事務職の仕事内容

書類作成・管理
請求書や契約書、議事録など、ビジネスで不可欠な書類を作成・管理します。WordやExcel、PowerPointなどの基本的なPCスキルが必須です。正確さと機密情報を扱う責任感が求められ、会社の業務を円滑に進めるための基盤となる重要な役割を担います。
ファイリング
契約書や請求書、会議資料など、社内の様々な書類をルールに基づいて整理・保管する業務です。必要な時に誰でも迅速に情報を取り出せるようにすることが目的です。紙媒体だけでなく、データでのファイリングも増えており、情報管理能力や整理整頓のスキルが求められます。
データ入力・処理
顧客情報や売上データ、勤怠記録などを、指定されたフォーマットやシステムに入力・処理する作業です。正確性とスピードが重視されます。地道な作業ですが、入力されたデータは経営判断やマーケティングの基礎資料となるため、会社の運営に欠かせない重要な業務の一つです。
電話・メール応対
社内外からの電話やメールに対応する、会社の「顔」ともいえる業務です。問い合わせへの回答、担当者への取り次ぎなどを、丁寧かつ迅速に行います。ビジネスマナーやコミュニケーション能力が不可欠で、相手の意図を正確に汲み取り、適切に対応する力が求められます。
来客応対
会社を訪れたお客様を最初にお迎えし、会議室へご案内したり、お茶出しをしたりする業務です。企業の第一印象を左右するため、丁寧な言葉遣いや明るい笑顔、清潔感のある身だしなみが重要になります。スムーズな取り次ぎを行うための、社内連携も欠かせません。
備品の管理・発注
文房具やコピー用紙、トナーカートリッジといったオフィスで必要な備品の在庫を管理し、不足分を発注する仕事です。コスト意識を持ちながら、業務が滞らないように適切なタイミングで発注することが求められます。業者とのやり取りが発生することもあります。
事務職の種類
一般事務
特定の部署に限定されず、幅広い業務を担うのが一般事務です。主な仕事は、データ入力、書類作成・管理、ファイリング、電話・来客応対、郵便物の発送・仕分け、備品管理など多岐にわたります。いわば「会社の何でも屋さん」として、他部署のサポート役を担い、組織全体の業務がスムーズに進むよう支える重要なポジションです。
特別な専門知識やスキルが求められることは少なく、基本的なPCスキルとコミュニケーション能力があれば挑戦しやすいため、未経験者歓迎の求人が多いのが特徴です。他の専門的な事務職へキャリアアップするための第一歩としても最適な職種と言えるでしょう。
人事事務
企業の「人」に関わる業務をサポートするのが人事事務です。主な仕事内容として、従業員の入社・退社手続き、勤怠管理、給与計算、社会保険の手続き、年末調整、福利厚生の管理などが挙げられます。また、採用活動のサポートとして、応募者との連絡や面接の日程調整、会社説明会の運営補助なども行います。
従業員の個人情報という機密性の高い情報を扱うため、高い倫理観と正確性が求められます。労務や社会保険に関する知識も必要となる、専門性の高い事務職の一つです。縁の下の力持ちとして、社員が安心して働ける環境を整えるやりがいのある仕事です。
総務事務
企業のあらゆる部門をサポートし、社員が働きやすい環境を整えるのが総務事務の役割です。その業務範囲は非常に広く、備品や設備の管理・発注、社内規定の整備、株主総会や社内イベントの企画・運営、福利厚生制度の管理、オフィスの防災対策、契約書の管理など多岐にわたります。
他部署では対応できないあらゆる業務を引き受ける「会社の潤滑油」のような存在です。そのため、幅広い知識や柔軟な対応力、そして社内外の様々な人と関わるための高いコミュニケーション能力が求められます。会社の運営基盤を支える、やりがいの大きな仕事です。
経理事務
企業のお金の流れを管理・記録するのが経理事務の仕事です。日々の業務としては、伝票の作成・整理、経費の精算、売掛金・買掛金の管理、預金管理などがあります。さらに、月次・年次決算業務として、試算表や貸借対照表、損益計算書といった財務諸表の作成も担当します。
正確性が何よりも重視される仕事であり、簿記の知識は必須スキルと言えるでしょう。お金を扱う責任の大きな仕事ですが、会社の経営状況を数字で把握できるという面白さがあり、経営の根幹を支える重要な役割を担っています。専門性が高く、経験を積むことでキャリアアップも目指せる職種です。
秘書
