- アパレル業界が「厳しい」と言われる本当の理由
- アパレル業界の将来性と今後の動向
- アパレル業界で働くメリットとデメリット
- 業界で活躍できる人の特徴とキャリアプラン
- アパレル経験を活かした転職活動の進め方
なぜアパレル業界は厳しいと言われるのか?
アパレル業界が厳しいと言われる背景には、いくつかの具体的な理由があります。ここでは、その主な理由として挙げられる項目を解説します。
- 給与水準が低い傾向にある
- 労働時間が不規則で長い
- 立ち仕事が多く体力的にきつい
- 個人ノルマのプレッシャーが大きい
- 将来のキャリアパスが描きにくい
それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。
給与水準が低い傾向にある
アパレル業界は、他の業界と比べて給与水準が低い傾向にあります。特に販売スタッフの場合、初任給は平均的でも、その後の昇給が緩やかであることが少なくありません。勤続年数が長くなっても、大幅な給与アップが見込めないと、将来に不安を感じる人もいるでしょう。
また、アルバイトや契約社員といった非正規雇用の割合が高いことも、業界全体の平均給与が上がりにくい一因となっています。好きな服を買ったり、趣味を楽しんだりするためのお金を十分に確保するのが難しいと感じる場面もあるかもしれません。
労働時間が不規則で長い
アパレル販売職の勤務は、シフト制で土日祝日が休みとは限らないのが一般的です。商業施設に合わせて営業するため、早番や遅番があり、生活リズムが不規則になりがちです。特にセールの時期やイベント前は、準備や残業で帰宅が遅くなることも珍しくありません。
友人や家族と休みが合わず、プライベートの予定を立てにくいと感じることもあるでしょう。心身ともにリフレッシュする時間を確保することが、長く働き続けるためには重要になります。
立ち仕事が多く体力的にきつい
販売スタッフの仕事は、一日中立ちっぱなしであることが基本です。接客はもちろん、商品の品出しやストック整理、店内のレイアウト変更など、常に動き回っているため、想像以上に体力を消耗します。重い段ボールを運んだり、お客様の対応で店内を走り回ったりすることもしばしばです。
足腰に負担がかかりやすく、慢性的な疲れを感じる人も少なくありません。見た目の華やかさとは裏腹に、体力勝負な側面が強い仕事であることは、知っておくべきポイントです。
個人ノルマのプレッシャーが大きい
多くの店舗では、個人の売上目標、いわゆるノルマが設定されています。目標達成が給与や評価に直結するため、日々プレッシャーを感じながら働くことになります。お客様に購入してもらうための接客スキルが求められますが、思うように売上が伸びない時期は、精神的に辛いと感じることもあるでしょう。
中には、ノルマ達成のために自分で商品を購入する「自腹買い」をせざるを得ないケースもあり、金銭的な負担が大きくなることも。このプレッシャーが、仕事の厳しさを感じる大きな要因の一つです。
将来のキャリアパスが描きにくい
販売スタッフとしてキャリアをスタートさせた後、将来のキャリアプランを具体的にイメージしにくいという声も多く聞かれます。店長やエリアマネージャーといった役職を目指す道もありますが、ポストの数には限りがあります。本社勤務のプレスやバイヤー、MD(マーチャンダイザー)といった職種は人気が高く、異動のハードルも高いのが現実です。
このまま販売職を続けていけるのか、年齢を重ねたときにどうなるのかといった不安から、「厳しい」と感じてしまう人も少なくないのです。
アパレル業界の将来性ってどうなの?
