- 営業から人事への異動が左遷かどうかの判断基準
- 会社が営業職を人事へ異動させるポジティブな理由
- 異動が左遷だった場合のキャリアを好転させる方法
- 営業経験を活かせる人事以外のキャリアパス
営業から人事への異動は左遷かもしれない?
営業職から人事部への異動は、必ずしもネガティブなものとは限りません。ですが、状況によっては「左遷」と受け取られても仕方がないケースもあります。左遷かもしれない異動の判断基準は以下の通りです。詳しく解説していきます。
- 給与や待遇が明らかに下がる
- これまでの経験が全く活かせない
- 明確な理由の説明がない
- キャリアパスから外れる異動である
給与や待遇が明らかに下がる
もし異動によって給与や役職が明らかに下がる場合は、左遷の可能性を考える必要があります。例えば、営業成績に応じて支払われていたインセンティブ(成果給)がなくなり、基本給だけになることで、結果的に手取り額が大幅に減ってしまうケースです。
もちろん、職種が変われば給与体系が変わるのは自然なことです。ですが、会社側からその変動について丁寧な説明がなく、一方的に不利益な条件を提示された場合は注意が必要です。異動前後の待遇を冷静に比較し、あまりにも下がり幅が大きいと感じたら、その理由をきちんと確認することが大切です。
これまでの経験が全く活かせない
これまで営業として培ってきたスキルや経験が、新しい人事の仕事で全く活かせないと感じる場合も、左遷を疑う一つのサインかもしれません。例えば、顧客とのコミュニケーションや目標達成能力に長けているのに、誰とも話さないデータ入力のような仕事ばかりを任されるケースです。
もちろん、新しい部署では新しいスキルを学ぶ必要があります。ですが、会社が本人の成長を考えているのであれば、これまでの強みを何らかの形で活かせるような役割を与えるはずです。自分の強みが完全に無視されていると感じるような異動は、ポジティブな目的ではない可能性も考えておきましょう。
明確な理由の説明がない
会社からの異動命令に納得できる理由がない場合も、不安を感じる要因になります。通常、会社は社員を異動させる際に「君の営業経験を採用活動に活かしてほしい」といったように、その目的や期待する役割を説明するものです。
そうした説明が一切なく、「来月から人事に異動です」と結果だけを告げられたり、理由を聞いても「会社の決定だから」とはぐらかされたりする場合は、ポジティブな異動ではないかもしれません。なぜ自分なのか、どんな活躍を期待されているのかが不透明なままでは、仕事へのモチベーションも上がりにくいでしょう。
キャリアパスから外れる異動である
自分が思い描いていた将来のキャリアプランから大きく外れる異動も、左遷と受け取られることがあります。例えば、「将来は営業部長を目指したい」と上司に伝えていたにもかかわらず、全く畑違いの人事部へ異動になるケースです。
もちろん、会社が本人の可能性を広げるために、あえて異なる経験を積ませることもあります。ですが、本人の意向を完全に無視した異動は、会社がその社員の長期的なキャリアを真剣に考えていないサインかもしれません。自分の目標とするキャリアから遠ざかる異動だと感じた場合は、今後の働き方を見直すきっかけになるでしょう。
会社が営業職を人事部へ異動させる理由
営業から人事への異動と聞くと、ネガティブなイメージを持つかもしれませんが、実は会社が社員の成長を期待して行うポジティブなケースも多くあります。会社が営業職を人事部へ異動させる主な理由は以下の通りです。詳しく見ていきましょう。
- 現場を知る人材を育成するため
- 採用活動に営業経験を活かすため
- コミュニケーション能力を評価したため
- 本人のキャリアの幅を広げるため
現場を知る人材を育成するため
会社は、将来の幹部候補として育成したい社員に、あえて複数の部署を経験させることがあります。営業という会社の「攻め」の部分を経験した人材が、人事という会社を「支える」部署の仕事を理解することは、会社全体の動きを把握する上で非常に重要です。
現場の最前線である営業の仕事と、社員を支える人事の仕事の両方を経験することで、より広い視野を持って物事を考えられるようになります。これは、将来的に会社を引っ張っていくリーダーになるための大切なステップと捉えることができます。会社の長期的な人材育成プランの一環としての異動である可能性も高いのです。
採用活動に営業経験を活かすため
会社の顔として自社の魅力を伝える採用活動は、営業の仕事と共通する点が多くあります。営業で培った「人に好かれる力」や「商品の魅力を伝えるプレゼンテーション能力」は、求職者に対して自社の魅力をアピールし、優秀な人材を獲得する上で大きな武器になります。
