大切に育ててきた息子さんがニート状態になり、将来を案じて胸が苦しくなっている親御さんは少なくありません。「どうして働かないのだろう」「この先、どうなってしまうのだろう」と、心配と不安で夜も眠れない日があるかもしれません。ですが、焦りは禁物です。息子さんを想う気持ちが強いほど、つい厳しい言葉をかけてしまったり、過剰に干渉してしまったりすることがありますが、それがかえって状況を悪化させてしまうこともあります。
この記事では、ニート状態の息子さんを持つ親御さんに向けて、その原因や、やってはいけないNG行動、そして社会復帰に向けて親子で取り組める具体的なステップを、キャリアコンサルタントの視点から分かりやすく解説します。この記事を読み終える頃には、息子さんへの適切な向き合い方が分かり、希望の光が見えてくるはずです。
- ニートの息子への正しい向き合い方
- 息子がニートになる主な理由
- 社会復帰へ導くための具体的なステップ
- ニートからでも挑戦しやすい仕事の例
ニート状態の息子にどう向き合えばいい?
ニート状態の息子さんと向き合う上で、親御さんの心構えは非常に重要です。ここでは、息子さんの心を追い詰めず、良い関係を築くための基本的な向き合い方について解説します。具体的には、以下の4つのポイントが挙げられます。
- まずは息子の話をじっくり聞く
- 息子の存在そのものを認めてあげる
- 無理に働かせようとしない
- 他の子どもと比較して責めない
各項目について、詳しく見ていきましょう。
まずは息子の話をじっくり聞く
親としてまず大切なのは傾聴の姿勢です。心配するあまり、つい「早く働きなさい」「いつまでそうしているの?」と一方的に意見を押し付けてしまいがちですが、それでは息子さんは心を閉ざしてしまいます。まずは、息子さんが今どんな気持ちで、何に悩み、将来をどう考えているのか、口を挟まずに最後まで耳を傾けてみてください。
「そうか、そんな風に感じていたんだね」と、ただ受け止めるだけで構いません。自分の気持ちを正直に話せる安全な場所があると感じるだけで、息子さんの心は少しずつ軽くなっていきます。親が自分の最大の理解者であると感じられれば、それが社会へ踏み出すための大きなエネルギーになるのです。
息子の存在そのものを認めてあげる
「働いていないこと」と「息子さんの価値」は全くの別問題です。息子さんの存在そのものを肯定することが、何よりも重要です。ニート状態にある本人は、誰よりも自分自身を責め、自己肯定感が低くなっています。そんな時に親から「情けない」「期待外れだ」といった態度を取られると、深い絶望感に襲われてしまいます。「働いていなくても、あなたが大切な子どもであることに変わりはないよ」というメッセージを、言葉や態度で伝え続けてください。
例えば、昔のように一緒に食事をしたり、共通の趣味について話したりする時間を作るのも良いでしょう。家庭が安心できる場所であれば、息子さんは再び前を向くためのエネルギーを蓄えることができます。
無理に働かせようとしない
親の焦りから無理やり働かせようとするのは逆効果です。無理やり面接に行かせたり、勝手に履歴書を送ったりするような行動は、息子さんの自尊心を深く傷つけ、かえって働く意欲を削いでしまいます。本人が動けないのには、必ず何か理由があります。その根本的な原因が解決しないまま無理強いしても、仮に就職できたとしても長続きせず、再びニート状態に戻ってしまう可能性が高いでしょう。
まずは、なぜ働けないのか、その背景にある心の問題に目を向けることが先決です。本人のペースを尊重し、社会復帰への意欲が自然に湧いてくるのを辛抱強く待つ姿勢が求められます。親が焦りを手放すことが、解決への近道になることもあります。
他の子どもと比較して責めない
「〇〇さんのところの息子さんは、立派な会社で働いているのに…」といったように、他人と比較する言葉は絶対に禁物です。親としては、奮起を促すつもりで言っているのかもしれませんが、本人にとっては自分の存在を否定されるような、鋭い刃となって突き刺さります。比較は、劣等感と反発心しか生み出しません。自分はダメな人間なのだと落ち込むか、「どうせ自分なんて」と開き直って、さらに心を閉ざしてしまうかのどちらかです。
