働きすぎるとどうなるのか

日々の疲れが蓄積して集中力が低下する
働きすぎの状態が続くと、十分な休息が取れず、体は常に疲労した状態になります。睡眠時間が削られることで脳の回復が追いつかず、日中の眠気やだるさが抜けません。最初は少しの疲れだと感じても、慢性的な疲労は徐々に蓄積していきます。
その結果、業務中に注意力が散漫になったり、簡単なミスを繰り返したりするようになります。思考がクリアにならず、新しい情報をインプットするのも億劫になるでしょう。これは、体が「休んでほしい」というサインを出している証拠です。この状態を放置すると、さらに深刻な問題につながる可能性があります。
集中力や判断力の低下により、生産性が低くなる
日々の疲れが蓄積し集中力が低下すると、次に起こるのは生産性の低下です。長時間働いているにもかかわらず、仕事がなかなか進まないという経験はありませんか。集中力が続かないため、一つのタスクを終えるのに通常より時間がかかってしまいます。
また、疲労は判断力も鈍らせます。重要な決定を迫られたときに最善の選択ができなかったり、リスクの見積もりが甘くなったりすることもあるでしょう。結果として、仕事の質が下がり、修正作業にさらに時間が取られるという悪循環に陥ります。皮肉なことに、働きすぎが原因で残業が増え、さらに働きすぎてしまうという事態を招くのです。
仕事へのモチベーションが低下する
過重労働は、身体的な疲労だけでなく、精神的な余裕も奪っていきます。毎日仕事に追われるだけで、プライベートの時間が確保できなくなると、「何のために働いているのか」という疑問が湧き上がってくるでしょう。かつては感じていた仕事へのやりがいや達成感も薄れ、ただ目の前のタスクをこなすだけの毎日になりがちです。
昇進やスキルアップといった将来のキャリアに対する意欲も低下し、仕事そのものへの関心が失われていきます。この段階になると、仕事のパフォーマンスが低下するだけでなく、自己肯定感の低下にもつながり、精神的な健康を損なう一歩手前と言えます。
バーンアウト(燃え尽き症候群)になる可能性がある
モチベーションの低下が極限まで進むと、バーンアウト(燃え尽き症候群)に至る危険性があります。バーンアウトとは、それまで意欲的に取り組んでいた人が、心身の極度の疲労により、まるで燃え尽きたかのように突然無気力になってしまう状態です。
仕事への関心を完全に失い、出社すること自体が困難になることもあります。感情が枯渇し、他人への共感能力が低下したり、逆に過度にイライラしやすくなったりするのも特徴です。
バーンアウトは精神疾患につながる可能性も高く、回復には長期間の休養が必要となるケースも少なくありません。働きすぎは、キャリアを築くどころか、キャリアそのものを中断せざるを得ない深刻な事態を招くリスクがあるのです。
働きすぎと言われる基準
労働時間に関する法的な制度
労働時間や休日について、厚生労働省が以下のように定めています。
- 使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
- 使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。
また、36協定を締結している企業では、原則、時間外労働を月45時間、年360時間とし、臨時的な特別な事情がなければこれを超えることはできません。
臨時的な特別の事情がある場合にも、以下の決まりがあります。
- 時間外労働…年720時間以内
- 時間外労働と休日労働の合計…月100時間未満
- 時間外労働と休日労働の合計…「2ヶ月平均」「3ヶ月平均」「4ヶ月平均」「5ヶ月平均」「6ヶ月平均」が、全て1ヶ月当たり80時間以内
参照:「労働時間・休日/厚生労働省」
健康障害が出ると言われている基準
月100時間または、2〜6ヶ月平均で80時間以上を超えると健康障害のリスクが高まるとされています。 また、「過労死等」は以下のように定義されています。
- 業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
- 業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
- 死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害
参照:「過労死等防止対策/厚生労働省」
働きすぎてしまう原因

職場が人手不足のため、一人ひとりの業務量が多くなってしまう
多くの企業が直面している問題の一つが、深刻な人手不足です。実際、2020年代に入ってからも、人手が不足していると感じる企業は一貫して60%を超えています。特に中小企業や特定の業種ではこの傾向が顕著です。人手が足りなければ、当然ながら既存の従業員一人ひとりにかかる負担は増大します。
本来3人で行うべき業務を2人でカバーしなければならない状況が続けば、残業や休日出勤が常態化しやすくなります。会社側も採用活動はしているものの、思うように人材が確保できず、結果として現場の従業員が働きすぎの状態に陥ってしまうケースは非常に多いです。
