介護福祉士は、やりがいのある仕事です。一方で、介護福祉士は日常的に、ストレスがかかる職種として挙げられています。
この記事では、介護福祉士にストレスがかかる理由、介護福祉士の将来性、ストレスチェックの方法、ストレスが限界に達した場合の対処法を解説します。
この記事でわかること
- 介護福祉士にストレスがかかる理由
- 介護福祉士の将来性
- ストレスチェックの方法
- ストレスが限界に達した場合の対処法
介護福祉士にはストレスが多い?メンタルをやられる原因
介護福祉士は、身体的・精神的に負担の大きい職業です。そのため、多くの人がストレスを感じやすい環境にあります。メンタルに影響する原因は以下の通りです。
- 肉体的な負担が大きい
- 生活リズムが乱れる
- 職場の人や利用者からのパワハラ
- お金の不安
肉体的な負担が大きい
肉体的な負担は疲労を溜め、メンタルに影響します。介護福祉士は、利用者の体を支えたり、入浴や排泄の介助をしたりと、さまざまな場面で体力が求められる職種です。直接的な介護だけでなく、介護用具の運搬や荷物の整理でも体に負担がかかるでしょう。
また、夜勤では充分な休息を取ることが難しく、疲労が溜まりやすい環境にあります。長時間労働が続くことで、ストレスや体調不良からの離職者が増えているのが現状です。特に人手不足の職場ではスタッフ一人あたりの負担が大きく、休憩時間が充分に確保できないケースもあるでしょう。
このように、介護福祉士は肉体的な負担が大きく、人によってはつらいと感じられるかもしれません。
生活リズムが乱れる
生活リズムの乱れによって精神が不安定になり、メンタルに影響する場合があります。介護福祉士はシフト制の勤務が多く、不規則な生活になりやすい仕事です。特に夜勤がある場合、昼夜逆転の生活を強いられるため、生活リズムがずれてしまうでしょう。リズムのずれは睡眠や食生活の乱れにつながり、健康面にも悪影響が出るでしょう。
また、休日が不規則なため友人や家族との予定が合わず、社会的なつながりが薄くなることも精神的なストレスにつながります。
このように、介護福祉士は生活リズムが乱れやすく、心身の不調をきたしやすい職種です。
職場の人や利用者からのパワハラ
ハラスメント行為は介護職に限らず、どの職種でもメンタルに影響を及ぼします。職場でのパワハラは、介護現場で解決すべき課題です。例えば、経験が浅い職員に対して厳しく指導するケースや、業務のミスを過度に責めるなどの行為がパワハラに該当します。パワハラなど、ハラスメントが慢性化している介護現場では精神的・身体的な負担が大きく、ストレスが病気として表に出てしまうこともあるでしょう。
また、利用者やその家族から心ない言葉をかけられることもあり、対応に悩むことがストレスの一因となることがあります。特に認知症の利用者から暴言や暴力を受けることもあり、その対応に苦慮するケースもあるでしょう。
このように、介護福祉士にはさまざまな形でハラスメントにさらされるリスクがあります。
お金の不安
仕事量に見合った給料が支払われないと、メンタルに大きな影響を与えることがあります。介護職は、長期間続けても経済的な安定が得られにくいという不安がつきまとう職業です。給与が低いままでいると、モチベーションの低下を引き起こす原因になります。介護福祉士の平均年収は、約321万円となっており、日本の平均年収と比べて低い傾向にあります。
また、AIやロボット技術の進展により、職種の役割が変わる可能性も指摘されています。そのため、長期的な視点でお金に関する不安を感じる人もいるのが現実です。
参照:「介護福祉士の仕事の年収・時給・給料/求人ボックス(2025年3月時点でのデータ)」
介護職で心が折れる瞬間
介護職に従事していると、心が折れそうになる瞬間が何度も訪れます。日々の業務の中で精神的なダメージを受けることが多いかもしれません。では、どのような場面で特に辛さを感じるのか、具体的に見ていきましょう。
- 「専門性が低い仕事」だと思われがち
- 利用者に覚えてもらえない
- プロフェッショナルとして評価されない
- 利用者が亡くなった時
「専門性が低い仕事」だと思われがち
