- 入社当日の辞退について
- 辞退によって起こりうるトラブル
- 辞退を伝える際の注意点
入社当日でも辞退はできる?
入社当日の辞退は、可能かどうか不安に感じる方もいるのではないでしょうか。入社当日の辞退について、法律上の観点と企業への影響について解説します。
- 入社当日の辞退は法律上可能である
- 会社に与える影響は大きい
入社当日の辞退は法律上可能である
労働者には「退職の自由」が認められています。そのため、入社当日であっても辞退は可能です。民法では、期間の定めのない雇用契約の場合、原則として2週間前までに退職の申し出をすれば雇用契約を解除できると定められています。しかし、企業によっては就業規則で「1ヶ月前までに申し出る」などと定めている場合もあります。就業規則よりも民法が優先されるため、法的には2週間前に申し出をすれば問題ありません。
入社日はまだ雇用契約が始まったばかりの段階ですが、法的には雇用関係が成立しているため、辞退の申し入れが可能です。
会社に与える影響は大きい
入社当日の辞退は可能ですが、企業に与える影響は非常に大きいです。企業は入社する方のために、入社準備を進めています。例えば、入社手続きの準備や備品の用意、受け入れ部署での準備など、多くの時間と費用をかけています。
もし辞退となると、これらの準備が無駄になってしまうだけでなく、あらためて人材を募集し直す必要が出てきます。企業によっては、入社当日に辞退者が出たことで、すぐに補充できないことで業務に支障が出る可能性もあります。
入社当日の辞退で起こりうるトラブル
入社当日の辞退は、法律上は可能であると説明しました。しかし、実際に辞退をすると、いくつかのトラブルに発展する可能性があります。どのようなトラブルが起こりうるのかを知り、慎重に対応することが大切です。
- 損害賠償請求をされる可能性がある
- 今後の転職活動に影響が出る場合がある
損害賠償請求をされる可能性がある
入社当日の辞退によって、企業に大きな損害が出た場合、損害賠償請求をされる可能性があります。例えば、入社するために高額な研修費用をかけていた場合や、辞退によってプロジェクトが頓挫し、莫大な損失が出た場合などです。
実際に損害賠償請求が認められるケースは非常に稀です。一般的に、企業側が損害の具体的な金額を証明することが難しいことや、個人の退職の自由が尊重されるためです。しかし、会社との関係性が悪化し、精神的な負担を感じる可能性はあります。
今後の転職活動に影響が出る場合がある
入社当日の辞退は、今後の転職活動に影響が出る可能性があります。特に、同業他社への転職を考えている場合、転職先の採用選考でファレンスチェックなどある場合、採用に不利になるケースもあります。
また、転職エージェントを利用していた場合、エージェントとの信頼関係が損なわれ、今後のサポートを受けられなくなる可能性も考えられます。辞退の意思を固めたら、できるだけ早く、そして誠意をもって対応することが重要です。
入社当日に辞退する際の伝え方
入社当日に辞退の連絡をする際は、企業に与える影響を考慮し、できる限り丁寧な伝え方を心がける必要があります。具体的な伝え方について解説します。

連絡は必ず電話で行う
入社当日の辞退は、メールや書面ではなく、必ず電話で連絡しましょう。緊急性の高い内容であるため、電話で直接伝えることで、相手に誠意が伝わりやすくなります。就業時間内に、採用担当者や直属の上司に直接連絡を入れてください。
もし、電話が繋がらない場合は、メールで一度連絡を入れた上で、改めて電話をかけるようにしてください。その際、メールには「電話をしたが繋がらなかったため、メールで失礼する。改めて電話する」といった旨を記載しましょう。