参照:「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査/日本商工会議所」
自分の仕事を終えても、その分他人のタスクを引き受けなければならない空気がある
職場全体の業務量が膨大である場合、たとえ自分の担当業務を効率よく終わらせたとしても、安心はできません。「手が空いたなら、こちらの仕事を手伝ってほしい」と、次から次へと他人のタスクを引き受けざるを得ない状況が生まれます。特に、チームワークや助け合いを重視する風土が強い職場では、「自分だけ先に帰る」ことに罪悪感を抱いてしまいがちです。
また、上司や同僚からの暗黙のプレッシャーにより、断ることが難しい「空気」が存在することも少なくありません。このような環境では、効率化の努力が報われず、結果的に全員が長時間労働に巻き込まれていきます。
マネジメント不足により、業務量が偏っている
チーム全体の業務量は適切でも、特定の人にだけ仕事が集中してしまうケースもあります。これは、管理職のマネジメント能力に問題がある可能性が高いです。上司が部下一人ひとりのスキルや現在の業務負荷を正確に把握できていないと、業務の割り振りに偏りが生じます。
「できる人」や「断らない人」に仕事が集中し、その人が働きすぎの状態に陥ってしまいます。本来、業務の平準化を図り、チーム全体のパフォーマンスを最適化するのが管理職の役割です。しかし、その役割が果たされていない場合、一部の従業員が過重な負担を背負い続けることになります。
職場に「残業する人=頑張っている」という価値観が残っている
働き方改革が叫ばれるようになっても、いまだに「長時間労働こそ美徳」といった古い価値観が根強く残っている職場もあります。定時で帰ろうとすると「もう帰るのか」と嫌味を言われたり、残業している同僚が多い中で帰りづらい雰囲気を感じたりすることはないでしょうか。
このような職場では、業務の成果や効率性よりも、単純に「どれだけ会社に長くいたか」が評価の対象になりがちです。その結果、本当は必要のない「ダラダラ残業」が蔓延し、生産性が低いにもかかわらず、全員が疲弊していくという非効率な状態が続いてしまいます。
厳しいノルマや納期が設定される
現実的に達成が困難なほどの高いノルマや、あまりにも短い納期が設定されることも、働きすぎの大きな原因となります。特に営業職やプロジェクト型の業務では、到底終わりそうもない目標やスケジュールが課されることがあります。目標を達成できなければ評価が下がり、ボーナスや昇進に響くため、従業員は無理をしてでも達成しようとします。
その結果、プライベートの時間を犠牲にして長時間労働を続けることになります。会社側が現場の実態を無視した目標設定を続ける限り、従業員は常にプレッシャーにさらされ、心身ともに追い詰められていくことになります。
働きすぎてしまう人の特徴

完璧主義で責任感が強い
働きすぎてしまう人の中には、非常に真面目で責任感が強い人が多いです。任された仕事は完璧にこなしたいという思いが強く、100%のクオリティを追求するあまり、細部にこだわりすぎて時間がかかってしまう傾向があります。また、「これは自分の仕事だ」という責任感が強いために、困難な状況でも他人に助けを求めたり、仕事を分担したりすることが苦手です。
上司や同僚から見れば「あの人に任せておけば安心」と映るため、さらに多くの仕事が舞い込んでくるという悪循環にも陥りがちです。自分の限界を超えても頑張り続けてしまい、結果として心身をすり減らしてしまいます。
頼まれたら断れない
他者からの評価を気にしたり、対人関係の摩擦を避けたいという思いが強かったりする人は、上司や同僚からの依頼を断れない傾向があります。自分のキャパシティがすでにいっぱいであったとしても、「ここで断ったら相手に悪い」「嫌われるかもしれない」といった不安から、無理な要求でも「はい」と引き受けてしまいます。
このような「いい人」は、周囲からは重宝されますが、本人はどんどん業務を抱え込み、自分の時間がなくなっていきます。他人の期待に応えようとするあまり、自分自身の健康やプライベートを犠牲にしてしまうのです。自己主張が苦手な人ほど、働きすぎに陥りやすいと言えるでしょう。
仕事が大好き(ワーカホリック)で、疲労に気づかない
仕事そのものに強いやりがいを感じ、熱中している状態、いわゆる「ワーカホリック(仕事中毒)」の人も、働きすぎに陥りやすい特徴があります。仕事が趣味のようになっており、長時間働くこと自体に苦痛を感じない、むしろ喜びを感じているケースも少なくありません。
しかし、本人が「好きでやっている」と感じていても、体は確実に疲労を蓄積しています。アドレナリンが出ている状態では疲れを感じにくいため、自分の限界に気づかないまま働き続けてしまいます。
そして、ある日突然、糸が切れたように倒れてしまったり、バーンアウトに陥ったりする危険性が高いのです。夢中になること自体は悪くありませんが、意識的な休息が必要です。
残業代が出ないと生活が厳しくなるほど経済的余裕がない
基本給が低く設定されており、残業代を前提とした生活設計になっている場合、経済的な理由から自ら進んで長時間労働を選ばざるを得ないケースもあります。生活費やローンの支払い、子どもの教育費などを賄うために、残業代がなければ家計が成り立たないという状況です。