特に、営業職の採用を行う場合、実際に営業として活躍していた社員が採用担当者になることで、仕事のやりがいや大変さをリアルに伝えることができます。求職者も安心して質問ができ、入社後のミスマッチを防ぐことにも繋がります。営業経験は、採用活動において即戦力となるスキルなのです。

コミュニケーション能力を評価したため
高いコミュニケーション能力を評価されたことも、人事部への異動理由として考えられます。人事の仕事は、採用面接だけでなく、社員の悩みを聞く面談や、部署間の調整、研修の講師など、人と関わる場面が非常に多い部署です。
営業として、さまざまなお客様と良好な関係を築いてきた経験は、人事の仕事でも大いに役立ちます。相手の話を丁寧に聞き、課題を解決に導く力は、社員が安心して働ける環境を作る上で欠かせません。その対人スキルを見込まれての抜擢である可能性も十分にあります。
本人のキャリアの幅を広げるため
会社が本人の将来を考えてキャリアの選択肢を増やすために、人事への異動を命じることもあります。営業一筋でキャリアを積むことも素晴らしいですが、異なる職種を経験することで、自分でも気づかなかった新たな才能や興味が見つかるかもしれません。
例えば、人事の仕事を通じて労務や法律の知識が身につけば、将来的には人事のスペシャリストとしての道も開けます。また、営業と人事の両方を経験した人材は、市場価値も高まり、今後のキャリアでより多くの選択肢を持つことができるようになります。会社からの「期待」が込められた異動と捉えることもできるのです。
営業から人事への異動で得られるメリット
営業から人事への異動は、不安に感じるかもしれませんが、実はキャリアにとって多くのメリットがあります。新しい環境で得られる経験は、今後の社会人生活において大きな財産になるでしょう。異動で得られるメリットは以下の通りです。詳しく解説していきます。
- 会社全体を広い視野で見られる
- ワークライフバランスが改善する
- 新しいスキルや知識が身につく
- キャリアの選択肢が広がる
会社全体を広い視野で見られる
営業部にいると、どうしても自社の製品やサービスの売上といった部分に目が行きがちです。ですが、人事部に移ることで、会社を「組織」や「人」という視点で見られるようになります。採用、育成、評価、労務管理など、会社がどのようにして成り立っているのかを裏側から知ることができるのです。
この経験は、物事を多角的に見る力を養い、将来的にマネジメント職に就いた時にも必ず役立ちます。特定の部署の視点だけでなく、会社全体の利益を考えて判断する能力が身につくことは、大きなメリットと言えるでしょう。
ワークライフバランスが改善する
営業職は、お客様の都合に合わせることも多く、残業や休日出勤が発生しやすい職種の一つです。一方、人事の仕事は、比較的スケジュールが立てやすく、定時で帰りやすい傾向があります。もちろん繁忙期はありますが、営業職に比べるとプライベートの時間を確保しやすくなることが多いでしょう。
仕事とプライベートのメリハリをつけたい、自分の時間を大切にしたいと考えている人にとっては、大きなメリットになります。仕事後の時間で趣味を楽しんだり、資格の勉強をしたりと、新しいライフスタイルを築くきっかけになるかもしれません。
新しいスキルや知識が身につく
人事の仕事は専門性が高く、これまでとは全く違うスキルを身につけることができます。例えば、採用活動を通じて面接のスキルや人を見る目が養われたり、給与計算や社会保険の手続きを通じて労務の知識が身についたりします。
これらの専門知識は、どの会社でも通用するポータブルなスキルです。営業スキルに加えて人事の専門スキルが身につけば、それは自分自身の市場価値を高めることに直結します。新しいことを学ぶのは大変かもしれませんが、その分だけ成長できるチャンスも大きいのです。
キャリアの選択肢が広がる
営業と人事という、会社の「攻め」と「守り」の両方を経験した人材は、キャリアの選択肢が格段に広がります。再び営業職に戻ってマネージャーを目指す道もあれば、人事のスペシャリストとしてキャリアを積んでいく道も選べます。
また、将来的には、営業と人事の経験を活かして、事業企画や経営企画といった、より会社の中枢に近い部署で活躍することも可能になるかもしれません。一つの部署に留まるのではなく、異なる経験を積むことで、将来の可能性が大きく広がることは間違いありません。
営業から人事への異動で考えられるデメリット
多くのメリットがある一方で、営業から人事への異動にはいくつかのデメリットも考えられます。事前に心の準備をしておくことで、異動後のギャップを最小限に抑えることができるでしょう。考えられるデメリットは以下の通りです。詳しく見ていきましょう。

