- 年功序列がなくならない日本の事情
- 年功序列のメリットとデメリット
- 成果主義との違い
- 年功序列が合う人・合わない人
年功序列はなぜなくならない?
年功序列が「なぜ、なくならないのか」気になる人も多いのではないでしょうか。その背景には、次のような不満や疑問があります。
- 昔ながらの制度に疑問を感じる
- 頑張りが給料に反映されない不安
詳しく解説していきます。
昔ながらの制度に疑問を感じる
「年功序列」という言葉を聞いて、少し古い仕組みだと感じるかもしれません。特に、仕事の成果や頑張りに関係なく、年齢や働いた年数だけで給料や役職が決まることに「これでいいのかな?」と疑問を持つのは自然なことです。
現代は、SNSなどで個人の活躍が見えやすい時代です。若くてもすごいスキルを持っていたり、大きな成果を出したりする人が注目されます。そうした中で、ただ長く会社にいるだけで給料が上がっていく制度は、今の時代に合っていないように感じられるでしょう。
会社によっては、明らかに仕事をしていないように見える人が、自分より高い給料をもらっている…なんてこともあるかもしれません。そうした状況を目の当たりにすると、働く意欲が下がってしまったり、会社への不信感につながったりすることもあります。
頑張りが給料に反映されない不安
年功序列の制度では、個人の頑張りが給料に直接結びつきにくいという側面があります。例えば、同期入社の同僚よりも効率よく仕事をこなし、大きな売上を達成したとしても、給料がすぐに上がるわけではないケースが多いです。
年齢や社歴が重視されるため、「いくら頑張っても、結局は年上のあの人より給料が低いまま」という状況が続くと、「何のために頑張っているんだろう…」と不安や不満を感じやすくなります。
特に、若いうちは体力もやる気もあふれています。「もっとバリバリ働いて、成果を出して、しっかり稼ぎたい!」という思いが強い人ほど、この制度とのギャップに悩むことになるでしょう。自分の出した成果が正当に評価され、それが給料や昇進という形で見えることを望む人にとって、年功序列はもどかしい制度に映るのです。
そもそも年功序列とは
年功序列がどのような制度なのか、基本的なところは以下の通りです。
- 勤続年数で給料や役職が決まる制度
- 日本で年功序列が生まれた背景
詳しく見ていきましょう。
勤続年数で給料や役職が決まる制度
年功序列とは、その名の通り、年齢や会社で働いた年数(勤続年数)が長くなるほど、給料や役職(ポジション)が上がっていく仕組みのことです。すごくシンプルに言えば、「長く働いてくれれば、その分ちゃんと給料を上げますよ」という会社からのメッセージとも言えます。
例えば、高卒で18歳に入社した場合、20歳の人より、25歳の人より、30歳の人より…と、年齢が上がるにつれて、自動的に給料のベースが上がっていくイメージです。大きな失敗をしない限りは、毎年少しずつ昇給していくのが特徴です。
この制度では、個人の能力や仕事の成果よりも、「どれだけ長く会社に貢献してくれているか」という点が重視されます。そのため、入社したばかりの若手が、いきなりベテラン社員の給料を超えることは、ほとんどありません。
日本で年功序列が生まれた背景
この年功序列という仕組みは、戦後の日本で広く定着しました。昔の日本は、モノを作れば作るだけ売れる「高度経済成長期」という時代でした。会社はどんどん大きくなり、たくさんの働き手を長期間確保する必要がありました。
そこで、「会社を辞めずに長く働いてくれれば、将来の生活は会社が保証しますよ」というメッセージとして、年功序列や「終身雇用(定年まで同じ会社で働き続ける)」という仕組みが作られたのです。
当時は、社員も「一つの会社でマジメに働けば、家を買ったり、家族を養ったりできる」という安心感がありました。会社側も、社員に長くいてもらうことで、技術やノウハウをじっくり教え込み、安定して会社を成長させることができました。こうして、年功序列は日本社会に深く根付いていったのです。
年功序列がなくならない主な理由
時代に合わないと言われながらも、年功序列がなくならないのには、いくつかの理由があります。主な理由は以下の通りです。

詳しく解説していきます。
制度変更の手間とコストが大きい
