時代を生き抜くエンジニアには求められます。常にビジネス視点を持ち、付加価値を提供できるエンジニアは、いつの時代も重宝される存在です。
AIは「仕事を奪う敵」ではなく、「生産性を上げてくれるパートナー」になる
近年、ChatGPTなどの生成AIが急速に進化しており、「プログラミングの仕事はAIに奪われるのでは」と不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、現状のAIはゼロから完璧なシステムを構築するのではなく、人間の指示を補助する役割が中心です。AIは「仕事を奪う敵」ではなく、コードの自動生成やバグの発見、定型作業の効率化など、「生産性を劇的に上げてくれる強力なパートナー」と捉えるべきです。
AIツールを上手く使いこなし、開発スピードと品質を向上させられるエンジニアこそが、今後の市場で高く評価されます。AIの進化を恐れるのではなく、最新技術を積極的にキャッチアップして自分の武器に変えていきましょう。
AIの普及によって、AIサービスを動かすためのエンジニアの需要が生まれている
AI技術が社会のあらゆるインフラに組み込まれるにつれ、新たなエンジニアの雇用も創出されています。
AIモデル自体を開発するデータサイエンティストや機械学習エンジニアだけでなく、提供されたAIのAPIを既存のWebサービスに組み込んで動かすためのアプリケーションエンジニア、膨大なデータを処理する基盤を作るインフラエンジニアなど、AIサービスを社会実装・運用するための人材需要が爆発的に生まれています。
AIの普及はエンジニアの仕事を奪うどころか、活躍のフィールドをさらに拡大させる起爆剤となっているのです。新しい技術トレンドの波に乗り、AIと協調できるスキルを身につければ、将来性は非常に明るいと言えます。
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