比べるべきは、他人ではなく過去の息子さん自身です。昨日より少し元気になった、笑顔が増えたといった小さな変化を見つけて認め、褒めてあげることが、自信を取り戻すきっかけになります。
息子がニートになる主な理由
息子さんがニート状態になったのには、表面的な「怠け」や「甘え」だけでは説明できない、様々な理由が隠されていることがほとんどです。その背景を理解することが、適切なサポートへの第一歩となります。考えられる主な理由は、以下の通りです。
- 就職活動がうまくいかなかった
- 職場の人間関係でつまずいた
- 心や体の調子が良くない
- 将来やりたいことが見つからない
各項目について、詳しく解説していきます。
就職活動がうまくいかなかった
就職活動でのつまずきが、働く意欲を失わせる大きな原因になることがあります。特に真面目で完璧主義な性格の場合、何十社も応募して不採用が続くと、「自分は社会から必要とされていない」と強い挫折感を味わい、心が折れてしまうのです。例えば、最終面接まで進んだのに落ちてしまった経験や、友人たちが次々と内定を決めていく中での焦りが、プレッシャーとなって就職活動そのものから逃げ出したくなる気持ちに繋がります。
一度失った自信を取り戻すのは簡単ではありません。就職活動を再開することに恐怖を感じ、結果として一歩も踏み出せない状態が続いてしまうのです。
職場の人間関係でつまずいた
一度は就職したものの、職場の人間関係が原因で短期間で離職し、それがトラウマとなって再就職に踏み出せないケースも少なくありません。上司からの厳しい叱責や、同僚からの無視や孤立などで、心に深い傷を負ってしまうと、再び働くことが怖くなります。
例えば、毎日のように上司に人格を否定されるような言葉を浴びせられ、誰にも相談できずに一人で抱え込み、心身ともに疲弊して退職に至ったとします。そうすると、「次の職場でも同じような目に遭うのではないか」という恐怖心が先に立ち、求人情報を見ることすら苦痛に感じてしまうのです。
心や体の調子が良くない
一見、元気そうに見えても、心や体の不調が原因で働けない状態にある可能性も考えられます。うつ病や適応障害、不安障害といった精神的な不調は、意欲や気力の低下を招き、朝起き上がることすら困難になることがあります。本人は「怠けているだけだ」と自分を責めているかもしれませんが、実際には治療が必要な状態かもしれません。
以前と比べて「表情が暗い」「食欲がない」「眠れていないようだ」「好きだったことに興味を示さなくなった」などのサインが見られる場合は、注意が必要です。まずはゆっくりと休養し、必要であれば心療内科や精神科といった専門機関に相談することが、回復への第一歩となります。
将来やりたいことが見つからない
「何のために働くのか」という働く目的が見つからないために、行動に移せない若者も増えています。特に、これまで親の敷いたレールの上を歩いてきた場合や、大きな夢や目標を持てずに学生時代を過ごしてきた場合に、社会に出る段階で立ち止まってしまうことがあります。「生活のため」と言われてもピンとこず、かといって情熱を注げるような仕事も見つからない。そんな中で、周りに流されるように就職活動をしても身が入らず、結果的にニート状態になってしまうのです。
この場合は、無理に就職を急かすのではなく、まず「自分は何に興味があるのか」「どんなことなら楽しいと感じるのか」といった自己分析から始める時間が必要です。自分自身と向き合うことで、働くことへのモチベーションが見つかることがあります。
ニートの息子を社会復帰へ導くステップ
息子さんの心が少し前向きになってきたら、焦らず、小さなステップを一つずつクリアしていくことが社会復帰への確実な道筋となります。ここでは、具体的な4つのステップを紹介します。

生活リズムを少しずつ整える
社会復帰の第一歩は、生活リズムを整えることから始まります。昼夜逆転の生活が続いていると、気力や体力が低下し、何か新しいことを始めようという気持ちにもなりにくいものです。いきなり「朝6時に起きなさい」と高い目標を課すのではなく、「まずは午前中に起きる」ことから始めてみましょう。