企業の役員や経営者といった要職者が、自身のコア業務に専念できるようサポートするのが秘書の役割です。主な仕事は、スケジュール管理、電話・メール・来客応対、出張の手配、会議の準備・資料作成、経費精算、慶弔関連の対応など多岐にわたります。上司の業務が円滑に進むよう、先を読んで行動する細やかな気配りと判断力が求められます。
また、社内外の重要人物と接する機会が多いため、高度なビジネスマナーやコミュニケーション能力、そして機密情報を扱うための守秘義務も不可欠です。上司の成功を支えることにやりがいを感じられる人に向いている、専門性の高い仕事です。
受付事務
企業の「顔」として、来訪者を最初にお迎えするのが受付事務の仕事です。主な業務は、来客の受付・案内、担当者への取り次ぎ、代表電話の応対、会議室の予約管理などです。企業の第一印象を左右する非常に重要なポジションであり、常に明るい笑顔と丁寧な言葉遣い、清潔感のある身だしなみが求められます。
また、来訪者の目的を迅速に把握し、スムーズに担当者へつなぐためのコミュニケーション能力や、複数の来客が重なった際にも冷静に対応できる判断力も必要です。マニュアル通りではない、臨機応変な対応力が求められる場面も多くあります。
企業法務担当
企業活動に関わる法律問題を専門的に扱うのが企業法務担当です。主な仕事は、契約書の作成・審査、コンプライアンス(法令遵守)体制の構築・運用、社内からの法律相談への対応、知的財産権(特許、商標など)の管理、紛争・訴訟への対応など多岐にわたります。ビジネスのグローバル化やコンプライアンス意識の高まりを受け、その重要性は年々増しています。
法律に関する専門知識はもちろん、それをビジネスの現場で活かすための応用力や、各部署と連携するためのコミュニケーション能力が不可欠です。企業の健全な成長を法的な側面から支える、高度な専門性が求められる仕事です。
コンプライアンス推進担当
企業が法律や社内規則、倫理規範などを遵守して活動できるよう、体制を構築し、推進していくのがコンプライアンス推進担当の役割です。具体的な業務としては、社内規程の整備、従業員へのコンプライアンス研修の企画・実施、内部通報制度の運用、ハラスメント防止策の推進、情報セキュリティ管理などが挙げられます。
近年、企業の不祥事が社会問題となるケースが増えており、企業の信頼性を維持するためのコンプライアンスの重要性は非常に高まっています。法的な知識に加え、社内の各部署と連携して施策を進めるための調整能力や、全社的な意識を高めるための教育能力が求められます。
営業事務
営業担当者が営業活動に専念できるよう、社内からサポートするのが営業事務の役割です。主な仕事内容は、見積書・請求書・契約書などの書類作成、受発注データの入力・管理、商品の在庫管理や納期調整、電話・メールでの顧客対応など多岐にわたります。
営業担当者と顧客、そして社内の製造・経理部門など、多くの人と関わるため、円滑なコミュニケーション能力と調整力が不可欠です。数字を扱う正確性や、複数の業務を同時に進めるスピード感も求められます。「営業担当者を支え、会社の売上に貢献したい」という思いを持つ人にぴったりの仕事です。
貿易事務
海外企業との輸出入取引に関する事務手続きを専門に行うのが貿易事務です。主な仕事は、輸出入書類(インボイス、パッキングリスト、船荷証券など)の作成・確認、輸送手段や倉庫の手配、通関手続きの依頼、関税・消費税の納付、海外の取引先とのコレポン(ビジネス文書のやり取り)などです。
貿易に関する専門知識はもちろん、語学力(特に英語)が必須となります。また、各国の法律や情勢によって手続きが変わることもあるため、常に最新の情報を収集する姿勢も重要です。世界を相手にビジネスを動かすダイナミックさと、正確な事務処理能力の両方が求められる専門職です。
出荷・受荷事務
工場や倉庫、物流センターなどで、製品や商品の入出庫を管理するのが出荷・受荷事務の仕事です。具体的な業務としては、出荷指示書や入荷伝票の作成、在庫データのシステム入力、トラックや配送業者の手配、納期管理、棚卸しのサポートなどが挙げられます。物流が滞りなく進むよう、正確かつスピーディーな事務処理が求められます。
また、ドライバーや倉庫スタッフ、営業担当者など、様々な立場の人と連携する必要があるため、コミュニケーション能力も重要です。モノの流れを管理し、ビジネスの根幹である物流を支える、社会貢献度の高い仕事と言えるでしょう。
学校事務
小学校、中学校、高校、大学、専門学校などの教育機関で、学校運営を支える事務全般を担当します。業務内容は非常に幅広く、窓口での学生・生徒や保護者への対応、入学・転校・卒業に関する手続き、学費の管理、教職員の給与計算や勤怠管理、備品の発注・管理、各種証明書の発行などを行います。