「アパレル業界は厳しい」という声と合わせて、将来性を心配する人も多いでしょう。業界を取り巻く環境は常に変化しています。将来性について考える上で知っておきたいポイントは以下の通りです。

詳しく解説していきます。
ECサイトの台頭で競争が激化している
近年、スマートフォンで手軽に服が買えるECサイトが急速に普及しました。これにより、実店舗に足を運ばなくても買い物ができるようになり、アパレル業界の競争はますます激しくなっています。実店舗は、ただ商品を並べているだけではお客様に来てもらえません。
オンラインにはない付加価値、例えば、プロの販売員によるコーディネート提案や、実際に商品を試着できるといった体験を提供することが重要になっています。今後は、店舗とECサイトをうまく連携させた販売戦略が、企業の成長の鍵を握るでしょう。
ファストファッションの人気が続いている
手頃な価格で最新の流行を取り入れた「ファストファッション」は、多くの人に支持されています。これにより、アパレル業界全体で価格競争が激しくなり、企業の利益が圧迫される一因となっています。低価格を実現するためには、大量生産・大量販売が基本となり、結果として商品の価値が下がってしまうという側面もあります。
一方で、長く使える高品質なものや、ブランドの背景にあるストーリーを重視する消費者も増えており、単なる安さだけではない価値を提供できるかが問われています。
トレンドの移り変わりが非常に早い
アパレル業界のトレンドのサイクルは非常に短く、常に新しい情報を取り入れ、学び続ける姿勢が求められます。SNSの普及により、流行が生まれてから広まるまでのスピードは、以前にも増して速くなっています。
お客様に的確なアドバイスをするためには、雑誌やWebサイト、インフルエンサーの発信などを常にチェックし、自分自身のファッションセンスも磨き続けなければなりません。この変化の速さについていくのが大変だと感じる人もいますが、新しいものが好きな人にとっては刺激的で楽しい環境とも言えるでしょう。
サステナビリティへの対応が求められる
近年、環境問題への関心の高まりから「サステナビリティ」(持続可能性)が世界的なキーワードになっています。アパレル業界でも、服の大量生産・大量廃棄が問題視されており、環境に配慮した素材を使ったり、リサイクルやリユースの取り組みを進めたりする企業が増えています。
これからの消費者は、デザインや価格だけでなく、その商品がどのように作られているか、環境や社会にどのような影響を与えるかといった点も重視するようになります。こうした新しい価値観に対応できるかどうかが、企業の将来性を大きく左右するでしょう。
アパレル業界で働くことのメリット
厳しい側面がある一方で、アパレル業界には他では得られない魅力やメリットもたくさんあります。ここでは、アパレル業界で働くことの主なメリットについて紹介します。
- 好きなファッションを仕事にできる
- 最新のトレンドに詳しくなれる
- コミュニケーション能力が向上する
- 社員割引でお得に服が購入できる
一つずつ詳しく見ていきましょう。
好きなファッションを仕事にできる
何よりも大きなメリットは、「好き」を仕事にできることでしょう。毎日好きな服に囲まれ、ファッションについて考え、お客様と語り合う時間は、服が好きな人にとって大きなやりがいになります。
自分のコーディネートでお店の売上に貢献できたり、お客様から「ありがとう」と感謝されたりしたときの喜びは格別です。仕事内容に厳しい面があったとしても、この「好き」という気持ちが、仕事を続ける上での大きなモチベーションになることは間違いありません。
最新のトレンドに詳しくなれる
アパレル業界で働いていると、自然と最新のファッション情報が入ってきます。一般に発売される前の新作商品にいち早く触れたり、ブランドのコンセプトや次のシーズンの流行について学んだりする機会が豊富にあります。
常にトレンドの最前線にいられるため、自然とファッションセンスが磨かれ、プライベートの服装もおしゃれになるでしょう。ファッションに関する知識が深まることで、お客様への提案にも説得力が増し、仕事がさらに楽しくなるという好循環も生まれます。
コミュニケーション能力が向上する
販売の仕事は、日々多くのお客様と接するため、自然とコミュニケーション能力が向上します。お客様がどんな服を探しているのか、どんなことに悩んでいるのかを会話の中から引き出し、最適な商品を提案するスキルが身につきます。
年齢や性別、職業もさまざまな人と話す経験は、相手の意図を汲み取り、分かりやすく説明する力を養います。ここで培ったコミュニケーション能力は、アパレル業界内でのキャリアアップはもちろん、将来的に他の業界へ転職する際にも大きな武器となるでしょう。
社員割引でお得に服が購入できる
多くの企業では、自社ブランドの商品を社員割引価格で購入できる制度があります。割引率は企業によって異なりますが、定価よりもかなりお得に手に入れられることがほとんどです。働きながら自分が好きなブランドの服を安く購入できるのは、ファッション好きにとって非常に嬉しいメリットと言えるでしょう。