そして、朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びる、決まった時間に3食とる、といった基本的なことを一緒に意識してみてください。親御さんが「一緒に朝の散歩に行かない?」と誘ってみるのも良い方法です。規則正しい生活は、心と体の健康を取り戻すための土台となります。
短時間の外出から促してみる
長期間引きこもっていると、外の世界との接点を持つこと自体に不安や恐怖を感じることがあります。まずは家の外に出ることに慣れるため、ごく短時間の外出から始めてみましょう。「一緒にコンビニまで行こう」「郵便物を出しに行ってくれないかな」など、目的が明確で短時間で済む用事を頼んでみるのが効果的です。
最初は緊張するかもしれませんが、外出して何事もなく帰ってくるという経験を繰り返すことで、「外に出ても大丈夫だ」という安心感が育っていきます。慣れてきたら、少しずつ時間を延ばして、図書館や本屋、人の少ない公園など、静かに過ごせる場所へ足を運んでみるのも良いでしょう。
簡単なアルバイトから始めてみる
外に出ることに抵抗がなくなってきたら、次のステップとして短時間のアルバイトから始めることを提案してみてはいかがでしょうか。いきなり正社員としてフルタイムで働くのは、ブランクがある本人にとって非常にハードルが高いものです。週に2〜3日、1日数時間程度のアルバイトであれば、心身への負担も少なく、「働く」という感覚を取り戻すための良いリハビリになります。
仕事を通じて他人とコミュニケーションを取ったり、「ありがとう」と感謝されたり、給料をもらったりする経験は、大きな自信に繋がります。「まずは社会に慣れるのが目的だから、合わなかったらすぐに辞めてもいい」くらいの軽い気持ちで始められるよう、親御さんが後押ししてあげることが大切です。
就職のプロに相談してみる
ある程度、働くことに慣れて自信がついてきたら、いよいよ本格的な就職を考える段階です。ですが、親子だけで仕事を探そうとすると、意見がぶつかったり、どう進めればいいか分からなくなったりしがちです。そこで、第三者である就職のプロの力を借りることをお勧めします。
転職エージェントなどの専門家は、多くの若者の就職を支援してきた経験から、ニート期間がある場合の履歴書の書き方や、面接での効果的なアピール方法などを熟知しています。客観的な視点から息子さんに合った仕事を紹介してくれたり、本人に代わって企業と条件交渉をしてくれたりすることもあります。親以外の大人と話すこと自体が、良い刺激になることも多いのです。
ニートからでも挑戦しやすい仕事
ニート期間があると、「自分にできる仕事なんてないのではないか」と不安に感じてしまうかもしれません。ですが、未経験からでも始めやすく、ブランクを気にせずに挑戦できる仕事はたくさんあります。ここでは、その代表的な例を4つ紹介します。
- 未経験でも始めやすい工場作業員
- 一人で集中できる配送ドライバー
- 体を動かすことが好きな方向けの警備員
- 人の役に立てる介護職員
各項目について、詳しく解説していきます。
未経験でも始めやすい工場作業員
工場での作業はマニュアル化されていることが多く、未経験からでも始めやすい仕事の代表格です。ライン作業や検品、梱包といった仕事は、一度覚えてしまえば自分のペースで黙々と進められるため、コミュニケーションに自信がない場合でも安心して取り組めます。
学歴や職歴を問わない求人も多く、ニート期間について過度に心配する必要がないケースも多いのが特徴です。決められたルールの中でコツコツと作業することが得意な方には、適している仕事と言えるでしょう。まずは派遣や契約社員からスタートし、仕事に慣れてから正社員を目指すという道もあります。

一人で集中できる配送ドライバー
車の運転が苦でなく、一人で仕事に集中したいと考えるなら、配送ドライバーも選択肢の一つです。荷物の積み下ろしや配送ルートの確認など、基本的な業務を覚えれば、日中は一人で車を運転しながら仕事を進めることができます。ネット通販の拡大に伴い、ドライバーの需要は常に高く、就職しやすい職種でもあります。