教育現場を円滑に運営するための縁の下の力持ちであり、子供たちの成長を間近で感じられるやりがいがあります。公立学校の場合は地方公務員、私立学校の場合はその学校法人の職員になります。安定して長く働きたい人に人気の職種です。
医療事務
病院やクリニックなどの医療機関で、受付業務や会計、診療報酬請求業務(レセプト作成)などを担当するのが医療事務です。主な仕事は、患者さんの受付、保険証の確認、カルテの作成・管理、診療費の計算と会計、そして診療内容をレセプト(診療報酬明細書)にまとめて保険者に請求する業務です。
特にレセプト作成は専門的な知識が求められる重要な仕事です。患者さんと最初に接する「病院の顔」としての役割も担うため、丁寧な対応や思いやりも大切になります。医療という社会貢献度の高い分野で、資格や専門性を活かして安定的に働ける人気の高い仕事です。
調剤薬局事務
調剤薬局において、薬剤師のサポートや患者さんの対応を行うのが調剤薬局事務です。主な仕事は、処方箋の受付、患者情報や保険情報のPC入力、会計業務、そして薬剤師の指示のもとで診療報酬明細書(レセプト)を作成し、保険者に請求する業務です。
また、一般用医薬品や衛生用品などの販売、在庫管理、電話応対なども担当します。医療事務と同様に、正確なレセプト作成のスキルが求められますが、調剤薬局に特化した知識が必要となります。患者さんの健康を支える地域医療の一員として、やりがいを感じられる仕事です。
介護事務
介護施設や訪問介護事業所など、介護サービスを提供する事業所で事務全般を担当します。主な仕事は、介護サービスの利用者の受付・対応、電話応対、事業所の備品管理といった一般事務に加え、介護報酬請求業務(レセプト作成)が中心となります。
これは、提供した介護サービスの内容に基づき、利用者負担分以外の費用を国民健康保険団体連合会(国保連)に請求するための重要な業務です。介護保険制度に関する専門知識が必須であり、正確な事務処理能力が求められます。高齢化社会を支える介護業界において、不可欠な専門職としてニーズが高まっています。
生産・工程管理事務
主に製造業の工場などで、製品が計画通りに生産されるよう、生産ライン全体を管理・サポートする事務職です。具体的な業務内容は、生産計画に基づいた資材の発注・在庫管理、各製造工程の進捗状況の確認・データ入力、作業員への指示書作成、納期の管理・調整などです。
生産現場と他部署との橋渡し役となり、スムーズな生産活動を支えます。全体の流れを把握する能力や、予期せぬトラブルにも対応できる柔軟性、そして各部署と連携するための調整力が求められます。モノづくりの現場を裏から支え、製品が完成する過程に携われるやりがいのある仕事です。
銀行窓口事務
銀行の窓口(テラー)で、来店したお客様の対応をするのが銀行窓口事務の仕事です。預金の入出金、振込、税金・公共料金の支払い、口座開設、住所変更などの諸手続きを行います。お客様のお金を直接扱うため、1円のミスも許されない極めて高い正確性が求められます。
また、お客様のニーズに応じて投資信託や保険といった金融商品を提案することもあり、幅広い金融知識とコミュニケーション能力が必要です。地域経済を支える金融機関の顔として、お客様からの信頼を得ることが大切な、責任とやりがいのある仕事です。
通信販売受付事務
テレビショッピングやインターネット通販などで、顧客からの注文を受け付け、処理するのが通信販売受付事務の仕事です。電話やメール、専用システムを通じて注文内容を確認し、顧客情報や商品情報をデータ入力します。
また、商品に関する問い合わせへの対応や、返品・交換の手続きなども行います。お客様と直接顔を合わせることはありませんが、声や文章を通して企業の印象が決まるため、丁寧な言葉遣いと高いコミュニケーション能力が求められます。正確かつ迅速に注文を処理する能力も重要で、多くの人々の便利な暮らしを支える役割を担っています。
損害保険事務
損害保険会社や保険代理店で、保険契約に関する事務手続きや、事故発生時の保険金支払いに関するサポート業務を行います。具体的な仕事内容は、保険契約の申込書処理、契約内容のデータ入力、満期管理、保険料の請求・入金確認といった「契約事務」と、事故受付、必要書類の案内、保険金の算定・支払い手続きといった「損害サービス事務」に大別されます。
保険という専門的な商品を扱うため、幅広い知識と正確性が求められます。お客様が万が一の事態に遭遇した際に、経済的な不安を和らげる手助けをする、社会貢献度の高い仕事です。