シーズンごとに新しい服を揃えたり、これまで挑戦したことのなかったアイテムを試したりと、おしゃれを存分に楽しむことができます。
アパレル業界で働くことのデメリット
メリットがある一方で、もちろんデメリットもあります。良い面と悪い面の両方を理解した上で、自分に合った仕事かどうかを判断することが大切です。

それぞれのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。
プライベートの時間を確保しにくい
メリットの裏返しになりますが、土日祝日に休めないことが多いため、友人や家族と予定を合わせるのが難しい場合があります。友人の結婚式やイベントに参加しにくかったり、連休を取って旅行に行ったりすることが難しいと感じるかもしれません。
また、セール時期などの繁忙期は残業が増え、仕事終わりの時間も遅くなりがちです。仕事とプライベートのバランスをうまく取ることが、長く働き続けるための課題となるでしょう。
給与が上がりにくく収入が不安定
厳しい理由としても挙げましたが、給与が上がりにくい点は大きなデメリットです。特に販売職の場合、経験を積んでも大幅な昇給は期待しにくいのが実情です。
インセンティブ(成果報酬)制度がある会社もありますが、毎月の売上によって給与が変動するため、収入が不安定になる可能性もあります。将来的に結婚や子育てを考えたときに、経済的な不安を感じてしまう人も少なくありません。
年齢を重ねると働き続けるのが難しい
体力的な負担が大きいことや、常にトレンドの最前線に立ち続ける必要があるため、年齢を重ねると働き続けるのが難しいと感じる人もいます。
店長や本社スタッフなど、販売以外のキャリアへステップアップできれば良いですが、誰もがその道に進めるわけではありません。将来を見据えて、早めにキャリアプランを考えておくことが重要になります。
常に見た目に気を使う必要がある
アパレル販売員は、ブランドの「顔」としての役割も担っています。そのため、常に身だしなみやファッションに気を配る必要があります。自社ブランドの服を着用することが求められる場合が多く、シーズンごとに新しい服を購入するための出費がかさみます。
髪型やメイクなどにも気を遣う必要があり、プライベートでもファッションへの意識を高く保ち続けなければならないことを、負担に感じる人もいるでしょう。
アパレル業界で活躍できる人の特徴
厳しい面もありますが、やりがいも大きいアパレル業界。では、どのような人がこの業界で活躍できるのでしょうか。自分に当てはまるかチェックしてみましょう。
- ファッションへの強い情熱がある人
- 人と話すことが好きな人
- 目標達成への意欲が高い人
- 体力に自信がある人
- 環境の変化を柔軟に楽しめる人
詳しく解説していきます。
ファッションへの強い情熱がある人
何よりもまず、ファッションに対して強い愛情や情熱を持っていることが大切です。トレンドの移り変わりが早く、常に勉強が必要な業界だからこそ、「服が好き」という気持ちが原動力になります。
給与や労働条件が厳しくても、好きなものに囲まれて働くことに喜びを感じられる人は、困難を乗り越えて成長していけるでしょう。お客様に商品の魅力を伝えるときも、その情熱が伝わることで、説得力のある接客ができます。
人と話すことが好きな人
販売職は接客が仕事の中心なので、初対面の人とでも臆することなく話せるコミュニケーション能力が欠かせません。ただ話すのが好きなだけでなく、お客様の話に耳を傾け、何を求めているのかを理解する「聞く力」も重要です。
お客様との会話を楽しみ、信頼関係を築くことで、リピーターになってもらえることもあります。人と関わることが好きで、誰かの役に立つことに喜びを感じられる人に向いている仕事です。
目標達成への意欲が高い人
個人や店舗の売上目標(ノルマ)があるため、目標達成に向けて努力できる意欲の高さが求められます。思うように売上が伸びないときでも、落ち込むだけでなく「どうすれば目標を達成できるか」を考え、行動に移せる人が活躍できます。
例えば、商品のディスプレイを工夫したり、お客様への声かけのタイミングを変えてみたりと、試行錯誤を楽しめるようなポジティブさがあると良いでしょう。
体力に自信がある人
これまでも触れてきましたが、アパレル販売員は体力勝負の仕事です。長時間の立ち仕事や重い荷物の運搬など、日々の業務をこなすためには基礎的な体力が不可欠です。
学生時代にスポーツをしていた人や、体を動かすことが好きな人は、その体力を仕事に活かすことができるでしょう。日頃から体調管理をしっかり行い、常に元気に店頭に立てることが、お客様からの信頼にもつながります。
環境の変化を柔軟に楽しめる人
アパレル業界は、トレンドやお客様のニーズ、働き方など、常に変化しています。新しいブランドが次々と登場し、SNSの活用やECサイトとの連携など、覚えることもたくさんあります。