会社にとって、給料の仕組み(人事制度)を変えるのは、非常に大変な作業です。何十年も続いた年功序列の仕組みをいきなり変えるとなると、まず「新しいルールをどうするか」を決めなければなりません。
例えば、「成果主義」に変える場合、「何を成果とするか」「どうやって評価するか」を全社員分、細かく設定する必要があります。これはとても時間がかかりますし、専門家に頼むとお金もかかります(コストが大きい)。
また、新しい制度に変えたことで、「給料が下がった」という社員から不満が出る可能性もあります。そうした社員への説明や対応も必要になります。会社側からすると、そうした手間やリスクを考えると、「今のままでも会社が回っているなら、無理に変えなくても…」となりがちなのです。
社員の生活安定を重視する考え方
年功序列は、社員の生活を安定させるという大きな役割も担っています。多くの人は、将来の生活設計を考えるとき、「来年はこれくらい給料が上がるだろう」という見通しを立てます。
特に、結婚したり、子どもが生まれたり、家を買ったりと、年齢とともにお金が必要になる場面は増えていきます。年功序列は、「年齢とともに給料が上がる」という安心感があるため、社員が長期的な人生計画を立てやすいのです。
会社側も、社員に安心して長く働いてもらうために、この「生活の安定」を重視している場合があります。急に制度を変えて、「成果が出ない月は給料がガクッと下がる」となっては、社員が安心して働けなくなり、かえって会社全体のパフォーマンスが落ちる可能性も考えているのです。
評価制度を新しく作るのが難しい
年功序列をなくして「成果主義」にする場合、「何を」「どうやって」評価するかという新しい基準を作る必要があります。ですが、これが非常に難しいのです。
例えば、営業職のように「売上〇〇円」と数字でハッキリ成果がわかる仕事なら、評価しやすいかもしれません。しかし、事務職や製造現場でのサポート業務など、「数字には表れにくいけれど、会社にとって重要な仕事」もたくさんあります。
そうした仕事の成果を、全員が納得するように評価する基準を作るのは簡単ではありません。「あの人は上司に気に入られているから評価が高い」といった不公平感が出ると、社員のやる気は逆に下がってしまいます。こうした難しさから、結局「一番シンプルで文句が出にくい」年功序列のままになっている会社も少なくないのです。
年功序列のメリット
古い制度だと言われがちな年功序列ですが、働く側にとってのメリットも存在します。メリットは以下の通りです。

詳しく見ていきましょう。
安定した収入が見込める
年功序列の最大のメリットは、将来の収入の見通しが立ちやすいことです。大きな問題を起こさない限り、勤続年数に応じて給料が上がっていくため、「来年はいくら、5年後はいくら」といった計算がしやすいです。
これは、生活設計を立てる上で大きな安心材料になります。例えば、将来的に車や家を買いたい、結婚して家庭を持ちたいと考えたとき、収入が安定していることはとても重要です。
成果主義のように、「今月は頑張ったから給料が多いけど、来月はわからない…」という不安定さが少ないため、精神的なストレスも感じにくいでしょう。安定した土台の上で、じっくりと人生を考えたい人にとっては、魅力的な制度と言えます。
焦らず長期的にスキルを学べる
年功序列の会社では、社員をじっくり育てるという考え方が根付いていることが多いです。すぐに成果を出すことを求められるよりも、まずは会社のルールや仕事の基本をしっかりと学び、長い目で見て成長していくことが期待されます。
そのため、若いうちは「成果を出さなきゃ!」と焦る必要が少なく、自分のペースでスキルアップに集中できる環境があると言えます。先輩や上司も、自分がそうやって育てられてきた経験から、丁寧に仕事を教えてくれることが多いでしょう。
すぐに結果が出なくても、コツコツと努力を続けていれば、それが数年後の給料や役職に反映されていきます。短期的な成果に追われることなく、着実に専門性や技術を身につけたい人には、合った環境かもしれません。
社内の競争が比較的ゆるやか