向いている人の特徴

円滑なコミュニケーションが取れる人
事務職は、社内の様々な部署の社員や、社外の顧客、取引先など、多くの人と関わる仕事です。そのため、相手の意図を正確に理解し、自分の考えを分かりやすく伝える円滑なコミュニケーション能力が不可欠です。
単に話がうまいということではなく、相手への配慮や丁寧な言葉遣い、そして話をきちんと聞く「傾聴力」が重要になります。電話やメールでのやり取りも多いため、状況に応じた適切な対応が求められます。周囲と良好な関係を築き、スムーズに業務を進めるための協調性も、事務職にとって大切な資質の一つと言えるでしょう。
イレギュラー対応ができる人
事務職の仕事は、ルーティンワークだけではありません。急な来客への対応、備品の故障、他部署からの突発的な依頼など、予期せぬ事態が発生することも日常茶飯事です。そんな時に、慌てずに状況を判断し、優先順位をつけて冷静に対応できる能力が求められます。
マニュアル通りにいかない場面でも、自分で考えて最善の方法を見つけ出したり、周囲に助けを求めたりしながら、柔軟に問題を解決していく力が必要です。変化を恐れず、臨機応変に対応できる人は、どんな職場でも頼りにされる存在となるでしょう。
整理整頓が得意な人
事務職では、契約書や請求書といった重要な書類から、膨大な量の電子データまで、様々な情報を扱います。これらの情報をルールに従って整理し、必要な時に誰でもすぐに取り出せるように管理することは、事務職の基本的な役割の一つです。
デスク周りが常に整頓されている、パソコンのファイルがきちんとフォルダ分けされているなど、物理的にもデジタル的にも整理整頓が得意な人は、この仕事に向いていると言えます。情報を適切に管理することで、業務の効率化やミスの防止に繋がり、組織全体の生産性向上にも貢献できます。
地道な作業が苦にならない人
事務職の仕事には、データ入力や書類のファイリング、伝票整理など、一見地味に見える作業が多く含まれます。毎日同じような作業を繰り返すことも少なくありません。そのため、華やかな仕事ばかりを求める人には向いていないかもしれません。
しかし、こうした地道な作業の一つひとつが、会社の運営を支える重要な基盤となっています。コツコツとした作業を正確に、かつ根気強く続けられる集中力と忍耐力がある人は、事務職として大きな強みを発揮できるでしょう。地道な努力が組織を支えることにやりがいを感じられる人にとって、事務職は最適な仕事です。
事務職に必要な(求められる)スキル
基本的なPCスキル
現代の事務職において、PCスキルは必須です。特に、Microsoft OfficeのWord(文書作成)、Excel(表計算・データ集計)、PowerPoint(プレゼンテーション資料作成)は、ほとんどの企業で日常的に使用されます。基本的な操作はもちろん、Excelであれば関数やグラフ作成、Wordであればビジネス文書の書式設定など、応用的なスキルがあると業務の幅が広がります。
また、メールの送受信やインターネットでの情報収集といった基本操作もスムーズに行えることが求められます。タッチタイピングができると、データ入力などの作業効率が格段に向上するため、習得しておくと良いでしょう。
周囲と連携できるコミュニケーション能力
事務職は一人で黙々と作業するイメージがあるかもしれませんが、実際には社内外の多くの人と連携しながら仕事を進める場面が非常に多いです。他部署の社員からの依頼を受けたり、取引先に電話で連絡したり、チーム内で情報を共有したりと、円滑なコミュニケーションが業務の質とスピードを左右します。
相手の話を正確に聞き取る「傾聴力」、自分の考えを分かりやすく伝える「説明力」、そして相手の立場を尊重し協力関係を築く「協調性」が求められます。周囲への気配りを忘れず、チームの一員として貢献する姿勢が大切です。
スケジュール管理能力
事務職は、複数の業務を同時に抱えることが少なくありません。例えば、A社の請求書を作成しながら、B社からの電話に対応し、午後には会議の資料を準備するといった状況です。そのため、それぞれの業務の締め切りや優先順位を正確に把握し、計画的に仕事を進めるスケジュール管理能力が不可欠です。
自分の仕事だけでなく、上司やチーム全体のスケジュールを把握し、先を見越して行動できると、さらに評価が高まります。タスク管理ツールを活用したり、手帳で細かく管理したりと、自分に合った方法で効率的に時間を管理する工夫が求められます。
正確に、素早く作業を行う力
