介護士は社会に必要とされる仕事である一方、薄給で生計が立てにくい、仕事のモチベーションが上がらない、などの声が聞かれます。介護士の給与に不満や不安を感じたら、資格取得や転職などで年収アップを目指すのも1つの方法です。
この記事では、介護士が薄給と言われてしまう理由、介護職の将来性、おすすめのキャリアパス、年収アップの方法を解説します。
この記事でわかること
- 介護士はなぜ薄給なのか
- 介護職の将来性
- おすすめのキャリアパス
- 年収アップの方法
介護士が薄給と言われるのはなぜ?給与事情について
介護士は薄給のイメージがあるかもしれません。しかし、本当に給料は低いのでしょうか。ここでは、次のポイントを通して介護士の給与事情をお伝えします。
- 介護職の給料は安すぎる?
- 介護士の今後の給料は上がる?
介護職の給料は安すぎる?
介護職の給料は極端に低いわけではありません。令和4年の厚生労働省の統計によると、介護職員(常勤)の平均月収は31万7,540円です。
一方、同時期の厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者(正社員)の平均月収は32万8,000円となっており、月収だけで比較すると、介護職の給与は一般労働者の平均より約1万円低い水準です。
ただし、この統計データは「月収」のみであり、賞与(ボーナス)は別途考慮する必要があります。ボーナスの有無や金額によっては、年収に大きな差が生じるかもしれません。
参照:「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果/厚生労働省」
参照:「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況/厚生労働省」
介護士の今後の給料は上がる?
介護職員の給与改善に向け、政府は2025年度に給与を2%ベースアップするという目標を打ち出しました。この方針により、介護職員全体の給与水準の底上げが期待されます。
これまでも政府は、介護職員の待遇改善のためにさまざまな制度を導入してきました。例えば、「介護職員処遇改善加算」では、事業所がキャリアパス整備などに取り組むことで国から加算金を受け、これを原資として、介護職員の給与が基本給の上乗せや手当といった形で改善されるようになっています。また、「介護職員等特定処遇改善加算」では、経験豊富なリーダー級の介護職員の給与をさらに手厚くするようになっています。
しかし、これらの施策を進める上での財源確保の難しさや、高齢化による介護ニーズの増大といった課題は依然として存在します。今回の2%ベースアップ目標の達成と、それに続く持続的な給与改善のためには、引き続き多角的な取り組みが不可欠と言えるでしょう。
介護職は将来性がない?
介護職は「将来性が不安視される職種」の1つとして挙げられています。介護職の将来が不安視されている理由は主に以下の通りです。
- 人材不足
- AI化が検討されている
人材不足
介護職の離職率は、一般的な業種と比べても特別高いわけではありません。令和5年の統計によると、全業種の平均離職率が15.4%であるのに対し、介護職員の離職率は13.1%でした。単純に比較すると、介護職の離職率が低いです。
一方で、介護業界では依然として人材不足が深刻です。事業所全体の従業員の過不足感を見ると、「大いに不足」「不足」「やや不足」を合わせた割合は64.7%に達しており、中でも「大いに不足」と「不足」の合計は34.0%にのぼります。この人材不足の状況は、職員に不安を与える一因となっています。
参照:「令和5年雇用動向調査結果の概況/厚生労働省」
参照:「令和5年度 介護労働実態調査 結果の概要について/公益財団法人介護労働安定センター」
AI化が検討されている
介護事業所では人材確保の一環として、AIの本格的な導入が進んでいます。特に、労働力不足が深刻な小規模の事業所では、AIの活用が急務です。AIの導入により人手不足が改善し、専門性の高い業務も円滑に提供できるでしょう。
一方で、介護現場では身体的サポートだけではなく、服薬介助や日常のコミュニケーション、悩み相談など柔軟性が求められるため、AI導入による介護の質の低下が懸念材料です。介護職としては、AIの本格導入に備えた新たなスキルの獲得が求められます。
介護士の昇給におすすめのキャリアパス
介護士としての昇給を目指すためには、キャリアアップが重要です。具体的には、資格取得や専門性の向上を目指すことで将来的な年収アップにつながります。
介護職からのキャリアアップにおすすめの職種は以下の通りです。
- 介護福祉士
- ケアマネジャー
- 介護事務
- 生活相談員
- 介護教員
- 精神保健福祉士
介護福祉士
介護福祉士は、介護の専門職として知られる職種です。介護福祉士の資格取得によって、専門的な知識と技術が証明されるため、昇給やキャリアアップに有利となります。また、利用者の生活支援だけでなく、家族や他のスタッフとの連携も介護福祉士の重要な役割です。さらに、介護福祉士としての経験を積むことで、ケアマネジャーや生活相談員など、他の専門職への道も開かれるでしょう。そのため、介護福祉士の資格取得は、介護士としてのキャリアを広げる第一歩と言えます。資格取得のためには、一定の実務経験と国家試験への合格が必要です。