頑張り次第で給料が上がる給与体系の会社もあり、働くモチベーションを保ちやすいかもしれません。最初は先輩の車に同乗してルートを覚える研修期間が設けられていることがほとんどなので、未経験でも安心してスタートできるでしょう。
体を動かすことが好きな方向けの警備員
じっとしているよりも、体を動かす仕事の方が性に合っているという場合には、警備員の仕事も考えられます。商業施設やオフィスビル、工事現場などで人々の安全を守る仕事は、社会に貢献している実感を得やすく、責任感がやりがいに繋がります。警備の仕事はシフト制が基本なので、自分の生活リズムに合わせて働きやすいというメリットもあります。
また、法定研修が義務付けられているため、未経験でも必要な知識やスキルをしっかりと身につけてから現場に出ることができます。立ち仕事が多いため体力は必要ですが、特別なスキルは求められないことが多く、挑戦しやすい仕事の一つです。
人の役に立てる介護職員
「誰かの役に立ちたい」という気持ちが強いなら、介護の仕事が向いているかもしれません。介護業界は慢性的な人手不足のため、未経験者や無資格者を積極的に採用している事業所が多く、門戸が広いのが特徴です。高齢者の食事や入浴の介助など、大変な面もありますが、利用者さんからの「ありがとう」という言葉が、何よりの励みになります。
働きながら「介護職員初任者研修」などの資格を取得すれば、キャリアアップや給料アップも目指せます。人の温かさに触れながら、社会に貢献できる介護の仕事は、働く喜びを再発見するきっかけになるかもしれません。
親子だけで悩まず専門家に相談しよう
ここまで、ニート状態の息子さんへの向き合い方や、社会復帰へのステップについて解説してきましたが、全てを家庭内だけで解決しようとするのは非常に困難です。親子だからこそ、感情的になってしまったり、客観的な判断ができなかったりすることもあります。そんな時は、専門家の力を借りることが最善の策となる場合があります。
- 息子さんに合った仕事探しをサポートする
- 面接対策や書類作成も手伝ってくれる
- Zキャリアのエージェントに相談してみよう
詳しく見ていきましょう。
息子さんに合った仕事探しをサポートする
転職エージェントは、本人に合った仕事探しを客観的にサポートしてくれます。キャリアアドバイザーが面談を通して、息子さん本人の興味や関心、得意なこと、そして希望する働き方などを丁寧にヒアリングします。親御さんが「この仕事が良いのでは?」と思うものと、本人が本当にやりたいことは違うかもしれません。第三者のプロが間に入ることで、息子さんも本音を話しやすくなります。多くの求人情報の中から、本人の適性に合ったものを厳選して紹介してくれるため、やみくもに探すよりも効率的に、かつミスマッチの少ない就職活動を進めることができます。
面接対策や書類作成も手伝ってくれる
ニート期間があると、履歴書や職務経歴書の書き方に悩んでしまうものです。「空白期間をどう説明すればいいのか」「自己PRで何を伝えればいいのか」といった疑問は、一人で抱えていると就職活動の大きな壁となります。転職エージェントは、こうした書類の添削も行ってくれます。空白期間をネガティブに捉えさせない伝え方や、企業に響く志望動機の作り方など、プロの視点で具体的なアドバイスをもらえます。また、本番を想定した模擬面接を実施してくれることもあります。面接での立ち居振る舞いや、よく聞かれる質問への回答の仕方を事前に練習しておくことで、本番で落ち着いて自分をアピールできるようになります。

Zキャリアのエージェントに相談してみよう
もし息子さんが社会復帰に向けて少しでも「動いてみようかな」という気持ちを見せ始めたら、それは大きな一歩です。その大切な一歩を確実なものにするために、親子だけで悩まず、ぜひ私たちZキャリアにご相談ください。Zキャリアは、若年層の就職・転職支援に特化したエージェントです。ニートやフリーターからの正社員就職を数多くサポートしてきた経験豊富なキャリアアドバイザーが、親身になって話をお伺いします。相談はもちろん無料です。
息子さん一人で相談に来るのが不安であれば、最初は親御さんと一緒に来ていただいても構いません。息子さんの未来のために、私たちが全力でサポートします。まずは一歩、踏み出してみませんか。