事務職が扱うデータや書類は、会社の経営に関わる重要なものがほとんどです。例えば、請求書の金額を1円でも間違えれば、会社の信用問題に発展しかねません。そのため、どんなに細かな作業であっても、ミスなく正確にこなす注意力と責任感が求められます。
一方で、業務には必ず納期があるため、スピードも同様に重要です。正確でありながら、効率的に作業を進めるための工夫が必要です。日頃からダブルチェックを徹底したり、ショートカットキーを覚えたりするなど、正確性と迅速性を両立させる意識を持つことが大切です。
傾聴力
傾聴力とは、相手の話に真摯に耳を傾け、意図を正確に理解する能力のことです。事務職では、電話や窓口で相手の要望を聞き取ったり、上司や同僚からの指示を正しく理解したりする場面が多くあります。
相手が本当に伝えたいことは何か、何を求めているのかを的確に把握することで、手戻りや誤解を防ぎ、スムーズな業務遂行に繋がります。
単に話を聞くだけでなく、適度な相槌を打ったり、不明な点は質問して確認したりする姿勢も重要です。相手に「きちんと話を聞いてくれている」という安心感を与えることで、信頼関係の構築にも繋がります。
説明力
説明力は、物事を分かりやすく、かつ論理的に相手に伝える能力です。事務職は、他部署の社員に業務フローを説明したり、顧客からの問い合わせに回答したりと、何かを「説明する」場面が頻繁にあります。専門的な内容を誰にでも理解できるように簡単な言葉で伝えたり、結論から話して要点を明確にしたりする工夫が求められます。
また、口頭だけでなく、メールや報告書といった文章で説明するスキルも同様に重要です。複雑な情報を整理し、相手が知りたいことを的確に伝える力は、社内外での円滑なコミュニケーションに不可欠なスキルです。
事務職に活かすことができる資格
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
MOSは、WordやExcel、PowerPointといったMicrosoft Office製品の利用スキルを証明する国際資格です。事務職の必須スキルであるPC操作能力を客観的にアピールできるため、特に未経験から事務職を目指す人にとっては非常に有効な資格です。試験はスペシャリスト(一般)レベルとエキスパート(上級)レベルに分かれており、実務でよく使う機能が網羅されています。
資格取得に向けた学習を通じて、これまで知らなかった便利な機能を知ることができ、実務での作業効率アップにも直結します。多くの企業で認知度が高く、取得しておいて損はない資格の代表格と言えるでしょう。
日商簿記検定
日商簿記検定は、企業の経営活動を記録・計算・整理し、経営成績と財政状態を明らかにする技能を測る検定試験です。特に経理事務を目指す場合は必須とも言える資格ですが、一般事務や営業事務など他の事務職においても、コスト意識や数字に基づいた判断力を養う上で非常に役立ちます。
企業の財務諸表を読む力がつけば、自社の経営状況を理解することにも繋がります。実務では3級、経理の専門職を目指すなら2級以上の取得が推奨されます。お金の流れを理解している人材はどの企業でも重宝されるため、キャリアアップにも有利に働くでしょう。
秘書検定
秘書検定は、秘書に求められる知識や技能だけでなく、社会人として必要なビジネスマナーや一般常識が身についていることを証明する資格です。試験では、正しい敬語の使い方、電話応対、来客応対、ビジネス文書の作成、スケジュール管理といった、事務職全般で活かせるスキルが問われます。
特に、上司をサポートする場面や、社外の人と接する機会の多い職場で高く評価されます。社会人としての基本が身についていることの証明になるため、未経験者や社会人経験の浅い人が、自身のビジネスマナーレベルをアピールするのにも有効な資格です。
ITパスポート
ITパスポートは、ITに関する基礎的な知識を証明できる国家試験です。情報セキュリティやネットワーク、データベースといった技術的な内容から、経営戦略やプロジェクトマネジメントなど、ITを活用する上で必要な幅広い知識が問われます。現代のビジネスにおいてITは不可欠であり、事務職も様々なシステムやツールを利用して業務を行います。
ITパスポートを取得していることで、ITに対する理解度やリテラシーの高さをアピールでき、社内のIT化推進や業務効率化に貢献できる人材として評価される可能性があります。DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中で、ますます価値が高まる資格と言えるでしょう。
未経験からでも働ける?
