年功序列とはどんな制度?
年齢や勤続年数を経るにつれて、給料や役職が上がっていく仕組みのこと
年功序列とは、年齢や勤続年数が積み上がるにつれて、自動的に給料や役職が上がっていく日本独自の雇用慣行の一つです。個人の際立った能力や短期的な成果よりも、組織にどれだけ長く在籍し続けて貢献しているかという「積み重ね」が重視されます。
新卒で入社し定年まで働き続ける「終身雇用制度」とセットで運用されることが多く、従業員にとっては、長く勤めれば勤めるほど待遇が良くなるという将来への安心感が担保される仕組みと言えます。
能力や成果よりも、年齢と在籍年数が評価される
この制度の核心は、評価の基準が「個人のスキル」や「実績」よりも「年齢」と「社歴」にある点です。若手のうちはどれほど優秀で成果を上げても、給与が急激に上がることは稀です。しかし、これは裏を返せば、長く組織に貢献することで確実に報われる仕組みでもあります。年功序列的な運用により、長く勤める正社員の給与が着実に上昇していくキャリア構造です。
年功序列制度のメリット

ライフプランが立てやすい
年功序列の最大のメリットは、将来の収入が見通しやすいことです。勤続年数に応じて昇給することが決まっているため、結婚、出産、マイホームの購入といった人生の大きなイベントに向けた資金計画が立てやすくなります。安定した収入は、生活の基盤を強固なものにします。
過度な競争がないため、精神的に安定する
社内での激しい足の引っ張り合いや、過度な競争が起きにくいのも特徴です。「成果を出さなければ給料が下がる」というプレッシャーが少ないため、精神的に落ち着いて業務に取り組むことができます。
同僚をライバルとして敵視するのではなく、仲間として協力し合う土壌ができやすく、職場の人間関係も比較的穏やかになる傾向があります。安心して長く働ける環境は、メンタルヘルスの観点からもプラスに働きます。
短期的な成果が求められないため、長期的なスキルアップができる
短期的な数字や結果に追われることが少ないため、じっくりと腰を据えてスキルを習得することができます。失敗を恐れずに新しいことに挑戦したり、習得に時間がかかる専門技術を学んだりする余裕が生まれます。
会社側も「社員を長期的に育てる」という視点を持っているため、研修制度や教育体制が充実していることが多く、着実に職業人としての能力を高めていくことが可能です。
人材の定着率が高まる
将来的な昇給や昇進が約束されているため、従業員は安心して長く働き続けることができます。自然と「この会社で働き続けよう」という意識が働きます。結果として離職率が下がり、企業にとってはノウハウの流出を防げるというメリットにもつながります。
人事評価のコストが低い
企業側にとってのメリットとして、人事評価の手間やコストが抑えられる点が挙げられます。成果主義のように一人ひとりの目標設定や達成度を細かく精査する必要がなく、「年齢」や「勤続年数」という客観的で明確な基準に基づいて給与や役職を決定できるため、評価プロセスがシンプルです。
これにより、管理職や人事部門の負担が軽減され、業務の効率化につながります。
チームワークや帰属意識が醸成される
社員が長く一緒に働くことになるため、互いの性格や得意分野を理解しやすく、阿吽の呼吸で仕事を進めるチームワークが育まれます。「同じ釜の飯を食う」という意識が芽生え、会社への帰属意識(ロイヤリティ)も高まります。
組織全体で目標に向かって協力する風土が作られるため、個人の力だけでは成し遂げられない大きなプロジェクトなどを遂行する際に、組織としての強さを発揮しやすくなります。
年功序列制度のデメリット

成果と報酬が一致せず不公平に感じることがある
若手で優秀な社員や、人一倍成果を上げている社員にとっては、どれだけ頑張っても給料が上がらないことに不満を感じやすくなります。
成果を出していない年配社員の方が高い給料をもらっている現状を目の当たりにすると、モチベーションが大きく低下します。仕事に対して前向きな姿勢を持っていても、それが報酬に反映されない仕組みは、優秀な若手の離職原因になり得ます。
激しい競争がなく、成長スピードが遅くなる
安定している反面、競争原理が働きにくいため、「もっと成長しよう」「スキルを磨こう」という意欲が削がれやすくなります。現状維持でも給料が上がっていくため、どうしても受け身の姿勢になりがちです。
特に変化の激しい業界では、この成長スピードの遅さが致命的になることもあります。自ら主体的に目標を設定し努力できる人でなければ、ビジネスパーソンとしての市場価値が停滞してしまうリスクがあります。