誠意をもって謝罪の気持ちを伝える
辞退の連絡をする際は、誠意をもって謝罪の気持ちを伝えることが大切です。企業は入社のために準備を進めてくれているため、辞退によって迷惑をかけることになります。
「この度は、大変申し訳ございません。」といった言葉から始め、深くお詫びの気持ちを伝えましょう。電話口では、声のトーンや話し方にも気を配り、真摯な態度で対応することが重要です。
辞退理由を正直に話す必要はない
辞退理由を尋ねられた場合、正直に話す必要はありません。曖昧な返答や嘘をつくことは避けましょう。無難な辞退理由として、「一身上の都合により」や「他に魅力的な企業とご縁があった」などがあります。
詳細を深掘りされることも少ないため、具体的な内容まで話す必要はありません。誠実な印象を与えるためにも、簡潔に理由を述べるようにしましょう。
入社当日辞退後の対応で注意すべきこと
入社当日の辞退連絡が終わった後も、いくつかの注意点があります。辞退後の対応を間違えると、さらなるトラブルに発展する可能性もゼロではありません。円満に辞退を完了させるために、以下の点に注意してください。

貸与物の返却と返却方法を確認する
企業から制服や名刺、社員証などの貸与物を受け取っていた場合は、速やかに返却する必要があります。辞退の連絡時に、返却方法についても確認しておきましょう。企業によっては郵送での返却を求められる場合や、直接持参を求められる場合もあります。
返却する際は、破損がないかを確認し、丁寧に梱包して送りましょう。郵送の場合は、追跡サービスがある方法を選ぶと安心です。
連絡が来ても無視しない
辞退の連絡後も、企業から連絡が来ることがあります。例えば、貸与物の返却についてや、辞退理由の再確認などです。どのような内容であっても、連絡が来たら無視しないでください。
無視をしてしまうと、企業からの印象がさらに悪化し、不要なトラブルに発展する可能性があります。迅速かつ丁寧に対応することで、誠実な姿勢を示すことができます。
連絡手段は記録に残さない
入社当日の辞退に関するやり取りは、基本的に電話で行うことをがよいと考えられます。一般的には当日の急な退職はよほどのことがない限りは初日においては企業側の落ち度はほとんどないことが想定されます。辞退理由の詳細や、企業側との具体的なやり取りをメールやSNSなどに残すことは避けてください。もちろんSNSで公開することもNGです。
万が一、訴訟問題などに発展した場合、それらの記録が不利に働く可能性があります。辞退に関する連絡は、口頭でのやり取りに留め、不必要な証拠を残さないことが賢明です。
入社辞退を決めたら早めに連絡しよう
入社当日の辞退は、精神的な負担も大きく、企業にも大きな迷惑をかけてしまいます。辞退の意思が固まったら、できるだけ早く連絡することが何よりも大切です。早めに連絡することで、企業側も次の対応を考えやすくなり、トラブルを最小限に抑えることができます。
- 辞退の意思は固いと伝える
- 辞退理由を丁寧に説明する
- 書面での提出を求められた場合の対応
辞退の意思は固いと伝える
辞退の連絡をする際は、辞退の意思が固いことを明確に伝えましょう。企業側から引き止められる可能性も考えられますが、曖昧な態度をとると、かえって話がこじれる原因になります。
「今回は辞退させていただきます」という強い意思を示すことで、企業側も納得しやすくなります。感情的にならずあくまで冷静に、そして誠実に伝えることが重要です。
辞退理由を丁寧に説明する
辞退理由を伝える際は、相手が納得しやすいように丁寧に説明することを心がけましょう。正直に話す必要はありませんが、具体性がないと企業側は引き止めたいと考えてしまいます。
「熟考の結果、現在の自分のキャリアプランと異なるため、今回は辞退させていただきたく存じます。」といったように、相手に理解を求める姿勢を示すことが大切です。
書面での提出を求められた場合の対応
企業によっては、辞退の意思を書面で提出するように求められる場合があります。その際は、速やかに書面を作成し、提出しましょう。書面には、辞退の意思、入社日、氏名、連絡先などを記載します。
書面での提出は、正式な手続きとして、企業との認識のずれを防ぐためにも重要です。もし書面での作成方法に不安があれば、インターネット上のテンプレートを参考にすることも可能です。
転職活動中の不安は相談を
就職活動中に「これで本当にいいのかな?」と迷うことは誰にでもあります。特に、入社直前の辞退は、精神的に大きな負担を感じるかもしれません。ですが、自分の将来を真剣に考えるからこその悩みだと思います。もし、転職活動で不安なことや困ったことがあれば、一人で抱え込まずに、Zキャリアのエージェントに相談してみましょう。