未経験可の求人も多くある
事務職は未経験からでも挑戦しやすい職種の一つです。特に一般事務や総務事務は、専門的なスキルよりも基本的なPC操作やコミュニケーション能力が重視されるため、「未経験歓迎」の求人が多く見られます。
入社後の研修制度が充実している企業も多く、働きながらスキルを身につけることが可能です。まずは未経験可の求人に応募し、実務経験を積むことがキャリアの第一歩となるでしょう。
未経験歓迎が多い一般事務や総務から始めて、経験者募集が多い経理や法務に転職するのもアリ
将来的に経理や法務といった専門性の高い事務職に就きたいと考えている場合でも、まずは未経験から挑戦しやすい一般事務や総務事務としてキャリアをスタートするのは有効な戦略です。一般事務として働く中で、基本的なビジネススキルや社内でのコミュニケーションの取り方を身につけることができます。
その実務経験を積みながら、簿記や法律関連の資格取得を目指すことで、次のステップである専門事務への道が拓けます。実務経験と専門知識の両方を備えることで、経験者向けの求人にも自信を持って応募できるようになり、キャリアアップを実現しやすくなるでしょう。
事務職の将来性について
AIに置き換わる可能性が高い
近年、AI(人工知能)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の技術発展により、事務職の仕事の一部が自動化されつつあります。特に、データ入力や伝票処理、定型的な書類作成といったルールに基づいて行われる単純作業は、AIが得意とする分野です。将来的には、これらの定型業務はAIに置き換わり、関連する求人が減少する可能性は高いと言われています。
そのため、「誰にでもできる単純作業」しかできない事務職は、淘汰されていくリスクがあることを認識しておく必要があります。これからの事務職には、変化に対応する姿勢が求められます。
しかし、AIに真似できない関係調整力や人材育成力を高めることで対抗できる
すべての事務職の仕事がAIに奪われるわけではありません。AIには真似できない、人間ならではの強みを発揮できる領域があります。例えば、部署間の利害を調整したり、取引先と良好な関係を築いたりする「関係調整力」や、新入社員や後輩を指導し、成長をサポートする「人材育成力」です。
また、マニュアル通りにいかないイレギュラーな事態に、状況を読んで柔軟に対応する能力も人間にしかできません。これらのヒューマンスキルは、AIが進化しても代替されにくく、むしろその価値は高まっていくでしょう。こうした能力を磨くことが、AI時代を生き抜く鍵となります。
専門性を高めることでAIを使いこなせる人材を目指すことも必要になる
AIを脅威と捉えるだけでなく、業務効率を上げるためのツールとして積極的に使いこなす視点も重要です。AIに定型業務を任せることで生まれた時間を、より創造的で付加価値の高い仕事に使うことができます。
例えば、AIが算出したデータを分析して業務改善の提案を行ったり、特定の分野(経理、法務、貿易など)の専門知識を深め、AIでは判断が難しい高度な業務を担当したりすることです。専門性を高め、AIをアシスタントのように活用できる人材は、企業にとって非常に価値が高くなります。これからは、AIとの共存を前提としたスキルアップが求められるでしょう。
未経験からの事務職就職を成功させるには

基本的なPCスキルを身につけておく
未経験から事務職を目指すのであれば、基本的なPCスキルは最低限身につけておきたい要素です。多くの求人で、Wordでの文書作成やExcelでの簡単な表計算・関数操作ができることが応募の前提条件となっています。事前にMOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)などの資格を取得しておけば、スキルの客観的な証明となり、選考で有利に働きます。