職業として周囲から軽く見られていると感じた場合、モチベーションを保ちにくくなり、心が折れてしまうでしょう。介護福祉士をはじめ、介護職は「専門性が低い仕事」だと思われがちです。
しかし、介護福祉士は、利用者一人一人の状態に合わせた対応が求められ、コミュニケーション能力や深い医療知識も必要です。専門的なスキルを活かせるプロフェッショナルであることをあらためて認識し、プライドを保つことでモチベーションにつながります。
利用者に覚えてもらえない
「利用者にスタッフとして認識されていない」という思いは、心が折れる原因の一つです。毎日のように接していても、他の職員と混同されたり、名前を忘れられたりすることもあるかもしれません。特に認知症の利用者を担当している場合、なかなか記憶が保たれにくく、すぐに忘れられてしまうため、自分の存在価値を見失ってしまうこともあるでしょう。
利用者に名前を覚えてもらえないことを気にしすぎると、モチベーションの低下につながります。
名前を覚えてもらうこと以上に、利用者に安心感を与えることを優先することで、さりげない仕事にもやりがいを見出すことができます。
「プロフェッショナル」として評価されない
「プロフェッショナルとして正しく評価されていない」という思いはモチベーション低下につながります。介護福祉士として長く働いていると、利用者やその家族から「お手伝いさん」のように扱われることもあるようです。食事や掃除などの日常生活のサポートをしていると、家事労働をしていると見られてしまうこともあるでしょう。
介護福祉士は単なる「お手伝いさん」ではなく、利用者の生活の質を向上させる専門職です。そのためにも、自分の仕事に自信を持ち、周囲に伝えていく意識を大切にしましょう。
利用者が亡くなった時
利用者の訃報はメンタルに大きく影響します。介護の仕事をしていると、利用者の最期に立ち会うこともあります。日々のかかわりが深い利用者ほど、亡くなった時の悲しみや喪失感は大きいでしょう。
一方で介護福祉士はプロフェッショナルであり、感情に流されすぎず、冷静に対応することが求められます。悲しみをいつまでも引きずったままでは、他の利用者のケアに支障が出てしまうでしょう。
心の負担を和らげるには、職場の同僚と気持ちを共有したり、必要に応じてカウンセリングを受けたりすることも有効です。介護の現場では利用者の死と向き合う場面もありますが、その経験はケアの質の向上につながります。
介護職のストレスマネジメントの重要性
介護職は、身体的・精神的に負担の大きい仕事のため、適切なストレスマネジメントが必要です。
ストレスマネジメントは、身体的・精神的なストレスを言語化し、コントロールするための方法です。ストレスの種類や度合いを正しく認識し、早い段階でストレスによる負担を軽減でき、長期的なストレス耐性の向上につながります。
ストレスマネジメントの基本的なステップは以下の通りです。
- ストレスを認め、言語化する
- ストレスレベルを視覚化する
- 適切な対応を考える
ストレスマネジメントは職場だけでなく、普段の暮らしでも役立ちます。
介護職におすすめのストレス解消法
介護職のストレス解消には、いくつかの方法があります。自分に合った方法を見つけ、日常的に実践することが重要です。介護福祉士におすすめの手軽なストレス解消法としては、以下の方法が挙げられます。
- 趣味を楽しむ
- 生活習慣を整える
- 適度な運動をする
- 友人や家族・同僚に悩みを相談する
趣味を楽しむ
忙しい中でも、趣味の時間の確保はストレス解消に効果的です。本当に好きなことに没頭することで、心のリフレッシュにつながるでしょう。「これといって趣味が見つからない」という人はまず、読書や映画鑑賞、音楽鑑賞など、手軽に楽しめるものから始めてみるのも一つの方法です。創作活動や手芸など、手を動かす趣味にもリラックス効果があります。ストレスが溜まる前に、積極的に趣味の時間を作ることが大切です。
生活習慣を整える
健康的な生活習慣をキープすることは、ストレス軽減につながります。規則正しい食事や充分な睡眠を続けることで、体調を自然と整えられるでしょう。特に睡眠不足はストレスの慢性化を招くため、しっかりと休息を取ることが必要です。規則正しい生活を続けることで免疫力が高まり、肉体的な負担の軽減につながります。