こうした変化に対して、「大変だ」とネガティブに捉えるのではなく、「面白そう」「やってみよう」と前向きに楽しめる人は、業界で長く活躍し続けることができます。好奇心旺盛で、新しいことを学ぶのが好きな人には最適な環境です。
厳しいアパレル業界でキャリアを築く方法
アパレル業界で長く働き、キャリアアップしていくためには、どのような道があるのでしょうか。販売スタッフから始まる、いくつかのキャリアパスを紹介します。
- 店長やエリアマネージャーを目指す
- 本社の専門職へキャリアチェンジする
- 語学力を身につけて海外勤務を目指す
- SNS運用などで個人の発信力を高める
一つずつ詳しく見ていきましょう。
店長やエリアマネージャーを目指す
販売スタッフとしての経験を積んだ後の最も一般的なキャリアパスは、店長やエリアマネージャーです。店長は、店舗の売上管理やスタッフの育成、在庫管理など、店舗運営の全てを任されます。
エリアマネージャーは、さらに複数の店舗を統括し、担当エリア全体の売上向上を目指す重要なポジションです。責任は大きくなりますが、その分やりがいも大きく、給与アップも期待できます。現場での経験を活かして、マネジメントスキルを磨きたい人におすすめの道です。

本社の専門職へキャリアチェンジする
店舗での経験を活かして、本社勤務の専門職にキャリアチェンジする道もあります。例えば、商品の企画・開発を行う「MD(マーチャンダイザー)」や「デザイナー」、商品の買い付けを行う「バイヤー」、ブランドの広報を担当する「プレス」、店舗のレイアウトや飾り付けを考える「VMD(ビジュアル・マーチャンダイザー)」など、職種は多岐にわたります。
これらの職種は専門知識が必要で人気も高いですが、現場を知っていることは大きな強みになります。
語学力を身につけて海外勤務を目指す
語学力に自信があれば、海外の店舗で働いたり、海外事業部で活躍したりするチャンスもあります。グローバルに展開している企業であれば、海外勤務の道が開かれていることがあります。
また、インバウンド(訪日外国人)のお客様が多い店舗では、語学力を活かして接客することで、売上に大きく貢献できます。ファッションと語学、二つのスキルを掛け合わせることで、自分の市場価値を高め、独自のキャリアを築くことが可能です。
SNS運用などで個人の発信力を高める
近年では、個人のSNSアカウントで情報発信を行い、影響力を持つ販売スタッフが増えています。個人のファンがつくことで、店舗の売上にも直接貢献することができます。
こうした「インフルエンサー」としての活躍が評価され、本社でSNS運用を専門に担当する部署に異動したり、独立して自身のブランドを立ち上げたりする人もいます。会社に所属しながら、個人の名前で活躍できる新しいキャリアの形です。
アパレル業界からの転職を考えるなら
もし、アパレル業界で働いてみて「自分には合わないかもしれない」と感じたり、別の業界に興味が湧いたりしたときは、転職を考えるのも一つの選択肢です。
- これまでの経験で得たスキルを整理する
- 異業種でも活かせる強みを見つける
- 未経験から挑戦できる職種を調べる
- 迷ったら転職のプロに相談してみる
詳しく解説していきます。
これまでの経験で得たスキルを整理する
まずは、アパレル業界での仕事を通して、どのようなスキルが身についたのかを書き出してみましょう。「コミュニケーション能力」や「提案力」、「目標達成意欲」はもちろん、「在庫管理能力」「基本的なPCスキル」「後輩への指導経験」など、具体的に整理することが大切です。
自分では当たり前だと思っていることでも、他の業界では高く評価されるスキルかもしれません。これまでの経験を振り返り、自分の武器を明確にしましょう。
異業種でも活かせる強みを見つける
整理したスキルの中から、特に他の業界でも通用する「ポータブルスキル」を見つけましょう。例えば、お客様のニーズを正確に把握する力は、営業職や企画職で活かせます。チームで目標を達成した経験は、どんな仕事でも評価されるでしょう。
アパレル業界で培った「人に寄り添う力」や「目標に向かって努力する姿勢」は、業界を問わずあなたの大きな強みになります。自分の強みを自信を持ってアピールできるように準備しておくことが重要です。
未経験から挑戦できる職種を調べる
アパレルからの転職では、未経験者を歓迎している求人を中心に探すのがおすすめです。例えば、人柄やコミュニケーション能力が重視される「営業職」や「販売・サービス職」、基本的なPCスキルがあれば挑戦しやすい「事務職」などは、未経験からでもスタートしやすい職種です。
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迷ったら転職のプロに相談してみる
初めての転職活動は、何から始めればいいか分からず、不安になることも多いでしょう。そんなときは、一人で抱え込まずに転職エージェントのようなプロに相談するのがおすすめです。
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