年功序列がリセットされるため、転職しづらい
年功序列の企業で長く働いた後に転職を考えると、給与が大幅に下がるリスクがあります。転職先では「勤続年数」がゼロからスタートするため、これまでの年功がリセットされてしまうからです。また、特定の会社でしか通用しないスキルばかりが身についている場合、他社での評価が得にくいこともあります。
このため、今の会社に不満があっても、「給料が下がるから辞められない」としがみつかざるを得ない状況に陥ることがあります。
社員の平均年齢が上がるにつれて、人件費が高騰する
企業にとっては、社員の高齢化に伴って人件費が自動的に膨れ上がるという経営リスクがあります。特に景気が悪化した際や業績が低迷している時でも、高止まりした人件費を削減することは難しく、経営を圧迫する大きな要因となります。
少子高齢化が進む日本において、若手社員の採用が難しくなる一方で中高年社員が増え続ければ、この人件費の問題は企業の存続に関わる深刻な課題となります。
意思決定するポジションの人が能力のある人ではなく、年上の人になる
役職も年功序列で決まることが多いため、管理職やリーダーのポジションに、必ずしもマネジメント能力や決断力のある人が就くとは限りません。単に「社歴が長いから」という理由で昇進した上司の下では、適切な指示が出されず、組織のパフォーマンスが低下する恐れがあります。
変化の激しい現代ビジネスにおいて、過去の経験則だけで判断する年長者が意思決定権を持つことは、企業の競争力を削ぐ原因になります。
成果によって給料が変わらないため、最低限の仕事しかしない社員が出てくる
「頑張っても頑張らなくても給料が変わらない」という環境は、一部の社員に「必要最低限の仕事だけすればいい」という甘えを生ませます。彼らの分の負担を、真面目に働く他の社員が被ることになります。
これが組織全体の士気を下げ、悪循環を生む原因となります。給料に見合う成果を出しているかどうかが問われない点が課題です。
年功序列と反対の性質を持つ制度は成果主義制度
成果主義制度とは、「年齢や社歴に関係なく、仕事の結果や実績で給料や役職が決まる仕組み」のこと
成果主義制度とは、その名の通り「仕事の成果」を評価の最重要基準とする仕組みです。年齢、性別、学歴、勤続年数といった属人的な要素は基本的に考慮されず、あくまで「どれだけの結果を出したか」によって報酬やポストが決定されます。
外資系企業やベンチャー企業で多く採用されてきましたが、近年では日本の大企業でも、管理職層を中心に部分的に導入するケースが増えてきています。実力さえあれば若くして高収入を得ることも可能な制度です。
「どれだけ長く働いたか」ではなく「どれだけ会社に貢献したか」が評価される
年功序列が「プロセスの積み重ね」や「忠誠心」を評価するのに対し、成果主義は「アウトプット」と「貢献度」を厳しく問います。たとえ入社1年目であっても、会社に大きな利益をもたらす成果を上げれば、勤続20年のベテラン社員以上のボーナスを手にすることも夢ではありません。
逆に、長く在籍していても成果が出せなければ、給与は上がらず、場合によっては降格の対象にもなり得ます。フェアですが、シビアな実力勝負の世界と言えます。
成果主義制度のメリット

年齢に関係なく、大きな成果を出せば大幅に収入を上げることが可能
実力が正当に評価されるため、若くても高収入を目指せるのが最大のメリットです。自分の頑張りがダイレクトに給与に反映されるため、高い上昇志向を持つ人には非常に魅力的です。適切な環境(成果主義の会社など)へ移ることで、年齢の壁を超えて収入アップを実現できる可能性が高まります。
成果を上げることを意識して働くため、市場価値が高まる
常に「結果」を求められる環境に身を置くことで、ビジネススキルが磨かれます。どうすれば効率的に成果を出せるか、目標を達成できるかを考え抜く習慣がつくため、専門性や問題解決能力が飛躍的に向上します。
こうした実力は、社内だけでなく社外でも通用する「市場価値」となります。結果として、どこへ行っても通用するプロフェッショナルとしてのキャリアを築くことができ、将来の選択肢が広がります。
評価に納得感と公平感がある
評価基準が「成果」という目に見えるものであるため、なぜその評価になったのかが明確です。「上司に気に入られているから」「年上だから」といった曖昧な理由での優遇がなく、公正な評価が行われます。
自分が出した数字や実績に基づいて評価されるため、結果に対する納得感が高く、不公平感を感じにくいです。自分の実力不足も客観的に受け止められるため、次の成長への改善点も見えやすくなります。