適度な運動をする
運動は、効果的なストレス解消法の一つです。軽いストレッチやウォーキングを行うことで、気分転換につながります。適度な運動習慣を身につけることで、ストレス耐性を高めることが可能です。
友人や家族・同僚に悩みを相談する
悩みを一人で抱え込まず、信頼できる人に相談することも大切です。家族や友人と話すことで、気持ちが軽くなり、ポジティブ思考になるでしょう。同僚とのコミュニケーションも、仕事の悩みを共有する方法としておすすめです。誰かに相談することで、新たな視点を得ることができ、思わぬ解決策が見つかるかもしれません。深刻な悩みほど一人で抱え込まず、積極的に相談することが大切です。
職場の整理整頓をする
職場の整理整頓はストレス軽減に効果があります。整理整頓が行き届いた職場は作業効率を向上させるだけでなく、気分を前向きにしてくれるでしょう。不要な物を片付けるだけで、気持ちもスッキリします。定期的な掃除やレイアウトの見直しも有効です。
介護職で疲れたらストレスチェックが必要
介護職で疲労や心身の不調を感じたら、ストレスチェックを行いましょう。適切なストレスチェックでストレス度を把握することで、適切な対処につながります。
ここで解説する内容は以下の通りです。
- ストレスチェックの意味
- セルフチェックはウェブでも可能
- ストレスチェック後の対応
ストレスチェックの意味
ストレスチェックは、心身の健康状態を把握するための手段です。仕事の負担が大きくなると、ストレスがより蓄積しやすくなります。定期的なストレスチェックを行うことで、自分では気づかなかったストレスの要因を見つけられるでしょう。
また、早い段階でストレスチェックを行うことで不調の原因が視覚化され、職場に相談しやすくなります。
セルフチェックはウェブでも可能
ストレスチェックはウェブサイトでも可能です。ほとんどのサイトでは無料でストレスチェックを行えるため、気になった時にすぐに試せるでしょう。定期的にセルフチェックを行うことでストレスの変化を把握でき、限界が訪れる前に正しい対処が可能になります。
ストレスチェック後の対応
ストレスチェックの結果、ストレスの兆候が見られた場合は、職場の上司、責任者に相談しましょう。上司や人事担当者に詳しい状況を伝えることで、業務負担の調整や休暇の取得などの対応が検討されるかもしれません。一方、職場内の相談だけでは充分な解決が得られない場合は、「労働相談窓口」なども活用しましょう。専門家の意見が入ることで、職場にも適切な対応が伝えやすくなります。
このように、ストレスチェックは自分自身の状態を知るための貴重な情報です。その結果をもとに、職場や専門家と相談しつつ、無理のない働き方を模索することで職場のストレス軽減にもつながります。
介護福祉士でストレスの限界を感じた際の対処法
介護福祉士として働く中でストレスの限界を感じたら無理をせず、休職や職場環境の改善を提案しましょう。場合によっては転職も有効な選択肢です。
ここでは、以下の対処法を解説します。
- 職場の働き方を変える
- 休職する
- 介護福祉士からの転職なら「Zキャリア」に相談
職場の働き方を変える
介護福祉士としての現状に不満を感じているなら、職場環境の改善を試みることも一つの選択肢です。具体的には、労働時間や休憩の取り方の見直しが挙げられます。たとえば、夜勤が続いていてストレスが溜まっているなら日勤への変更を申し出ることで状況が改善するかもしれません。また、職場によっては、フレックスタイム制度や短時間勤務制度を導入している場合もあるため、積極的に活用しましょう。
休職する
ストレスが限界に達した結果、心身に大きな影響が出ている場合は、思いきって休職を考えるのも一つの選択肢です。休職を検討する際には、まず職場の規則を確認しましょう。心身の不調が理由であれば、医師の診断書を提出することで、一般的には休職が認められます。また、傷病手当金などの支援制度を活用することで、休職中の収入面の不安を軽減する方法もあります。
休職期間を活用して将来のキャリアアップを考えるのもおすすめです。
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