営業のインセンティブがなくなる
営業職の大きな魅力の一つが、成果に応じて支給されるインセンティブです。頑張れば頑張るほど給与に反映されるため、高いモチベーションを維持しやすいですが、人事部ではインセンティブ制度がないことがほとんどです。
そのため、異動によって月々の給与や年収が下がってしまう可能性があります。成果が数字で明確に表れる営業職とは異なり、人事職は固定給が基本となるため、物足りなさを感じるかもしれません。お金を稼ぐことに強いやりがいを感じていた人にとっては、モチベーションの維持が課題になるでしょう。
仕事の成果が見えにくくなる
営業職は、売上目標の達成率など、仕事の成果が数字で明確に表れます。目標を達成した時の喜びや、自分の頑張りが目に見える形でわかることに、やりがいを感じていた人も多いでしょう。
一方、人事の仕事は、採用の成功や社員の定着率向上など、成果がすぐには現れにくく、また数字で測りにくい業務が多くあります。自分の仕事が会社にどう貢献しているのかが分かりにくく、手応えを感じるまでに時間がかかるかもしれません。目に見える成果を求める人にとっては、もどかしさを感じる場面もあるでしょう。
人間関係をゼロから築く必要がある
異動するということは、これまで一緒に仕事をしてきた上司や同僚と離れ、新しい環境で人間関係をイチから作っていく必要があります。特に、営業部と管理部門である人事部では、部署の雰囲気や仕事の進め方が大きく異なることも少なくありません。
新しい部署の文化に馴染んだり、信頼関係を築いたりするまでには、ある程度の時間と努力が必要です。気心知れた仲間と離れる寂しさや、新しい環境への適応にストレスを感じることもあるでしょう。人見知りの人や、環境の変化が苦手な人にとっては、精神的な負担が大きくなる可能性も考えられます。
もし左遷だと感じたら試すべき行動
もし、今回の異動がどうしても左遷だと感じ、納得できない場合は、ただ落ち込んでいるだけでは状況は好転しません。自ら行動を起こすことが、キャリアを前向きに進めるための鍵となります。試すべき行動は以下の通りです。詳しく解説していきます。

まずは異動の理由を冷静に確認する
まずは感情的にならず、上司に異動の理由を直接確認することが重要です。「なぜ自分が人事部に異動するのか」「会社から何を期待されているのか」を冷静に質問してみましょう。もしかしたら、自分が思ってもみなかったポジティブな理由が隠されているかもしれません。
ここで大切なのは、不満をぶつけるのではなく、「今後のために異動の目的を理解したい」という前向きな姿勢で対話することです。理由を知ることで、納得して新しい仕事に取り組めるかもしれませんし、もし納得できなくても、次の行動を考えるための重要な判断材料になります。
人事の仕事で成果を出して見返す
もし左遷だとしても、そこで腐らずに新しい仕事で成果を出すことが、最も効果的な「見返し方」です。不満を抱えながら仕事をしても、周りからの評価は下がる一方です。気持ちを切り替えて、「人事の仕事でも結果を出せる」ことを示しましょう。
例えば、営業経験を活かして採用活動で大きな成果を上げたり、社員から信頼される人事担当者になったりすれば、会社もその活躍を認めざるを得ません。逆境をバネに成果を出すことで、再び希望の部署に戻れたり、より良いポジションを任されたりする可能性も生まれます。
社内でアピールできる実績を作る
人事の仕事に取り組みながら、社内の他の部署にも目を向け、自分のスキルをアピールできる機会を探しましょう。例えば、営業部の後輩の相談に乗ったり、営業の知識を活かして研修の改善案を提案したりするなど、人事の枠を超えて会社に貢献する方法はたくさんあります。
こうした地道な活動は、周りからの信頼を得るだけでなく、「やはり彼(彼女)は営業の仕事が向いている」「企画部で力を発揮できるかもしれない」といった、新たなキャリアの可能性に繋がることもあります。自分の価値を社内に示し続けることが、次のチャンスを引き寄せるのです。
転職を視野に入れて情報収集する
どうしても今の会社では自分のキャリアを描けないと感じたら、転職という選択肢を視野に入れることも大切です。すぐに辞めるかどうかを決める必要はありません。まずは、転職サイトに登録したり、転職エージェントに相談したりして、社外にどんな可能性があるのか情報収集から始めてみましょう。
自分の営業経験が、他の会社でどのように評価されるのかを知るだけでも、気持ちに余裕が生まれます。「今の会社に残る」という選択肢だけでなく、「転職する」というカードも手元に持つことで、より冷静に自分の将来を考えることができるようになります。