ケアマネジャー
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護サービスの計画立案や業務調整を担う専門職です。ケアマネジャーは利用者一人ひとりの状況に合わせたケアプランを作成し、適切なサービスが提供されるように支援します。ケアマネジャーの資格を取得することで、介護現場での経験を活かしつつ、より高度な業務に携わることが可能です。
また、ケアマネジャーは、利用者やその家族、他の医療・福祉関係者との連携が求められるため、高いレベルのコミュニケーション能力や調整力が求められます。さらに、ケアマネジャーとしての経験は、介護業界全体の理解を深め、キャリアの幅を広げる意味でも重要です。
ケアマネジャーは、利用者の生活の質を向上させる重要な役割を担っており、その責任とやりがいは大きいと言えます。
介護事務
介護事務は、介護施設や医療機関において、主に事務業務を担当する職種です。主な業務としては、介護報酬請求(レセプト業務)、利用者の契約手続き、電話対応、書類作成などが挙げられます。業務内容が多岐にわたり、介護保険制度に関する知識が必要となるため、専門的なスキルが求められるでしょう。「介護事務管理士」や「ケアクラーク」などの資格を取得することで、就職や転職に有利になります。事務職のため、夜勤がなく比較的安定した勤務形態となることが魅力です。介護現場で直接利用者と接する機会は少ないものの、円滑な施設運営に欠かせない存在と言えるでしょう。未経験からチャレンジしやすい職種であり、介護業界に興味がある人にもおすすめの仕事です。
生活相談員
生活相談員は、介護施設や福祉施設において、利用者やその家族の相談に応じる役割を担っています。介護スタッフやケアマネジャーと協力しながら、利用者が快適に過ごせるようサポートする大切な職種です。必要な要件として「一定年数以上の実務経験」が挙げられており、社会福祉士や介護福祉士、精神保健福祉士などの専門資格を持っていれば採用率が高まります。生活相談員は、人と接することが好きな人や、コミュニケーション能力を活かしたい人に向いている職業です。
介護教員
介護福祉士を養成する専門学校や研修機関で、介護に関する教育をする仕事です。介護技術や介護保険制度、倫理観など、幅広い知識を学生に指導します。介護現場での経験が求められるため、一定の実務経験を積んだ後、養成カリキュラムの修了が必要です。介護の現場で培った知識を次世代に伝えられるため、やりがいの大きい職業と言えるでしょう。
精神保健福祉士
精神的な障害を持つ利用者が自立し、快適な生活を送れるよう支援する専門職です。主に医療機関や福祉施設、行政機関などに在籍し、相談支援や生活指導、就労支援を行います。国家資格であり、取得するためには大学や専門学校で必要なカリキュラムを修了したうえで、国家試験への合格が必要です。精神疾患を抱える方々と向き合うため、高い専門性と共感力が求められます。
介護士で薄給にならないための方法
介護士の給与が低いと感じるなら、資格取得やキャリアアップを検討しましょう。介護職であれば、介護福祉士やケアマネジャーの資格を取得することで、給与アップにつながるケースがあります。
介護士の給与ではどうしても辛いと感じるなら、以下の方法を試しましょう。
- アルバイトなら正社員を目指す
- 早い段階でキャリアアップを考える
- 介護士からの転職なら「Zキャリア」に相談
アルバイトなら正社員を目指す
介護業界でアルバイトとして働いている場合、正社員を目指すことで安定した収入アップにつながる可能性があります。正社員登用制度を設けている施設も多く、経験を積むことでチャンスが広がるでしょう。資格がなくても働ける職場はありますが、介護職員初任者研修や実務者研修を修了することで、正社員登用の可能性が高まります。
また正社員になることで、福利厚生や昇給がより充実するため、長期的に安定した働き方を希望する人にはおすすめです。
早い段階でキャリアアップを考える
介護業界で長く働くためには、早い段階でキャリアアップを意識しましょう。例えば、介護職員初任者研修からスタートし、介護福祉士、ケアマネジャーへとステップアップすることで、より専門性の高い仕事に就くことができます。管理職を目指す場合は、施設長やエリアマネージャーなどの役職を視野に入れましょう。キャリアアップに必要な資格を計画的に取得することで、長期的な収入アップが可能です。
介護士からの転職なら「Zキャリア」に相談
介護士からの転職を考えているなら、専門のエージェント「Zキャリア」に相談してみましょう。「Zキャリア」は未経験に特化した就職・転職支援サービスであり、一人ひとりの希望に沿った転職をサポートしています。介護職から異業種への転職でも、キャリアアドバイザーが履歴書作成から面接対策、アフターフォローまで一貫して対応してもらえるため、就職後のミスマッチを防ぐことが可能です。
「Zキャリア」で理想の転職を実現し、キャリアアップにつなげましょう。