社員のモチベーションが高まり、生産性が高まる
「頑張れば報われる」という明確なインセンティブがあるため、社員のモチベーションが高く維持されます。高い目標に向かって自発的に努力し、工夫を凝らして業務に取り組むようになるため、組織全体の生産性が向上します。
ダラダラと長時間働くのではなく、時間内に最大の成果を出そうとする意識が働くため、効率的な働き方が促進される効果も期待できます。活気のある職場環境が生まれやすくなります。
人件費が適正になる
企業にとっては、成果を出した人にだけ高い報酬を支払えばよいため、人件費の無駄を省くことができます。成果が出ていない社員に対して高い給与を払い続ける必要がなくなり、経営資源を効率的に配分できます。
浮いたコストを、さらなる事業投資や、頑張っている社員への還元に回すことができるため、企業競争力の強化につながります。業績と人件費が連動しやすく、経営の健全性を保ちやすいというメリットがあります。
優秀な人材が確保でき、流出しにくい
成果に見合った高い報酬を用意することで、自信のある優秀な人材を引き寄せることができます。また、ハイパフォーマーにとっては、自分の貢献が正当に評価される環境は居心地が良く、他社へ引き抜かれるリスクを減らすことができます。
逆に、やる気がない社員にとっては居心地が悪くなるため、自然と淘汰され、結果として組織には意欲的で能力の高い人材が残ることになり、質の高い人材ポートフォリオを構築できます。
成果主義制度のデメリット
収入が不安定になり、ライフプランが立てにくい
成果が出なければ給料やボーナスが減るため、収入の変動が激しくなりがちです。毎月の給与が確約されていない場合、住宅ローンの審査が通りにくかったり、将来の貯蓄計画が立てにくかったりするデメリットがあります。
特に景気後退などで会社の業績が悪化した場合、個人の努力だけではカバーしきれず、年収が大幅ダウンするリスクも抱えています。常に「来年の給料はどうなるかわからない」という不安と隣り合わせです。
同僚がライバルになるため、プレッシャーがかかりやすい
周囲が全員ライバルとなるため、職場がギスギスしやすくなります。「あいつより良い成績を出さなければ」というプレッシャーが常にのしかかり、精神的に摩耗してしまう人も少なくありません。成果が出ない時期が続くと、居場所がないように感じて追い詰められてしまうこともあります。
過度な競争環境は、社員のメンタル不調を引き起こす原因にもなり、長期的に働くにはタフな精神力が求められます。
数字で結果が出ない仕事は評価されにくく、不公平に感じる人もいる
営業職のように売上が数字で見える職種は評価しやすいですが、経理や総務、人事といったバックオフィス部門や、研究開発職などは、短期的な成果を数値化しにくい傾向があります。
そのため、どうしても営業職ばかりが評価され、地道に会社を支えている部門の評価が低くなるという不公平感が生まれがちです。評価基準の設定が難しく、制度設計が甘いと、組織内の分断を招く恐れがあります。
個人主義の考え方が広がり、チームワークが育ちにくい
自分の成果を最大化することを優先するため、他人の手助けをしたり、ノウハウを共有したりすることを避けるようになります。「教えると損をする」という心理が働き、チームワークが機能しなくなるリスクがあります。
組織全体としての最適解よりも、個人の利益が優先されてしまい、足の引っ張り合いや情報の抱え込みが横行すると、会社全体のパフォーマンス低下につながりかねません。
目標設定や面談に膨大な時間をかける必要があり、評価コストが増える
成果主義を正しく機能させるためには、納得感のある目標設定と、定期的なフィードバック面談が不可欠です。しかし、これには多大な時間と労力がかかります。上司は部下一人ひとりの目標を精査し、進捗を確認し、公平な評価を下すための面談を繰り返さなければなりません。
この評価業務に忙殺され、本来の業務に支障が出る「本末転倒」な状況に陥るケースも少なくありません。
直近の評価を重視するようになり、短期志向になる
目先の評価やボーナスに直結する短期的な成果ばかりを追い求めるようになりがちです。数年がかりの大きなプロジェクトや、すぐには利益にならない人材育成、組織改善といった取り組みがおろそかになる危険性があります。
「今期の数字さえ良ければいい」という近視眼的な発想が蔓延すると、企業の長期的な成長力やイノベーションの種が失われてしまう可能性があります。
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