この場合、本人は「働きすぎだ」と自覚していても、生活のために働かざるを得ません。会社側も、基本給を低く抑える代わりに残業代で調整するような給与体系にしていると、従業員の長時間労働を助長することになります。これは非常に深刻な問題であり、個人の努力だけで解決するのは困難な場合があります。
働きすぎを改善するためにできること
自分のキャパシティを守るために「NO」という勇気をもつ
働きすぎを改善する第一歩は、自分自身の限界(キャパシティ)を正確に把握し、それを守る意識を持つことです。もし、自分の業務量を超えそうな仕事を頼まれた場合は、「NO」という勇気を持ちましょう。
もちろん、ただ「できません」と拒否するだけでは角が立ってしまいます。「今、〇〇のタスクを抱えており、それをお受けすると納期に間に合わなくなる可能性があります」「〇〇までならお手伝いできますが、それ以上は難しいです」といったように、具体的な理由や代替案とともに伝えることが重要です。
自分の状況を客観的に説明することで、相手も納得しやすくなります。自分の心身を守れるのは、最終的には自分だけだという意識を持つことが大切です。
業務量や労働時間について上司に相談する
個人の努力で業務量を調整するのが難しい場合は、直属の上司に相談することが不可欠です。感情的に「仕事が多すぎます」と訴えるのではなく、客観的な事実を整理して伝えましょう。例えば、自分が担当している業務内容の一覧、それぞれにかかっている時間、そして常態化している残業時間などを具体的に示すと、上司も状況を理解しやすくなります。
その上で、「このままではクオリティの維持が難しい」「業務の優先順位を見直したい」「人員のサポートをお願いしたい」といった、具体的な改善策を提案・相談することが有効です。上司には部下の労働時間を管理する責任があるため、勇気を出して現状を伝えることが改善につながります。
社内の産業医や人事部、コンプライアンス窓口に相談する
直属の上司に相談しても改善が見られない、あるいは上司自身が長時間労働の原因である場合は、社内の他の窓口に相談することを検討しましょう。多くの企業では、従業員の健康管理を担当する「産業医」や、労働環境の問題に対応する「人事部」、または「コンプライアンス窓口(ハラスメント相談窓口など)」が設置されています。
これらの窓口は、相談者のプライバシーを守りながら、会社全体の問題として対応してくれる可能性があります。一人で抱え込まず、客観的な第三者の視点を入れることが重要です。
転職して環境を変える
上司や専門窓口に相談しても、会社の体質や業界構造の問題で、働きすぎの状態が根本的に改善されないケースも残念ながら存在します。もし、今の職場で健康的に働き続けることが困難だと感じたなら、「転職」して環境を変えることも有力な選択肢です。
実際、若年正社員が転職を考える理由として、「賃金の条件」に次いで「労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい」という理由は50.0%にものぼります。
自分一人の力で会社の文化を変えるのは非常に困難です。自分の健康と将来を守るために、ワークライフバランスを重視する企業や、人員体制が整っている企業へ移るという決断は、決して「逃げ」ではありません。
参照:「若年正社員の定着のために、「労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励」を実施している事業所が大幅に増加/独立行政法人労働政策研究・研修機構」
現職を続けるか悩む時はZキャリアに相談
現職での問題点は何か、どんな転職先ならそれが解消できるか共に考えます
「今の会社は働きすぎかもしれない...でも、転職すべきかどうか分からない」。そんな風に悩んでいるなら、ぜひ一度Zキャリアにご相談ください。私たちは、あなたの現状を丁寧にお伺いします。長時間労働が常態化している原因は、人手不足なのか、業務の偏りなのか、それとも会社全体の体質なのか。
問題点を明確にすることで、現職に留まって改善を目指すべきか、それとも転職して環境を変えるべきか、客観的な視点で見極めるお手伝いをします。もし転職を選ぶ場合も、あなたの希望するワークライフバランスが実現できる企業はどんなところか、具体的な求人情報をもとに一緒に考えていきます。
無理に転職を勧めることはないので、安心してご相談ください
転職エージェントに相談すると、無理に転職を勧められるのではないかと不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、Zキャリアではそのようなことは一切ありません。私たちの役目は、あなたのキャリアがより良いものになるようサポートすることです。
転職が最善の選択ではないと判断した場合は、現職での状況改善に向けたアドバイスも行います。実際、転職活動において特に対策を行っていない人が66.1%と過半数を占める中、まずは専門家に相談して自分の状況を整理するだけでも大きな一歩です。相談したからといって必ず転職する必要はありませんので、まずはあなたの率直なお悩みをお聞かせください。