営業経験が活かせる人事以外の転職先
人事の仕事が自分には合わないと感じた場合でも、営業で培った経験はさまざまな職種で活かすことができます。視野を広げてみることで、自分にぴったりのキャリアが見つかるかもしれません。人事以外の転職先は以下の通りです。詳しく見ていきましょう。
- マーケティング・企画職
- カスタマーサクセス
- ITセールス
- コンサルタント
マーケティング・企画職
顧客のニーズを深く理解している営業経験は、マーケティングや商品企画の仕事で大きな強みになります。お客様がどんなことに困っていて、どんな商品を求めているのかを肌で知っているため、よりユーザーに響く商品やサービスの企画を立てることができます。
市場調査のデータだけではわからない、現場のリアルな声を企画に反映できるのが、営業経験者の価値です。お客様の課題を解決したいという想いを、新しい商品やサービスという形で実現できる、非常にやりがいのある仕事です。
カスタマーサクセス
カスタマーサクセスは、自社のサービスを導入してくれたお客様が、そのサービスを最大限に活用して成功できるようにサポートする仕事です。お客様と長期的な信頼関係を築くという点で、営業の仕事と非常に親和性が高い職種と言えます。
売って終わりではなく、お客様のビジネスの成功に寄り添い、伴走していく役割を担います。お客様から「ありがとう」と直接感謝される機会も多く、人の役に立ちたいという気持ちが強い人にとっては、大きなやりがいを感じられるでしょう。
ITセールス
もし営業の仕事自体は好きで、さらに専門性を高めたいのであれば、IT業界の営業職(ITセールス)に挑戦するのも一つの道です。IT業界は成長を続けており、専門知識を持った営業職の需要は非常に高まっています。
これまでの営業経験をベースに、ITに関する専門知識を身につけることで、より市場価値の高い人材になることができます。変化の速い業界で新しい知識を学び続けることに面白さを感じる人や、より高いレベルで営業スキルを磨きたい人におすすめです。
コンサルタント
営業活動を通じて培った課題発見力や解決提案力は、コンサルタントの仕事でも活かすことができます。コンサルタントは、企業の経営課題を明らかにし、その解決策を提案する専門家です。
お客様の状況をヒアリングし、最適な提案を行うというプロセスは、営業の仕事と共通しています。より経営に近い視点で、企業の成長をダイレクトに支援できるダイナミックな仕事です。論理的に物事を考え、難しい課題を解決することにやりがいを感じる人に向いています。
それでも将来が不安ならプロに相談しよう
異動や転職について一人で考え込んでいると、どうしてもネガティブな気持ちになったり、視野が狭くなったりしがちです。そんな時は、キャリアの専門家である転職エージェントに相談してみるのも一つの有効な手段です。プロに相談するメリットは以下の通りです。
- 自分の市場価値を客観的に知れる
- 思いもよらないキャリアの道が見つかる
自分の市場価値を客観的に知れる
自分では「大したスキルはない」と思っていても、プロの視点から見れば強みになる経験はたくさんあります。転職エージェントは、これまでの経歴を客観的に分析し、転職市場でどのくらいの価値があるのかを教えてくれます。
自分の強みやアピールポイントが明確になることで、自信を持って次のステップに進むことができます。また、自分では気づかなかった弱みや、今後伸ばすべきスキルについてもアドバイスをもらえるため、キャリアプランを立てる上で非常に参考になります。
思いもよらないキャリアの道が見つかる
転職エージェントは、さまざまな業界や企業の情報を豊富に持っています。自分一人で求人を探しているだけでは見つけられないような、思いもよらないキャリアの選択肢を提案してくれることがあります。
例えば、「自分の営業経験が、こんな業界で高く評価されるんだ」といった新しい発見があるかもしれません。自分の可能性を狭めずに、幅広い選択肢の中から最適な道を選ぶ手助けをしてくれるのが、転職エージェントの大きな魅力です。
Zキャリアのエージェントに相談してみよう
営業から人事への異動に悩み、「このままでいいのかな」と感じているなら、一度Zキャリアのキャリアエージェントに相談してみませんか。私たちは、特にZ世代のノンデスクワーカーの方々のキャリア相談に力を入れています。
今回の異動が本当に左遷なのか、それともキャリアアップのチャンスなのかを一緒に考え、もし転職という選択をするのであれば、あなたの営業経験が最大限に活かせる求人をご紹介します。一人で抱え込まず、まずは気軽に話を聞いてもらうことから始めてみましょう。あなたの新しい一歩を、全力でサポートします。