年功序列の制度では、同期入社の社員同士で、給料や昇進のスピードに大きな差がつきにくいです。もちろん、多少の差は出ることがありますが、成果主義の会社のように、「入社3年目で同期と給料が倍違う」といった極端なことは起こりにくいです。
そのため、社内の競争が過度に激しくなることが少なく、比較的おだやかな雰囲気の中で働ける可能性があります。「同僚はライバル」というよりは、「一緒に頑張る仲間」という意識を持ちやすいでしょう。
他人と常に比べられたり、競争したりするのが苦手な人にとっては、こうした環境は精神的に楽かもしれません。お互いに協力し合いながら、チームとして仕事を進めていきたいと考える人には、年功序列の持つ「ゆるやかさ」がプラスに働くこともあります。
年功序列のデメリット
もちろん、年功序列にはメリットだけでなく、デメリットもあります。特に若い世代にとっては、以下の点が気になるかもしれません。
- 若手の頑張りが評価されにくい
- 仕事内容と給料が見合わないと感じる
- 組織の成長スピードが遅くなる
詳しく解説していきます。
若手の頑張りが評価されにくい
年功序列の大きなデメリットは、若いうちの頑張りが、すぐには給料や役職に反映されにくい点です。どれだけ高い成果を出しても、年齢や勤続年数が短いという理由で、評価が抑えられてしまうことがあります。
例えば、新しいアイデアを出して業務を大幅に効率化したり、誰よりも多くの仕事をこなしたりしても、給料は年上の先輩とほとんど変わらない、ということが起こりがちです。
「頑張った分だけ、すぐに評価されたい」「自分の力でどんどん上を目指したい」という意欲の高い人にとっては、これが大きなストレスや不満の原因になります。自分の出した成果が正当に認められないと感じると、仕事へのモチベーションを保つのが難しくなるかもしれません。
仕事内容と給料が見合わないと感じる
年功序列の会社では、年齢や勤続年数だけで給料が決まるため、実際の仕事内容や働きぶりと給料が見合っていない、と感じる場面が出てくることがあります。
例えば、自分は最前線でバリバリ働いているのに、あまり仕事をしていないように見えるベテラン社員の方が、自分よりはるかに高い給料をもらっている、といったケースです。
逆に、ベテラン社員の側でも、「給料は高いけれど、任される仕事は若手と変わらない」と、やりがいを感じられなくなることもあります。このように、仕事の「中身」と「報酬」が連動しにくい点は、多くの人にとって不満の原因となり得ます。
組織の成長スピードが遅くなる
年功序列の制度は、会社全体の変化や成長のスピードを遅くする可能性があります。なぜなら、新しいアイデアや挑戦よりも、今までのやり方や安定が重視されがちだからです。
若手社員が「もっとこうすれば良くなる」と革新的な提案をしても、年功序列の壁にはね返されてしまうことがあります。役職が上の人も、長くその地位にいることが多いため、新しい考え方を受け入れにくくなる傾向があるかもしれません。
その結果、会社全体が新しい時代の変化に対応できず、成長が止まってしまうリスクがあります。競争が激しい業界では、こうした「変化の遅さ」が、会社の将来にとって大きなマイナスとなることも考えられます。
年功序列の廃止と海外の状況
年功序列は日本特有とも言われますが、最近の動きや海外との違いはどうなっているのでしょうか。以下の点で見ていきます。

詳しく解説していきます。
年功序列を廃止する企業の動き
最近では、年功序列の仕組みを見直したり、廃止したりする日本の会社も増えてきています。ソニーのような大手企業が、年齢に関係なく成果や役割に応じて給料を決める制度を導入したことは、ニュースにもなりました。
こうした会社では、若手でも高い能力や成果を示せば、早い段階で昇進したり、高い給料を得られたりするチャンスがあります。厳しいグローバル競争の中で生き残るためには、社員のやる気を引き出し、組織全体を活性化させる必要がある、と考える会社が増えているのです。
ただし、完全に年功序列をなくすのは難しく、「基本は年功序列だけど、一部に成果主義を取り入れる」といった、中間の形をとる会社も多いのが現状です。
年功序列を廃止するデメリット
一方で、年功序列を急になくすことによるデメリットも考えられます。例えば、完全に成果主義に移行した場合、社員同士がライバルになりすぎて、チームワークが乱れる可能性があります。