また、スムーズなタイピングスキルも重要です。タイピング練習サイトなどを活用して、正確かつ速く入力できるように練習しておきましょう。これらのスキルは、入社後の業務をスムーズに始めるための準備であり、学習意欲のアピールにも繋がります。
面接では人当たりよく、積極的な姿勢を見せる
面接では、スキルや経験以上に、人柄や意欲が重視されます。事務職は他部署の社員や来客など、多くの人と関わるため、円滑な人間関係を築けるコミュニケーション能力が不可欠です。明るい表情や丁寧な言葉遣いを心がけ、「この人と一緒に働きたい」と思わせるような人当たりの良さをアピールしましょう。
また、「教えてもらう」という受け身の姿勢ではなく、「早く仕事を覚えて貢献したい」「新しいことにも積極的に挑戦したい」といった前向きな姿勢を示すことが重要です。転職活動において特に対策を行っていない人は66.1%と過半数にのぼりますが、こうした姿勢をしっかりと準備して伝えることで、他の候補者と差をつけることができます。

情報収集力があるというエピソードを話す
事務職には、必要な情報を正確かつ迅速に集める能力が求められます。例えば、「会議で使う資料のために、関連部署からデータを集めてまとめた」「備品を発注する際に、複数の業者を比較検討してコスト削減に繋げた」といった経験です。
特別な経験でなくても構いません。サークル活動やアルバイトなどで、何かを調べる際に工夫したことや、情報を集めて問題を解決したエピソードなどを具体的に話せるように準備しておきましょう。自ら考えて行動し、必要な情報を効率的に収集できる能力があることをアピールできれば、実務でも活躍してくれる人材だと評価されやすくなります。
「残業時間が少ない」「売上ノルマがない」という理由でなく、ポジティブな志望動機を作る
「楽そうだから」「定時で帰れそうだから」といった理由は、仕事に対する意欲が低いと見なされ、マイナスの印象を与えてしまいます。事務職を志望する際は、ポジティブな動機を伝えることが重要です。
例えば、「周囲をサポートすることにやりがいを感じるため、縁の下の力持ちとして会社に貢献したい」「自分の強みである正確性や計画性を活かして、組織の円滑な運営を支えたい」「一般事務として経験を積み、将来的には経理の専門知識を身につけてキャリアアップしたい」など、その会社でどのように活躍したいかを具体的に伝えましょう。仕事への前向きな姿勢を示すことが、採用担当者の心に響きます。
一人で書類・面接対策をするのが不安ならZキャリア
書類作成や面接対策など、内定まで徹底サポート
Zキャリアでは、専任のキャリアアドバイザーがあなたの就職・転職活動をマンツーマンで徹底的にサポートします。自己分析を通じてあなたの強みや適性を一緒に見つけ出し、それを効果的にアピールできる応募書類の作成をお手伝いします。
職務経歴書の書き方が分からない方でも、一から丁寧にアドバイスするので安心です。また、模擬面接を通じて、受け答えの練習や改善点のアドバイスも行います。自信を持って本番の面接に臨めるよう、内定獲得までしっかりと伴走しますので、一人で悩まずにぜひご相談ください。
残業の実態や会社の雰囲気など内情に詳しいエージェントから話が聞けます
求人票だけでは分からない、企業のリアルな情報を得られるのがZキャリアの強みです。私たちは多くの企業と深いつながりを持っているため、実際の残業時間、有給休暇の取得率、職場の人間関係や雰囲気といった、入社前に知っておきたい内部情報を詳しくお伝えすることができます。
これにより、入社後のミスマッチを防ぎ、あなたが本当に自分らしく働ける環境を見つけるお手伝いができます。「こんなはずじゃなかった」という後悔をしないためにも、エージェントが持つ質の高い情報を活用して、納得のいく職場選びを実現しましょう。