また、短期的な成果ばかりが求められるようになると、じっくりと時間をかけて人を育てる余裕がなくなり、若手がスキルを身につける前に辞めてしまうかもしれません。
さらに、評価基準がハッキリしていないと、「上司に気に入られるかどうか」で給料が決まるような、不公平な状況が生まれるリスクもあります。年功序列が持っていた「安定性」や「公平感」が失われることで、かえって社員の不満が高まるケースも考えられます。
海外では成果主義が一般的
アメリカやヨーロッパなどの海外の会社では、日本のような年功序列は一般的ではありません。多くの場合、「成果主義」や「実力主義」が基本です。
これは、「年齢や働いた年数」ではなく、「その人がどれだけの成果を出したか」「どんなスキルや能力を持っているか」で給料や役職が決まる仕組みです。そのため、若くても実力があれば、どんどん出世して高い給料をもらうことが可能です。
一方で、成果が出せなければ、給料が上がらないどころか、会社を辞めなければならない(解雇される)リスクも日本より高い傾向にあります。海外では、「仕事の成果」に対する意識が非常にシビアだと言えるでしょう。
年功序列が合う人・合わない人
ここまで見てきたように、年功序列には良い面も悪い面もあります。大切なのは、どちらが自分に合っているかを知ることです。
- 安定志向で長く働きたい人
- 成果をすぐ給料に反映させたい人
- 自分に合う働き方がわからない人
詳しく見ていきましょう。
安定志向で長く働きたい人
将来の生活設計をしっかり立てたい人や、安定した環境で長く働きたいと考える人には、年功序列の制度が合っているかもしれません。
毎月の給料が安定していて、将来の見通しが立つことは、大きな安心感につながります。過度な競争が苦手で、自分のペースでじっくりとスキルを身につけ、会社に貢献していきたいというタイプの人にも向いています。
「一発逆転」や「急な出世」よりも、「着実なステップアップ」を望むのであれば、年功序列の良さを感じられるでしょう。安定した基盤の上で、仕事とプライベートのバランスを取りながら働きたい人におすすめです。
成果をすぐ給料に反映させたい人
逆に、「自分の実力で勝負したい」「頑張った分だけ評価されたい」という意欲が強い人には、年功序列は合わない可能性が高いです。
若いうちからバリバリ働いて、成果を出し、それをすぐに給料や役職という形で認めてもらいたい人にとっては、年功序列のスピード感はもどかしく感じるでしょう。
年齢や社歴に関係なく、自分の出した成果で評価される「成果主義」の会社のほうが、モチベーション高く働けるはずです。競争は激しいかもしれませんが、その分、大きなやりがいと報酬を得られるチャンスがあります。
自分に合う働き方がわからない人
「安定も欲しいけど、頑張りも評価されたい…」どちらが自分に合っているか、まだよくわからないという人も多いと思います。それは何も悪いことではありません。
大切なのは、世の中には「年功序列」の会社もあれば、「成果主義」の会社もある、そして「その中間の会社」もたくさんある、ということを知っておくことです。
自分の価値観や、将来どうなりたいかを考えたとき、どちらの働き方が自分をより輝かせてくれるか。すぐには答えが出なくても、いろいろな会社の情報に触れることで、だんだんと自分の軸が見えてくるはずです。焦らず、自分に合う場所を探していきましょう。
年功序列の会社にも、成果主義の会社にも、それぞれ良い点と気になる点があります。大切なのは、「自分は将来どうなりたいか」「どんな働き方が自分に合っているか」を知ることです。
あなたの悩みをZキャリアに相談してみませんか?
もし、「今の会社が自分に合わないかも」「年功序列じゃなくて、もっと頑張りを評価してくれる会社で働きたい」と感じていたり、「そもそも自分に合う働き方がわからない」と悩んでいたりするなら、一度Zキャリアのエージェントに相談してみませんか?
Zキャリアは、若年層の転職サポートに特化しています。専門のキャリアアドバイザーが、一人ひとりの希望や不安に寄り添い、年功序列ではない「実力を見てくれる会社」や「未経験からでも挑戦できる会社」など、たくさんの求人の中から、ご自身にピッタリの職場を一緒に探します。